悪魔城ドラキュラ -幻夜の追想曲-   作:大根のチョコラテ煮

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奪われた遺骸
3章:存在意義を探す狩人⑤ -真実と嘆き-


- side 三人称 -

 

 

 "存在意義を探す"。

 

 

 それは、この世に生を授かった全てのモノに課せられた一つの命題と呼べよう。誰しもがきっと一度は考える筈だ、自分は何のために産まれて来たのだろうかと。

明確な答えも出せず苦しむ事は多々ある、時には自分独りで悩み、ある時は周囲と自身を比較してより一層自分の存在と価値観について思い詰める事だってあるかもしれない。

 

 

 さて読者諸氏よ、話は少し逸れてしまうのだが僅かばかりの間、私の回りくどい喩え話に耳を傾ける時間を頂きたい。

 

 

 諸君らは"哲学"という分野に興味はおありだろうか? 一般的に受けられる義務教育の中には含まれない学問の1つだ。

もしかしたら幼少期に道徳の授業と言う名目で受けたかもしれないソレがある意味で該当するのやもしれないが…そこはまぁ置いておくとしよう。哲学や心理学に対して少なからず興味関心を持っている人物ならば今から語るテーマに関して小耳に挟んだくらいの人はいるかもしれない。

 

 

 これから語るは1987年にアメリカ人哲学者が提唱した"スワンプマン問題"と呼ばれる思考実験である。聞き馴染みが無いという方々の為に説明するとしよう。

 

 

 一人の平凡な男性がある日、沼地を訪れて不運にも落雷が直撃して死亡してしまうという自然災害が発生したと仮定する。だがこの時、男の死亡と全く同じタイミングで別の落雷が沼に落ちる。

神の悪戯とでも呼ぶべきか、その二条の雷と奇跡の重なった環境下でありえない化学反応が起きてしまったのだ…ッ!

 

 沼の汚泥成分と超高圧電流、更に偶々そこにいた成人男性の遺伝子情報…。それらが複雑な化学反応を起こし。"男性のコピーを生きたままの状態で産み出した"のである。

 

 …なんともまぁ、これがもしアメリカン・コミックスなら超能力が使えるスーパーヒーロー誕生ッッ!とでもなりそうな展開なのだがね、残念ながらこの産み出された男性は極めて平凡な男であった。

それもその筈だ、何せ今しがた落雷で死んだ何処にでもいる平凡な男をそのまんまコピーした存在なのだからな。顔も肉体も精神構造も、記憶も身に着けている衣服やポケットに入っている財布の中の5ドルのお札から愛車のキーまで何かも全部同じだ。

 

 

 衣服すらもコピペされた天然物クローン人間は泥沼のど真ん中で目を覚まし慌てて溺れる前に陸に上がり、「俺なんで沼のど真ん中に居たんだ? 今の雷で沼の方に吹っ飛ばされて意識失ってたんか…えっ、怖っ! ハァ…家に帰って風呂入って寝よ…。」と愚痴を零しながら車のキーを取り出して帰宅していく。

 

 すぐ傍に炭化したオリジナルの自分の死体があると言う事に気が動転して気付かないまま…。

 

こうしてswamp(スワンプ)から―――沼から生まれた沼男は自分が死んだという事実に気が付くことなく、幸運にも雷に当たって生還したと勘違いしたまま何気なく生きていくというシナリオだ。

 

 

 

 この思考実験は仮に自分が彼の立場ならどうやって自身の存在を証明するかというのがテーマとなる。…いや、それだけじゃない。偶発的にまた例の沼に行ってそこで本物の自分の遺体を見て全てを知った時、あるいは第三者にお前は偽物だという事実を突きつけられた時。これから自分がどのように生きて行くべきなのか?

 運命の悪戯でこの世に歪とも言える生まれ方をした自分は何某かの意図があって世に生まれたのではないか? その存在意義を模索していくという事にも繋がる訳だ。

 

 

 

 で、小難しい話をグダグダ述べてるけど結局キミは何が言いたいの?と問うのであらば…。

 

 

――平凡に生まれた人間だろうと、泥沼から生誕という異常環境の下に生まれた人間だろうと、根本は変わらない。なにゆえ自分は産まれたのかを知りたがり必死になって存在意義を探そうとする。超人だろうが凡人だろうが奇人だろうとその命題からはどうあっても逃れられない。

 

 心臓が脈打つ生き物である以上、自我という名の知性を持ち得る生物として生まれ落ちた以上は、いつか突きつけられる、いつか必ず向き合う日がやってくる。

 

 その時になってこれだ!と叫べる解答を果たして持ち合わせられるのか…、特に意図せぬ形で、第三者から"自分の在り方"という根底を揺るがされる場合には…。

 

 

   …尤も、その"いつか"が何時なのかはその個人によるとしか言えんがね。

 

