犠牲になった人々の総数は未だに判明していない。
絶望に包まれた人類は希望ある復興への道へと歩み出した。
大国は復興の為には無茶を通り越すこともあった。
年月が過ぎ、人々は平和が帰ってきた、と言った。
争いの火種を残したままの現状をどこが平和なのか?
力在る者が笑い、無き者は悲壮に満ちているこの世界を
私は嫌いだ。
だから
また“リセットする”必要があるのだ。
2019年.5月3日.1230hrs
扶桑.神奈川県.厚木基地.新城久幸
「よし!繋留は完了だ。 第1班は2班に加勢してこい!」
国防空軍輸送要員を指揮する班長の声がハンガー内に響く。
輸送用の荷台に積まれた積載物の繋留ワイヤー固定を完了した輸送要員達が「はい!」と返事し、隣のハンガーへと走る。
だだっ広いハンガー内に残された班長は入口近くで積載物をジッと眺める俺へと歩み寄る。
「誰かと思えば久幸か。どうしたこんな所で? もうアローズの連中はグアムに飛んだって聞いたが」
「俺の機体の積み込みがまだ終わってないんだよ。飛んで行けば早いんだろうが.........何せ
班長の問いに俺は肩を竦め答える。
事実上、機体が不調を起こした久幸以外のアローズ社の面々は2日前の戦闘後、護衛対象である国連艦隊からの要請で一足先にグアムへと飛んだ。既にテレビのニュース番組や新聞で取り沙汰されている為、取材から逃げるようにしたのだ。
もっとも、最初から扶桑や国連艦隊側から言われた通りに遂行しただけだ。要は「“傭兵”と言う職業柄であるアローズ部隊が東京を守ったとなると『では扶桑国防軍や東京湾にいた国連艦隊は休憩していたのか?』と国民や諸外国から思われしまう。それだけは避けたい」と、お願いと言う名の命令だ。
班長が作業帽を被り直す。
「まったく...お前さん達も理不尽な扱いだなぁ」
「仕方ないさ。そういう職業なんだ。それに給料と言うより報酬か、も割と良いしな」
久幸がそう言うと再び視線を荷台に向ける。
載せてある物は2日前の戦闘で撃墜した偵察用UAV「サーチャー」の改良型と思う機体と「クオックス」の残骸だ。
埋め立て地に墜落したものや、都市部郊外で撃墜された破片を回収し、簡単な調査がこの厚木で行われていたが機体残骸を更に詳しく調べる為に技研のスタッフがいるADTW(Air Deployment and Test Wing:飛行開発実験団)の本拠地、岐阜基地に輸送されるようだ。
この2日間に判明したことが多数ある。
1つは、先日の東京での無差別テロがイユーリの反大国主義の武装テログループ「サンズ・オブ・トロイア」による犯行だった。
東京都市部には被害が出ており、加えて国連艦隊所属艦船にも少なからず損傷を受けた。お偉いさん方はご立腹らしい。
そして、この使用されたUAVが「ヴェルナー・ノア」社製であることが判明したのだ。特に気になったのが「クオックス」についてだが、ヴェルナー社が扶桑で開発したMQ-90のデータを盗み出し、それを改良した機体を製造したらしい。
だが、1つ気になることがあった。
新方式の半自動操縦システムで飛行する「クオックス」には専用の改良型GPS衛星が必要なのだが、今のところ不明なままだ。
グッドフェローの推測では、恐らくは戦闘時に高高度を飛行していた未確認の戦闘機が何らかの中継機の役割を果たしていたかもしれないな、と。
この未確認機は東京湾に停泊していた扶桑国防海軍駆逐艦「りょうかみ」が捉えたものらしい。それまではアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーを備えたFPS-5及びFPS-7サイトは捕捉出来ていなかったと言われている。
「『ヴェルナー・ノア』には査察団が向かったって聞いた。それで『クオックス』のデータだけならまだしも、他にどえらいもんが出てくるんじゃないかと、俺は踏んでるよ」
隣で缶コーヒーのタブを起こした班長が言った。
俺も班長から貰った缶コーヒーのタブを起こし、一口飲む。口内に広がるいい感じの苦味が荒れていた思考の海をスッキリにしてくれた。
「それが
「何言ってんだよ。面倒事イコール稼ぎ時ってのがお前さんらだろ?」
「まぁ......301に居た時よりは充実しているのかな」
「301......? お前さんもしかして......ん?」
301に反応した班長が何かに気づきハンガーの外へ振り返る。
俺もその“音”に気づき班長につられて視線を滑走路へ。甲高いジェットの音と共に滑走路へとタッチダウンしていく4人のウィッチの姿が目に入った。教科書に載っている通りに綺麗にアプローチしては見事なタッチダウンを披露する。
