魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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マジでネタが浮かばない…来訪者編の後はめちゃくちゃ浮かび上がってくるのに、来訪者編だけ浮かばない…


来訪者編 その十

『…で?そこの二人はなんで正座してんの?』

 

「かくかくしかじかだ」

 

『まるまるうまうま』

 

 

クロスフィールド部の第二部室において、達也はUSNAにいる総司と画面を開いて通話している。総司のほうはもう夜分遅くであると言うことで、既に雫は寝静まっていた。

 

そんな総司が疑問を呈した達也の背後。そこには先日、千葉家名目とはいえ師族会議に相談もせずに吸血鬼と戦闘を行ったエリカと幹比古が、『反省しています』というプラカードを身につけ正座しており、その周囲を桐原と壬生が囲んでバジリスクタイムの最中だ。そのバジリスクタイムに参加したげな克人を見て、真由美は若干引いている。

 

 

『それで?何で俺に連絡してきたんだ?正直言ってこっちはこの間から進展ないんだけど』

 

「さっき話に出た吸血鬼との交戦で、赤髪の仮面を付けた女と接敵した。吸血鬼と考えられる存在と敵対していたから吸血鬼ではない勢力の人間ではないかと仮定している。その正体を何か知らないか?」

 

 

それを聞いた総司は、『何言ってんだコイツ』という表情を達也に向けるが、達也の表情で総司は察した。達也とて襲撃者がスターズである事を知っている。だがその情報の経路が不明である以上、十師族を超える情報収集能力を持つとして監視が入るかもしれない。達也の身の上を理解している総司は、既に高い情報収集能力を持つと警戒されている、要するに手遅れの総司に嫌疑をなすりつけようとしているのだ。そして総司にとってそれは大して苦になる事ではない為、視線だけで了承の意を示した。

 

 

『恐らくソイツはスターズだな。エリカちゃんと戦りあって生きている以上は、ソイツは一流の戦士。スターズはスターズでもその最強、総隊長アンジー・シリウスだろう』

 

「そんな大物が…USNAは今回の事件、戦略級魔法師を投入するほど重く見ているのか…」

 

「………」

 

 

驚愕の表情を浮かべる克人。それと対称的に、先程から総司を見つめて表情を少しも変えない真由美に総司は戸惑っていた。「総隊長…山本元柳齋重國?」「卍解…残火の太刀」などとキャッキャとはしゃぐカップルは横に置いといて、総司は話を続ける。

 

 

『こちらでは、スターズの兵士達が何名か脱走していることが判明してる。多分、吸血鬼というのは亡命したスターズの元兵士達なんだろうな。だからこそ、自分達の不始末を後片付けでもしようとしてるんじゃないか?』

 

 

あたかもこっちで知りました感を出しているが、そもそもアンジー・シリウスが留学生として日本を訪れると知っていた彼からしてみれば、何故早く言わなかったと文句を言われるかどうかが心配になってくる。一方の達也は、シリウスの来日は事前に総司から聞かされていたので、驚く演技こそすれ、そこに本当の感情は介在しない。

 

 

「…困ったな、情報を共有することで司波や千葉家の協力を得ようとしたのだが、お前のもたらした情報は我々の情報を遙かに凌駕する価値があるな。これでは交渉は始まる前から失敗だな…」

 

「そんな嬉しそうな顔して言っても説得力ないわよ十文字君」

 

「む…俺はそんな顔をしているのか?」

 

「自覚ないのね…」

 

 

総司を見ながら「期待通りだ」とも言いたげな表情を浮かばせる克人に真由美は呆れ気味にため息をつく。ついでに、ちらと後ろを振り返ってみたのだが、正座していた二人がとうとう桐原達とふざけ始めたため、真由美は総司に個人的に相談したい話題を切り出す。

 

 

「総司君、私が個人で手に入れた情報では、吸血鬼達に対して貴方の存在がジョーカーとなっていることが判明したわ」

 