 

 

 これで沼から産まれた沼男――スワンプマン問題の説明は終了となる。

 

 

 回りくどい喩え話もこれで終わり、ご清聴感謝する。

 

 

 さて叶うなら、この下らない蘊蓄話(うんちくばなし)にお付き合い頂いた諸君が"いつか"のタイミングに陥った際、胸を張って主張できる解答を得られていることを切に願おう。

 

―――

――

 

- side イェーガー -

 

 

 俺の目の前に立つ女は、苦し気に言葉を絞り出していた。

理知に富んだ佇まいとは到底程遠い、どこまでも感情を剥き出しにした姿。長年誰にも打ち明けられなかった秘密を漸く吐露したような……そんな痛ましさすらあった。

 

 

 誰しもが一度は己の存在、その意義について悩み、考える…。彼女は、…フランチェスカは……どう、だったの、だろうな…。

 

 

 

 魔王を蘇らせてしまった女の――まるでパンドラの箱を開けた女との血縁にある実娘。

その立場は。それは…きっと俺の想像力では余りあるのではないだろうか。

 

 

「回収した物資の中にあった水だ、飲めよ…。少しは落ち着く筈だ…。」

「…。ふ、ふふ…ふふふっ!貴方から見て今の私は余裕が無いように見えるのでしょうね…。」

 

 

 目に見えて焦燥しきっていた。本格的に語る前から何度も苦虫を嚙み潰したよう表情を見せていたが自身の出自を、生い立ちを語るだけで、この女の顔色から血の気が失せていた。

俺は回収した食料品の中にあった飲料水のペットボトルを彼女に差し出した。渡された魔女は自嘲めいた笑みを浮かべながら蓋を開け、軟水を口に含んだ。

 

 

「落ち着いたか?」

 

「……。ええ、感謝しますわ。」

 

 

 中身が大分減った500mlペットボトルの蓋を閉めて、俯き気味だった彼女は顔を上げた…。双眼のアメジストと目が合う…。

 

昏い瞳だ…。

 

 

 そんな感想が真っ先に浮かぶ位には俺を見つめる宝石は、光とも呼べない灯火が内で揺らいでいる様に思えた。何かに対する怨嗟の炎、何かを求める渇望の輝き…etc、そんな決して美しいと言えない。ドロドロとした…幽けき光を紫水晶の奥に垣間見た気がしたんだ。

先程より多少はマシになったとはいえ水を含んだ筈の唇から紡がれた言葉はまだ掠れて聞こえる。…ふと見れば青いローブの裾から覗かせる指先も禁断症状の患者か何かのように震えていた。

 

 

 

「昔からそうでした、この事を誰かに打ち明けるのが怖かった。辛かった。…大人になった今ですらヴェルナンデス家に引き取られる以前を思い出して手が震えて…っ!」

 

 

 そのまま俺が何かを口にする暇さえ与えないとばかりにこの女は言葉を矢継ぎ早に繰り出していく。

 

 

「23年前に実母が死んだ後、1歳だった私は教会の運営する児童保護施設に託されたそうです…物心ついた時にはそこでの生活が当たり前でした。ですが…そこでの暮らしは決して幸福ではなかった。」

 

 

 先もコイツ自身が語ったがこの事実を誰かに打ち明けると言う事自体が躊躇われた。きっと人生の中でこの件を口にした事は指折りで数えられる程なのだろう。

常に心の奥底に仕舞い込んで、封をしていた。

 だからこそ……。

 

 

「教会関係者が運営していたのですから、大人も…一定の理解力を持った少し年上の子供も"魔王の家来の子"だと後ろ指を指してきました。言葉の意味が分からない年下や私と同年代だった子も…そうですね、大人や年長者の真似っ子、よくある事だったのでしょうね。」

 

 

 だからこそ、一度言葉にしてしまえばもう止められない。堰を切ったように溢れ出す。

 

 

「物を隠される事は多かった、服や靴に泥や小石を入れられるのだっていつの間にか当たり前の日常になっていた、当たり前過ぎて私と同じく施設で物心ついた子達も"当たり前の行動"をしてましたわね…。」

 

「…もう止せ。」

 

「真冬にバケツいっぱいの冷たい水を浴びせられたこともあれば、真夏に暑い倉庫に閉じ込められて悪戯で鍵を閉められたことだってある。魔王の家来だからイケニエを求めてるんだーって、揶揄されながら生きてる虫や鼠、蜥蜴の死骸を食事に混ぜられることだって多々あった、虫除け剤や洗剤入りで嘔吐したことだってあった…ッ!酷い時は画鋲が入ってた時もあって…だけど、だけど!!一番つらかったのは周りの大人が見て見ぬフリをしてたことですッ!助けを求めても流されて、ええそうですよ、魔王を蘇らせた女の娘ですとも、生きてるだけで厄ネタでしかないんですもの、言葉にこそされなかったけどずっと内心で願われてたッッ!!子供同士の悪ふざけだとか事故だとか、そういうので"片付けば"良いとすら思われてたんだって!この世に存在する意義も価値もないッ!お前なんて生まれなければ良かったんだとずっと―――」

