ACE WITCHES:INFINITY   作:フェネック

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お久しぶりです。
もうすぐで、1年失踪するところでした。すいません......。


#02 B-2、飛翔-Night Raid-

 

 

 

 

2019年.8月10日.2140hrs(GST)

 

UAE領内に於けるドバイ解放を目的としたオーバーライド作戦(Operation Override-Dubai :OOD)開始まで20分。

 

ペルシャ湾に展開している艦隊『CTF-160』所属の空母群は艦載部隊の発艦準備に取り掛かり、その他の戦闘艦艇は地上部隊からの支援要請に備えて、巡航ミサイル(トマホーク)の発射準備を整えている中、上空では......、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

UAE領内.ドバイ市より北東地点.上空1万フィート

side/フィン・ヘイデン中尉

 

 

 

 

 

「“レイザー1”より“レイザー2”へ。無線封鎖解除、目標(ターゲット)へ向かい、爆撃に備えよ」

 

《“レイザー2” 了解(ラジャー)。直ちに向かう》

 

 

 

 

星が瞬く綺麗な夜空が広がっている。

 

軌道上に大量の(ユリシーズ)の屑が漂っているとはとても思えない。そんな綺麗な夜空を眺めていた俺、フィン・ヘイデンは、僚機に指示を出す機長の言葉で現実に引き戻された。

 

つい先程までは、敵の無線傍受を避ける為に無線交信をオフ。私的な会話すら無しで、この機体のターボファン・エンジン音だけが低く唸っていたコックピットだったが、ようやく無線封鎖解除が可能な空域まで侵入出来た。

 

...でまぁ、今、左隣の機長席に座る俺の上官で飛行隊指揮官の女性少佐。彼女の指示を受けた同じ隊の僚機が機体を左に傾け、ゆっくりと離れてゆく。

 

「ミスんなよ“レイザー2”?」

 

無線で“レイザー2”にそう呼び掛けると、直ぐに返答があり、仲間の声がイヤフォンに響く。

 

 

《うちの婆さんを便所に連れて行くよりは楽勝(イージー)さ》

 

「はっ、どうだかな」

 

《お前らお二人さんこそ、こないだまでAC-130乗り(ゴーストライダー)だったじゃねぇか? ミスったら承知しねぇぞ、フィン》

 

「分かってるよ。それじゃ後でな」

 

 

そう言って無線を切り、気持ちを切り替える。

任務中の私語は厳禁だが、こうした軽口の付き合いもお互いに任務前の緊張感を紛らわすのに丁度良いのだ。

 

なんていったって、俺たちの飛行隊が中東に於けるエリア奪還作戦の一番槍(スピアヘッド)を任せられたんだからな。

 

ディエゴ・ガルシア基地から離陸。そのまま、オマーン湾上空を通過してホルムズ海峡で針路変更、海面近くまで高度を落としての超低空飛行でここまで来たんだ。敵のレーダー探知を避ける為とは言え、随時周辺警戒には全神経を研ぎ澄ましたもんだ。

 

まぁ、超低空飛行による飛行から一転して今は高度約1万フィートの上空だ。それなのに敵戦闘機の1機すら迎撃に来ない様子を見れば......、

 

 

「やっぱりコイツのステルス性能は健在だな」

 

 

そう、俺の搭乗機は“特異”な爆撃機だ。

 

全体的に見れば、まさに“ブーメラン”だ。

黒いブレンデッド・ウィング・ボディで構成された「全翼機」と呼ばれる独特な機体形状を持つこの航空機は、世界で唯一無二のステルス戦略爆撃機、ノースランド・グラマー、B-2A“スピリット”。

 

コイツは幾数にも及ぶステルス性を考慮した設計、複数のRAM(レーダー波吸収素材)を使用しており、非常に高いステルス能力を有している。

 

だが、コイツもレーダーから完全に消えるわけではなく、あくまでもRCS(レーダー断面積)を減少させて、“映りにくくした”に過ぎない。だから油断は出来ない。

 