『俺が切り札?そうなのかもしれんが、一体どこからそんな情報を?』

 

「…貴方のクローン、安部零次からよ」

 

「「『!?!?』」」

 

 

真由美の口から出た名前に三人が驚愕する。後ろの奴らは遊びに夢中で話を聞いていない。

 

 

『ど、どこでソイツと会ったんだよ先輩!?まさか襲撃でも…』

 

「いえ…寧ろ彼の方が残念な状況というか…」

 

『は?』

 

「…ウチの双子の妹の片方に惚れられたらしくて、すっかりまとわりつかれているっていうか…」

 

『…あ~』

 

「血は争えないと言うことだな、総司?」

 

『うっせ』

 

 

総司は零次がクローンらしく、自分に似た部分がある(特定の女性に逆らえない)性質がある事を察し、それが真由美の妹であると言うことを理解してしまった。

 

 

『それで?零次は何て言ってたんすか』

 

「何でも、総司君の本来の仕事がそうだって。標的が違うけど今回みたいな類いの存在を押さえ込むのが、橘総司という人間の()()()()だって」

 

『…製造目的?アイツ、自分がクローンとして製造されたからって俺も同じように生まれたと勘違いしてるんじゃないすか?』

 

「その点は私も気になって問い詰めてみたのだけれど、人間は偶然生まれ出ずるものだけれど、総司君はそうとは限らない。もし総司が自然的な生まれならば俺が、俺達が生まれるはずはないって」

 

 

その話を聞いた者達の反応は、まるで信じられない様子の総司、何かに合点がいった様子の達也、連日行われた吸血鬼の夜間捜索で疲れているのか、立ちながら寝かけている克人の三人に分かれ、混沌を極めていた。

 

 

『あ、あり得ない!俺は確かに特殊な家庭事情ではあるが!普通に生まれた人間である事は間違いない!』

 

「確かに零次の戯言という可能性もあるが、あながち間違いじゃないかもしれないぞ」

 

『…は?』

 

「以前の横浜侵攻で、大量のお前のクローンが確認された。正直に言ってあの数は異常だ。そもそもお前のDNA情報が奪われたのは九校戦の前後だ。いくら金を持っていても、技術力が決定的に足りない大亜連合では、すぐにクローンを作成して、並の兵士以上の戦闘力を生み出す事は出来ないはずだ」

 

『…何が言いたいんだよ達也』

 

「お前という人間は、元より創造物であるからコピーが簡単だった可能性だ」

 

 

達也がいう創造物というのは、科学的なものではない。実のところ達也も、四葉の怨念によって魔法的に創り出された存在とも言えるのだ。そも、単純な人間があそこまでの異常な身体能力を獲得できるはずがない。加えて最近になって目につくようになったのは、総司の想子の量だ。

明らかに異常、達也の予測では、規格外の保有量と称される自身の父と、自分自身、そして深雪を合わせた想子量すら、雀の涙ほどと出来るのではないかと考えているのだ。その理由はまた追々であるが、達也は総司が魔法的な原因で誕生した存在なのではないかと考えていたのだ。

 

そしてそれを聞いた総司と言えば、『そうか…』と呟き、肩をガックリと落とす。流石の総司も、自分が仕組まれた存在である可能性にショックを受けたのだろう。総司はどこからかおもむろに黒いバンダナを取り出すと、眼を覆い隠すように巻いて、こう呟いた。

 

 

『もう何も見たくねぇ…』

 

「お前大分余裕あるだろ?」

 

『領域展か…』

 

「止まれ、お前の声でその単語を言ってしまうと別の作品が始まってしまう!」

 

「達也君、別の作品って…?」

 

「いえ、こちらの話です」

 

 

どうやら微塵もメンタルダメージを負っていない様子の総司。達也と克人は流石の総司だと呆れ気味のものと信頼のもの、二つの視線を画面に向ける。しかし、今し方の総司の様子に真由美が若干の違和感を覚えるが、それを振り払いこの話題を始めた理由を語る。

