ACE WITCHES:INFINITY   作:フェネック

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2016年5月、ウルク。
これはネウロイとウィッチの戦いの陰で、不発弾と言う名の敵と戦う命しらずの男がいた。容赦なく照りつける日差しの下、彼は今日も危険地帯へと赴く。


※映画「ハート・ロッカー」とストライクウィッチーズとのクロス二次創作です。一応、ACE WITCHES INFINITYの世界観の中での出来事です。ちょっと書きたくなりました、すいません。

#のあとに00がつくのは他作品とのクロス物にします。


他作品クロス編
#00 DAREDEVIL-地獄の炎天下-


 

 

 

「生きるか死ぬか、現場に出ないと分からない。サイコロの目で決まるようなものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年.5月11日.11:43hrs

中東の国ウルク.首都バグダッド近郊

 

 

 

 

 

 

 

『周辺区域はクリア。引き続き───』

 

 

 

無線を切る。

あとで分隊の同僚からとやかく言われようが言われなかろうと俺は気にしないし、同僚の奴らも今更心配の『し』の字も出ないだろう。俺は連中がそうなるまで今までソレで通してきたからだ。

 

左腕にバンドで付けてあるタブレット端末を一瞥する。既に作業開始から40分経過......ようやく面倒なのが終わった。

 

俺は少しずつ、ゆっくりと、慎重に手を掛けソレ......ネウロイの置き土産である航空爆弾の不発弾。その先端コーンを回し始める。

 

全長40センチ、太さ8センチの典型的な砲弾型航空爆弾。

外見は小型の為、大抵侮ってバカやっちまう奴が多い。コイツはこんな小ささで......リベリオン軍機が投下するMk82などの500ポンド級爆弾以上の破壊力を持っているのだ。洒落にならない。

 

 

コーンを外すのにたっぷり10分ほど使い、ようやく中の信管型コアとご対面した。コーンを投げ捨てると傍らに置いてあった冷却剤の入った金属ケースを開ける。

 

このタイプのコアはヒートチャージによる熱暴走後の自爆を抑える為に構造体内殻は極低温状態にあり、このケースはそのコアを移すのに使う代替え品だ。

 

 

コーンを取り外してまだ間もないので定温状態のコアをゆっくりと取り出し、ケースへと移し替える。無事に完了。

 

 

「───っはぁ......」

 

 

今まで我慢していた溜め息を吐くと対爆ヘルメットのバイザーを上げ、新鮮な空気を思いっきり吸い込む。

 

 

NBUー3A“トリプルスリー”ネウロイ航空爆弾の不発弾1発を無力化。解体所要時間58分弱、瘴気の漏洩無し、周囲に影響なし......任務完了っと。

 

俺はタブレット端末にそう書き込むと無線のスイッチを入れ、分隊に伝える。

 

 

「駆除完了、周囲に異常なし、アイスボックス(コア回収用金属製冷却ケース)と俺の回収を頼む。オーバー」

 

『───了解したブラスター1。待機しろ』

 

 

百数十メートルほど離れて待機していた分隊のハンヴィー数台がこちらへと砂塵を巻き上げながら向かってくる。

 

俺はヘルメットの固定部位を解除し、ヘルメットを掴み外す。上から太陽が燦々と照りつけ暑さを。そして砂が混じった生暖かい風を肌に感じるいつもの事に飽き飽きする。

 

 

......が、“駆除”に楽しみを感じる。俺が異常な証拠だ。

 

 

だいたいこの仕事をする奴は早死にするか、数回やって精神が参って病院送りになる奴か、それだけだ。

 

 

俺は十年以上は従事している命知らずだ。ゴキブリの糞を片付けるだけでウィッチと同じかそれ以上の給料貰えるんだ。こんな良い仕事は他にないし、今更辞めるつもりもねえよ。

 

そう思いつつ胸元のポケットからタバコを取り出し口にくわえる。

 

ライターは何処にやったかと、身体中を探していた時、歩み寄ってきた同僚が、取り出したライターで火をつけてくれた。顔がニヤついていたので「何だ」と聞く。

 

「そろそろ辞める気になったか?軍曹」

 

