魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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某森崎主人公の作品を見て思ったんですが、この作品の文字数とか一話ごとの内容の濃さとか皆さんどうお考えですか?

今やっているアンケートは今回で終了として、新しくアンケートを取ります。内容は


文字数を増やす or 今のままで良い となります。作者は明日から一週間近く多忙となるのでその間ですが集計させて貰いたいです。

仮に文字数を増やすが多かった場合、第一話から文字数を増やす試みをしていきます。なので投稿ペースが非常に悪くなります。

今のままで良いが多いなら変わりませんが


横浜騒乱編 その十九

「見てろよ見てろよ~!?」

 

「(等と啖呵を切ってみたのはいいんだが…)」

 

 

総司は目の前の巨人に手も足も…思いっきり出ていたが、相手を沈めることが出来ずにいた。削っても削っても、再生してくる巨人。既に百回は破壊しているのに、底が見えない。

 

 

「なあなあ零次くーん!コイツの残機とか教えてもらえるかな~!?っ、オラァ!」

 

「残機?それなら億はあるぜ?」

 

「しんど~!」

 

 

流石の総司も億を超える再生回数を捌くのはキツいようだ。更に巨人の狙いが自分では無く地下シェルターである事も総司の疲労を加速させる一因であった。加えて、巨人と戦闘中でも零次が妨害と言わんばかりに殴り掛かってくる。総司も慣れてきて吹っ飛ばされる事も無く軽くいなせる様になったが、それでも鬱陶しい事この上なく、総司はストレスがマッハで半ギレ状態だ。

 

 

「流石に、策を考えないとだよな…!相手は巨体がウリ、魔法で動いているから攻撃を当てれば止められる事は止められるが、再生が厄介だな…だるいぜ!」

 

 

口ではだるいぜ!等と言いながらも、自分の手札で何が出来るかを考察していく。

 

 

「(俺の出来ること…ダメだ、物理攻撃じゃやってること今と変わらないぞ…となれば魔法か?とはいえ俺の魔法なんて…!(メタルギアソリッド風の効果音))これなら…!」

 

「!何か思いつきやがったか!やらせるわけには行かない!」

 

「でゅわあ!センナナヒャクウ!」(驚愕)

 

 

解決策を思いつき、巨人に飛びかかろうとする総司に零次が突撃する。総司の顔色から何か策がある事を理解した彼は、妨害程度に済ませていた攻撃の手を苛烈にする。ドラゴンボール並みの空中戦を繰り広げる総司達、その間にも巨人は地下への攻撃を行おうとする。

 

 

「…!マズい…!」

 

「チェックメイトだ、オリジナル!」

 

「グアッ!?」

 

 

巨人に気が散った事で零次からの鋭い拳を受けてしまった事で巨人から大きく距離を離されてしまう。その隙に巨人は拳を振り下ろす…が、

 

 

「させません!」

 

「やああああっ!」

 

「む、あの二人は…」

 

 

巨人の両腕に異変が起こる。右腕が大ぶりな刀で弾かれ、左腕に至っては凍結している。よく見ると潰れていた地下シェルターの入り口付近に二つの人影があった。司波深雪と千葉エリカである。その後に続くように一高生達が続々と地下シェルターから出てくる。その中には雫の姿もあった。

しかし巨人は即座に再生し、再び攻撃を行おうと腕を振り上げる。

 

 

「させるとでも!?」

 

「七宝琢磨…!」

 

 

琢磨がシェルターから飛び出し、巨人の腕を大きく蹴り上げた。この紙の巨人は、巨人としての存在を定義する為にある程度関節の上限が設定されていた。琢磨の蹴りによってその上限を超過してしまった巨人は大きく体勢を崩し、更に高い威力に腕は破壊される。だが総司の異能でも対処出来なかった再生は琢磨も止める事は出来ずソレを許してしまう。

 

しかし有効打にならなくても時間稼ぎは出来た。起き上がった総司が戦場に復帰する為に超スピードで走ってくる。

 

 

「おおっと、お前はダメだオリジナル…ってアブね!」

 

「チッ…!」

 

「落ち着いてはんぞー君、総司君の真似をされて怒っているのかもだけど…」

 

 

総司の復帰に気づいた零次が総司へ攻撃を行おうとする。しかしソレを許さないと言わんばかりに氷の弾と雷撃が零次を襲う。真由美の使用した『ドライ・ブリザード』に合わせる形で範蔵が『這い寄る雷蛇(スリザリン・サンダース)』を発動したのだ。

流石は十師族とそれにも引けを取らない名家の者と言ったところだろうか。その威力と速度は放たれてから対応するのは不可能と零次に判断させるほどだ。防御術式が間に合わないと思った零次は回避行動を取る。

 

故に、総司の妨害に失敗してしまう。

 

