生存報告ついでに投稿をさせていただきます。
長い間、小説の進行ストップ状態が続いた事にはすみませんでした。今までの遅れを取り戻す勢いで取り組みたいと思います。
#01 もう一つの戦い-Another Operation-
2019年8月10日。
その日、国連軍はユージア軍の侵攻を阻止するべく、極東に位置する扶桑国の旧首都東京および、中東のUAE領内最大の都市ドバイを解放する共同同時進行作戦「オーバーライド作戦」を発動。
戦場となった東京では、国連軍とユージア軍、互いの陸海空の勢力が激しくぶつかり合い、両者は相手の出血を望む血みどろの戦いとなる。
凶弾に倒れるのは兵士だけで済まず、突然の侵攻により逃げ遅れた民間人をも巻き込む凄惨な戦いとなり、敵味方双方に甚大なダメージを負う激戦と化した。
作戦開始から数時間が経過した現在。地球の反対側ではドバイ解放の為、行動を始めた部隊がいた─────。
2019年.8月10日.2100hrs(GST)
中東.ペルシャ湾海上.空母「リュッツォウ」
綺麗な夜空が広がるペルシャ湾。
前日までは低気圧の影響により荒れた海となっていたが、今では嘘のように静かだった。
その凪いだ海を白波をたて、航行するのはカールスラント連邦海軍が誇る航空母艦「リュッツォウ」だ。
本艦はカールスラント初となる原子力航空母艦「フリードリヒ」級の3番艦として建造された。
満載排水量5万5千トン、全長は約300m、艦幅33m、搭載機数は40機以上の大型艦である。通常離着陸(CTOL)機を装備する空母航空団飛行隊と少数の
ユージア軍の勢力圏内である海域を「リュッツォウ」が単艦で行動しているわけではない。
周囲に随伴する自軍のフリゲート艦以外にもリベリオン、ブリタニア、ガリア、アウストリアス、扶桑等の各国から派遣された大小様々な艦艇が、月明かりのみが照らす真っ暗な海で、隊列を乱さず航行していた。
そんな「リュッツォウ」の艦橋最上層部に位置する
「こんな大規模な艦隊編成なんて機会、そうそうある筈がないと言うのに」
カールスラント連邦空軍の青い女性用制服を着て、少佐の階級章を着けた彼女は体の正面で両腕を組み、管制室の窓際にてそう呟いた。
昼間であればその雄姿を眺める事が出来るであろう管制室からは、淡い月明かりに照らされて「リュッツォウ」周辺のフリゲート数隻が若干見えてはいるが、他は暗闇の中に浮かぶ各艦艇の小さな照明のみで何も見えない。
少し残念、といった感じで溜め息を吐く彼女に、飛行甲板の作業全体を束ねるエアボスと補佐を務めるミニボスが声を掛けようとした矢先だった。
突然、管制室の扉が開き、中に誰かが入ってきた。
「失礼します“ヴィルケ少佐”。お時間です」
カールスラント空軍のウィッチ用制服にズボン姿のウィッチが管制室内へ入ると、窓際に立つ女性の名を呼ぶ。呼ばれた彼女が振り返ると、その長い赤毛がふわりと靡く。彼女が口を開く。
「ありがとう少尉。少しのんびりし過ぎたわ」
そう言って微笑み、ウィッチと共に艦内通路へと歩き出す彼女は、エリーザ・エルフリーデ・ヴィルケ空軍少佐。
彼女は“あの”ストライクウィッチーズの名で知られた第501統合戦闘航空団の隊長を務めたミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの子孫であり、今回「リュッツォウ」に乗艦した空軍ウィッチ部隊の隊長だった。
管制室から退室し艦内通路を進む二人。途中で合流した海軍ウィッチの先導を受け、ブリーフィングルームへと足を運ぶ中、エリーザが少尉に訊ねる。
「皆はブリーフィングルームに?」