 

 

 

 

 

「いい加減にしろッ!…もういい!もうたくさんだ!」

 

「っっ!!」

 

 

 ……俺に肩を掴まれた真っ青なローブの女はビクリと肩を震わせた。

 

 もういい、もうたくさんだ…。

 

 

 

 

 

 

 俺は、…俺はコイツじゃない。

 

だから俺にはコイツが五歳の頃に…いやそれより前から受けていた虐待などから来る心の古傷(トラウマ)の何たるかを理解できるワケじゃない。できるワケじゃない…が。

 思い浮かべる事は、できる。もしも自分がその立場であったならば…。

 

 齢一桁なんて最も大人の愛情や庇護を必要とする年頃だろうが、それが一切受けられず。なんなら排除を目論むまであったという環境下で同年代から度を越えた嫌がらせ、命の危機を大人にすら喜ばれるのだぞ…。

物理的にもそうだが特にその年頃というのは記憶に残りやすい、精神への傷が深い筈だ。

 

 

 …それこそ成人を迎えてる筈の人間が、途中から肩だってブルブル震わせながら半錯乱状態に陥る程にはトラウマになっているくらいには、な。

 

 

 きっと地獄みたいな環境だったに違いない、逃げたくて…逃げ出したくて仕方なくて、でも子供ゆえに大人の庇護下で生活の面倒を見てもらえねば生きていけないだから逃げる事もできない。

施設から出ていく事が不可能ならば、次に思い当たるのは助けを求めることだ。だがポツリポツリと漏らされた言葉の端々から察するに施設の大人達は誰も幼い彼女を救おうとしなかった。

 雁字搦めの八方塞がりもいいトコだ…! そしてこの件で何よりも気に喰わないのは――――

 

 

 

「よく聞け、…お前は、最初にこの話はお前自身が背負っている罪咎だとか言ってたがな。一つ間違いがあるぞ。 俺に言わせればその考え方自体がナンセンスだ。」

 

 

 何よりも、気に喰わないのは―――コイツ自身が何か罪を犯したワケでもないというのに、親のやらかした罪がさもこの女の物だと言わんばかりに背負わされている事だっ!

 

 

「セリア・フォルトゥナの娘だ、あぁ、それは分かったさ。奴の計画で魔王が蘇ったそれも理解はしてるとも、…だがどれもこれもあくまでセリア個人が企てたことであって当時のお前とは一切の因果関係が無い。」

 

 

 フランチェスカ自身が言っていたではないか、1歳で教会の児童保護施設に預けられたのだと。

言葉を話せるかどうかさえ怪しい幼児に何が出来たというのだ。一体なんの責がある?

 

 

「俺の質問に答えてみろ、親が泥棒だったらその親から生まれた子供は何も盗んでなくても泥棒になるのか? 遠い先祖が人殺しだったらその血が流れる子孫はなんだ、現代で普通に生きてるソイツは殺人鬼として扱われるのか?どうなんだ言ってみろよ。」

 

「…違い、ます。」

 

 

「あぁ、そうだ。それが普通なんだよ。親が大悪党だから子がどうだの…………前世が魔王だから、現代(いま)を平和に生きてたそいつも魔王だとか…。全くもって反吐が出る。

 

 

俺は無意識に、誰にも聞こえない程の小声で最後の方に何かを呟いた気がする。

 本当に気に喰わない。虫唾が走る。反吐が出る。くだらない因果に人を巻き込むな!

 

 

 

 

「……同じような事を言ってくれたのは貴方で3人目だわ」

 

 

 

「うん?何か言ったか?」

 

 

 

「いえ、なんでもありません…それよりも、もう落ち着きましたわ、そろそろ肩を離してくださいませんこと?イェーガー・マーシュマンさん。」

「むっ、すまん…。」

 

―――

――

 

- side 三人称 -

 

 

 少し前に、狩人は「貴方は来須蒼真なのではないか」と問われ酷い頭痛に襲われた。錆びた釘で内側から脳を引っ掻き回される痛み。形容しがたいソレ。

触れられたくない自身の記憶の一番大事な部分を突かれたと言ってもいい。

 

 

 今しがた、魔女は「自分はセリアの実の娘であった」と言う口に出すのも悍ましい。その言葉を引鉄に錯乱に陥る程の忌まわしき記憶が浮かび上がった。

触れたくもない可能ならば封印しておきたい記憶を曝け出したと言えよう。

 

 

