2019年.5月19日.1300hrs
リベリオン.フロリダ州.ホームステッド空軍基地
「先日の東京での1件でイユーリへの強制査察が行われた」
グッドフェローの言葉で始まったブリーフィング。
薄暗い室内には俺たち「ボーンアロー」のメンバーのみ。第2航空隊は引き続き国連艦隊の護衛任務についている。
5月半ばのフロリダ。外は快晴で汗が止まらないぐらい暑い。
5月でこれかよ、と基地に着陸してエプロンで駐機したファントムⅡから降りようとキャノピーを開けた瞬間に生ぬるい風とともに強い日差しが襲ってきた。
まぁ、ブリーフィングルーム内はクーラーが効いていて快適だが隣では机に平伏すようにぐだ~っと倒れているアリシアの姿が目に入る。
呪詛のように「暑い暑い暑い暑い......」と呟いている彼女に誰も、グッドフェローも突っ込まないでそっとさせていた。
「例の新型UAVに関する証拠は得られなかったが......別途、宇宙兵器の開発計画が判明した。これには複数国が関与している」
どうやら班長の勘は当たったようだ。
それにしても『宇宙兵器』とは。これまた凄い物が出たな。
「国連は宇宙条約の無視、核に代わる新たな脅威としてすぐさま開発計画の中止を要請した。これによりヴェルナー社の軍事部門最高責任者が解雇された」
モニターに映し出された責任者の顔を見て納得。インテリ系の腹黒そうに見える。
「......ここからが俺たちがフロリダに呼ばれた本題だ」
「エリアB9K、西インド諸島の宇宙センター「コモナ」基地に未確認の輸送機編隊と護衛機を確認した。今話題の宇宙兵器関連施設だ。積み荷は不明だが、敵機と判明しだい撃墜を許可する」
なんで俺たちが、とダリルが頬杖ついて呟く。
「本来なら国連かリベリオンの仕事だが、犬猿の仲である南璃諸国を刺激したくないらしい。先のアジア共同体でのテロ解明がメディアの取扱いも大きいからな」
「汚れ役は俺たちプライべーティア、だろ?ヴァイパー。今作戦にはお前も出てもらうぞ。この任務が遂行すればまた国連から報酬をたんまり貰えるんだ。損はないぞ」
「わかったわかった。その代わり、任務が終わりしだいバカンスを楽しませろよな?」
ダリルがニヤリと笑みを浮かべ隣にいる俺たちを一瞥。
「バカンス」の言葉に反応したアリシアが起き上がりキャスと「やったね!バカンスだよキャス!」と少女らしく喜んでいた。キャスは無表情のままアリシアと手を叩き合っている。心なしか内心喜んでいるように見える。
ブリーフィングルーム後にグッドフェローに告げた。
「ビーチの1つぐらい貸し切らないとやばいかも」と。グッドフェローは「はははっ」と笑いつつも段々と表情が青くなっていた。
《南国はいいねぇ》
アリシアののんびりとした言葉に苦笑する。
到着時にはあんなにぐったりしていたってのに、もうピンピンしてやがる。バカンス効果恐るべし。
《こちらグッドフェロー。国籍不明輸送機及び護衛機がコモナ基地に接近している。敵機だった場合は分かっているな?》
《こちらボーンアロー1、ヴァイパー。
《ヴァイパー、頼むぞ》
《あいよ、ヴァイパー了解。......あーあー、国籍不明機に告ぐ。こちら国連独立コマンドのアローズ所属機、我々の誘導に従って進路を...っと?》
面倒くさそうに勧告していたダリルが何かに気付くと同時に散開する輸送機の護衛機。ありゃ、やる気だな。
《不明機からの火器管制レーダーの照射を確認。敵機と断定》
《だと、思ってたよ》
アリシアがやれやれと言いながら銃のセーフティーを解除。
俺はマスターアームをONにし、キャスは背中に回していたオーセンティシティー・インターナショナルAW50対物ライフルを手にしボルトを操作すると初弾を薬室に送り込む。
天気は快晴、目立った雲なし、視界は開けている。
《よっしゃお前らおっぱじめるぞ!》
《ボーンアロー4、久幸!辛気臭いマークのルーキー!》
「ちょっ!名前で呼ぶなよ!」
《ついて来い。腕を見てやる》
ダリルがそう言ってストライカーの魔導ジェットからエーテルを勢いよく噴かすと、敵編隊の中に突撃した。
「はやッ!?くそっ!」
俺もスロットル全開にして後に続く。
ファントムⅡのジーニアス・エレクトロニクス製J79エンジンが雄叫びを上げる。2019年の現在で70年代からのライバル機同士が翼を並べて飛ぶ様は何とも可笑しな光景に見えるだろう。
