魔法?よく分からんわ!殴ろ!   作:集風輝星

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おにまい面白いっすね(サボり)


来訪者編 その十九

「ハァ…ハァ…クソッ!」

 

「まさか俺達と奴に此処までの実力の開きがあったとはな…」

 

「あの…私まだ何もしてないんですけど…」

 

「ウッ!?」

 

「どうした、レオ!?」

 

「総司の霊圧が…消えた?」

 

「何…だと?」

 

「彼らは何の話してるんですか?」

 

[フッ、戦闘力たったの5か、ゴミめ]

 

「唐突にロボットに罵倒されるの意味分からないんですが…」

 

 

レオが涙を流しながら総司の喪失を嘆く。達也も心なしか悔しそうだ。状況がまったく理解出来ない公瑾は、思わずピクシーに質問してしまうが、一人だけドラゴンボ○ルの世界観に浸っていたので結局答えを得ることはできなかった。ところで話題にでた総司が今どうなっているかというと…

 


 

 

 

 

ドゴォォォォォン!!!

 

 

「…フガ(あの)フガフガフガ(抜けないんですけど)…」

 

 

ケツワープによる移動に失敗し、頭を向けたまま山の中腹に突き刺さってしまっていた。どうやら力が上手く入らない体勢で埋まったため、そう簡単に抜け出すことが難しくなっているようだ。この状況では到着はもう少し遅れるだろう…そもそも抜け出せなかったのならば窒息で死ぬので、レオの直感はある意味では間違っていないと言えるだろう…

 

 


 

 

「アアもう数が多すぎてストレス!なんだか無性にパクパクしてきたくなったわ!」

 

「ダメだ花音、抑えるんだ!内なるウマソウルを抑えなくては君はメジロってしまう!」

 

「一心同体で草」

 

 

パラサイト集団と戦闘を行うバカ集団だが、その中で花音の内なる大西○沙織がだんだん抑えられなくなってきていた。ぶっちゃけどうでもいい。

 

 

「こいつら、切っても切っても次から次へと沸いてくるんだが!?」

 

「達也君達の情報からして肉体を破壊しても彼らは存在し続けるらしい!それに加えてこの演習場に潜伏している人数は未知数だ!」

 

 

ぱっと見の戦況はバカ共が押しているとしか言えないのだが、実はブラックホールが生み出された時にこちらの世界に流れ込んだ数は尋常じゃ無い数であったらしく、まるで()()()()()()()()()かのようだという。

 

 

「くっそ、総司はまだ着かないのか!」

 

「馬鹿だな服部!此処で奴を頼りすぎれば来年の部活連は奴の思い通りだぞ!」

 

「いかん!そんなことを許すわけにはいかない!あんな頭がおかしい奴が仮にも学校を運営する組織の一つのトップに立つなど一高の終わりだ!」

 

「もう手遅れでは?」

 

「頭がおかしい奴がトップはヤバイ+服部君は頭がおかしい=来年の一高は終わり」

 

 

桐原と壬生は『高周波ブレード』で、範蔵は『ドライ・ブリザード』、千代田は五十里を護衛しながら『地雷原』で戦闘を行っている。千代田が相手に攻撃し、その護衛を桐原と壬生が、しかしそれでも生まれる隙を範蔵が攻撃に変えるという連携プレーだ。因みに防ぎきれなかった攻撃は、最近習得した『ワアワア』と言いながら高速で踊る技術を用いることで回避、時にはマフティーダンスを織り交ぜて相手にパターンを読ませないように立ち回っていた。

 

しかし向こうは腐ってもパラサイト。その魔法発動スピードは常軌を逸しており、そのループも次第に難しくなって来たのであった…

 

 


 

 

場所は変わってUSNAはレイモンド宅…

 

 

「おいゴルァ!!」

 

「お邪魔するわよ~」

 

「不幸にも黒塗りの高級車にぶつかったお姉さんか…高級車の奴はホモだから一周回って大丈夫だな」

 

「ダリナンダアンタライッタイ…」

 

 

レイモンド宅の玄関を蹴破って現れた三人組の存在に、レイモンドは冷や汗を流した。この三人から総司と同類(クソバカ)の匂いがしたのだ。ついでに、不意打ちを警戒していた分逆に呆気にとられてしまっているのだ。

 

 

「ここにさあ…北山雫って女居るってマジ?」

 

「ティア?彼女は今の君たちみたいに、僕の家に遊びに来るほど暇では無いんだ」

 

「いいますね~、じゃあ~」

 

 

三人組の中の唯一の女性らしき人物が、こう言葉を続ける。

 

 

 

「この家を吹き飛ばしてしまっても~、何の問題も無いって事ですよね~?」

 

「……は?」

 

 

瞬間、レイモンドは背後から迫り来る轟音と爆風に巻き込まれ、吹き飛ばされてしまったのだった…

 

 


 

 

