2ヶ月と18日ぶりです。
ほんっとうに申し訳ない!
2017年(平成30年).7月21日.AM1000hrs
扶桑.宮崎県.新田原 国防空軍基地
「あっつい、ぜ」
1年の半分が過ぎた夏、7月下旬のある日。
扶桑ではここ数日猛暑日が続き、毎日朝昼晩のニュース番組やCMで熱中症予防対策の呼び掛けが行われるなか。
扶桑国防空軍の主要基地であり西部航空方面隊第5航空団のホームベースである新田原基地は、次第に真上へと昇りつつあるギラギラと照りつける太陽の日差し攻撃を受けていた。
「あーしんどい、あつい、だりぃー、だぜ」
国防空軍3等空尉の徒梨 航平は格納庫の出入り口脇に置かれた牽引車の上にへばりついていた。
周りには同じ様にへばっている同僚が数名。
朝から、と言うよりは2週間くらいこの調子である。
「アイスくれー、だぜ」
「何でもかんでも語尾に『だぜ』をつけんでもいい! それは白黒魔女の専売特許だ」
だぜだぜ攻撃にキレたのは同僚の楯山 准一3尉。
彼は暑さを紛らわそうと、日頃から暇があれば読んでいる小説を読んでいる途中だった。ちなみに本は『忘却のイーグル』と言うタイトルの文庫本だ。
ページに栞をはさんだ楯山が顔を上げる。
「アイスなんてとっくの昔に食べてなくなっている。 それに、経費削減の為に冷房をストップした、あの司令に文句言え」
ジトーっと楯山が徒梨を見る。
「い、いや~それはちょっと......(汗」
目を逸らす徒梨。
よっぽど自分たちのボスである女基地司令が苦手らしい。
楯山の言うとおり、現在この新田原基地は基地司令の意向により経費削減を目的とした節電態勢をとっていた。
何故、節電なのか。
それは、去年の10月から生産開始した扶桑の第5.5世代戦闘機F-3“震電Ⅱ”の基地部隊配備を狙う為だとか、上層部からの宿題なのか、はたまた司令の気まぐれか?と言った憶測が飛び交っているが、多分気まぐれだろう。
節電と言っても冷房を完全に切らしているわけでもなく、食堂やその他必要な場所には冷房が効いている。
とうの司令室はガンガンに効いているがな......。
格納庫内にて整備小隊の整備員と共に飛行前の機体点検を行っていた新城 久幸3尉が作業を終え、徒梨たちに歩み寄る。
「おいおい、1時間後にはAGR(飛行教導群)との訓練だぞ? 今へばっていてどうすんだよ」
「それもそれで俺に追い討ちを掛ける材料だよな」
またコヨーテに追い掛け回されるのか、とがっくりと項垂れる徒梨。はたから見れば某漫画の主人公のように真っ白になっている姿に見えるだろう。
と、そこへ割り込む声。
「あら~? どうしたの徒梨3等空尉。 もうお疲れ?」
新城はびしっ!と姿勢を正し。
楯山は慌てて本を片付け、新城同様に姿勢をとり。
格納庫内の整備員たちも一時作業を止め、敬礼する。
話掛けられた当の徒梨は、俯いたまま固まっていた。その顔は蒼白であり、妙な汗がダラダラと流れていた。
徒梨がギギギと、ゆっくり顔を上げた。
「上園司令...」
其処に目が笑っていない“魔女”がいた。
「はい、何でしょうか? 徒梨3尉?」
上園 沙耶(かみその・さや)空将補。
彼らの上官である今年で22歳になる女性軍人だ。
元航空魔女であり、現在は新田原基地司令と第5航空団司令を兼任している。
僅か19歳で基地司令になった彼女の噂は多々ある。
例えば、F-4EF改ストライカーでF-15Fストライカーを履いた飛行教導群所属のウィッチを負かしたり、今度はF-15Fを履いて練習相手にリベリオン本土からわざわざ扶桑に来たF-22ストライカーのウィッチのプライドをワシの爪で引き裂くようにズタズタにしてから泣かせ、リベリオンに帰したと言う話がある。
“ロック岩咲”で知られた名ウィッチ 岩咲 貴音(いわさき・たかね)元国防空軍2佐もびっくりの話だ。
だが、その経歴とは裏腹に色々とやらかしているらしく、幕僚幹部のお偉方に凄い睨まれている......そんな女性が今、徒梨の目の前でニコニコと微笑んでいた。
「いえ! 何でもありません上園司令!!」
「あら、そう? 今まで其処でへばっていたのに」
「疲れなど何処かに飛んでいきました!」
「そうなの。 なら教導群との訓練では“シャーク”と“タイガー”にも声を掛けておくから」
「!?」
徒梨の表情が凄いことになった。
久幸たちも苦虫を噛み潰したような表情になる。
「それじゃあ、頑張って~」
