2019年.7月8日.1100hrs
オストマン.アダナ.インジルリク空軍基地
現在は救出作戦から約1ヶ月後の7月8日。
可能な限り飛行を抑え陸路で移動した俺たちはオストマンのアダナから数キロ離れたリベリオン空軍基地インジルリクにいた。
国連はイユーリへの爆撃作戦を準備中だが、ストーンヘンジ・ネウロイによる地対空砲撃で近づけない状態だ。そのストーンヘンジ・ネウロイに対するオストマン陸軍陸上部隊による幾度かの攻撃は全て失敗しており、砲台は健在だ。
まぁ、オストマン陸軍の面子の為に付け加えれば、ストーンヘンジ周辺の陸戦ネウロイの大半を片付けたことにより今回行われる作戦の成功率がまぁまぁ上がった。
「これより、エリアT8F、オストマン北西部アナトリア高原の“厄災の記念碑”ストーンヘンジ Type-3に攻撃を行う」
モニターに映し出されたのはオストマン北西部一帯とストーンヘン Type-3と周辺のネウロイ部隊の位置情報だ。
「レールガンの直撃はもちろん、砲弾の衝撃波に巻き込まれても即終わりだ。また、敵はストーンヘンジ中央部に電子戦型ネウロイを配備している」
位置情報がスクロールされ、電子戦型ネウロイの画像とスペック等が表示される。電子戦型は通称“ジャミーズ”と呼ばれる種類の陸上型ネウロイの事だ。
UGV(無人陸上車両)が捉えた画像のジャミーは半径数キロ程度を妨害可能とするタイプのようだ。近ジャミーと呼ばれるが、ジャミング効果はジャミーズの中でも1、2のレベルであり、通信妨害の他、接近する航空機やミサイルに対し照準を狂わせるソフトキル攻撃を行ってくるのだ。
「FCSが攪乱され、航空機からのロックオンは無効化される。そこで、リベリオン第1海兵師団第1戦車大隊を主力とする友軍地上部隊がストーンヘンジに接近し、電子戦型ネウロイを片付ける。その後、お前たち航空部隊が空爆で目標群を沈黙させる」
「つまり、試合前半は友軍地上部隊の前進を阻むネウロイを掃討し、EWネウロイを排除後に本丸をヤるわけだな」
俺の解釈に、グッドフェローが頷く。
「久幸の言うとおりだ。地上部隊がネウロイに足止めされる分、お前たち航空部隊は砲撃を喰らい続ける。迅速なる行動が要求されるわけだ」
それは確かに重要な仕事だ。
あんなクソみたいな砲撃の嵐に長い間曝されたくはないからな。
「何か質問はあるか?......では、解散だ。幸運を祈る」
パイロットやウィッチが席を立ちブリーフィングルームの外へと出て行く中、久幸がグッドフェローに呼び止められた。
「久幸、申請があったお前の新しい機体がエプロンに駐機してある。ボーンアローズのストライカーケージの横にある機体だ。...リベリオンからのおさがりとは言え、新品同様だ」
「わかってるよグッドフェロー。大事に扱うさ」
そう言うと俺は駆け足でエプロンへと向かった。
「おい、マジかよ...!」
フライト装備に身を包んだ久幸は思わずそう叫んだ。
ダリルたちのユニットケージの隣に並ぶように駐機してある機体に目を見張った。
鋭い
後退角を持つ主翼、垂直・水平尾翼。胴体両側面部に密着するよう装備された後続距離延伸用のコンフォーマル型燃料タンク。
その名を、F-15E ストライク・イーグル。
複座型のF-15Dを元に空対地能力を強化し、見た目はD型のままのようだが60%の設計変更がされ“化けた”鷲だ。
その暗色の機体は真上から照らす陽光に幾度となく反射し、その存在感をアピールしていた。
機体に駆け寄った久幸が機首左側面の昇降用梯子を使いコックピット内に乗り込む。新しい玩具を与えられた子供のように目を輝かせ操縦桿とスロットル・レバーを握る。
すると突然、シャッター音が鳴る。
「誰だッ!?......って!」
久幸が驚いて後ろを振り返ると1人の男が顔を見せていた。
「よう! 久幸。自分以外女の子だからって元気過ぎじゃね?」
ニヤリと笑うその男を見た久幸は驚愕した。
「徒梨!? お前、どうしてこんな所にいるんだよッ!?」
「俺も国防軍を辞めたからさ」
「は、はあぁッ!?」
まるでアルバイトを辞めたような感覚で答えた男の言葉にコイツ正気かッ!?と言った具合に衝撃を受けた久幸。
その表情を再び撮影した後部座席に乗り込んでいる男は久幸の元同僚であった