彼女たちが履いているのは......震電Ⅱだ。
ビジネスジェットの分野で成功していた大河重工が2008年から開発を始め10年という驚異的な期間で完成させた第5世代機だ。
機首カナード、主翼翼端に可変機構がある前進翼と、同じく可変機構の水平・垂直尾翼の機能を併せ持つV字型尾翼。
最大推力102kNを誇る
その高い性能は在扶リベリオン空軍との模擬戦闘訓練で実証された。
F-22戦闘機脚を駆るリベリオンウィッチがF-3A戦闘機脚を履いたウィッチと模擬戦時にアクティブレーダー誘導のAIM-120D AMRAAM(アムラーム)視程外射程空対空ミサイルがロック出来なかった(D型AMRAAMだったのかは定かではないが、事実、リベリオン軍は模擬戦後、対ステルスネウロイ用のAIM-120Xを開発中であり震電Ⅱとの模擬戦の影響を受けたのは間違いない)
また、未確認であるがAIM-9Lの赤外線シーカーが震電Ⅱに反応しなかったという情報もある。
ドッグファイトに移行した両機だったが、ここでも震電Ⅱの機動性が物を言い、驚異的な機動で一瞬にして背後を取り優位に立った。これにはF-3に懐疑的な見解を見せていたブリタニア空軍幹部は驚き、急遽F-3の発注を再決定したと言われている。
......と、話が逸れてしまった。
そのウィッチのユニット上面には白の1本線が引かれており、尾翼には「RIDGEBACKS」の文字と部隊章には隊名の由来となった冠をつけたローデシアン・リッジバックの姿が描かれていた。
久幸はその部隊を知っていた。
「国連軍第19特殊飛行隊......リッジバックスか。原隊は中部航空方面隊第9航空団隷下だったか」
「予定より早く到着したな。彼女たちが積み荷の護衛らしいが、大層なこったな」
班長がそう話すと無線で自分が指揮する輸送班を呼び出すと「リッジバックス」のユニットケージを用意するように指示した。班長も自らの仕事をする為に歩いていく。
「じゃあな久幸。 今度空軍時代の話を聞かせろよな」
「あぁ、今度会えばな」
背をこちらに向けたまま手を軽く振り歩く班長を見送る。
その視線を誘導路からエプロン(駐機場)に進入した彼女たちへと変える。エプロンには既に待機していた整備士達とユニットケージが見えた。ケージは荷台に積まれており、ドリーが牽引していた。
4人のウィッチがそれぞれのケージにF-3A......いや、よく見ればA型ではなく初期のASF-Xと呼ばれた通常離着陸型だろう。外見は差ほど変わらないように見えるがA型より大型の上部エンジン用インテークで見分けがだいたいつくだろう。
ウィッチたちは
その内の1人には見覚えがあった。
「......永瀬、か」
彼女の事は知っていた。301時代に少しだけ一緒に飛んだことがあった。
着任時の印象は飛行のセンスは抜群、だが危なっかしいと言った感じだ。
視線の先にいる彼女は301時代から変わらないショートの黒髪を風に靡かせ、その大人びいた目つきで愛機を一瞥すると整備士にヘッドセットを渡した。
その際に視界の隅に居た俺を見つけたらしい。
あまり、関わらないように俺は背を向けハンガーから基地外へと通じるコースを足早にその場を後にした。
私が整備士にヘッドセットを渡した時だ。
整備士の肩越しにハンガーの入口近くに立つ人物に気が付いたのは。
彼も私が見ていることに気づいたらしく、振り返ると足早に去ってしまった。
「何故、貴方が此処に......新城 二尉」
どうも皆さん、フェネックです。
今回はキャンペーンでは「渡り鳥」の前の話にしてみました。
第19特殊飛行隊「リッジバックス」の永瀬と新城の過去話はいずれ閑話で出します。
そういえばオンラインのインフィニティでは来週、ミニイベントがあるみたいですね。A-10の特殊スキン(グリーンを基調としたリザード・カムフラージュのシャークマウス)と通り名、クレジットみたいですね。私も1000位以内を目指して頑張ろうと思います。私は今育てている機体はEA-18Gです。
キャサリン・ブランドナー(Catharine Blandner)
所属:アローズ社派遣傭兵部門航空部第1航空隊
コールサイン:「ボーンアロー3」
TACネーム:「ブロンコ」
階級:中尉
身長:165cm
誕生日:6月3日
出身:ブリタニア イプスウィッチ
年齢:16歳
使用機材:F-16F戦闘機脚“デザート・ファルコン”
使用武器:AW50、TAC-50A1、HK417...他
使い魔:ヨーロッパヨタカ
固有魔法:超視力・弾丸の誘導