ACE WITCHES:INFINITY   作:フェネック

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お待たせしました。

一つ修正した点で飛行教導隊から飛行教導群に変更しました。
自衛隊での再編成した事を知ったので。


#03 邂逅-Encounter-

2017年.7月26日.0945hrs

扶桑.宮崎県.新田原 国防空軍基地

 

 

 

 

 

 

 

「......それはマジなのか?」

 

 

その話が彼らの耳に入ったのは、早朝の飛行訓練から帰投し評価、反省等を話し合うデブリーフィングが終わった直後だった。

 

基地施設内のブリーフィングルーム内にてコーヒーの入ったカップをテーブルに置いた徒梨が聞き返した。

 

テーブルを挟んで相対している楯山が言う。

 

「あぁ間違いない。竹林1佐が言ってからな」

 

彼が言う竹林とはうち(第301飛行隊)の飛行隊隊長だ。

この基地内でも少ない飛行教導群の連中とタメを張れるベテランのパイロットでTACネームは「バンブー」。

 

一服於いて楯山が再度話した。

 

「あの『重苦』が来るんだと、此処に」

 

それを聞いた各々が顔を見合わせる。

無理もない。

 

俗に「重苦」と呼ばれる国防空軍第19飛行隊は空幕(航空幕僚監部)のお偉方が新設させた精鋭飛行隊で、現在は後の扶桑次期主力戦闘機となるF-3の試験機体ASF-Xを使った部隊試験評価を行っている。

 

そんなエリート連中が此処にやって来る。それだけならまだしも、連中が来る他のプラス要素に彼らの頭を悩ませていた。

 

 

「ASF-XとのDACTを行うかもしれない、か」

 

 

ブリーフィングで使うF-15Fの模型を手に、それを眺めていた新城の呟きが離陸途中の戦闘機のジェットの轟音にかき消される。

 

「DACT」(異機種間戦闘訓練)とは例えるならF-15 vs F-15のような同機種同士ではなくF-15 vs F-2のような互いに異なる機種を使って訓練するものだ。

 

彼等が知ったのは、そのDACTを「重苦」の連中が申し込んできたかもしれない、との情報だった。

 

 

「『重苦』の連中がどう来るか、しったこっちゃないが、ASF-Xにイーグルじゃ分が悪い。CCV時のアレは化物レベルだ」

 

 

その手の話に詳しい栗山が言う。

F-3に先んじて開発された実証試験機のASF-Xの高性能ぶりは全国の国防空軍または海軍航空群の戦闘機乗りが知っている事だ。

 

DACTのキルレシオ(撃墜対被撃墜比率)で7対1という記録でF-2を突き放した、まだQ-Xと呼ばれていた汎用無人機「クオックス」とのDACTで勝利し、ついこの間はリベリオンのF-22を圧倒したとの話も聞く。どちらもストライカーユニットでの勝負ということだが。

 

ストライカーユニット型でもそのスペックなのだ。通常機型も同等と考えた方がいい、との栗山の言葉に徒梨が唸る。

 

 

「イーグルが優秀な戦闘機ってのは断言出来るが、いかんせん相手が悪すぎる。そもそもステルスの時点でアウトだろ」

 

「リフレクター付きならどうだ? レーダーで捕捉出来ればこっちと同じ土俵に立たせられるだろう」

 

 

徒梨に新城が言ったリフレクターとは通常任務外の飛行に使われるレーダー・リフレクターと呼ばれる物で、これを機体に装着することでステルス機だろうとレーダーで捕捉可能になる。

 

その提案に楯山が首を横に振る。

 

 

「捕捉出来ても厳しいな。アレのフェイク・マニューバの話を聞くかぎり、性能差が開きすぎて泣ける」

 

「あー......確かにアレはないわー」

 

「あのゲームのイカ機体よりはマシだろ?」

 

「変態飛行乙」

 

「『重苦』にAPS(アクティブ防護システム)と変態パイロットがいないだけでもありがてぇよ。マジであったら裸足で逃げるレベルだぜ」

 

 

後半からは笑い混じりの会話に発展した室内。

彼らの予想は違っていたのだが、彼ら、第301飛行隊見習い組が苦労することには変わりはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月29日.1355hrs

扶桑.宮崎県.新田原 国防空軍基地.side/徒梨 航平3等空尉

 

 

 

 

例の「重苦」が来る云々の話は意外な形で来やがった。

 

今現在、俺は基地の格納庫の扉前にいる。

 

正確には俺と相棒の新城、楯山、栗山の第301飛行隊見習い組(飛行教導群の先輩方命名)の4名とウチの飛行隊隊長の竹林1佐。この面子が格納庫の前でセカンド・フライト前の簡単なリブリーフィングをやっていたんだが......。

 

ブリーフィング用の黒板の横に立つ3等空佐の階級章を付けた女性が話を始めた。

 

 

「明日から開始されるASF-Xの試験の為、本日からこの新田原基地に暫く“居候”になる協同試験評価飛行隊の航空“ウィッチ”4名です。では、自己紹介を」

 

 

肩にかからない程にそろえた黒髪で国防空軍の常装第3種夏服と呼ばれるシャツに、同じく支給されているスカートといった姿の彼女は俺や他のやつが見ても美人の部類に入る。...てか、胸ポケに航空魔女の徽章付けてるってことはウィッチかよ。