 イェーガー・マーシュマンとフランチェスカ・ヴェルナンデスの両名は互いに自身が秘めていた古傷に手を出したワケであった。事情を知ってる者が見たらお互いノーガード戦法で急所を弱点特効武器でぶん殴り合ってるとしか言えない滑稽さすらある。

 

 

「…こほん、その…イェーガー、実に御見苦しい所をお見せしました…。」

「ん?あぁ……気にするな。しかしなんだ、その、お前…色々と内に溜め込むタイプなんだな…思ったより不器用な奴だ。」

 

「ズケズケと言ってくれますわね…。――否定はしませんけど。……なるべく意識しないように頑張っているつもりなのですが、自分の出自や生い立ちを…、誰かに言葉で口にしようとすると…嫌な事が鮮明にフラッシュバックして、呼吸ができなくなりそうで…。」

 

 

 彼女の身内である育ての親の母、父、それにカイやキャリー…本当に親しい間柄の相手ならば何とか言えるが、今この時のように完全な他人に自分の秘密を打ち明けることは本当に数えるほどしか経験はない。何れの時も精神が安定しなかった、と魔女は語った。

 

 

「イェーガー、貴方は以前に私の【まふうじん】について質問をしましたね。あの時は"闇の魔力を操る力があり、魔界の扉を開かずとも札を精製できるのです"、と言いましたがその答えがこれですよ。」

 

 

 23年前に騒動を引き起こしたセリアは召喚術で【ゲーゴス】を始めとした大型魔物を呼び出し使役するのは当然として、魔界のゲートを開くことさえもできるその道のプロだ。

その血脈に宿る暗黒神官としての天賦の才を皮肉にも継いでしまったフランチェスカもまた…誰に教わるでもなくその筋に通じた魔術師として開花するのも自然の道理であったのだ。

 

 

 ちなみに…礼拝堂へ物資の入ったコンテナを探しに行く時も、理奈にコンテナの聖気を探らせる中で「私も探す事をお手伝いますのであまり気負わないでください…。」と発言していたが。

直後皆に聞こえない程の小声で「まぁ私の場合は聖気を探る、とは違ったアプローチになりますのであまり期待はできませんが。」と付け足していたのも言ってしまえば暗黒神官としての領分を応用した手段だからだ。

 

 理奈がドス黒い瘴気に包まれたこの悪魔城内部で聖気を探す。それは真っ黒な絵の具をぶちまけたキャンバスの中で黒に埋もれている"白"を探すような手法でありフランチェスカの場合は逆。

真っ黒の中で黒全体を見渡して比較的に"黒が薄く感じる"場所を探知するという物。

 探し方のアプローチが違う。似て非なるやり方。

 

 ヴェルナンデス姉弟の悪魔城から地球上への帰還方法も【悪魔城最上階】にある玉座の間で城の力を操り帰るという手段も、たしかに暗黒神官の力があるという前提なら納得の物である。

 

 

「私から答えられることはここまでです…他に質問はおありですか?」

 

「いや、気になっていたことは粗方聞けたさ。」

 

 

 

「…では。」

「…。ああ。」

 

 

 狩人は天井を仰ぐ様に眺め、小さく息を吐く。事前に言われた通りこれは情報交換、相手が言い終えたのならその先は言わずもがな。

 

 

「…まず最初に、俺はお前達と敵対の意志はないということ。俺は全部思い出したと言ったがそれはあくまで自分という"存在"がなんであるかという点だ。この城で為さねばならんと感じていた何かは分かったが…。」

 

 

 要領を得ませんね。と魔女は呆れたように告げる、ソレに関しては狩人は苦笑いするしかない…。そして狩人は…仮面の男は今までずっとつけていた仮面に手を掛け―――

 

 

「これは言葉よりも実際に見た方が早いだろう…俺は意識が目覚めてすぐ姿見で自身の容姿を確認した、だが……"俺の眼ではなくお前達の眼ではどう映ってる"のか、多分、俺の考えが合ってるのならば。見た方が早い。」

 

 

 

 

 

 

 ――――仮面を、外した。

 

 

 

 

 

 

「ッッ!? あ、貴方…その顔、い、いえ…その眼は…!!」

 

「あぁ…その反応はやっぱり、俺も薄々感じてたが考えが合ってたのか…。」

 

 

 

 

 魔女は目を見開いた。見開いた目で目の前の男の"目の中"を凝視した。

 

 

 文字通り"目の中"を。

 

 

 

 

 

 黒。

 

 

 真っ暗な空洞。

 

 

 樹海にあるような古樹の樹洞(うろ)とでも言わんばかりの穴。本来ならば眼球が入ってる筈の窪みに、なにも、なかった。

 

 

 

 

 バッ!とすぐに身を翻し、即座に絵札と翠玉色に輝く球体を取り出し魔女は臨戦態勢に入り。

 