 

「レイザー1、敵空域侵入(フェンス・イン)

 

「フェンス・イン確認」

 

「敵地対空システムに留意せよ」

 

「了解」

 

 

既に対ステルス対策を施した新型の索敵システムが開発されている以上、俺たち、B-2爆撃隊「レイザー」は敵の索敵網の隙間を縫うようにして飛行するしかない。

 

元魔女(エクスウィッチ)の機長、ジャニス・リール少佐が、無線封鎖が解除された通信で作戦司令部を呼び出す。

 

 

「“レイザー1”より“作戦司令部”(フォートレス)へ」

 

《こちら“フォートレス”無線は明瞭(ラウド・アンド・クリア)どうぞ(オーバー)

 

 

即座に応答した作戦司令部のオペレーターにリール少佐は、現在の飛行状況を正確に伝える。

 

 

「現在位置、IP(攻撃開始地点)より北東に約16マイル、高度1万フィート(3000m)を飛行中。敵からの迎撃は無い。これより爆撃態勢に移行する、以上(オーバー)

 

《了解、IPまでE T A(推定到着時間) 2分前(ツー・マイクス)良い狩りを(グッドハンティング)通信終了(アウト)

 

《“レイザー1”了解、アウト》

 

 

司令部との交信を終えたリール少佐は、隣の席に座る爆撃手を兼務する副操縦士(コ・パイ)の俺へ指示を出す。

 

「フィン、爆撃まで2分を切ったわ。用意して」

 

「了解、少佐」

 

俺はそう答えると、自身の眼前にある計器類を操作して、爆撃用意の手順を一つ一つずつ完了していく。

暫しの間、ガンシップ担当だったからブランクを気にしていたが、案外身体は覚えているもんだ。

 

「地上攻撃用レーダー起動......作動確認。SAR(合成開口レーダー)地上マッピング開始」

 

B-2の対地レーダーで索敵を開始すると、レーダー情報を映し出すディスプレイに次々と現れる無数の輝点(ブリップ)。味方の識別信号を発しない赤い点は間違いなく敵だった。

 

SARが捉えた目標をコンピューターのデータベースと比較し、解析結果を画面に表示する。

 

 

「目標周辺に複数の移動目標を探知。目標識別機能(G M T I)によれば、自走対空砲および装甲車等多数です」

 

 

あまりの獲物(敵)の数に自然と口笛を吹いてしまう。

実際、空港周辺に戦車を始めとした各種装甲車両が確認されており、それが密集しているのだ。中にはオラーシャが輸出している物に紛れ、ヴェルナー社製の最新型まである。

 

 

が、眼下の地上は静かだ。

未だに敵は、ステルス機であるB-2を捕捉するには至っていない様子だ。俺たちにとって、それは好都合だった。

 

 

「ちくしょう、弾が圧倒的に足りない」

 

「今回の目標は空港よ。残念だけど、他は無視よ」

 

「次の機会を待ちますか......、了解です」

 

 

少佐の言葉に肩をすくめる。

レーダーに映る主目標以外の大量の敵車両。爆撃機乗りとしては密集しているそのど真ん中に1発落として、木の葉のように吹き飛ばしてやりたいところだが、今は我慢だ。

 

自機の現在位置を計器のディスプレイで確認した。目標到達まで、まもなく1分を切る位置だ。

 

 

「IPまで1分。そろそろよ」

 

「GPS、受信状況に変化なし。GATS(ガッツ)(GPS援用目標指示システム)、SARとのリンク始動を確認。用意よし」

 

「了解、目標に変更なし、現爆撃針路を維持」

 

 

俺たち、レイザー隊に与えられた任務は、敵が使用している主要な空港と基地、合わせて4箇所の航空機発着能力を喪失させることだ。

 

