魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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自分の筆の遅さに絶望している作者です。
今回から部活動勧誘期間のお話です。


入学編 その七

生徒会室で範蔵と総司が戦っていたとき、達也は風紀委員室の掃除をしていた。そこでは、三年の辰巳鋼太郎と二年の沢木碧と出会った。彼らは当初達也に実力があるのか半信半疑だったが、沢木の圧を掛ける握手をひらりと解いて見せた事で二人は達也を「使える奴」だと認識した。まあ、総司にはあずかり知らぬところであるため詳しくは知らないのだが。

 

ここで時間は少し飛び、別日の放課後となる。

 

 


 

 

エリカが見回りついでに一緒に見学しようと達也に約束を取り付けたのと同じ時間帯、深雪とほのか、雫の三人は共に廊下に居た。窓から見える勧誘の凄まじさには目を見張るものがあり、三人は一様に驚愕している。

 

 

「噂には聞いてたけど…うちの学校の勧誘合戦ってホントにすごいよね…!」

 

「あれじゃ、普通に帰りたい人も簡単には帰れそうにないけどね…」

 

「そうだよねぇ…そういえば司波さんはクラブには入らないの?生徒会だけ?」

 

「ええ、ちょっと他に手を回す余裕がなさそうだから」

 

「そっか…」

 

「大変なんだね」

 

 

深雪と二人の距離はまだ近しいと呼ベはしない。なんなら、ほのかは達也、雫は総司との方が親しいまであるだろう。しかし他の一科生とは違い、二人は深雪にとって間違いなく、「友人」なのである。

 

 

「それで…えっと、達也さんは何かクラブ活動をするのかな?」

 

「お兄様?」

 

 

頬を染めながら達也の事を聞いてくるほのかに深雪は一瞬殺意を覚えたが抑えることに成功した。危うく少ない友人が更に少なくなるところだった。

 

 

「達也さんなら非魔法系クラブで優秀な成績を修められると思うし、魔法系クラブでも十分な活躍が出来るんじゃないかな?」

 

「ほのか…!コホン、お兄様は、今日から風紀委員会で忙しいのよ。多分クラブにも所属しないでしょうね」

 

「そう…なんだ…」

 

「ほのか、そんなに気を落とさないで」

 

 

深雪はほのかが達也に高評価をしてくれたことに感動をしたが、咳払いと共に達也がクラブには所属しない事を告げる。するとほのかが深雪がクラブ活動をしないと聞いたときよりも残念がり、雫がそれを慰める。

 

 

「総司さんはどうなの?」

 

「総司君はクロス・フィールド部だって」

 

「えっ」

 

 

説明しよう!クロス・フィールドとは!魔法を用いたサバイバルゲームのことである。この学校では部活連会頭であり、十師族でもある十文字克人が所属するクラブでもある!

ちなみに驚愕をもらしたのは深雪だ。以前は「変態」なんて呼んでいたのにいつの間に名前で…?という驚きだ。どうやらガチガチの箱入りである深雪にはツンデレと言う属性はまだ理解しえないらしい。

 

 

「うん…ホントは一緒のクラブに入りたかったんだけどね…」

 

「雫…」

 

 

今度は雫が落ち込み始め、それをほのかが慰め出す。先程とは正反対の構図である。

 

 

「それと、この勧誘期間は用事があるらしくて一緒には見て回れないみたい…」

 

「用事…ですか?」

 

「うん…なんだか、「借りを返す必要があってな」…だって」

 

「プフッ」

 

 

雫が言う総司が返さなければならない借り…それは十中八九あの時の生徒会での私闘のもみ消しの件だろう。おそらくあの時摩利が言っていた困り事とはクラブ勧誘のことなのだろう。となると総司は…

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「何故ここにいる!!司波達也!」

 

「入ってくるなり大声を出すとはな。随分と非常識じゃないか、森崎」

 

「なんだと!?」

 

「興奮してないで座ったらどうだ?」

 

 

風紀委員会本部において、達也はやってきた森崎に絡まれていた。

 

 

「非常識なのはお前だ!いいかよく聞け!僕は今日から教職員推薦で風紀委員に…!」

 

「やかましいぞ新入り!」

 

 

森崎が随分と驕り高ぶった発言をしていると摩利から頭を叩かれる。その光景に思わず鋼太郎は頭を抑える。

 

 

「此処にいるのは風紀委員だけだ…今のところはな。それくらい分かりそうなものだが…まあいい。さて諸君、今年もあのバカ騒ぎの季節がやってきた」

 

 

摩利が今日集めた理由の説明と、騒がしくなる原因を話していると、森崎から敵意の念を感じるが、生憎達也にとっては彼など眼中にないのだが。

 