 

そんな事を思っていると、今まで視界の隅にしか居なかった4人の見た目が中学生ぐらいの少女たちが黒板の前に並び立つ。

 

彼女たちが着用しているのは3等空佐のような常装ではなく、濃淡グレイのピクセルドット迷彩の空軍作業服を着ている。チラッと見ただけで気づいた俺も俺だが、1人だけ空軍の階級章略章じゃなくて海軍さんの付けてるウィッチがいるんだが......。

 

4人が同時に敬礼すると自己紹介を始めたた。

 

 

「試験評価飛行隊所属、園田 瑞穂1等空尉です」

 

「同飛行隊所属、多瀬 晴子2等空尉です」

 

「同じく、永瀬 恵3等海尉です」

 

「同じく、浅野 琴葉3等空尉です」

 

 

やっぱり、あの永瀬って子は海軍航空群のウィッチか。

と言うか、中学生か高校生かは分からないが、あの容姿で士官レベル、プラスのエリートウィッチかよ。まぁ、この基地のボスと言う前例もいるから納得してしまうが。

 

「遅れてすみません。私がこの試験評価飛行隊の隊長を勤めています。三嶌 雪子です、よろしくお願いします」

 

三嶌3佐が会釈すると俺たち見習い組が敬礼する。

俺たちも自己紹介した方がいいんスか?と意味を含ませた視線を竹林隊長に送ると首を横に振られた。

 

 

「紹介も終わったことですし、三嶌3佐。明日からの飛行予定を話し合いたいので彼女たちは......」

 

「分かりました竹林1佐。園田1尉、後をお願いね」

 

 

そう言うと竹林隊長と三嶌3佐は基地施設へと歩いてゆく。

残された俺たちはセカンド・フライトのブリーフィングは済ませていたのでフライト前点検を行おうとしていたのだが、ハンガーに向かう途中、背後から声を掛けられた。

 

「えーっと......そこの3等空尉!」

 

『はい?』

 

俺たち男4人が振り返る。

......いや、仕方ないじゃん。全員階級が3尉なんだから。

 

それに慌てている園田1尉に俺が代表して答える。

 

「あー園田1尉? 何か御用でしょうか?」

 

「あ、うん。 これから訓練飛行かしら?」

 

「そうですが......何か?」

 

「私たちと勝負しない?」

 

両腕を胸の前で組んだ彼女が一瞬間を於いて言う。

言われた俺たちは一度互いの顔を見合わせた。「この人なに言ってんだ?」と口には出さないが、全員の顔がそう物語っていた。

 

俺は再び彼女たちに向き直る。

 

「あなた方と? でも、これからやるのは教導群との......」

 

「いいじゃねぇか、アイドラー(遊び人)?」

 

「ひ、日野さん!?」

 

突如として現れた教導群の鬼ドライバーに驚く。

俺たちと彼女たちも、すかさず敬礼する。

それに軽く答礼する日野さんと呼ばれた男は整備員が運転する牽引車から降りると、こちらに歩み寄ってきた。

 

 

「最近は俺たちとのACM(対戦闘機戦闘)ばっかりだったから、いつかは教導群のウィッチ隊との対NW(ネウロイ・ウィッチ)戦訓練をやらせるつもりだったからな。丁度いい練習になる」

 

 

そう言う日野さんの顔は面白い悪戯を考えた子供のようだ。

思わず溜め息を吐いてしまう。この人の考える事の8割方はろくでもなか。いつも貧乏くじを引かされるのはカモである俺たち、見習い組なのだ。

 

 

日野 彰(ヒノ・アキラ)2等空佐。

今年で38歳で飛行時間は約2100時間のベテラン戦闘機乗り。

飛行教導群所属でのTACネームは「パンサー」と呼ばれ、俺たち見習い組と度々、戦技指導をしてくる。階級の上下云々に関係なく隔たり無く接してくれる性格な為「日野さん」と、さん付けで呼ばせてもらっている。

 

 

「徒梨、どうだ?」

 

「こっちが断れないのを分かっているくせに......了解です」

 

 

色々と面倒見てもらっている以上、断る事も出来ない。

俺の答えにニヤついた表情で園田1尉に「だ、そうだ」と伝える日野さんに彼女も自然と口元に笑みを浮かべて頷く。

 

俺たち、と言えば苦虫を噛んでしまったような表情でしぶしぶ、準備を整えつつハンガーに向かうしかなかった。




どうもですヽ(0w0)ノ

インフィニティのオンライン戦では現在、艦隊防衛戦が実施されていますが私は今回、あまり積極的に行かないような方針です。

賞品が......ね。

最近は仕事も何かと落ち着いてきたのでホッとしました。
この前、どの航空機が好きなのか聞かれたので答えておきます。
F-15 イーグル
F-14 トムキャット
A-10 サンダーボルトⅡ
YF-23 ブラック・ウィドウⅡ
JAS-39 グリペン、ですかね。

グリペンは、ある戦闘機が出るPCゲームで出た事で一番好きです。ゲーム自体は酷な評価でしたが(´ー`)

いつかは、悲運なブラック・ウィドウⅡを題材にした小説を書いてみたいものです。

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