 

 

「待て。いや本当に待て。敵対する気は無いと言ってるだろうがっ!せめて最後まで聞け!」

 

「…貴方、やっぱり人間じゃなかったのね。」

 

 

 ジト目で睨んで来る魔女はいつでも【DSS】で倍化させた筋力から剛球を狩人にぶち当てられるように身構えたまま、とりあえずは話を聞くことにした。

 

 

「全く、ここ数分の間でお前に対する印象が目まぐるしく様変わりするわ…。話を続けるぞ?」

「…どうぞ。」

 

「…恐らく、お前から見て俺の、本来眼球が入っている筈の場にソレがないのだろうな」

 

 

 外した仮面を再びつけて狩人は続けた、そして次は白い手袋を外した…。

傷一つ無い綺麗な手首、だが異質な点があり…狩人の指先は所々ある筈の物が無いのだ。

 

 

「……。まさか…。」

「察しが早いな。今お前が思ってる事が正解だよ、多分あばら骨も幾つか無い。俺自身には実感が無いが。」

 

 

 イェーガーの指は先端から数本分の"爪"が無かった。幾つか爪が付いている指とは別に生爪を根本から引っ剝がした様な痕のある指があった。

彼曰く、"自分が見てる分にはちゃんと両手に自分の爪が全てついてる"ように見えている、との事であった。

 

 魔女は聡い方であった、故に"眼球"、"爪"が無い事…そして目の前の男が、『来須蒼真』ではないかという情報から点と点を繋げていた。

 

 

 今、2059年の悪魔城には異例中の異例とも呼べる、城内で顕現化した【ドラキュラの遺骸】がある。乗り込んできた【ウィズライト教団】残党共が…ダリオ達が血眼になって探してるお宝だ。過去に確認できた遺骸は―――

 

 

"【ドラキュラの目】"

 

"【ドラキュラのツメ】"

 

【ドラキュラのアバラ】

【ドラキュラのキバ】

【ドラキュラのしんぞう】

【ドラキュラのゆびわ】

 

 

 …。

 

 

 ……。ふと、指の先端ばかりを注視していたフランチェスカは狩人の薬指を見た、長年にかけて指輪でも着けていたような痕のあるその指を。

次に仮面で目元を隠した男の閉じられた口元に目線を移した。…歯医者じゃあるまい基本的に人様の口内の奥なんぞ見たくて見るもんじゃないし、この男はどちらかと言えばカイや理奈の様にお喋りな気質というワケでもない。だからこそ唯でさえ見え難い奥歯が数本無くても今の今まで誰も気づかなかった。

 

 

 

 動悸がする。

目の前の男が何なのか、確信に迫っていくに連れて魔女の心臓は激しく警鐘を鳴らしていた。

 そんな魔女に向かって一歩、夜を狩ってきた男は前に出て「恐らくだが…"心臓"はある筈だ、嘘だと思うなら確かめるといい。」と言葉を発してきた。

恐る恐る…ヴェルナンデスの女は最大限の警戒を持って確かめた。脈拍はある。両手を上げて無抵抗の意を示す相手の胸から心音も確かに鳴っているのは確認が取れた。

 

 

「生物として成り立たせるために"心臓"だけは必要だったから、だから【奴】も媒体にコレを使ったのだろうな…。」

「【奴】?誰の事を言っているのです?」

 

「俺を"産み出した"男だ…。まずだが…そうだな、俺は『来須蒼真』ではあるが、同時に『来須蒼真』ではない。」

「言っていることの意味が分かりません。」

 

「順を追おう、今、この城内に"遺骸"を集めようとしている男が居る。ソイツは城と地上が一瞬でも繋がったタイミングで計画を始動させた。…奴は遺骸を誰よりも早く集めて自分こそが新たな城主になろうとした、だが万が一にも後れを取るワケには行かない。そこで手駒を増やす事を考えた。」

「……。話を続けなさい。」

 

 

「遺骸は常に空気中に漂う風船の様に城内を揺蕩っていた。顕現化されてなかったからだ。地上との繋がりが生じて初めて物理的に干渉できるようになった時、最初から城内にいた奴は目を付けてずっと付きまとっていた【ドラキュラのしんぞう】を手にし、それに自らの能力を使い細工を施した。」

 

 

 狩人は語りながらも自分が一番最初に目覚めた時の事を思い起こしていた。思えば最初から不自然だったのだ。

 

「…ここは、どこだ? 俺は一体…。」

 

 気が付けば、彼は立っていた。

 

 古今東西の魑魅魍魎が闊歩する、化物の城で、何処とも分からん小部屋で、武器も持たずにたった独りでポツンと居た。

 

