ACE WITCHES:INFINITY   作:フェネック

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久しぶりに劇場版ストライクウィッチーズを見て気付いたのですが......バストーニュのリベリオン陸軍部隊の兵士がM14バトルライフルを持っていた事にビックリしたよ。


#15 銀髪の彼女-New Face-

2019年.9月19日.1130hrs

扶桑.群馬県.沼田市上空.side/新城“リーパー”久幸

 

 

 

『今日はあんまし大した事は無かったな』

 

「そうだな。敵のSAMも鳴りを潜めてるしな」

 

 

オレ達が国連独立コマンドから独立強襲部隊へとランクアップしてから、約1ヶ月が経つ。

 

変わったのは部隊名、人数、待遇ぐらいなもので結果的に言えばプラスマイナスゼロだ。

東京解放を目的とした『オーバーライド』作戦から続く扶桑国防軍への支援任務は今日までで数十回にも及ぶソーティをこなしていた。

夜通し行われた日も何回かあった。あれは流石に堪えた。

 

今は群馬の山林に隠れていたユージアの機甲部隊を爆撃して釘付けになっていた味方を支援して任務完了。

厚木基地への帰投の途上にあった。

 

依然として扶桑内陸部の山林地帯でゲリラ戦を展開しているユージア軍扶桑侵攻部隊残党の抵抗は続き、これに痺れを切らした扶桑国防陸軍は空軍に戦略爆撃機による絨毯爆撃を要請した。

 

この要請を聞いた空幕監部は即座に却下した。当たり前だ。

いくら敵がしぶといだろうが、国内で爆撃機を使う事は絶対に容認出来ない事だ。帝様の逆鱗に触れるやもしれない。

 

 

「せっかく、リベリオン海兵隊や国連の海兵コマンド連隊も投入して戦っているって言うのにコレか。陸軍は」

 

 

溜め息混じりに毒づくと航平がケタケタ笑い出す。

 

 

『富嶽Ⅱを出すって話か?あれは酷い話だったなw』

 

「あんなもん出すよりかはA-10飛行隊を増やせってな」

 

 

『富嶽Ⅱ』とは扶桑国防空軍が保有する戦略爆撃機の名前だ。

その名を継ぐのは2代目となり、初代富嶽は第二次ネウロイ大戦後半に誕生した6発爆撃機だ。

富嶽Ⅱの外見は「死の鳥」との異名を持つリベリオンのB-52“ストラト・フォートレス”に似ており、性能も同等で500lb(約230kg)爆弾を最大で80発近く搭載することが可能だ。

そんな爆撃機を国内で使用しろ、と陸軍が言ったのだ。

 

戦略航空支援群の連中には悪い話だが、富嶽Ⅱを出撃させてやらせる一度だけの爆撃よりも、複数回に渡って攻撃可能で長時間戦域に滞空可能な対地攻撃機A-10を使った方がはるかに効率が良い。

 

ただ、残念な事に扶桑国防空軍にはA-10を実装した飛行隊は1つも無い。上層部が興味を持たなかったのが原因だ。

 

一番近いA-10飛行隊は高麗に配備されていた第25戦闘飛行隊と琉球の嘉手納基地に展開訓練の名目で来ていた第306戦闘飛行隊だ。

このうち第25戦闘飛行隊は高麗がユージア軍によって陥落する前に嘉手納に撤退していた。

 

グッドフェローによればその2隊のどちらかが扶桑本土配備になると聞くが、いつになるかは分からないとの話だ。

 

両手を操縦桿とスロットルから手を離し頭の後ろへと回す。

機体は厚木基地までのルート上に設定されたウェイポイント通りに飛行する自動操縦モードに切り替えてある。

 

 

「国防軍にいた時は何度か非常事態があったが......」

 

『いざ何か起きれば寝耳に水の騒ぎ、だろ?』

 

「それ。対応が遅れなかったの新田原だけだったろ?」

 

『彼処は女狐の住処だぜ?徹底ぶりが半端ない』

 

 

宮崎にある新田原国防空軍基地はオレ達の古巣だ。

 

オレと航平が所属していた第301飛行隊の他、イーグルドライバー養成部隊の第23飛行隊や化け物レベルのパイロット、ウィッチが集う飛行教導群が配備されている。

2年前の羽田沖事件や去年の旧首都上空戦に於いても新田原だけは混乱状態では無かった。

 

それもこれも「女狐」又は「西部の狂犬」と呼ばれている新田原基地司令兼第5航空団司令のあの人がいるからだ。

 