久幸が国防軍301飛行隊時から気が合い、バディを組んでいた元同僚である彼がさも当然のように此処にいるのだから、久幸が驚くのも無理は無かった。
呆然として座席に立っている久幸に「まぁ座れよ」と言う航平の言葉に我に戻った久幸が座席の上部を掴み、何事か言おうとした時、管制塔から発進命令を受けた。
「...ったく、新田原に瞬間移動したかと思ったぞ航平」
管制官から指示を受けしぶしぶ座席に座りハーネスを装着する久幸た呟くように言った。
「まぁまぁ、そんなキレんなよ久幸。だけどな、相棒に黙って去っちまうお前が元はと言えば悪いだろう?」
「うぐっ」と事実を突きつけられた久幸は何も反論は出来なかった。さらに話を続ける航平。
「それに......こんな楽しそうな任務が仕事の会社に行くんだったら俺を誘えーっての」
「これが楽しそうって、お前なぁ......はぁ」
のん気そうに話す航平に思わず溜め息を吐きながら、久幸はキャノピーのレバーをダウンへ操作する。後ろヒンジ式のキャノピーが下りるとレバーをロック位置にする。完全に密閉されたことを確認した久幸、航平はそれぞれの確認作業へ移る。
「動翼確認。エルロン、フラップ、ラダー、スタビレーター」
「左よし 右よし、両翼よーし!」
イーグルの各動翼が上下、左右に稼働するのを確認し機体背部にあるスピード・ブレーキもチェックする。
「右エンジン点火」
スロットルにあるエンジン始動スイッチを押す。タービンブレードが静かに回転を始めると徐々に回転速度が上がっていき快調をアピールするF100エンジン。
左エンジンも同様に点火し、その調子を確かめる航平が前席へ振り向き親指を立てるのを確認した久幸がエンジンモニターと燃料計を一瞥すると、酸素マスクを装着する。
「兵装シスt」
「異常なし。さっさと飛ぼうぜ?」
「......はいよ。タワー、こちらボーンアロー4。現在エプロンから誘導路へ進入した。滑走路への進入許可を求む」
誘導路を進む中、キャノピー越しに滑走路を見やると既に離陸態勢を整えていたダリル、アリシア、キャスの3人が魔導エンジンを噴かし加速を開始し、徐々に速度を上げると離陸した。
その後を追うように永瀬のいる「リッジバックス」隊が離陸すると、管制塔から通信が入る。
《こちらタワー、ボーンアロー4へ。滑走路への進入を許可する。滑走路上はクリア、進入後準備出来しだい離陸せよ》
「了解、タワー。ボーンアロー4、アウト」
管制塔から許可を得た久幸と航平が搭乗するストライク・イーグルが滑走路へと進入すると、一旦停止し、進路上を確認。
久幸が後部座席へ振り返り航平に向け親指を立てるとカメラを手にした彼が1枚シャッターを切り、親指を立て、301時代からのOKのサイン返しをする。
前へ向き直った久幸がスロットルに手を掛け前進させる。
エンジンが甲高い唸り声を出し、徐々に速度を上げる。一定速度に達すると操縦桿を引く久幸。機首を持ち上げたイーグル。やがて後方の降着輪が滑走路から離れると感じる浮遊感。
HUDに表示される高度計はその数値を上げていく。
降着レバーを操作し完全に離陸したイーグルを久幸が操り、先に離陸し空中待機している隊に合流するべく、ゆるやかに上昇させていった。
オストマン.アナトリア高原.国連地上部隊
ストーンヘンジ・ネウロイに対する攻撃作戦「オペレーション・クラッシャー」は、開始直後から壁にぶち当たった。
4つの部隊に別れているリベリオン第1海兵師団第1戦車大隊を主力とする地上部隊は、ストーンヘンジ周辺にて防衛線を展開していた敵陸戦ネウロイ部隊と交戦し、これを突破していたが、現在、その行き足は止まっていた。
なぜなら、
「あの化物......“地対地攻撃”が出来るのかッ!?」
戦車大隊に随伴していたベルツ中尉は叫んだ。
十数km先から砲弾を秒速6kmという速度で撃ち出す化物ことストーンヘンジ・ネウロイは地対空砲撃ではなく、地対地を砲撃を行い、地上部隊に爆炎と衝撃波を浴びせていた。
この作戦を立案する前に、彼らはよくストーンヘンジについて考えるべきだったのだ。ストーンヘンジの正式名称が、
「120cm対地対空両用磁気火薬複合加速方式半自動固定砲」
と、呼ばれていることを。