一度の進入で4箇所の目標を迅速に且つ効果的に叩く為にレイザー1がシャルジャ、ドバイ空港を。レイザー2がミナッド基地とアール・マクトゥーム空港を連続で爆撃する。

 

B-2の兵装システムをアクティブ。

ディスプレイの1つを爆撃効果判定用の赤外線カメラ映像に切り替え、第1目標のシャルジャ空港を捉える。

 

「IPまで50秒」

 

「20秒前で爆弾倉開放」

 

「了解」

 

目標までの距離が12km以内。20秒前となれば、相対距離は5km。そこで爆弾倉を開く事になる。

 

爆弾倉を開けばステルス性が失われる為、敵のレーダーに捕捉されてしまう。そうなれば、地上の敵部隊は尻に火がついたように慌ただしくなるだろう。

 

 

さて......、

 

 

「20秒前、爆弾倉開放!」

 

 

そう告げると、爆弾倉の開放スイッチを入れた。

B-2の胴体下部中央に位置する爆弾倉のカバーがゆっくりと開き、姿を現したのは、全部で80発もあるGBU-38 500lb(227kg)統合直接攻撃弾薬(J D A M)だ。

既に目標情報を各爆弾の誘導セクションに入力済み、後は投下するだけだ。

 

すると爆弾倉開放により、ようやくレーダーに映ったレイザー1の機影に気づいたのか。眼下の敵地上部隊が慌ただしく動き始めた。だがしかし、もう遅い。

 

「投下10秒前!!」

 

GATSにより強化されたSAR画像を表示してあるディスプレイを凝視する。投弾装置に手を掛け、カウントダウンを開始する。

 

 

「5秒前......4......3......2......1......投下(ドロップ)!」

 

 

IPに到達した、その瞬間に投弾スイッチを押す。

 

電気信号による指令を受けたB-2が、腹に抱えていた80発の誘導爆弾(J D A M)、その半分の40発を次々に投下。ラックから外れた爆弾は大気を裂きながらGPS信号を受信し続け、シャルジャ国際空港へと降り注ぐ。

 

空港滑走路上空を横切るように通過したB-2から投下されたスマート爆弾は、事前に設定指示された目標である滑走路へと落下。着弾した証である閃光が次々と走り、強烈な爆弾は周辺のものを手当たり次第に吹き飛ばした。

 

不運にもその場にいたユージア兵たちも直撃で跡形も無くなるか、炸裂後の衝撃波で吹き飛ばされるかのどちらかしかなく、悲惨な光景が広がった。

 

滑走路から外れた数発は偶然にも駐機場の敵戦闘機を襲い、駐機してあったほとんどを粉砕した。俺たちからの襲撃を予期していなかった為か、密集していたのが仇となったわけだ。

 

燃え盛るシャルジャ空港を赤外線カメラで確認すると、隣のリール少佐に効果判定を報告する。

 

「目標K-BOX1-ALPHA(キル・ボックスワン・アルファ)の滑走路破壊を確認」

 

「了解、次の目標に向かうわ」

 

爆撃成果に喜んでいる暇もなく次の目標であるドバイ国際空港への針路をとる。

 

第2目標であるドバイ空港を赤外線カメラで捉えたが......、って?!

 

K-BOX1-BRAVO(キル・ボックスワン・ブラボー)を確認。 ......マズいですね。駐機場の敵戦闘機が移動を開始!」

 

俺たち(B-2)の飛来を察知したドバイ国際空港では、駐機場にて待機していた敵戦闘機部隊が、急いで誘導路へと進んでいるのが見える。

 

「フィン、敵機が滑走路に入る前に叩くわよ」

 

「了解」

 

いくらステルス機であるB-2とは言え、敵戦闘機に捕捉されてしまえばひとたまりもない。一瞬にして狩る側が狩られる側へと一転してしまう。

 

リール少佐が機体を操作し、フライ・バイ・ワイヤで制御されたB-2が、それに従うようにググッと巨体を動かして爆撃進入コースを進む。

 