 こんなとこで記憶喪失になってよく無事だったなと大袈裟に驚いていたカイ・ヴェルナンデスの姿を思い出す。そりゃそーだ、こんなトコで武器も無く記憶も無く意識が無い状態で無事だったなど普通にありえん、意識も無く倒れていた間にエントランスで出会った理奈の時の様にすぐさま【ウイングスケルトン】なり何なりが襲ってきても何ら可笑しくない。…なんてことはない、種もトリックもない。"最初から気を失っていた時間がそもそも存在してない"のだ。

 

 気絶時間どころか、肉体すら無かったのだろう、第一声を発した時、その瞬間にイェーガー・マーシュマンという存在はそこに"産まれた"のだ。この容姿で生後0歳児とはな…笑えない話だ。

 

 

 

「奴が【ドラキュラのしんぞう】に行った細工、それは一定時間後に心臓を媒体に【ホムンクルス】の様な人工生命体として動き出し、他の"遺骸"を集めさせる。という物だったんだ…!」

「貴方がこの城で為さねばならない何かがあると確信していたこと、それが…創造主の為に遺骸を集めるという指令だったというワケですね。」

 

「ああ、そうだ…ッ!」

 

 

 狩人は、再び天を仰ぐように天井を眺めた。信じたくなかった。自分がそんな目的の為に造られた人造の人間なのだと。思いたくも無かった。こんな真実、認めたくなかった、吐き捨てる様に言った肯定を示す言葉からは怒りと嘆きの色が滲み出ていた。

 

 

「奴は生前から怪物の力をコピーする能力に長けていた、それだけじゃない。"自分の肉体を捨てて魂だけになって他者に入り込む術"すら持ち合わせていたり…ダリオ以上に支配の力に近しい能力と、見た目に反して肉体を捨てるという大胆な賭けに踏み込めるだけの豪胆さもあった。」

 

「貴方が先程から仰っている【奴】というのが、誰か分かりましたわ…。該当する人物は一人しか思い浮かびませんもの…。」

 

 

「…ああ、23年前に奴は死んだ。普通に死んだのではない。よりにもよって"魔王の肉体と魂に囚われたまま死んだ"のだ。――悪魔城で落命したものは城の瘴気によって【ゾンビ】や【スケルトン】といった形で蘇る。だが力のある者や魔への適正があるのならそれ以上の力を持ったバケモノになり得る。」

 

 

 狩人は、ソイツの名前を口にした。

 

 

 

「教団の魔王候補者の1人…【ドミトリー・ブリノフ】……ッ!」

 

 

 

 ヨーコ・ヴェルナンデスの情報網を以てしても「実は、私もよくは知らないわ。」「いつもは裏で糸を引いて表舞台に決して顔をださないそうよ」としか判明できなかった男。

界隈にて彼奴の通称が鏡のドミトリーと呼ばれる通り、相手の異能を模倣し自らの力とするのが当人の能力、だが…それだけではない。

 

 裏で糸を引き、表舞台には顔を出さない。そして相手の力をコピーする力と肉体を捨てて他者に乗り移る術…。

 

 【ダリオ・ボッシ】が現役時代に炎を操る力で己の破壊力を誇示するべく放火殺人テロに勤しみ国際的な指名手配犯になったように、ドミトリーも自身の能力で犯罪の限りを尽くした。

尤も産まれ以てしての気性からダリオの様な破壊衝動と誇示とは違う、自身の力で何ができるのかどこまでやれるのか、というマッドサイエンティスト染みた倫理を欠いた実験研究の感覚で事を起こしていたようだが。

 

 

 これはヴェルナンデス家は勿論、教会の上層部ですら掴めなかった彼奴の能力の一端だ、用意周到であるがゆえに尻尾を掴ませなかった、相手への憑依能力。

 

 相手の能力をコピーするだけでなく、相手の肉体に魂として入り込み、内部から乗っ取る力。政治家や某国軍の上層部に憑依して裏で糸を引き、表舞台を引っ掻き回した恐るべき力だ。

憑依能力を行使することで23年前に『来須蒼真』の肉体に入り込み【支配の力】を我が物にしようとしたが。出られなくなり、そうこうしている内に肝心の蒼真は魔王として覚醒。圧倒的な魔力によって尚更、蒼真の肉体から脱出が不可能となった。

 

 

 憑依能力とコピーを始め、ある程度魂に由来する力があるようで、『ユリウス・ベルモンド』一行が【魔王蒼真】との決戦に向かう最中、内側で魔王と取引でもしたのか、魂の一部分を、分霊体として外に出す事を許可され手駒として立ちはだかりもした。

結局ドミトリーの魂本体は蒼真の肉体から出る事は敵わず、魔王諸共23年前に滅ぼされたが…。

 

 