元来のストーンヘンジ砲台は水平0度から垂直90度の仰角しか取れない。だが、一次、二次爆発効果を持つSS弾を時限信管にて使用した水平射撃により爆炎と衝撃波を地上部隊へ浴びせることが可能となる。
今、まさに地上部隊は一次二次爆発に伴う爆炎と衝撃波を叩きつけられ、第3世代最強の戦車と呼ばれ英雄の名を冠するリベリオン軍の主力戦車M1A3 エイブラムスすらも糸も簡単に、まるで落ち葉を箒で払うかのようにひっくり返ったり、吹き飛ばされていた。
エイブラムスよりも薄い装甲しかないハンヴィーに乗るベルツは遮蔽物に身を隠す歩兵型ネウロイに手持ちのアサルトライフルを撃ち、無線機から響く各隊の状況報告を耳にする。
《ヴァンガード2-1!こちら2-2!2-4がヤられたッ!!》
《正面12時方向から激しい銃撃を受けている! ライナー6-1に支援要請、オーバー!》
《了解ブラボー2、TOWを撃ち込む。離れろ、オーバー》
《畜生......!ヴァンガード3が被弾、行動不能!!!》
時間が1分2分と経過していく間にも増え続ける被害。統計したデータによれば既に地上作戦戦力の20%近くを失っていた。
ハンヴィーの目の前を出力1500馬力を誇るガスタービンエンジンのエンジン音をキイィィ!と響かせながら走行するエイブラムスに、陸戦ネウロイが放ったビームが掠めた。
敵陸戦ネウロイを捕捉したエイブラムスが砲塔を旋回させると自動追尾を開始。地面の凹凸で上下に揺れるが、ネウロイに向けられた砲はぴたりと捉え続け発砲。
120mm滑腔砲から撃たれたAPFSDS-T(トレーサー付装弾筒付翼安定徹甲弾)、その劣化ウラン弾芯の矢が音速の5倍近くで突き進みネウロイを貫く。
内部のコアを粉々に破壊された陸戦ネウロイは一瞬動きを止めるとは光の欠片へと姿を変えていく。
《航空部隊はまだかよベルツっ!?》
前を突き進むエイブラムスの戦車長の絶叫に近い声が無線に響き、思わず耳を押さえるベルツ。
「もうすぐのはずなんだが......!」
ハンヴィーの助手席側の窓から空を見上げたベルツが後方の空に煌めく金属系の光を見た。
ベルツがヘッドセットのブームマイクを掴み、戦車長へ知らせる。
「来たぞ! 待ちに待った来賓だッ!!」
別の無線機の周波数を変えるベルツ。
すると、航空部隊に随伴する空中管制を担うウィッチから通信が入る。
《こちら国連軍WAWACスカイアイ、地上部隊へ、応答を》
レシーバーをひったくるように手に持ったベルツが何か言う前に、戦車長が到着した来賓方に向け言った。
《パーティーへようこそッ!!! お嬢さん方!》
「こいつは......」
F-15Eの後部座席にて
青空に一条の光が現れ、空を引き裂く。
地上のすぐ上で炸裂した砲弾が内部に充填された可燃性ガスを広範囲に拡散させ、1次爆発よりも凄まじい2次爆発を起こした。
必死にストーンヘンジ・ネウロイへ接近を図る地上部隊が、2次爆発に巻き込まれている悲惨な光景だ。
リベリオンのM1戦車もSS弾の破壊力にはひとたまりもないようだ。ましてや、それを放つのがネウロイと融合した“厄災の記念碑”なのだから。
「低高度を維持する......と言ったが、あまり意味はないな」
前席で機体を操縦する久幸が言った。
久幸たち航空部隊はインジルリク基地から出撃し、途中、空中給油を行いストーンヘンジまで接近した。
長距離から迎撃される確率を少しでも減らす為、同時刻に主力航空部隊進路の反対側にて先行していた空母『ステニス』所属の電子攻撃飛行隊が
これは囮部隊として、ネウロイに我々が北側から向かってくると見せかけていた。
囮部隊のおかげでストーンヘンジに接近出来た久幸たち航空部隊だが、レッドゾーンに進入した彼らを出迎えたのは、ストーンヘンジ・ネウロイからの砲撃の嵐だった。
《見えてきた! うわッ!?》
《舌噛むぞオメガ!》
《レイピア2、被弾したッ!!!》
ボーンアローズの前方にて砲弾が炸裂し、効果範囲内を飛んでいたレイピア隊の機体が何機か被弾した。炸裂すれば一瞬で押しつぶされる状況でベイルアウトしても生き残れはしない。
久幸がマスターアームをオン状態にすると、後部座席の航平に声を掛ける。
「マスターアーム オン、対地攻撃に移行するぞ航平」
「了解。
航平がストライク・イーグルの“眼”を開かせる。
「