予想していた通りの質問に俺もニヤリと口元に笑みを作り、相手が予想しているだろう答えをいつもどおりに返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなクソみたいな仕事辞められるわけねえだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はウィリアム・ジェームズ。階級は一等軍曹......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命しらずなクソ野郎共の一人さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「交差点を曲がった時、爆音が2、3回と響いたあと助手席に座っていた軍曹が呟いたんだ。────4人死んだな、と」

 

リベリオン陸軍第1歩兵師団ブラボー中隊所属マシュー・ロビンソン特技兵(2016.5/14.10:17hrs)

 

 

 

 

 

 

2016年.5月14日.10:37:10

ウルク.首都バグダッド郊外.side/ウィリアム・ジェームス

 

 

 

俺は胸くそ気分が悪い。あぁ悪いね。

どこの下手くそがヘマしでかしたのか知らねえよ。どうせミンチ状態でハローだ。死ぬのは勝手だが、事後処理するヤツの事少しは考えろ。

 

腹の内が煮え繰り返っている俺はブツブツと呟くと遅い朝食であるサンドイッチを口の中へと押し込み、さらにコーヒーで食道へと無理やり流し込む。

 

舗装されているが所々爆撃による穴が出来ている道路を数台のハンヴィーがエンジンを唸らせながら進む。

 

揺れる車内から見る外の景色は酷い。

此処バグダッド郊外に位置する危険指定区域“ゴースト・ストリート”の名に相応しい場所だよ。何もない、あると言えば別部隊が設置した自販機ぐらいなもんだ。

 

長年に渡るネウロイの猛攻撃、そして多国籍軍による猛爆撃によりクソ(不発弾)が多く、十年以上経過した現在も民間人の住居建設、立ち入りすら禁止されている。

 

ウルク政府高官どもは不発弾を早急に~っとリベリオンやその他先進国に頼みこn......いや、駄々をこねている。

 

自前のウルク陸軍は「専門の部隊が......」「ウルク北部のネウロイ残党の警戒に......」で実質動けないとのことだ。本音を言えば対ネウロイ戦を考え、そんな雑用で自国軍兵士を失いたくないと......そういうわけだ。クソッタレ。

 

 

『チャレンジャー1よりレッドアイ2へ。シエラ・エコー15にて爆発を確認。そのポイントにはチャレンジャー1ー3が不発弾を処理中だったが......現在1ー3との交信が途絶している。オーバー』

 

 

ほらみろ、思ったとおりだ。

チャレンジャー1ー3といや、まだ此処に着任して二カ月のルーキー共じゃねえか。

 

他の三人は何してやがった?

グリーンゾーンに退避していなかったのか?はっ、そうだとしたらヘマ1人ならまだしも4人揃ってただのバカ野郎だったか。

 

 

「レッドアイ2ー2よりチャレンジャー1。話は聞いた。というか現場にかなり近い位置にいる。これより確認に向かう。念のため回収班を呼んでおいてくれ。オーバー」

 

 

運転手のマシュー・ロビンソン特技兵がレシーバーを片手に答える。

 

ロビンソンは最近まぁまぁ使えるようになったチームのメンバーで、レッドアイ2小隊の中で一番若く、実戦経験は1、2度とのこと。経験不足の為、その表情は緊張と不安の色が見ていて分かる。いや、分かりやすい。

 

 

「心配しなくていいぞロビンソン。お前はルーフのブラウニー(50口径機関銃)で周辺警戒すりゃいい。だいたい、現場行って生死確認するだけだ。別に処理じゃねえから」

 

 

俺がそう諭すがロビンソンの顔色は変わらない。

 

 

「なら......いいのですが」

 

 

大通りから右折した瞬後に目に入る爆発地点。廃墟と化した商店が建ち並ぶそのすぐ脇にある穴。

 

 

「おい、アレ......」

 

 

後部座席から前方を指差すのはチームメンバーのサミュエル・クラーク三等軍曹。ジェームズが指す方向に目をやる。

 

通りの向こう側100メートル先に停まっている件の1-3のと思しきハンヴィー。少し近づいてみた時、俺が止めろと言う。二人が不思議な顔で見つめる。

 

 

「気づかないのか、周りをよく見ろ。コレだよ、コレ」

 

 

俺がドアを開け地面から鋭い矢のような形状の黒いモノ......直径2cmほど、長さ15cmの金属物を抜き取り二人に見せる。周囲をよく見渡すとソレがそこら中に地面や建物、瓦礫に無数に突き刺さっていた。