一旦上昇していたダリルがくるりとその場で一回転すると急降下、手にしているM240軽機関銃を構え射撃する。
狙われた敵機MiG-29は魔法力により強化された7.62mm弾を右翼からエンジンノズル部分まで喰らい、火を吐いた。それを見届けたダリかが次の標的を撃墜するまでに10秒も掛からなかった。
「これがエースウィッチの動きかよ......」
思わず眺めていた俺は任務に集中するべく、輸送機に接近するとサイドワインダーを1発発射。輸送機のエンジンの熱源に食いついたガラガラヘビがマッハ2を超える速度で迫り信管が作動、右主翼全体に爆破片を受けた輸送機は出火し、爆発。右翼を失った輸送機は真っ逆さまに墜ちていく。
「スプラッシュ1!」
そうコールすると上昇。
一定高度で水平を保つと左翼を何かが追い抜いて行った。
アリシアだ。
アリシアがASRAAM(アスラーム)赤外線誘導ミサイルを発射し1機撃墜するとロール、通常戦闘機で言う背面飛行のようにM16A4を上空の無防備な下面を見せている敵機の
《よっしゃー!うおっ!?》
アリシアに迫っていた敵2機が何処からか飛んできた銃弾を受け撃墜された。間をおかずに無線から囁くように言う声が出る。
《油断し過ぎ、オメガ。3時上方から敵機1、降下......撃墜》
遙か上空から眼下の戦場を見下ろすように対物ライフルを構えるキャスが降下中の敵機を捕捉、狙撃した。狙撃された敵機には通常の50口径弾ではあり得ない大きさの穴が空き、爆発した。
《サンキューブロンコ》
《残存2機、いや1......0。ヴァイパーが2機撃墜》
《え!ちょっヴァイパーお前!》
《遅かったお前が悪いんだよオメガ》
M240の空のボックスを投げ捨てると背中に回したヴァイパーが水平飛行中の俺の隣に来ると残りの2人も合流した。
《スコアは?》
《戦闘機9、輸送機1》
《ハァ!?私なんか4機だったのに...ブロンコは?》
《6機》
《......》
「ドンマイ、アリシア。俺は戦闘機4で輸送機1だ」
《うがぁ────!!!》
ダリルと俺でケラケラ笑っていると不意にグッドフェローから通信が入る。
《良くやったボーンアロー隊。ヴァイパー、今回の新入りはどうだった?》
《リーパーか。まぁまぁってとこだな》
その言葉にガクッとへこむ。
そんな俺にダリルが話を続ける。
《どこで力が伸びるかは本人しだいさ。一線を越えることが出来れば誰でも物に出来る》
《まぁ...前の奴はそれを見る前に堕ちたがな》
《お前が無茶させるからさ》
グッドフェローの言葉にダリルの表情が一瞬だけ変わったことに気づいた。俺の前任者の話らしいが......あまり話に突っ込まないようにした方が良さそうだな。
俺たちは翼を翻すと基地への帰投コースをとった。
基地に帰ってきた俺たちを待っていたのは、残念ながらバカンスではなかった。
オラーシャに来ていた「グレイメン」と呼ばれる特権階級のメンバーが「サンズ・オブ・トロイア」に拉致されたようだ。
時を同じく、イユーリのヴェルナー社の施設を占拠した。他のヴェルナー社関連施設でも武装蜂起が起こったらしい。
なんとも、迷惑な話だ。
どうもです!
さて、そろそろ「サンズ・オブ・トロイア」による動きが加速していく中、バカンスを逃した空賊、ボーンアローズは火中のイユーリへと向かう......。ですね。
個人的には「ブロンコ」が喋ったのって1ミッションしかありませんよね?謎多いキャラだし、エンブレムすら無いとは在る意味不憫なキャラかもしれないですね。
このストーリーではブロンコもといキャスは「オメガ」アリシアの幼なじみで、エンブレムはTACネーム通り「馬」のエンブレム、無口冷静なイメージだからスナイパーポジション、Sっ気がある、ですかね。
西インド諸島から近いリベリオン基地って何処だと思って検索したらアサルトホライゾンで登場したホームステッド基地があるなぁと。インフィニティでもたぶんこの基地から飛んだんですかね?
では、次回で。ダスビダーニャ
ダリル・ヘイルウッド(Daryl Hailwood)
所属:アローズ社派遣傭兵部門航空部第1航空隊
コールサイン:「ボーンアロー1」
TACネーム:「ヴァイパー」
階級:大尉
身長:167cm
誕生日:11月14日
出身:リベリオン シンダシティ
年齢:17
使用機材:MiG-21 bis戦闘機脚“バラライカ”
使用武器:M240、ブラウニーM2、M4A1...他
使い魔:サンゴヘビ
固有魔法:覚醒