「ドミトリーは魂に干渉する力がある、魔王の体内に入ったことで支配の力を直接コピーしたからだ…それも魔王として覚醒した『来須蒼真』の中に長時間居たからな、その上で更に悪魔城の力でバケモノとして生まれ変わった事で人間時代とは比にも成らんほどに洗練された。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だから、ドミトリー自身が干渉した『来須蒼真』の記憶や魂そのものをコピーすることだって、造作も無かったと言える。」

 

 

 

 まるで蒼真と同じような、銀糸を思わせる美しい白髪を備えた狩人はそう告げた。

 

 背丈も若々しさのある声も…全部、当時の、高校生を卒業したばかりの蒼真少年と全く同じだ。

 

 

 

「俺は『来須蒼真』ではあるが、同時に『来須蒼真』ではない。」

 

 

 

 先程、言っていることの意味が分からないとフランチェスカに一蹴された発言だ。

 

 

「【ドラキュラのしんぞう】を媒体に、コピーされた『来須蒼真』の記憶、『来須蒼真』の魂の一部、そして【ドミトリー・ブリノフ】の能力の一部、これら3つをミックスして造られた存在だ。 だから蒼真でもあるし、同時に蒼真とも呼べない"ナニカ"だ。」

 

 

 

 

 狩人は、『来須蒼真』の精神や記憶などが一部使われているから蒼真ではある。

 狩人は、遺骸を使われ、【魔王ソウマ】の記憶もカケラ程はある故に魔王ドラキュラでもある。

 狩人は、ドミトリーの魔力で形作られ、能力の一部や仕草にも影響はあるからドミトリーでもあるのだ。

 

 

 誰でもあって、誰でもない。

 

 然して誰でもある"存在"。

 

 

 

 本物の『来須蒼真』ではないけれど、本物の『来須蒼真』の想いや記憶も確かにある。…オリジナルはとっくに死んでるのに歪な形でこの世にコピーとして生み出された蒼真B。一部の口調や仕草に違いはあるが。これで容姿も肉体の欠損がなければ知る人が見れば本人が生きていたと勘違いすることだろう。

 

 

 

 

「相手の身体に入り込んで出られなくなるような奴さ、アイツは今回もミスを犯した…。アイツが完璧に創ったと思い込んでいる人工生命体は不完全な形で起動したんだ。なにせ意識が覚醒すると同時に自分がこの城で何する気だったのか何も覚えてなかったんだもんな!ハッ!馬鹿馬鹿しいっ!」

 

 

 今度はフランチェスカではなくイェーガー自身が自嘲するような笑みを浮かべて吐き捨てた。

産み出した人工生命体のこれまた人工な知能は初っ端からエラーを吐いてしまったというオチだ。主目的は忘れる上に、創造主の事は覚えてないわ…。

支配の力の性能を完璧に引き出すべく、又、自分を打ち負かした挙句体内に閉じ込めたまま死んだ魔王への憎しみと意趣返しで蒼真人格のお人形さんにして奴隷として顎で使ってやろうとしたらそのまんま好き勝手に動かれる人格になった。

 

 ……いや、エラーが切っ掛けで"個としての自我"が目覚めたと言っても差し支えない。

 

 

 

「これが俺の正体、…俺が思い出した俺と言う"存在"が何であるかだ。…笑えるだろ?記憶喪失で過去を思い出せないと思っていたが、その過去は断片的に抽入されたもので、そもそも"この俺"には過去が無かったんだよ。…不幸中の幸いは、アイツの操り人形じゃなくて"自分"と言う自我を持てたことだ。」

 

 

 魔女は何も言えなかった。余りの内容に絶句するしかなった。……なんて酷い話なのだろうか。生命の冒涜に等しい。

目の前に居る狩人は…、確かに23年前の…夜を狩る側に居た少年の人格が大部分を占めているのだろう。

 背格好や髪色、時折見せる仕草が『ヨーコ・ヴェルナンデス』から聞いたものと完全一致するのも頷けるし、口調や態度だったり話に聞いたことのない仕草がある等、本来の『来須蒼真』の物と若干の相違点があるのも、ドミトリーという第三者視点を介しての模造品であり、創造主自身の力や媒体となった魔王の一部分などそれらがおかしな作用を起こしていると考えれば辻褄も合う…!