機体の左翼側でキャスと楽しそうな会話をしていたアリシアがキャノピーの直ぐ横まで寄ると質問してきた。

 

 

《女狐って?》

 

『古巣の基地司令の事さ。“狂犬”とか呼ばれてる』

 

《きょ、狂犬って......そんなにヤバいの?》

 

F-22戦闘脚(ラプター・ユニット)履いたウィッチをF-15戦闘脚(イーグル・ユニット)で勝った』

 

《ハッ!?そんな魔女がいるの!?》

 

『今は“元魔女”だがな』

 

《扶桑に居るんだね、そういう人......》

 

 

女狐の話から最近のショッピング関連が話にシフトチェンジした航平とアリシアをよそにオレは右翼側に顔を向ける。

 

200m間隔で距離を置き一糸乱れぬ編隊飛行をしているのは新たにメンバーを1名加えた永瀬指揮の新生リッジバックス隊だ。

 

あの『オーバーライド』作戦中に被弾した佐竹3佐に代わり指揮を引き継ぎ、対『蝶使い』戦を単独で。

重巡航管制機、通称『白鯨』戦に於いては部隊に指示を出しながら撃墜に貢献した功績を認められ作戦終了後、1等海尉に昇格。

戦線復帰は出来ないとの佐竹三佐の報告により隊長職に永瀬が任命された。

 

彼女は納得してはいなかったが、三佐からの要望や部隊員からの後押しもあり、なんとか了承しおさまったようだ。

 

 

 

「......やっぱり才能あるよ、お前は」

 

 

 

2年前の光景と今、目で追う永瀬の姿が重なる。

 

第301飛行隊の中で見習いと呼ばれていたオレ達は、当時協同試験評価隊の隊員として新田原に来ていた永瀬と何度も飛ぶ機会があった。

性能テストのチェイサー役や異機種間訓練(DACT)での相手役など色々とだ。

 

その中でも彼女は才能に満ち溢れていた。

まるで、空に愛されているように優雅に飛んではキレのある動きを見せる。飛行教導群のウィッチが感心するくらいのを。

コイツは空を飛ぶ為に生まれてきた。

 

そうオレは思っている。今でも、だ。

 

 

 

『......永瀬がどうかしたのか?』

 

「いや、なんでも......ただ」

 

「アイツ、昔と比べたら変わったな、と」

 

『サボテンみたいにトゲトゲしてたのに、な?』

 

「そーいや教導群のウィッチが言ってたなソレ」

 

『「なんで貼り付けたような顔すんの?それ素?」だろ?』

 

「あの時の永瀬の顔と言ったら......くくくっ」

 

 

 

──────ピッ......。

 

オレと航平が昔の話で笑っていると、短い電子音が鳴る。

 

 

「なんだ?」

 

 

シートにもたれ掛かっていた上体を起こすと前席の計器盤にある多目的表示装置(MPD)の1つを見つめる。

空対空レーダーによる索敵モードを設定しているのだが、電子音が鳴った割にはレーダーに機影を示すブリップは出ていない。

故障か、と思ってトラブル・シューティングを試してみたが問題無し。

 

後席(WSO)の航平に呼び掛ける。

 

 

「“アイドラー”」

 

『分かってる。少し待て』

 

 

どうやら呼び掛けずとも良かったらしい。手が早い。

 

 

『レーダーはRGHモード。160マイル先までクリア』

 

「敵だと思うか?」

 

『この時期に来ることは無いし、WAWAC(ウォーワック)が見張ってる』

 

「一応備えるか。......“リーパー”より各機へ」

 

《こちら“オメガ”どうしたの?》

 

『RWSに切り替えた。ッ!レーダーコンタクト!』

 

 

無線で警戒するよう伝えるとHMDバイザーを下ろす。

操縦桿とスロットルレバーに手を掛けるとパドルスイッチを操作して自動操縦モードを解除した。

航平の連絡が無線を通してヘルメットのイヤフォンから伝わる。

 

 

 

『VSで走査開始。目標を再度捕捉した』

 

「目標の情報を頼む」

 

『目標方位1-7-1、対地速度850、距離25、同高度』

 

非協調目標認識(N T C R)によれば機種はMiG......あ?』

 

「?......どうした?」

 

SIF(敵味方識別)反応あり、味方か?』

 

「え?“リーパー”より各機、待て」

 

 

 

