魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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番外編で温泉話書こうとしたら運営が(星三アシスト)とはいえ温泉雫ちゃんを実装してしまったこの現状、作者はこのまま番外編を温泉の話で進めようか違う話にしようか迷っている。


横浜騒乱編 最終話

「ふぁ~…」

 

「おはよう、総司君。流石に疲れてるみたいだね」

 

 

西暦2095年10月31日。横浜の論文コンペ及び大亜連合からの襲撃を受けた時から一夜明け、総司と雫は同じタイミングで起床した。総司と過ごし始めて二ヶ月程になる雫は、起床の時間すら近くなった。故にこうして二人して同時に起きる事も少なくない。同じベッドで寝ているから尚更である。

 

 

「ん~、いや疲れてる訳じゃないんだ、寧ろ健康体まである。だけどな、何か体の中の時間が一日ズレてるような気がしてさ」

 

「それは精神的疲労なんじゃないの…?」

 

「そうとも言う」

 

 

何気ない会話をしていた二人だが、総司は雫の目線が左腕に向いているのに気づく。

 

 

「そんなに心配か?大丈夫だって完全に元通りだよ」

 

「うん…それでも、総司君の腕が切られた時…凄く怖かった」

 

「そりゃ怖かっただろうな…目の前で人が欠損するとこなんて学生の女の子がそうそう見るようなもんじゃないし…」

 

「それもだけど」

 

「?」

 

 

雫は途中で言葉を区切り、総司に寄りかかる。何が言いたいのか珍しく読み取れない総司は、雫を両の腕でしっかりと抱きしめる。

 

 

「今、こうしていられるのが、本当ならもう出来ないはずだったんだよ?」

 

「…ああ、そういうことか」

 

 

言われて初めて、雫が恐れたのは『愛する人と満足に触れあえなくなる事の苦しみ』であると総司は気づく。確かにそれは恐ろしいなぁ…ともし隻腕で抱きしめてしまい、感じられる温もりが減った事に悲しむ雫の顔を想像して、涙がこぼれそうになり、朝っぱらからこんなしょぼくれた事考えるものじゃない。と思い至って思考を切り替え、話題も切り替える。

 

 

「というか、雫ちゃんの方はあれから大丈夫だったの?昨日はお互い話をする余裕すらなくなってて聞いてないけど」

 

「大丈夫だったよ。エリカやほのか、美月やレオ君、幹比古君も頑張ってくれてたから。でもなにより凄かったのはいつもの先輩達だったよ」

 

「さっすが先輩達だな」

 

 

総司が零次を魔法協会支部前に吹き飛ばした後、一般人を避難させた後に乗り込んだヘリの中から、魔法協会に攻め入る呂剛虎達を視認した彼らは全員が一度降下し、呂剛虎率いる軍勢と戦闘を行ったのだ。鎧を身に纏い、強化を施された呂剛虎は琢磨ですら苦戦する相手であったが、最終的にイツメン(桐原、壬生、五十里、千代田、範蔵)に琢磨を加えた六人による同時マフティーダンスが決め手となり一瞬でケリが付いたとのこと。

因みに六人もの人間が同時にマフティーになるという異常事態には雫以外の面々はかなり引き気味であった。

 

 

「あの踊りってやっぱり総司君が教えたの?桐原先輩は九校戦の時も踊ってたし」

 

「教えたって言うか、目の前で使ったら覚えられたっていうか…」

 

 

起き抜けに話しながら、何の気なしにリビングに向かう二人。二人の行動時間が早いとは言え長話をしていると朝食で腹を満たしたくなってくる。「今日は私が作るね」と、自動配膳機(ダイニングサーバー)があるにも関わらず、自分で朝食を用意しようとする雫。どれだけ総司が無事で(無事ではなかったが)帰ってきたのが嬉しいらしい。

「ありがとう」と礼を言いつつ、ニュースでも見ようかとテレビを付けた総司。そこには…

 

 

「…達也?」

 

 

思わず口からこぼれた名前。画面の中の映像には、島一つが壊滅する程の大爆発の爪痕が映し出されていた。

 

 

灼熱のハロウィン。

 

 

後世の歴史家はこの日のことをそう呼ぶ。軍事史と世界史の転換期であるとされるこの日。

それは機械兵器とABC兵器に対する魔法の優越を決定づけた、魔法こそが勝敗を決する力だと誇示された事件。

 

魔法師という種族の、栄光と苦難の歴史。その真の始まりの日でもあった…

 

 

 


 

 

場所は変わって横浜の中華街…

 

 

「美味しいヤミー感謝感謝またいっぱい食べた「それは以前お聞きしました」…ネタを妨害するのはヤメロ抗菌スプレー」

 

