・達也が風間大佐の呼び出しに答えてないので、ムーバルスーツが無い=飛行しながらの戦闘は難しい
だから総司を連れていく必要があったんですね
「総司、これからの方針を伝える」
「おけおけ、どうするつもりなんだ?」
「恐らく向こうにとっても、俺達の襲撃は不意打ちに近しいはずだ。俺が地上で施設を破壊して注意を引く、その隙にお前は九亜の仲間達を救いに行け」
「…それはお前があまりにも危険じゃね?」
「フッ、いらん心配はやめろ、お前が俺の実力を把握してるのは知ってる」
「そうだったな…じゃあ頼んだ!」
「ああ」
そう言い残して達也はヘリから飛び降りる。モチロン飛行魔法を使っての降下であるが。そして達也は目的地である海軍基地のほぼど真ん中に着陸する。因みに現在の達也は黒ずくめの服装にサングラスを掛けている。これは正体がバレて陸軍と海軍の本格的な抗争を避ける為だ。
着陸早々に、達也は『
「ん…?あれは、
総司の眼下には、隠密行動を行う零次達の姿があった…
少し前…
「よかった…九亜ちゃん、達也君達で保護してるみたい」
「それは安心だな。下手しなくとも私達に預けるより安全だ」
「そうね…それと零次君?」
「ハイ」
「いくら香澄ちゃんのお願いでも、簡単に日本本島を離れられるとこっちが困るんだけど?」
「スイマセン…」
真由美に叱られて零次はすっかり意気消沈していた。そもそも零次は日本史に残る大犯罪者である、その自覚を持って行動してもらいたいという真由美の言葉は正しい。
と、そこで真由美の端末に連絡が入る。
「…?何かしら一体…っ!?」
「どうした真由美、何かあったのか?」
その連絡には、とんでもない文言が書かれていた…
「…海軍が、戦略級魔法を発動しようとしている兆候が確認されたみたい」
「何だって!?」
「戦略級魔法…」
真由美からの衝撃の情報に驚愕する二人。しかしその驚愕にも種類があった。
摩利の驚愕は、驚異となる外敵すらいないのに戦略級魔法を発動しようとしている事に対しての『何故』という疑問からの驚愕、零次はその魔法が『
「…それで、真由美はどうしたい」
「零次君…」
正直に言って零次にはこの日本という国はどうでもいい。今の彼は、自身を生み出してくれた上の人間への恩返し、オリジナルの総司との決着、そして自身へ好意を寄せてくれている香澄の家族を守るという気持ちだけが重要だ。故に、彼にとって守るべき対象である真由美に選択を迫る。
そして真由美は、妹達から十師族としての責任を重んじる人物であると称される程責任感が強い…となれば答えは一つ。
「戦略級魔法の発動を…止めるわよ」
そうして一同は行動を開始した。
「何やってんだアンタら」
「うおわあ!?…なんだ総司か、驚かせるなよ」
「オリジナルか…お前も戦略級魔法を止めに来たのか?」
「は?戦略級魔法?俺は九亜ちゃん達の仲間達を助けに来ただけなんだが」
「…もしかすると、九亜ちゃん達は今回の戦略級魔法を発動するために生み出されたのかもしれないわね」
「「なっ!?」」
「…もしそうだとするとマズいな、仮に調整体魔法師を複数人使っての魔法発動を行おうとすれば、最悪その調整体達の自己意識が消えて無くなりかねない…」
場を沈黙が支配する。聞こえてくるのはサイレンと兵士達の怒声から来る戦闘音だけだ。しかし総司はその音で、今達也が頑張って足止めをしてくれていることを思い出す。
「…だったらさっさとみんな助ければいいんだよ、そうすれば魔法も発動しないはずだ」
「…そうだな、それが最善策か」
総司と零次は目を合せて頷き合うと、真由美と摩利に背を向ける。
「俺達が先行して突撃する。二人は逃げ出した調整体達を救出してくれ」
「そんな、零次君!」
「大丈夫だ真由美、香澄に返事をするまで、俺は死ねない」
「返事ぐらいさっさとすれば如何ですか」
「うるさい殺すぞオリジナル」
横から総司が茶々を入れてくるも、零次は努めて平静に真由美に告げた。
「頼んだぞ」と
「…ええ、任せて!」
真由美は、零次からの期待に、見事応えて見せようと覚悟を決めた…
「「あばばばばばば!!!」」
しかしこの光景を見た瞬間、さっきの自分がバカみたいだと真由美は思った。
零次の言った通り、二人の後から施設内に侵入して(わたつみシリーズが居るところは零次が式神による索敵で見つけた)、逃げてくるはずのみんなを待っていたのだが、一向に来る気配がない。心配になって来てみればこのざまである。
何があったのかというと、単純に今回の襲撃の目的を敵にあっさりと見抜かれ、爆弾付きの首輪をわたつみシリーズに嵌められてしまい、人質をとられてしまったバカ二人。
ならば持ち前の身体能力で打破すれば…とも考えたが、そもそもここは相手の腹の中。この部屋には時速計がありとあらゆる場所に設置されているらしく、時速二十キロをオーバーした瞬間に起爆装置が起動するらしい。本当かどうかは定かでは無いが、はったりかどうかを確かめるための賭けの代償が人質の命ともなれば、下手に動くことが出来ない。
故に二人は大人しく捕まり、中心の装置に繋がれてしまった。その拘束は緩く、二人の膂力であれば容易く突破出来る拘束だった。しかし、その装置からの電流を受けてしまった瞬間、力も入らず、魔法を発動しようとすら出来なくなった。
この研究所の所長らしき人物曰く、現在二人に流れている電流は、流された人間の脳からの信号を体が受け付けなくする効果があるらしく、脳からの命令が届かなくなった肉体はまったく動かなくなってしまったのだ。しかもこの電流は特殊な物でこそあれど、魔法では無い。魔法であれば問答無用で無かった事に出来る総司でも抜け出せないのだ。
だがその状況のピンチさと、二人の情けない悲鳴は見事にミスマッチしており、真由美はかっこ良く決めた二人に続こうと覚悟を決めた過去の自分をバカにしたのだった。
一方その頃…
「…っち、お早い到着だな、スターズ」
「ム…こちらの動きが読まれていた…?貴様何者だ」
「答える義理は無い」
「ならば実力で吐かせるまでだ!」
海軍の施設を粗方分解し、兵士達も軒並み伸した達也であったが、ここでスターズのメンバー達が到着してしまう。一人一人の実力は、先程相手にした兵士達よりも圧倒的に高く、更には範蔵と同レベルの実力を持つベンジャミン・カノープスが目の前に居るとなれば、流石の達也も『
変なプライドを持たずに深雪に『
魔法科世界の秘匿通信
・二人があばばばってるのはギャグ表現。本来なら悲鳴も出せないようにされている。
・達也は現在の武装に限界があるので、このままだと負ける
別小説でキグナスの乙女たち編初めていいですか?
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いいともー!
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駄目だね~駄目よ、駄目なのよ~