 

「幸いにして今年は補充が間に合った。教職員推薦枠の1-A森崎駿と生徒会推薦枠の1ーE司波達也だ」

 

 

摩利に紹介され、達也と森崎は同時に立ち上がる。達也が涼しい顔をしている分、ガチガチに緊張している森崎がおかしく見える。

達也に向けられる視線は、確かに肩に向かうものが多かったが、半数以上が好意的なものであることに驚愕する。

 

 

「役に立つんですか?」

 

 

この台詞は二人に向けられてのものではあるが、発言者の視線は達也の肩に向かっている。どうやら二科生が役に立つのかと言っているのだろう。

 

 

「司波の腕前は特に問題ないだろう。沢木の握手からたやすく抜け出せる程だからな。森崎のも確認したが、それなりの活躍をしてくるだろう」

 

「は、はあ…」

 

 

摩利の発言に…特に前半部分に宿っていた威圧感に負けたその風紀委員は大人しくなる。すると摩利は続けて発言する。

 

 

「…実は今回の勧誘期間限定で、助っ人が来てくれることになっている」

 

 

助っ人?と森崎をはじめとした風紀委員達は首を傾げるが、達也には心当たりがあった。というかほぼ確実に()()()だ。などと考えていると、扉の前に気配がした。

 

 

 

 

 

ダアン!

 

 

「ちわーっす!三河屋でーっす!おっくれやしたー!」

 

 

風紀委員会本部の扉を()()()()()入室する影が一つ。

我らが愛すべきクソバカ野郎、橘総司である。

 

風紀委員達は全員がポカンと口を開け、森崎は予期せぬ総司との遭遇に青い顔をする。達也と摩利は呆れ気味だ。

 

 

「…こんな奴だからな、今回は問題行動の罰として奉仕活動の一環で、我々の業務に一週間付き合ってもらうことにした」

 

「皆さん!自分は橘総司って言います!よろしくお願いしますね!」

 

 

自己紹介でフリーズが解けたのか風紀委員達は各自で挨拶をする。森崎は未だに青いままだが。

ここで沢木が総司に話しかける。

 

 

「俺は二年の沢木碧だ。よろしく。それと、俺の事は名字で呼んでくれ。くれぐれも、名前で呼ばないように」

 

 

沢木は以前達也にもしたように自身への呼び方を念押しするかのように握手した手の力を強くする。

それに対し総司は…

 

 

「…グッ!?」

 

「分かりました!よろしくお願いします、()()()!」

 

「「「プッ!」」」

 

 

より強い力で沢木の手を握り返し、いい笑顔で名前で呼んだ。この男、大分余裕である。そんな光景に他の風紀委員(達也と森崎を除く)は吹き出してしまう…と同時に、沢木よりも体術面では優れている事を察する。

 

 

「ククッ、し、質問がないのならば今から出動だ。司波、森崎、橘は残るように」

 

「「「了解!」」」

 

 

笑いながらも摩利が合図したことにより、メンバーがゾロゾロと本部から見回りに出かける。途中、辰巳が達也に話しかけ、沢木が総司に名前呼びの訂正を求め、拒否されているのを森崎はつまらなさそうに見ていた…

 

 

 


 

 

巡回の前に、摩利から腕章と薄型のビデオレコーダーを渡された達也と森崎、あと総司。何か問題があったときにコレで録画をするらしいが、風紀委員の証言は単独で証拠扱いになるので無理に録画する必要はないようだ。

 

 

「それでは次は委員会のコードを端末に送る。指示を送るときも、確認の時もこのコードを使うから覚えておけ。それからCADだが、風紀委員はCADの学内携行が許可されている。使用に関しても誰かに許可を取る必要は無い。ただし不正使用が発覚した場合には一般学生よりも重い罰が科せられるから覚悟しておけ。一昨年はそれで退学になったものもいる」

 

 

摩利が説明を終えると、達也が挙手をして質問する。

 

 

「CADは委員会の備品を使用してもよろしいでしょうか」

 

「別に構わないが何故だ?ただのガラクタだぞ?」

 

「とんでもない。あのCADはエキスパート仕様の最高級品ですよ」

 

「何だって!?」

 

「へえ~、そうなのか~」

 

 

達也の発言に目を見開く摩利。総司はまるで秘密の県民Sh○wのナレーションのようなイントネーションで驚く。

 

 

「なんてことだ…君が掃除にこだわったのはこれが理由なんだな」

 

「俺っすか?」

 

「橘うるさい黙ってろ」

 

「うぃっす」

 

 

掃除と総司。同じ発音だもんね。

 

 

「どうせ埃をかぶっていたんだ、好きに使ってくれて構わないよ」

 