手をひらひらと振りながら基地施設内へと歩いて行く上園の背中をただ呆然と見送る徒梨たち。
徒梨たちの後ろでは整備員たちが静かに両手を合わせていた。
1150hrs. side/徒梨“アイドラー”航平
対戦闘機戦闘、通称「ACM」(Air Combat Maneuver)。
航空団に所属する飛行隊がほぼ毎日行う訓練飛行の一つで、戦闘機パイロット達の技術や体力などの練度維持を目的としている。
特に視程内(WVR)に於けるドッグファイト(格闘戦、巴戦)に重点が置かれていることには理由がある。
現代の空対空戦闘ではレーダーで捕捉した敵に対し長距離から視程外射程空対空誘導弾(BVR-AAM)による攻撃技術が発展しているが、それに伴い進化したネウロイのビームによる長距離誘導弾迎撃率も日に日に上がっているのが実状であり、必然的にドッグファイトになる確率が高いのだ。
そうした事もあり、この訓練では様々な要素を入れつつ、2機一組のエレメント同士2対2又は4対4などの形式で腕を競う。
「ケツにつかれたッ!!!」
俺の叫びがコックピット内に響く。
『畜生!』
新城が悪態を吐いたと同時にブレイク。
同時にヘルメットのイヤフォンからは耳障りな電子音が鳴り、その音から二人は相手から赤外線シーカーによるロックの前触れであることを悟る。
「後方7時にぴったり食いついてる! 左にブレイク!!」
『分かってる!』
後部座席にて俺が後方を何度も振り返りつつ前席(新城)に報告し、新城はその状況に応じた回避機動で逃れようとする。だが一瞬途切れた電子音が直ぐに鳴り始め、次第に追い詰めていく。
俺は後方を警戒しながらエレメントを組んでいる僚機に無線で呼び掛けてみる。
「コバルト1よりコバルト2へ。状況を。オーバー」
《コバルト2だ! 現状は最悪......そちらはどうだ!オーバー》
「コバルト2、こちらも背びれがある奴に追尾されている。 何とかして振り切れるか? オーバー」
《ネガティブだコバルト1! 何としてそちらの援護に向かいたいが......っ!レーダー警報!!“ジンギス”右にブレイク!!!》
僚機であるコバルト2の後席にて警戒担当の栗山 恭二(TACネーム“クーリ”)が相棒である前席操縦担当の“ジンギス”こと楯山に向かって叫んだのを最後に無線が途切れた。
状況を聞く限り、こちらと同じで最悪の渦中だろう。
『“アイドラー”! アラートが消えた!! ヤツは?!』
“キャッスル”(新城)からの声で気づき、いつの間にか鳴りを潜めた警告音に違和感を感じ後ろを振り返るが、追尾していたはずの相手の姿が無い。
ほぼ垂直に近いピッチアップで上昇していた機体は雲の上を飛び出すと一度水平飛行に戻し、周囲を索敵する。
「ヤツはどこに行きやがった?」
『レーダーに反応なし......消えた?』
不気味なほどに静まり返る雰囲気の中、一瞬だけ、徒梨の持ち前の勘が囁く。
「......!“キャッスル”ブレイクしろッ!!」
『っ!』
新城が咄嗟にやや機体を右に傾けつつ横に滑るように逸れると、先程の位置に真下から青く発光する一条の光弾が放たれた。
実弾では無いこの青い光弾はHMD(Helmet Mounted Display/ヘルメット装着型表示装置)でしか見えない仮想空間内でのエフェクトだ。
これはHMDが普及されると共に開発された訓練補助を目的としたシステムで、訓練では到底行えない発射されたミサイル、機関砲弾を仮想空間内で再現するという物で、今までの訓練よりも現実味があり、より一層の練度向上が期待出来るとして世界中の国々の軍に普及していった。
一部では既に陸軍や海軍向けにプログラミングされたシステムが導入されている。
短連射を終えたネウロイ塗装のF-15Fイーグルが雲海の中から飛び出し、機体を急角度ピッチアップからターンすると太陽を背に上空からこちらへ真っ直ぐ向かってくる。
『その歯を全部へし折って入れ歯にしてやるよッ!』
機首下部に描かれたメカメカしいシャークマウス(ネウロイシャークとも呼ばれるが)に向かって言い放つ新城。
「でも、サメって直ぐに生え代わるらしいぞ?」
『余計な事言うな!』
再び“シャーク”の20mm機関砲が火を吹くと同時に新城が機体を半ロール、旋回し回避すると緩やかに雲海に突っ込む。
暫くは雲海の中での追いかけっこになっていたが、しびれを切らしたらしい“シャーク”が距離をとり始めた。イヤフォンからFCSレーダーによる照射警告音が鳴る。コイツは!