「はい、少佐。既に第1飛行隊のメンバーは待機中です」
「ユニットの方はどうかしら?」
「管理隊から異常なしとの報告を受けています。それを聞いた副隊長が対地、対空の両方に対応可能な兵装にするよう指示を出しました」
「結構。準備万端のようね。久しぶりの大規模な作戦だから張り切っているのかしらね、彼女」
エリーザには「当たり前だ!」と言って両手を腰にやって胸を張る件の副隊長の姿が目に浮かんだ。
「合流海域到着が遅れなかったら、4時間前に予定通り作戦が開始されていた筈なのに......リベリオンの連中」
エリーザを前にして、小さく舌打ちする少尉。普段ならあまり感情を顔に出さない性格の彼女がこの様子だ。かなり苛ついているのだろう。
「仕方がないわよ。先月のユージア軍からの攻撃で、一歩間違えれば空母を失う羽目になりそうだったの。だから危険海域外での航行も神経質になるのよ」
エリーザが言ったのは、先月の出来事だ。
ユージア軍による扶桑および中東諸国侵攻の少し前、北アラビア海海上を作戦行動中の空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」基幹の第5艦隊は、敵機による空襲を受けた。
当時のリベリオン海軍は完全に敵を見くびっていた。
リベリオン海軍は、世界各国に散らばるリベリオン空軍、陸軍部隊の情報、戦闘報告を統合した結果、どこをどう勘違いしたのか不明だが、本気を出す程の相手ではない、と過小評価したのだ。
その機会が訪れた海軍部隊、アメリカ中央軍第5艦隊は自らが過小評価したユージア軍の末端の末端部隊相手に苦汁を飲まされる羽目に至った。
「ジョージ・H・W・ブッシュ」(以降ブッシュ)も被害を受け、戦域を離脱する始末となったが、自前の空母航空団と随伴艦艇および、乗り合わせていた特殊作戦飛行隊の奮闘もあり、第5艦隊は初戦で空母を失うというリスクだけは避ける事が出来た。
その戦闘により教訓を得た第5艦隊は、相手に対する過小評価を改めた。撃沈の危機を回避した「ブッシュ」は最低限の修理を済ませ、そのまま現地での任務を続行。被害を被った挙げ句、逃げ帰っては“世界の警察”を自負する大国の面子に関わる為、上層部から命令されたのであろう。
少尉は、合流に遅れ「CTF(国際合同任務部隊)の指揮は我々が」と主張しつつ、自軍は艦隊後方......そんな傲慢で内心怯えている第5艦隊が気に食わないのだ。
そんな彼女にエリーザが話を続ける。
「確かに私も、
「了解です......」
エリーザがそう言い終わると、少尉はまだ不満が残った表情だが、そう言って了承した。
「さぁ......急ぎましょうか。皆が待ってるわ」
エリーザ達は少し歩くペースを早め、ブリーフィングルームへと向かう。
2107hrs.空母「リュッツォウ」艦内ブリーフィングルーム
艦内に設けられた空母航空団飛行隊用のブリーフィングルームには、既に作戦に参加する飛行隊パイロット、ウィッチ隊員が集合しており、今はCAG(航空団司令)やウィッチ隊指揮官待ちだ。
仲間との雑談、仮眠、軽い飲食等と、各々違った時間潰しを実行中のなか、エリーザが率いる第52戦闘航空団第1飛行隊のメンバーは作戦前と言うのに、賑やかだった。
「ねー、まだー?」
「まだ、だ」
両足をぶらぶらと動かし、両手を頭の後ろで組んで、椅子にどっかりと凭れかかってくつろぐブロンドヘアーの彼女の問い掛けに、隣の席に座る長く垂らしたポニーテールの大人びいて見える女性が短く答える。
それから十数秒経って、再び彼女が口を開く。
「......ねー、まだー?」
