魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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今年最後の投稿だ…!来年は三期の情報が欲しいぜ!


来訪者編 その十七

「…なにやってるの、総司君」

 

「ちょっと待ってくれ雫ちゃん。今手が離せないんだ」

 

 

そう言いながら深刻そうな表情で虚空を見上げている総司。

 

 

「別に邪魔したりしない、何やってるのか知りたいだけ」

 

「ああ、それはね…」

 

 

総司が昨日達也との会話を説明すると、雫は目を見開いた。

 

 

「もしかして、その新しい魔法を今作ってるって事?」

 

「ちょっと違うけど、そういうことだね」

 

 

言いながら、虚空に頷き札に何かを書き記している総司。雫はそれが魔法を発動するための札になることに気づく。

 

 

「どんな魔法を作ってるの?」

 

「…さっき俺はちょっと違うって言ったよな。今やってるのは正確には模倣だよ」

 

「?」

 

 

首を傾げる雫に、やっと虚空から目を逸らして雫の方に向き直った総司は続けてこう言った。

 

 

「これは、俺が使う劣化版『仮装行列』の複製さ」

 

「『仮装行列』…!?」

 

 

雫が驚くのも無理は無い。『仮装行列』は九島家の秘術に値する物だ、本来血縁ではない総司が教えてもらえただけでも異常なのに、部外者である雫に劣化版とはいえ使わせていいものなのかと雫は目線で問いかける。

 

 

「大丈夫、所詮透明になるだけの魔法だ…真の目的であるエイドスの偽装は本物と同レベルだけどね」

 

「それダメなやつじゃない?」

 

「雫ちゃんは俺の愛しの奥さんになってくれるんだろ?なら君も実質九島家だから許してくれるって」

 

「…調子良いんだから」

 

 

流石の雫もこう返されては言い返せない。赤くなった頬を小さく膨らませ、不服を総司に伝える。それを見た総司は苦笑いだ。

 

 

「決戦が始まったと同時に俺はUSNAを出る。全力で走るから片道十分ぐらいは掛かるかな。今調整してる魔法は、雫ちゃんのサイオン量を考えて多分一時間前後の使用が限界だろうね。でも大丈夫、そんなに時間は掛けない、すぐに戻ってくるさ」

 

「…うん」

 

 

ここ数日、雫は数多の刺客から狙われ続けた、その人数は三桁に届く勢いだ。その度に総司が刺客を撃退していたが、今日の夜はその守りが無い。それどころか、これ幸いとした刺客が一気に襲いかかってくるだろう。いくら総司が手がける魔法があると言えど、自分は本当に大丈夫なのかが心配になった。

 

 

「…雫ちゃんを一人にさせるわけないよ。レイモンドに君を匿ってもらうからな」

 

 

雫の不安は表情に出ていたようで、総司はその不安を和らげようと言葉を発する。因みに、レイモンドが助けてくれるのは友人だからでもあるが、単に『お前何してくれとんねん』という連絡を入れたら、画面の向こうで土下座をして雫の安全を確約させたからである。そもそも事の発端はレイモンドだ、レイモンドが発破をかけなければパラサイトの討伐は遅れていたかもしれない。だがそれとコレとは話が別だとお叱りを与えたのだ。間違いなくレイモンドは、今日一日雫を死ぬ気で守るだろう。刺客に襲われても死ぬし、守れなかったら総司に殺されるからだ。

 

 

「…なるべく早く帰ってきてね?」

 

「モチロン、超特急で終わらせるよ」

 

 

その言葉に安心したのか、柔らかい笑みを見せて雫はその場を離れた。それを見届けて作業の続きを始めようとする総司。だがその矢先、総司の端末に連絡が入る。てっきり達也からだと思った総司は、その着信先を見て疑問を持ちながら応じる。

 

 

「もしもし、どうしたんだ響子さん」

 

『総司君、確か君は今日こっちに戻ってくるのよね?』

 