操縦桿やスロットルレバーから手を離さずに各種計器を操作出来るHOTASを取り入れてある為、操縦桿にあるスイッチで計器盤の左にあるMPDに映っているレーダーを確認する。

 

 

 

「確かにSIF反応があるな。MiG-29(W)って事は......」

 

《“オメガ”より“リーパー”へ! 前、前っ!!》

 

「ッ!!」

 

 

 

レーダーに表示された識別情報に集中していたから相対距離に対してまったく気がつかなかった。

 

前に向き直った瞬間にHUD越しに此方へと向かって直進してくるウィッチの姿が見えたのだ。

上空にはレイピア隊が飛行している為、操縦桿を押し倒して機首をグッと下へと向けダイブした。

 

ぎりぎりだったが、直進を続けるウィッチはそのままコックピットの上を通り過ぎて両方の垂直尾翼の間を抜け後ろへと消えていった。

 

 

『あっぶねぇーッ!!』

 

「間一髪だった。悪い」

 

 

航平に謝ると機体を操りピッチアップして高度を上げると水平飛行態勢に戻り、編隊に合流する。アリシアとキャスが近寄ってきた。

 

 

《大丈夫?“リーパー”》

 

《そう────貴方が“リーパー”なのね......》

 

 

聞き慣れない少女の声がイヤフォンに聞こえたと同時にキャノピーの右翼側に黒い影が視界の隅に入った。

視線を向けると直ぐ横を並走するウィッチがいた。

 

肩より少し下まで伸びた銀髪が風に靡いており、淡い紫色の瞳が前席に座るオレをジッと見つめている。

 

 

《先ほどは悪かったわ。Извините(イズヴィニーチェ)

 

「い、いず......何だって?」

 

『君、オラーシャ人か?』

 

 

後席を見やると航平がカメラを構えながら質問していた。

 

なるほど、オラーシャのウィッチか。

 

再び彼女を見れば服装は所々改造されているが、確かにオラーシャ連邦空軍で支給されているウィッチ用の飛行服だ。

迷彩はリベリオン海軍のNWU作業服のような濃いブルーのデジタル式迷彩となっている。

MiG-29ストライカーゆは淡い青系の3色スプリッター迷彩を施している。

 

質問に彼女は揺れる前髪を押さえながら頷き答える。

 

 

《そうよ。よろしくね“隊長さん”》

 

「え?......というと、君が話しに聞いていた......?」

 

《えぇ》

 

 

彼女の肯定の言葉を聞いてオレは今日の朝のブリーフィングでグッドフェローから連絡を受けていた。ダリルが空けた空席を埋める新入りが今日厚木に来る、と。

 

まさか、目の前の彼女とは思わなかったが。

 

 

《オリガ・A・レドフスカヤ中尉。本日付けで国連軍独立強襲部隊タスクフォース118 アローブレイズのボーンアロー隊配属になります》

 

 

姿勢を整えた彼女が敬礼する。

 

 

《よろしくね、Бог Смерти(死神さん)》

 

 

 




どうも、フェネックです。


アローブレイズ結成後にボーンアロー隊に配属となったボーンアロー4、TACネーム“Zebu(ゼブー)”

それをTSしてオラーシャ・ウィッチ

オリガ・アレクサンドロヴナ・レドフスカヤ中尉として登場させました。勿論、名前や設定はオリジナルなので、ご注意を。服装に関しては、

出撃時=全体的に“サーシャ”アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉の服装で、上は濃いブルーのデジタル迷彩。

日常時=エリザベス・F・ビューリング少尉の服装に似た感じ。

と思ってくれればいいです。


ちなみに出たオラーシャ語は

Извините(イズヴィニーチェ)=すみません

Бог Смерти(ボーク・スミェールチ)=死神

です。

間違ってたらすいません。

彼女の設定は人物設定の方に後々で出しておきます。

それと高麗とは高麗共和国の事で朝鮮半島を領土に持つ国。

琉球王国はそのまんまです。

F-15Eのレーダーについてですが、AN/APG-70には大きく、空対空、空対地モードに分かれています。それぞれのモードの中には多種多様なレーダーの走査が複数あります。位置索敵用か兵装用、地形マップ作成用などです。

NTCR(非協調目標認識)機能とは、レーダーが捕捉した目標を内蔵するコンピューターがデータベースと照合して機種を特定する機能の事です。相手が友軍機(F-15)か敵機(ネウロイ)なのかを、敵味方識別装置無しで判別出来ます。

感想待ってます!

それでは、また。
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