「“まだ”と、何度も言っているだろう───クラウ!!」
彼女の「ねーまだー?」という精神攻撃(?)を受け続けていたポニーテールの女性が、我慢の限界を超え、とうとう吠えた。
「お前は少し我慢という言葉を知ったらどうだ!?」
「だってさ~......眠いんだもん」
「だってじゃない! そんなんでカールスラント軍人......」
「でたよー、堅物軍人の規律云々」
「誰が堅物だとッ!?」
「そんな怒りっぽいから胸に栄養がいかないんだよ」
ポニーテールの女性の胸を見ながら、ブロンドヘアーの彼女、クラウディア・ハルトマン空軍少尉が言う。
「む、胸は関係ないだろう!」
ハルトマンにそう言われたポニーテールの女性、マクダレーナ・バルクホルン空軍中尉は隠すように胸を押さえ、言い返す。
「いや、だって私あまり怒らないから......ねえ?」
「っ~~~~~~~~~~!!!」
ハルトマンは自分の胸とバルクホルンの胸を交互に見て言った。身長が150cmちょっとという小柄な体型のハルトマンだが、そのわりに胸はリンゴ程の大きさだ。それに対し、バルクホルンの胸は......断崖絶壁と言っても過言ではないほど、悲壮感が漂っていた。
ハルトマンの言葉にバルクホルンは遂に顔を真っ赤にして、今にも大噴火を起こしそうな雰囲気だった。
彼女たち二人は、共に第501統合戦闘航空団のゲルトルート・バルクホルン、エーリカ・ハルトマンの子孫であり、エースの血を色濃く引き継いでいた。こうして二人が再編成された第52戦闘航空団の飛行隊に所属しているのは、運命的な事を感じる。
彼女の様子にハルトマンは逃げの態勢をとり始めた時だ。ブリーフィングルームのハッチが開き、空母航空団司令と海軍ウィッチ飛行隊指揮官、エリーザ少佐、少尉が入室してきた。それに反応するように室内の全員が起立する。
モニターがあるブリーフィングルーム正面に3人の指揮官が横に並び、少尉は他の隊員同様、席に向かう。
「座ってくれ」
一番階級の高い「リュッツォウ」の第3空母航空団司令の大佐が言うと、ウィッチと航空団の男性パイロット達が席に座る。
「諸君、いよいよこの時が来た。予定よりも大幅に遅れてしまったが......先ほど、作戦決行のGOサインが出された」
司令の言葉を聞いた各々の隊員たちの表情が一瞬にして変わり、数分前までは笑っていた表情が嘘のように消えた。
「これより、ドバイ解放を目的とした『オーバーライド』作戦のブリーフィングを始める。ヴィルケ少佐、頼む」
「はい」
司令に促されたエリーザがその場に残り、司令と海軍ウィッチ隊指揮官が正面右側の角へ移動すると部屋の照明が消され、正面の大型モニターの電源が入る。
「作戦内容を説明します。
場所はエリアN3A、UAE領内の都市ドバイ。ここを奪回し、周辺の敵勢力を排除する事が本作戦の目的です」
モニターに映し出されるドバイの3DCGマップ。そこに敵勢力を示す赤いマークが市街地を中心に集中しており、強固な防衛陣地を築いている事が分かる。
エリーザはレーザーポインターを手に持ち、マップ上のドバイ市内や空港、港湾施設周辺を指した。
「市内には大規模なユージア軍の戦車を中心とした機甲部隊が集中して配置されています。地対空ミサイル陣地、自走対空砲による防空網を構築。また、アル・マイナの港には敵のミサイル駆逐艦が数隻停泊し、周辺の海上には複数のミサイル艇が展開。敵航空戦力はドバイ、シャルジャ、アール・マクトゥームの3つの国際空港と南に位置するミナッド空軍基地に分散配備されています」
ユージア軍はテロリスト集団と、世間は呼んではいたが、現在の戦力や勢力圏を見れば、一国家の軍隊に匹敵する為、もう、ただのテロリスト集団とは呼べない。