MPCD(多目的カラー表示装置)の画面に映し出されたのはチャーリー地上部隊の進行ルート上を塞ぐトーチカ型ネウロイと陸戦ネウロイの姿。
「アレから片付けるぞ。リーパーからヴァイパーへ、こっちはチャーリー隊前方の敵部隊を攻撃する。そちらは他の地上部隊支援に向かってくれ。オーバー」
《了解リーパー。オメガ、ブロンコ、ついて来い!》
《衝撃波で押しつぶされそうだよ、まったく》
《了解》
右へと旋回したヴァイパーを先頭に続く2人。
3人と別れた久幸たちは対地攻撃を準備する。
「先ずはトーチカ型を潰すぞ」
「了解、SDBスタンバイ」
従来のペイヴウェイ誘導爆弾シリーズや
JDAMで使用された
開発されたGBU-39/B SDBとGBU-53/B SDBⅡは、それぞれ直径が190mmと152mmとなり、重量は129kgと90.7kgとなっている。
ここまで聞けば小型化したことにより破壊力が落ちたと思うかもしれないが、まったく違う。
SDBでは内部に19kgのトリトナル炸薬が入っており、900kg級航空爆弾に匹敵する破壊力を持っている。
また、飛翔用の滑空翼を装備している為、SDBは75km、SDBⅡでは約110kmの射程を誇る。
今回、ストライク・イーグルに搭載してあるのは後継のSDBⅡだ。
「レーダーHRMモード、スナイパーXRをオン」
左
「ナウ・レーザーマーキング、リンク16及びGPSオンライン」
報告を受けた久幸が操縦桿の兵装投下スイッチに指を掛ける。
「了解。 SDBⅡ、投下」
投下スイッチを押すと信号を受けたSDBⅡが搭載ラックから離れ、尾部の制御フィンと直線状の滑空翼を展開、耐妨害能力を備えたアンテナがデータリンクとGPS誘導の下、目標へと飛翔する。
「SDB、順調に飛翔中。 まもなくトライモード......今」
目標との一定距離に達したSDBⅡがGPSから弾頭部に備わっているシーカーへと誘導方法を切り替える。
SDBから進歩した能力の1つで、弾頭シーカーにはミリメートル波レーダー、
それでついた呼び名が「トライモード・シーカー」だ。
スナイパーXRから照射されるレーザーを捉えたシーカーが目標に向けて制御フィンでコースを修正しながらアプローチ。
WSOの航平がMPCDに映し出されるSDBⅡの弾頭シーカーからの映像とXRポッドの映像を逐次注視する中、発射母機へと状況を送信し続けるカメラが段々と目標へと迫り......画面が砂嵐になった。
「SDBⅡ、目標に命中! うおっ!?」
命中確認の報告をした瞬間、機体を襲う震動。
「クソッ! 奴ら本格的に対空戦を始めたか!!」
久幸が悪態を吐きながら回避機動をとる。
ぐるぐると天地が逆転し、航平は振り回されないようにしっかりとキャノピーにある取っ手を掴む。
「久しぶりの久幸の回避機動っ...ちょいと荒っぽいが」
「このままじゃ埒が明かない!奴に接近するぞ!」
「本気で言ってんのかッ!?」
「懐に入ってしまえば、こっちのもんだ!それに近づいてこのスピードを維持すれば奴の旋回速度は追いつけない!下手すりゃ同士撃ちを招く!行くぞ!!」
航平に有無を言わさず行動に出た久幸はスロットルを前進させ加速、速度を上げたイーグルが真っ直ぐにストーンヘンジ・ネウロイへ向っていく。
どうも、皆さん。フェネックです。
最近いろいろとありまして、更新が遅れました。すいません。
残業or突然の蕁麻疹が起きまして、蕁麻疹に関しては初めてなりましたが、ありゃ痒いったら痒いですね。1日でだいぶおさまりましたが。
エースコンバット:インフィニティでは今、ウォードッグイベントやってますね。ウォードッグ仕様F-14を手に入れる為に頑張ってますが、Lv5のF-14Aでは少しキツイです。昨日はなんとか300位までに入りましたが、早くレベリングさせねば。
最初、F-14-ZP-とWDだけしかイベント参加出来ないのか?って勘違いしていたという(笑)
それでは、次回で。
っと、ここで皆様に情報があります。
なんと、A-10の2015年全機退役予定が延期されるかもしれません!
これは国防予算会議でA-10擁護派の人たちの必死の努力により、国防修正案が可決されたのです。これで全機退役ではなく、A-10が今後何年かは空を飛び続けることが出来る。
作者はA-10の今後に期待したいです。