 

クラークが呻くように呟く。

 

 

「“ヘッジホッグ”だ」

 

「ビンゴ」

 

 

すかさず俺が答える。

“ヘッジホッグ(ハリネズミ)”は形式NCBー01。A/Bの二つ型がありAはタングステン並みの強度を持つ杭を散弾式に投射する。Bは標的上空で大量の子爆弾を散布するタイプ。不発弾だった場合の両方の見分け方は弾頭周りにある正六角形の赤い模様の数だ。

 

 

俺がその杭を眺めていると、ロビンソンが心配そうに聞いてくる。

 

「瘴気とか大丈夫なんですか?」

 

「計測器に反応がない。大丈夫だ」

 

俺は杭を投げ捨てると炸裂したヘッジホッグに近づく。

 

弾頭カバーが風に吹かれだらしなく揺れてケース内が空だよとアピールする。恐れることなくその爆弾に触れる。ある程度調べると胴体側面部にある投射口が開いていないことに気づく。

 

「側面部が開いていないが死んでるか・・・・。吹き飛ばしても周りに影響がないな」

 

俺はそう判断するとヘッドセットを装着し、レッドアイ2指揮官に呼び掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────三十分後

 

 

 

 

「爆破っ!!!」

 

工兵が叫ぶと腹の中まで浸透する爆発音が身体全体を揺さぶる。衝撃波と共に大量の土煙が舞い上がり、土砂が辺りに降り注ぐ。

 

 

あの後、ジェームズはレッドアイ2指揮官を経由して近くにいたレッドアイ2ー3に応援を要請した。C-4による爆破除去の為だ。

応援に駆けつけた2ー3のメンバーがヘッジホッグAに適量のプラスティック爆薬を貼り付け......今に至る。

 

 

少し離れた地点でハンヴィーの陰に隠れていたジェームズ達。ロビンソンとクラークがゆっくりと顔を上げ爆破箇所にあったヘッジホッグが綺麗に消し飛んでいるのを確認すると安堵した。

 

二人は顔を見合わせ上官(ジェームズ)を見るが、彼はイヤホンをつけ気楽に音楽を聴いていた。

 

 

再び顔を見合わせた二人はやれやれといった感じで両手を振る。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、ウルク首都バグダッド郊外にて不発弾処理にあたっていたレッドアイ小隊の総合処理数は31個。うち5個が味方のMk82無誘導航空爆弾だった。

 

 

解体処理数は22個。残りは無人地帯で爆破解体。そのあとは味方が敷設したバリケードの撤去作業。

 

 

だが、アルファ中隊の第1小隊第3分隊がNCBー01A“ヘッジホッグ”爆弾を解体中に起爆。大量の杭による散弾とそれに続く爆炎により全滅、全員が死亡。回収班である小隊が到着し3人は回収、うち1人は見つからなかった────まぁ、分かるだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コレが今の俺たちの“日常”だ。

ウルク・ネウロイ戦争集結から約十年。未だにヤツらと味方が撒いたクソは熱を保ったまま、その悪臭を放ち続けている。......俺たちが踏んで嫌な目に遭うその日まで。

 

 

 

 




どうでしたか?

やはりネウロイとは言え、不発弾はあると思います。
投下する航空爆弾、ミサイル、地雷などに信管型コアがあり、目標に命中しなかった、或いは、信管型コアが機能停止した、など色々あります。

信管型コアは常に高温状態であり、コアを覆う殻(弾体)内部は熱暴走による自爆を抑制する為に極低温である、とします。

処理方法は文中での通りです。

アイスボックスと呼ばれる冷却ケースに信管型コアを入れるか、爆破処理するか、ですね。

ジェームスの所属ですが、彼はリベリオン陸軍第20支援コマンド隷下の第52武器群第1爆発物処理大隊所属にします。

EOD(Explosive Ordnance Disposal /爆発物処理)ですね。

付け足すと、劇中内で彼の服装をよく見れば元は第75レンジャー連隊に所属していたってのがわかります。

ってことで、今回のハート・ロッカーとのクロスは終了です。
続きはしませんが、登場キャラは出番があれば、ですね。

では、また次回で
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