 

連絡を寄越してきたのは藤林響子。USNAに渡る際に総司の魔法発動の記録を消すなどして援護してくれた人物だ。

 

 

『今日のパラサイト討伐に、『伝統派』の影がチラついているの』

 

「…パラサイト事件には、伝統派も一枚噛んでたって事かよ」

 

 

内心「また伝統派か壊れるなぁ…」とぼやきながら総司は呆れの混じった呟きを漏らす。もし伝統派が関わってくるとなれば、零次と同時に伝統派の魔の手から仲間達を守らねばならないと言うことだ。仲間の中でも比較的戦闘力が低いほのかや、全くないと言っても過言では無い美月などを人質に取られてはたまったものではない。戦力的には零次が最も脅威なのだが、戦略的に見れば伝統派の方が厄介だ。

 

 

「面倒なことになりそうだな」

 

『その通りよ、どうやら伝統派はパラサイトの回収を目的にして居るみたいね』

 

「てことはなんだ、奴らはモルモットを欲しているのか?」

 

『でしょうね。古式魔法の大家がいくつも集まって出来た組織よ、そんな奴らにパラサイトの力を利用されれば、日本の魔法師の立場が危ういわ』

 

「戦力的にも、民間からの魔法師のイメージ的もな…」

 

 

いかにも困ったと言いたげな表情をしながら、総司は手に持つ札を見る。もっと完璧な魔法を作れないものかと、その魔法で雫が何者にも負けない最強の魔法師になれればと総司は己の無力さを呪った。雫が最強になれば、自分がつきっきりでいる必要がないからだ。そんなことを考えながら、総司は席を立つ。

 

 

「…そろそろ準備をするよ」

 

『くれぐれも気を付けてちょうだいね』

 

 

響子の、ほぼ意味をなさない総司への心配。気を付けてとは総司本人ではなく仲間達の事についてだろう。付き合いが長い響子の言葉を正しく受け取った総司は、動きやすい服に着替えるため、通話を閉じてクローゼットへ向かった。

 

その時、机の上の札が怪しく光っていたのには、誰も気づくことは無かった…

 

 

 


 

 

同時刻、都内某所にて。

 

 

「…では、此度は手筈通りに行きましょう」

 

「そうね、あの四葉の戦略兵器が総司様をこちらに呼び戻してくれたから、手間が省けたわ」

 

「まさかアンタみたいなのがボスだなんてな」

 

 

高級料亭にて机を囲む三人の影…男が二人、女が一人と言った所だ。

 

 

「んで?俺は本気でオリジナルを殺して良いのか?少なくともアンタのお気に入りなんだろう?」

 

「??何言っているのアナタ」

 

 

一人の男…安部零次が女に問うた所、女は心底不思議そうに返した。

 

 

「私の物にならない総司様なんて要らないわ、殺してバラして標本にして未来永劫語り継がれるように、絢爛豪華に飾っておくのよ♪」

 

「っ…!アンタから見て俺がストライクゾーンの範囲外で安心したよ」

 

「アナタみたいな科学で生み出された紛い物に興味は無いのよ」

 

「フフフ…では失礼ながら、この私から一つご質問が」

 

 

顔に恐怖を浮かべる零次に変わり女に話しかける人物…周公瑾が女と目を合わせ、言葉を紡ぐ。

 

 

「生み出されたと言う点では、()()()()()()()()()()()()と思うのですが…如何ですかな、不二原(ふじわら)様?」

 

 

公瑾に不二原様と呼ばれた女…いや少女は、見た目にそぐわぬ妖艶な笑みを浮かべるだけで、その言葉には何も返すことは無かった…




魔法科世界の秘匿通信


・怪しく光る札:一体何が起こっているんでしょうね…(適当)



・謎の少女:不二原という名前だが、見た目は蓬莱山輝夜にそっくり



次回から戦闘入りま~す

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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