そこで、唐突にB-2の周囲に爆発が起こり、発生した衝撃波に機体が揺さぶられる。

 

「ちくしょう!AAA(トリプルエー)(対空砲)!!」

 

コックピットの窓から外を見ると高射砲弾の炸裂と、曳光弾混じりの対空機関砲弾の火箭が幾つも機体を掠めていくのが見えた。ドバイ空港の防空部隊が奇襲爆撃の報を受け、ようやく対空砲による歓迎パーティーを始めたのだろう。

 

「今さら遅いんだよ!」

 

「投下10秒前よ! 集中して!」

 

シャルジャ空港周辺の敵対空部隊はレイザー1に対し、盛んに撃ち上げていた。対空砲にJDAMを叩き込んで黙らせてやりたいが、今はメインターゲットの空港が先だ。

 

 

「爆撃針路固定、JDAMへ目標情報を入力。用意よし!」

 

「フィン、カウント省略。爆撃して!」

 

「了解! 全弾投下!!」

 

 

投弾スイッチを押し、爆弾倉内に残っていたJDAMを全て投下。

最初に目標へ到達した誘導爆弾が着弾炸裂。閃光が次々と閃く度にズズンッ、という激震が起こる。

 

40発のJDAMは滑走路だけではなく、誘導路を突き進んでいた戦闘機や対空砲部隊をうまい具合に巻き込んだ。爆弾の炸裂音というBGMとともに辺りを根こそぎ吹き飛ばし、焦土と化す。

 

爆撃により、もはや昼間のように明るくなった国際空港を背に、爆弾倉を閉じ爆撃効果を確認する。

 

「目標に直撃弾多数。滑走路はさながら月面のクレーターみたいになってますよ」

 

その成果を報告すると、「ふぅ」と息を吐き、座席にもたれ掛かる。久々のスリル満点なミッションだったな......。

 

横目でリール少佐を見やると、作戦司令部との通信を繋ぎ、爆撃の効果を報告していた。

 

 

「“フォートレス”こちら“レイザー1”」

 

《こちら“フォートレス”》

 

「目標Q-BOX1-ALPHAおよびBRAVOへの爆撃完了。統合BDAは100パーセント。滑走路は封鎖した」

 

《了解、“レイザー1”。CHARLIE(チャーリー)DELTA(デルタ)を担当した“レイザー2”からも両目標の封鎖を完了したとの報告だ。任務完了、基地に帰投せよ。以上(オーバー)

 

「“レイザー1”了解。通信終了(アウト)

 

 

空港を爆撃され慌てふためく敵部隊をよそに、長居は無用とばかりに俺たちはその場を急いで離れた。残った敵さんは主力部隊(メインキャスト)が叩きのめすだろう。

 

 

「フィン、帰投するわよ。周辺警戒をお願い」

 

「了解、少佐」

 

 






仕事が忙しくて(言い訳)

さすがに1年間失踪はダメだろうと思い、なんとか投稿しました。
日頃のストレスなどで、思うように捗らずに1日1日が過ぎて、この有り様です(T-T)

投稿は続けていきますが、次がいつ投稿出来るのか分かりません。ですが、なるべく早く投稿したいと思います。

本当に申し訳ありません。



話は変わって、ACECOMBAT6のPV見ました。
やっと、我々の世界観からエスコンの世界に戻って、キター!って感じではしゃいでいました。

パッと見は、オーシア vs エルジアかな?
大陸戦争でボロボロになったエルジア軍がどのように再建されたのか、や、“灯台”は軌道エレベーターなのか、F-22のあの武装コンテナは第2の特殊兵装なのか、後部がアークバードっぽいあの空中要塞はいったい?など、疑問とともに期待が膨らみます。
楽しみですね。

それでは、また次の話で。




※ACECOMBAT“6”ではなく、ACECOMBAT“7”です、ハイ。
すんません......恥ずかしい
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