ブリーフィングルーム内に詰め寄る隊員たちの殆どが、これから始まるであろう長期戦を覚悟していた。
「敵の本隊はドバイ中心部に位置するブルジュ・ハリファを司令部として機能させているようです。此処を確保すれば、敵の指揮系統を奪う事が可能な為、優先目標となっています」
ドバイの象徴とも言える世界一高いビル、ブルジュ・ハリファ。全長820mを超える160階建ての高層ビルだが、今では敵の司令部と化しているようだ。
「そこで、国連軍地上部隊が南の砂漠地帯から市内に進入、シーク・ゼイド・ロードを北上し、敵司令部が置かれているブルジュ・ハリファを確保します。
我々カールスラント航空部隊の任務は進軍する味方地上部隊へのCAS(近接航空支援)です。対地対空の両方に対処出来る装備で任務に臨んでください。尚、作戦戦開始時刻は2200です」
「以上です。質問は?」
そこで手を挙げたのは、バルクホルンだ。
「CASの前に、敵の航空部隊が出撃する空港と基地を叩きたい。敵機が上がってでは遅過ぎる」
ドバイ周辺には計4箇所の空港と空軍基地があり、そこから飛来する敵機を彼女は危惧していた。
「空港と基地に関しては問題ないわ、中尉。作戦開始前にリベリオン空軍のB-2爆撃機が滑走路を爆撃するわ」
「なるほど、ステルス爆撃機か」
今回の作戦に備えてリベリオン空軍は、敵の飛行場を無力化する為にミズーリ州ホワイトマン空軍基地に配備されている第509爆撃航空団傘下の1個飛行隊を投入。密かにインド洋のディエゴ・ガルシア基地に移動させていた。
バルクホルンが納得すると、次にハルトマンが挙手した。
「ほーい」
「はい、ハルトマン少尉」
「管制機は? 今回は海軍の
「ウィッチ隊への管制指示は私が行います。航空団の通常戦闘機隊へは『リュッツォウ』のホークアイ、コールサイン“メーヴェ01”が担当するわ」
「りょうかーい」
「他に質問はあるかしら?......無いわね。それでは、これにて解散します。各員の奮闘に期待します。解散!」
エリーザが解散の号令を掛けると、隊員たちが一斉に立ち上がり、敬礼を行う。敬礼を終えると隊員たちは、ブリーフィングルームから次々と退出し、それぞれの待機室へと向かった。
久しぶりの投稿で、ちょっと文面がおかしい。
これから直していくか......と、
今回は「オーバーライド」作戦、中東方面の話です。
すっかり忘れていましたよ。オーバーライドが同時進行作戦だった事を。久しぶりにキャンペーンをやっていて気づきました。
インフィニティ本編とは少し違った番外編?閑話?的な話になりそうなんで、章を追加しておきます。
今回の作戦を考えて、新キャラどうしよう?と考えていましたが、以前出たストライクウィッチーズの子孫云々の話。それを試してみようと思いました。
空母「リュッツォウ」はオリジナルです。艦名はアドミラル・ヒッパー級重巡洋艦の5番艦「リュッツォウ」からです。
サイズに関してはカールスラントだから「ニミッツ」級空母並の大型艦も考えましたが、同じ欧州のガリア(現実ではフランス)の空母「シャルル・ド・ゴール」より少し大きめ程度としました。
今後、この章ではインフィニティ本編、新城達がこの作戦遂行時、別な場所(地球の裏側)では......的な話を投稿していきたいと思います。
あ、最近ゲームの方のインフィニティ(オンライン)では「アメリカ軍機再び」と「アンタレスイベント」に参加して、なんとか賞品をゲットしました。
けど、自分の周りの友人達はどんどんインフィニティから離れていくので、なんだか寂しいですな。