 

「うおおおおおお!」

 

「だから無駄だって…っ!?」

 

 

すっ飛んで来た総司は零次に目もくれず、巨人に攻撃する。その様子は先程までと変わっておらず、警戒して損した気持ちになりながら総司を見やると…

 

 

「あれは…魔法式か?」

 

「イグザクトリー!」

 

 

総司が触れている箇所から魔法式が巨人を覆っていく。

 

 

「だがオリジナルの使える魔法で強力な物は精々が仮装行列くらいだ。他に扱える魔法なんて他には()()()()ぐらい…ハッ!」

 

「そうか、硬化魔法かっ…!」

 

 

硬化魔法とは、物質の硬さを増幅させる魔法では無い。硬化魔法(こうかまほう)は、収束系の系統魔法である。対象物を魔法行使の「エリア」、そのパーツを「特定情報を持つ物体」として、対象物内部におけるパーツの分布、つまりパーツの相対座標を固定する魔法である。つまり…

 

 

「この巨人をまるまる一つにまとめて、そっから異能()使えば…!」

 

 

一枚一枚に術式が掛かっており、それ故に総司の異能では完全に魔法を解除する事が出来ていなかった。直接触れた数枚分しか解除できていなかった為、攻略が難航していたが、硬化魔法で巨人を一つの物質として扱えば、総司の異能の対象に全てのパーツを指定することが可能となった。

 

結果…バサバサと地へ落ちていく無数の紙。巨人の術式が全て正常化され、形を保てなくなったのだ。

 

 

「…お見事。ん、おっと!」

 

「…当たらない」

 

「北山さん、無理して当てる必要は無いよ。総司の援護程度で十分だから」

 

 

まんまと巨人を突破されてしまった零次。しかしその表情はどこか余裕を見せていた。その表情のまま、()()()()()()()()()総司を見つめていると、雫と幹比古からそれぞれ『フォノンメーザー』と『雷童子』の射撃を受けるが、正直に当たる零次では無く、軽くステップされて回避される。

 

 

「…それで、これからどうするつもりなんだ?総司の偽物さんよ」

 

「総司君と互角の上に、アタシ達まで参戦したら、流石にキツいんじゃ無いの?」

 

「ええ…確かにかなりの規模の魔法でしたが…対処出来ないレベルではありません」

 

 

レオ、エリカ、深雪が零次に声を掛ける。規模の大きな魔法を行使するにはそれ相応の時間が必要だ。敵が大勢いる中で大規模魔法の行使は命取りと言える。

 

 

「…いやー、流石はオリジナルのご友人方だ。実に恐ろしい」

 

 

恐ろしい、等とのたまうが、零次の態度は白々しいモノだ。降伏の意など微塵も無い事が窺える。

 

 

「武明先輩、紗耶香先輩…シェルターはどうでしたか…?」

 

「シェルター?避難して来た人達は全員無事だったわ」

 

「つーか総司お前…どうした?なんでそんなに疲れてんだ?」

 

 

総司が近くにいた桐原達にシェルターの状況を質問する。無事である事を伝えられるが、返しに心配されてしまう。そんな二人に総司はこう頼みこむ。

 

 

「二人とも、俺が隙を作るから、みんなを連れてさっさとシェルターの中に戻ってくれ…」

 

 

その言葉を聞いた二人は驚愕の表情を浮かべて抗議する。

 

 

「はあ!?なんでだよ、俺達もアイツを倒すのに協力するぞ!?」

 

「そうよ!一人で全部抱え込まなくたって「違う!」…え?」

 

「アイツはヤバイ…!俺はともかく、みんな全滅してしまう!」

 

「…そこまでヤバイ奴なのか、アイツは!?」

 

「はい、だから…!」

 

「…分かった」

 

 

そう言って桐原達は他のメンバーの元へ向かう。その間に総司は零次の正面に立って…後ろの仲間達を守れるように気を配りながら、相対する。

 

 

「おめでとうオリジナル。あの巨人がお前を倒せない事ぐらい分かってたよ。でもこちらが負けるとは考えていなかった。実に見事だな?」

 

「ほざけ。まだ何か隠してやがんだろ?」

 

「さあ?」

 

 

その言い合いの最中、総司はチラリと後ろを確認する。そこでは桐原達に説得されているエリカやレオ達の姿もあった。その説得には雫も参加している。総司が判断した事だから意味があるのだろうと、自分も一緒に戦いたい気持ちを抑え、総司の意思を尊重することにしたのだ。

 

 

「…ところでさ、オリジナルよ」

 

「…なんだ?」

 

「戦艦って要らなく無いか?」

 

「は?」

 

 

いきなり戦艦の話をしだす零次。彼は聞き返されたのを気にとめず、そのまま話し続ける。

 

 