「貴方も私をそう呼ぶのですね…」

 

 

とある店の営業を行うこの男…周 公瑾は以前出会った目の前の男、零次のオリジナルである総司にも同じ呼ばれ方をしたのを思い出し、呆れと共に零次のクローンとしての完成度の高さを実感する。

 

 

「今朝のニュースはご覧になられましたか?」

 

「ああ見た見た。大分派手にやられたなー、まだ判明してないしバレてもお前達は認めないんだろうけど、十三使徒の劉雲徳の奴、アレで戦死したんだろ?」

 

「いえ、そのような…」

 

「誤魔化さなくて良い。…あれだけの破壊をもたらす攻撃を受けたのは、それ相応の戦力をあのニュースの島に集めてたからだろう?どうやらお前の上はともかく大亜連合は戦争でもしようとしたんだろう。戦争をするなら自由に使える戦略級は投入される可能性が高い。俺はこの条件を元にそう考えただけだ。確信を持ってはいるが確かめたいとも思わん。どうせ電撃しか能の無い魔法師など俺の相手ではないからな」

 

「…まあ、あの魔法の真髄は電子機器を破壊する電磁波を広範囲にばら撒く事ですしね…」

 

 

世間話をする二人。だがその態度には明らかに違いがあり、零次はどうでも良い奴と思っているかのように公瑾に接しているが、公瑾はまるで上の人間を敬うように接している。何故なら、彼と彼の上司の計画には、まさしく零次が必須だからだ。

そして公瑾はそろそろと本題を切り出す。

 

 

「零次様。我が主からの口伝です。『近いうちに、()()()()は間違いなく蘇る』とのこと」

 

「当たり前だろ、そんなもんオリジナルがあんな風に生まれてきた時点で決まっていた事だ。今更何を俺に伝えたいんだ?」

 

「主は、貴方による()()()()を操り従えるという使命をとても重要視しています」

 

「そんな使命俺にはない。その使命があるのはオリジナルだし、従えるのではなく撃滅だ。アイツが従えるという選択をとるとは思えん」

 

「だからこその貴方だ。貴方が従え、その力を振るえば主は悲願の成就に留まらず、この世界を手中に収めることすら可能です」

 

 

饒舌に話す公瑾を見て、零次は嫌気が差したのか手にしていたスプーンを皿に放り投げる。そして腕を組んで目を閉じ、心底呆れた様子で公瑾に命じた。

 

 

「なら、さっさとオリジナルを殺してこい。俺が従える以前に奴が撃滅してしまえば元も子もないだろう」

 

「ええ、重々承知していますとも。故に零次様の回復を待ってから「それじゃ間に合わない」…と言いますと?」

 

「オリジナルは、既に()()()()()()()に至ったかもしれん」

 

「…それはどういう」

 

「一昨年の奴の最高速度を知っているか?」

 

「…申し訳ありませんが存じ上げていません」

 

「別に知ってると期待した訳じゃない。それでだ、奴の一昨年の最高速度はせいぜいがリニアモーターカー程度。だがその一年後には既に音速を超えていた。常軌を逸した成長速度だ、恐ろしい。だがな、奴の運動能力の成長はこれ以降目につく幅では見られなかった」

 

「それとフェーズとやらに何の関係が?」

 

「その頃の奴は魔法が使えない…それこそ、単一系統すら使えなかった。だがそんな人間が二年で魔法科高校に入学できる最低ラインまで魔法力を伸ばした」

 

「…まさか」

 

「ああ、この推論が正しければ、奴は近いうちにかつての運動能力の伸び幅と同じレベルで魔法力を高めてくるかもしれん。そうなれば魔法という優位性が俺から消える。そうなる前に一刻も早く奴を倒さねばならないんだ」

 

 

驚愕のあまり絶句してしまう公瑾を尻目に零次は席を立つ。そのままスタスタと去って行く零次は、独りごちる。

 

 

「たっく…ただの人間ごときががかの存在…()に…ましてや()()を手懐けようなんて無謀なんだよ…」

 

 

そのつぶやきは誰にも聞かれることはなく、中華街の闇に吸い込まれていった。




魔法科世界の秘匿通信


・ニュースで灼熱のハロウィンを知る総司達:彼らは二人の時間を大切にする為に夜の10時から朝の7時まで連絡を遮断している。本来であれば判明した時点でほのかやらからものすごい連絡が来るであろうが、本話の時刻は午前五時なので二人は気づかなかった。


・総司の昔の事を知る零次:上の人に『フリズスキャルブ』で調べるように要求してた。

安部清明が実在したと言うことは、妖怪も実在していたということ



次回番外編挟んで来訪者編です。以前のアンケートでうどんが多かったので話が凄くオリジナル要素満点太郎になります。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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