場所は戻って、一高裏の演習場…

 

 

「…ああ、分かった」

 

 

どこからか通話による報告を受けた零次が、通話を切ると同時に、足に力を込める。すると「ウグッ…!」という呻き声が聞こえてきた。

 

 

「…戦闘中に呑気に敵から目を離していて、随分と余裕ね?」

 

「フッ、ほざけ。そう言うのだったら俺が報告を受けている隙を狙った方がよかったんじゃないか?…それとも、あまりの実力差に隙なんて関係ないって理解してしまったのかな?」

 

「ッ!」

 

「落ち着いてリーナ。挑発に乗っては相手の思うつぼよ。ただでさえエリカを人質に取られているのだから…」

 

 

他の戦場とは打って変わって、終始カオスだった空気から抜け出して戦闘を開始した零次達。白兵戦最強格のエリカとリーナ、魔法力は世界レベルの深雪の三人は確かに強力ではあるが、目の前の存在は暴力(総司)知性(魔法)を与えてしまった様な存在だ。三人が気づかない内に自然な流れで香澄との通話を終わらせた零次は、ハンデとして借りていた通話用端末を握りつぶして音を上げた。

その音で反応できた三人は、当初こそ猛攻に耐え凌ぐことが出来たものの、もう一つギアを上げた零次の速度について行けなくなり、とうとうエリカが捕らえられてしまったという訳だ。

 

 

「どうやらウチのお仲間が、北山雫が隠れて居るであろう家を爆破したってよ。今から死体探しだ」

 

「そんな…!?」

 

「平和の国ステイツでよくもそんなことを…!?」

 

「ステイツが平和は言い過ぎだろ」

 

 

そう言って零次は、足下のエリカを蹴り上げて、その首根っこを掴む。

 

 

「コイツを解放して欲しかったら、さっさと尻尾巻いてお家に帰れ。そうしたらこの赤髪も見逃してやるよ」

 

「その要求をワタシが要求を呑む必要は無いって分かって言ってる?」

 

「へえ、俺の情報ではスターズ総隊長殿は随分と甘ちゃんだったはずだが?良いのか?日本でのお友達が死ぬんだぞ?」

 

「……ッ!」

 

 

その言葉を聞くと、リーナは拳を強く握りしめ、肩をワナワナと震わせて、何も言わなくなってしまった。零次はそれを、言い返すことが出来ないのだと捉えた。

 

 

「…本当に甘ちゃんだな。前もそうだったが、もう少し手応えがあると思っていー」

 

 

言葉の途中で零次が反射的に腕を出してガードを行う。すると即座にガキィン!!と甲高い金属音が鳴り響いた。しばらくすると、何も無かったはずの場所から突然リーナの姿が浮かび上がる。それと同時に震えていたリーナが消えた。

『仮装行列』。本作品において最早おなじみの対抗魔法。今回は偽物の情報体と、その上に造り出した仮のテクスチャを貼り付ける事で、本体が移動しているにも関わらず、丸で硬直して動けないかのような認識をさせることが出来たのだ。

 

一瞬呆気にとられた零次は、お返しとばかりに身体強化で総司レベルにまで膨れ上がった身体能力を用いたキックを放つ。それをガードして受け流そうとするリーナだが、あまりの威力に大きく吹き飛んで後ろの木に激突してしまう。だがその瞬間を狙った深雪の氷の弾丸。零次はコレを硬化魔法で耐えきって反撃をしようとして…危険を感じて後ろに飛び下がった。

 

弾丸を全て回避した零次は再びエリカを捕らえて状況を元に戻そうとするが、そこで

 

 

「アクティベイト!ダンシング・ブレイズ!」

 

 

の声に反応して周囲を見渡す。見ると飛んで来ているのは無数のナイフ。どうやら先程吹き飛ばされたときにナイフも吹き飛ぶように小細工を掛け、結果的に包囲状態からの攻撃を加えようとしたのだろう。だがたかがナイフだ…と考えそのまま突っ切ろうとする零次。しかし目の前から飛んで来ているナイフをよく見た所、別の魔法が掛かって居たために、護符を取り出して結界を張って防御する羽目になった。

 

エリカの方を見やると、深雪に起こされて立ち直っている。しかもまだ戦意は途切れていない。明らかに勝ち筋があるとふんでいる目だ。

面倒だなァ…と思いながらも、零次は再び三人に突撃していく…




魔法科世界の秘匿通信


・謎の三人組:オリジナルのネームドキャラ。今後情報がドンドン出てくるはずだ。



・リーナのちょっとした強化:実は本作のリーナは小規模の魔法であればブリオネイクが無くてもFAE理論を応用した技術を扱える。今回は『ダンシング・ブレイズ』を発動させた瞬間に、『分子ディバイダー』を追加発動させている。だから零次は結界防御を優先した。

アンケート取ります。タイトルは『今来訪者編だけどその次は?』です

別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?

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