「それでは、この二機をお借りします」

 

「二機?君は本当に面白いな」

 

 

通常CADを二機同時に起動するとサイオン同士が干渉してしまって上手く魔法が発動できないのだ。そのような事を達也が知らないはずはない。

だが達也をよく知らない森崎は見栄を張って墓穴を掘ったのだと嘲笑する。

 

 

「お前のような二科生が二機同時に使える訳がないだろう、見栄を張って余計なことをしたな!絡まれないようにコソコソしていることだ!」

 

「そもそも風紀委員やりたがらなかった達也が見栄なんてはるわけないんだよなぁ!」

 

 

続く総司の発言に目を見開く森崎。

 

 

「な、何だと!?司波達也、お前!風紀委員になる名誉を何だと思っているんだ!」

 

「別になりたかった訳じゃないからどうだっていいな。そもそも、七草会長と渡辺委員長に流される形で所属することになったんだからな」

 

「確かにそうだが、真由美も私も、君が優秀な人材だと言うことは理解しているつもりだ。規則がなければ生徒会に入っていただろうな」

 

 

この学校でもTOPの実力者である真由美と摩利からの高評価が、二科生である達也に向けられているとは、森崎は到底信じることが出来なかった。しかし嘘は感じない。悔しくなった森崎は、恨み言を吐いて巡回へと向かった。

 

 

 


 

 

森崎がウザかった為にエリカとの待ち合わせに十分遅れた達也は、集合場所にエリカがいないことにため息をこぼす。エリカがしびれを切らして一人で行ってしまったのか…と考えたところで、近くで声がする。

そちらを達也が確認すると、エリカが大量の勧誘に囲まれていたのだ。さらには、その奪い合いが加速し、エリカを引っ張ったりする者まで現れた。コレは急がねば…!と走り出す達也。すると先程別れたばかりの総司もこちらに向かってきていた。

達也に気づいた総司は一言叫ぶ。

 

 

「今から()()()からエリカちゃんを頼む!」

 

 

揺らす?達也が疑問に思ったその時、急停止した総司がおもむろに足を持ち上げる。その行動にまさか!?と思いついた達也は急いで跳躍する。

 

次の瞬間、総司が蹴り下ろした足が地面に衝突し、激しい揺れが起こる。その揺れは第一高校全体を大きく揺らした。エリカを含めた生徒達は揺れの影響で膝をつく。その隙にエリカを回収した達也はお姫様抱っこでエリカを抱えながら、走り去って行った…

 

 

またこの日、第一高校にて、震源不明、原因不明、何もかも不明づくしな地震が発生したことが観測されている。その最大震度は5相当であったらしい。総司の蹴りと果たして関係があるのだろうか…?(すっとぼけ)

 

 

 


 

 

走り抜けた達也と、あの場所から跳躍してきたらしい総司は物陰に全くの同時に到着した。

 

 

「はあ、はあ…今の揺れ…何…?」

 

「何って、地面を蹴っただけだが?」

 

「普通の人間はあんなことできないし、魔法師でもこの規模は難しいぞ…」

 

 

まだ揺れの影響が抜けきってないエリカの問いに、総司が何の気なしに平然と事実を告げ、その異常さに達也が苦言を呈する。

するとここで何かに気づいた総司がエリカに言った。

 

 

「エリカちゃん、随分と大た…エロい格好だね!」

 

「え…っ!?」

 

 

そこには制服がはだけてネクタイが抜き取られており、胸元がはっきりと見えるエリカがいた。というか総司、なんで悪い感じに言い直したんだ…

 

 

「み、見るな!」

 

 

エリカの叫びと同時に男衆は後ろを向く。不慮の事故だが、総司のせいで嫌な予感がする。

 

 

「…見た?」

 

「……」

 

「モチロンです、プロですから」

 

「何のプロよ!」

 

 

エリカが制服を整えたと同時に二人に質問する。達也は無言、総司はいい笑顔で返す。しかして総司はエリカに服が乱れていることを教えてくれたので、一概に文句は言えない。

 

 

「そういえばずっと言いたかったんだけどさ…」

 

「…何よ?」

 

 

ふとした、という感じで話し出す総司に警戒心を露わにするエリカ。しかして総司は口を止めることなく言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリカって結構おっぱいおっきいよな!」

 

「ぶっ殺す!」

 

 

警棒を取り出して怒り心頭のエリカ。だがエリカが警棒を抜くよりも早く、総司は走り出し、すでに遠い場所にいたのだった…




魔法科世界の秘匿通信

・生徒会室も揺れたし部活連本部も揺れた。というか学校全域が揺れた。



次の話はワンチャン今日上がります。上がらなかったら申し訳ありません。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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