 

 

「分からない事だらけだけど、吸血鬼に対して貴方の力が決定打であることは確かよ。達也君達に聞いたけど、貴方太平洋を走ってUSNAに向かったそうじゃない。一時的にこちらに戻れないかしら?」

 

 

真由美は、普通に聞くと絶対に不可能なお願いをする。だがそれを実現できるのが総司という事をこの場の誰もが知っていた。

 

 

『お断りします』

 

「やっぱり?北山さんとの海外を楽しみたいですものね?」

 

『それもですが、別件の監視が俺と雫ちゃんについてます。多分ですが、俺が離れた瞬間に雫ちゃんを殺すか誘拐する、実質的な人質ですね。雫ちゃんをそんな状況に置いて一人で戻る事などできない』

 

 

総司の口から出た情報に再び驚愕させられる一同。

 

 

「ならばその監視を蹴散らせば良いだろう。USNA政府には十文字と七草、九島で許可を取ってみよう。流石に向こうも無視できない『監視を見つけられないんです』…何だと?」

 

『監視されている感覚はあるんですが、肝心の姿が見えない。この感覚は以前一高に現れた消毒スプレーが、逃げる時に使った魔法に対するものと似ていた』

 

「周 公瑾だな」

 

『んなこまけーこたどーでもいいんすよ。ともかくこっちはお手上げ、出来ることと言えば雫ちゃんから目を離さない事です』

 

「お前でも術者を看破するのは無理なのか?」

 

『無理。バークレー全体に魔法が掛けられてあって、反応が追えない。俺の探知能力の穴を知ってるっぽい』

 

「そんな大規模な魔法、USNAが見逃す訳が…」

 

『普通に内通者でしょ、この間ちょっとしたお偉いさんと会って話したんですけど、やっぱ何処の国も一枚岩とはいかないっすね』

 

 

部室内に気まずい空気が流れる。どれくらい気まずいかと言うと、途中からまったく話を聞いていなかった後ろの四人が黙りこくる位には気まずい。これに困った総司は、どこか能天気に思えるような表情で場を和ませようとする。

 

 

『まあまあ、いくら俺が見つけられないって言っても、俺の目の前に現れたら結局俺が倒せるんですから問題ないですよ。ともかく、そっちに戻るのは無理ですね。雫ちゃんの留学期間の終了を待つしかないです』

 

「そうか…気をつけろよ、総司」

 

「北山さんの事をキチンと守ってあげるのよ」

 

『それは分かってますけど、さっきまでふざけまくってたあんたらに言われるのかよ、このバカップルが』

 

 

総司に激励を飛ばした桐原と壬生の「てへっ☆」とでも言いたげな表情を最後に、総司との通話が終了した。

 

 

「…さて、話は聞いていたな?」

 

「「「「いいえ」」」」

 

「四人ともそこに直れ、『ファランクス』で脳天をかち割ってやる」

 

 

その日、一高内に男女四人の絶叫が聞こえ、それを前回の達也殺し隊の一件と同種と考えたリーナが「もうこのスクール怖いんだけど…」と呟いたそうな。




魔法科世界の秘匿通信


・総司が造られた発言は、真実か、はたまた零次の苦し紛れの虚言か…


・総司の異能の弱点:どんなに高度な隠蔽の施された魔法でも、エイドスが改変されているのならば看破出来るが、『精霊の眼』のように術者と魔法を紐付けている訳では無い為、規模が大きすぎると総司の技量では逆探知が不可能になる。


・リーナはこの後深雪に相談したが、そんなもの日常茶飯事と知って更に戦慄する。


真由美さんの家に零次が上がり込んだなら、真由美さんは情報聞くぐらいはするだろうなァ…って感じ

ネタが無いから爆弾で乗り切るスタイル。

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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