「だってさ?確かに威力が高い砲門やら、多くの人員を乗せられるとかメリットはあるのかもだが、図体がデカくて困るよな?あの無駄に長い船体に一発当てて浸水させればいつかは必ず沈む訳だ」

 

「…何が言いたい?」

 

「いやね?船体に穴が空いたらいけない。つまり攻撃に当たると危険。それなのに図体がデカいって不利だよなって。だからさ…」

 

 

そう言いながら零次はコートのポケットに手を入れ…

 

 

「仲間が多いって逆に不便だなぁってさあ!」

 

「しまっ…!」

 

 

札を二枚取り出し、後ろの仲間達に…具体的な照準は総司の最大の弱点である雫と、雫から最も離れた位置にいる深雪だった。どうやら一撃で二発ともに対処されないように散らしたようだ。

 

 

「チッ…!」

 

 

総司の動きは素早かった。音速の速さで雫の元へ向かう札を相殺する。異能でエイドスが正常化された札はただの紙切れになりそのまま地に落ちる。そして即座に深雪の方へ向かう。だが零次も織り込み済み、札に込められた魔法は速度重視だったのか、総司でもギリギリ追いつけるかどうかといったスピードで深雪に向かう。

 

ギリギリで間に合う総司だが、対処する為に拳を振るうと逆に深雪を傷つけてしまいかねない距離まで近づいてしまった。故に自身の肉体を盾にするかのように腕を広げて防御の構えに入る。だが拳を振るっても、総司の体に当たっても異能は作用する。魔法は正常になるはずだ。

 

やっとここで攻撃を受けた事に気づく一高生達。彼らには零次の魔法の発動の兆候どころか、しばらく発動そのものを知覚できなかった。それほどまでに零次の放った魔法は速度が尋常では無かったのだ。だがその魔法に総司が対応しているのを見た事で安堵する。総司には魔法が効かないと知っているからだ。

 

 

「…やっぱりそっちを後回しにすると思ったぜ」

 

「…おファックですわ」

 

 

そして総司の左腕に命中した魔法は…

 

 

 

 

 

「…え?」

 

「うそ…だろ?」

 

 

一高生達の予想を裏切り…零次と()()の予想通り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ!

 

 

「がああああああああああ!?」

 

 

予想はしていたが、自分の腕が切り落とされるという激痛に総司は叫び声を上げる。

 

 

「総司君「来るな!」っ」

 

「早く逃げろ…!」

 

 

総司を心配して駆け寄ろうとした雫を、総司は言葉で制す。とめどなく血を流し続ける左腕を庇いながら、零次を睨み付けた。

 

 

「や…っぱ、何か隠してたな?」

 

「隠してはいないぞ、さっきからずっと使ってた」

 

 

そう、零次は今までの戦闘の中でこの力をずっと使用していたのだ。

 

 

「お前…実は本当の身体能力は高くないだろ?」

 

「失礼な。一般的な成人男性よりは遙かにあるんだが?」

 

「俺と同じレベルの動きが出来てその例え方…やっぱ強化魔法でドーピングしてたのか」

 

「それはそうだな。普通ならお前レベルの強化は難しいが、俺は『橘総司』だからな。世界が補正かけてくれるんだよ、『橘総司が橘総司に劣るはずはない』ってね。遺伝子が同じクローンだからこそなせる技だ」

 

「違うだろ…」

 

 

肩で息をしながら総司は問う。

 

 

「魔法で強化してあるなら、俺の異能()で元に戻せる。だがお前とは殴り合いになった。琢磨と殴り合えるのは俺が敢えてアイツの魔法を元に戻さないからだが、お前は違う…どういうことだ?俺の異能()が通用しないのか?」

 

「いや?お前の異能は俺の魔法に効くぞ?お前はエイドスを正常に戻せなかったんじゃない。()()()()()()()()()()()

 

「そういう事かよ…!」

 

 

零次の力の正体が分かった総司は毒づく。

 

 

「お前…そんなモノどこで拾って来やがった!?」

 

「無論、『伝統派』の皆様が持て余していたモノをプレゼントして貰ったのさ」

 

「『伝統派』…!?奴らこんなものを隠し持ってやがったのか!」

 

 

総司は隻腕となっても全く戦意を衰えさせなかった。

 

 

「みんな!ここにいると全滅する!早く逃げるんだ!」

 

「心配するなよオリジナル。まずはお前からだからな!」

 

 

零次の拳と総司の拳がぶつかる…第二ラウンドの開始だ…!




魔法科世界の秘匿通信


・一高生達がシェルターから出てきたのはヘリコプターを呼んだから地上の安全確保の為に総司に協力する為でした。



・人造人間なんだから人造の異能ぐらい付けてもいいと思った。



零次の異能は次回にでも解説します

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

  • いいともー!
  • 駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~

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