「99(99式空対空誘導弾/AAM-4)か!“キャッスル”!!」
『わかってらァ!!』
俺の呼び掛けに応じた新城が鋭く旋回するとスロットルを前進させ速度を上げた。
「敵機12時方向ヘッドオン! いつでもイイぞ!!」
『了解! HMDリンク、マル4(04式空対空誘導弾/AAM-5C)スタンバ......いッ!?』
イヤフォンの警告音が敵機からの誘導弾発射を示す電子音に切り替わり鳴り響く。
正面からの発射のため、誘導弾がチャフに喰らいつく可能性はほぼゼロだ。下降しつつチャフ散布回避か、それとも......って!速度上がったぞ!?久幸!?
「おい!“キャッスル”なにやr......」
『このままミサイルを正面で躱す!』
ハッ!?マジかよ!?
「んなこと簡単に出来ねぇだろーが?!」
『やってみなきゃわかんねぇだろ!......おらいくぞぉ!!!』
『くっそがぁぁぁ!!どうにでもなりやがれッ!!』
HMD越しで見る仮想空間内の99式空対空誘導弾は真っ直ぐにこちらへ、その鏃を突き刺そうと向かってくる。
段々と大きさがご飯粒から豆サイズになってきた。距離はもう数km......いや~もう無い。
ゴルフボールサイズにまで迫ってきた瞬間、新城が動いた。
ピッチアップした機体にロールを掛けた......キャノピー越しに見えた、機体がちょうどロール途中の一瞬だけの背面飛行時に、手を伸ばせば届くんじゃないかって距離を誘導弾が飛んで行くのを。
交差した誘導弾はそのまま目標を見失い自爆した......お前(新城)、バレルロールで誘導弾躱すなんてバカじゃねぇの!?これが実戦なら一つ間違えば今頃あの世行きの直行便に乗っていたとこだったぜ!?
と、まぁ、それは置いていてやるけど。
今のを躱すとは思わなかったであろう“シャーク”は未だ水平飛行しており回避機動はしていない。
「ヤれぇ!!!“キャッスル”」
『FOX2!!!』
翼下のランチャーから発射された赤外線画像誘導の04式空対空誘導弾(改)のロケットモーターが点火、加速すると、それに反応するように回避行動をとろうとする“シャーク”だが、もう遅い。
TVC(推力偏向制御)による高い機動性、苦し紛れの“シャーク”のフレアも04式のシーカーが備える対赤外線妨害対抗機能には無意味であった。
誘導弾が“シャーク”機手前で消滅すると、HMDには命中・撃墜を示す赤い×印のキルマークが表示された。
「“シャーク”撃墜!スプラッシュ1!!」
『ふぅ、間一髪だったな』
互いに教導群の“シャーク”に撃墜判定を喰らわせたことに喜んでいると、無線が入る。
《コブラ6よりコバルト1へ。まだ訓練は終わってないぞ》
「負けたからって、そんなに不機嫌にならんでくださいよ」
《誰が負けた、と?》
「へ?」
その言葉を聞いたと同時に鳴り響く“被撃墜音”。
『!? あぁチクショウ!!!』
新城につられ後ろを振り返ると、こちらに機首を向けピッタリと追尾する“もう1機の敵機”がいた。
機首側面に描かれているトラのパーソナルエンブレムが心なしか嘲笑っているように見えるのは気のせいだろうか。
もう1機の敵機役である“タイガー”から無線で一言。
《惜しかったな(笑)》
「『チクショ──────ッ!!!』」
どうも、フェネックです。
お久しぶりです。
この2ヶ月半ほど、少し用事が重なりまして......まともに投稿が出来ない状態でした。本当に申し訳ない、すいません。
これからはなるべく月に2~3話ペースで書きたいところですが、まだ分からない状態なので、でも、早く書き上げて投稿するのは現時点での目標です。
ところで、皆様はエースコンバット:インフィニティは今の所どうでしょうか?
追加キャンペーンや追加機体なども色々ありましたね。
一応、自分はランキングの方に関しては海賊Su-33やブラックホーネット以外のイベントには参加して、何とか機体をゲットしていってます。
新情報ではX-02やADF-01、R-101、YF-23等が追加されるもようみたいですね。X-02はBlock1として最初は出るらしいですが......まぁ、よしとしましょう。
あと2017年時の平成30年設定ですが、アサルトホライゾンの方での情報を仕入れた結果、エースコンバット内と現実世界とでは平成の年が1年ズレているんです。とりあえずは、平成設定はエースコンバット内の物を取り入れたいと思います。
それでは、また次回もお楽しみに。
感想待ってます!