 

 

 

「で、では…貴方が退魔士の道具(サブウェポン)十字架(クロス)を扱えたのは…っ!」

 

「…あぁ、コレか。」

 

 

 イェーガーが掌を上に向けながら右手を差し出す、するとどうだろか、そこに【クロス】が一瞬にして顕現された…。

今までは彼が着こんでいる【漆黒のマント】の中から取り出しているように見えていたそれが、無から精製されたのだ…。

 カイが使っていた【聖水】や【ナイフ】。フランチェスカの【聖書】や【懐中時計】とは違う。

 

 

「くだらないトリックだよ…。俺は別に退魔士の道具(サブウェポン)を使っていたんじゃない。記憶が無くても自分にはコレが出来るって確信していた能力を使ったんだ。」

 

 

 

 鏡のドミトリーは一度相手から受けた魔力や能力をコピーできる…23年前、一度だけ【ドミトリー・ブリノフ】は『ユリウス・ベルモンド』と対峙した。

その時に"覚えた能力"だった、ただそれだけの事。

 

 イェーガー・マーシュマンを形作る際に、模造した記憶と模造品の魂を入れられ、そしてドミトリー自身の一部も中に入れられた。だから使えた、それだけだったのだ…。

 

 

 

 Jäger(イェーガー)

 

 

 

 Jäger(イェーガー)・マーシュマン。 名前が無い彼が白馬理奈に名を聞かれた時、咄嗟に思いついた名前。

 

 

 

 意識が覚醒したばかりで、記憶も朧気で…それでも『来須蒼真』としての部分が夜を狩る物だったと僅かながら覚えてたから。

あるいは記憶を失った『J』と名乗る男を魂が覚えていたからか。

 

 だから『Jäger』と――狩人を名乗った。

 

 

 

 Jäger(狩人)・マーシュマン。

 

 

 

 

 

 

 

 イェーガー・マーシュマン

 

 

 

 

 マーシュマン…。

 

 

 

 

 

 

 マーシュ  マン

 

 

 

 

 

 

  marsh   Man

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 marsh(マーシュ):直訳  湿地帯・沼地・沼       Man(マン):男

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――Jäger(イェーガー)marshMan(マーシュマン)、それは

        白馬理奈に名を尋ねられた記憶も何もない男が

          直感的に、本能的に、口にした名前であった…

 

 





今回の解説コーナー【ドミトリー】


 はい、と言う訳で蒼月の十字架ラスボスの【メナス】さんことドミトリーの解説です。

 【ドミトリー・ブリノフ】はダリオ同様、セリアに選ばれた魔王候補者の一人であり原作においてダリオよりも早く、序盤で戦うボスエネミーでもあります。

 ボス戦仕様のドミトリーはプレイヤーのソウル攻撃を受けるとその技をコピーして使ってくるんですねー

 撃破後はイベント会話発生中に何故か突然の死を迎え、蒼真くんが困惑とする。
その死亡はドミトリー自身が己の肉体を捨て魂だけになって蒼真の体内に入り込んだからであり、目的は魔王ドラキュラの力、支配の力を自分のコピー能力で完全に模倣しようとしたからですね。


 ノーマルend、バッドendのルートだとドミトリーは強すぎる蒼真くんの肉体から脱出できず以後登場することなく幕引きとなる訳ですが。真endに行けるルートだと魔王に覚醒しかけた蒼真の心に一瞬の隙が出来たため脱出成功、更にその場にあった【ドッペルゲンガー】の肉体を手にして、受肉と同時に蒼真の力を完全コピーすることが出来た宣う。


 …コピー自体はできたけど、ドミトリー自身が力に耐えきれる魂の持ち主じゃなくて結果暴走して、悪魔城HD3章でもよくお見掛けする【メナス】さんになるんスけどね


 この小説世界は既に何度も言っている通り、バッドend経由のユリウスモード世界線なので当然、ドミトリーは脱出できず。魔王と化した蒼真くん諸共ユリウス達に滅せられた訳で。セリア同様に日食の中の悪魔城でモンスターとして更なる力を得て復活という設定。


【魂に干渉する力】

これも当小説内の独自設定。ドミトリーの力自体は相手の能力コピーと自身の肉体を捨てて蒼真に入り込むというのは原作でありますが。

政治家や某国軍上層部に憑りついて好き勝手するというのは完全なオリジナル
そもそも、一度他者の身体に魂で入り込んだ後で元の肉体に戻れるという描写自体が無い。そんなこと原作ドミトリーができるのか情報が無いため。

【ドッペルゲンガー】の肉体を使う事で現世に戻れてラッキー!とか言ってたので多分できないんだろうとは推察されるが…


肉体から魂状態で抜け出せれるなら、全部と言わず一部分だけ切り離すこともできるんじゃね?じゃあユリウスモードで戦ったのは本人じゃなくて分霊体ってことでええやん!と考えてそういう独自設定にしました。



【ドミトリーVSユリウス】

 原作において、ドミトリー戦で戦うユリウス達ですが…ゲームの仕様上、ソウルじゃなくても相手の能力をコピーするのは健在。

 なので、うっかりヨーコさんで【ホーリーライトニング】を使うとドミトリーが\オボエタゾ!/して逆に【ホーリーライトニング】をぶちかまされてGAMEOVERなんてことも十分ありえる。

ユリウスの使う【聖水】や【斧】、【グランドクロス】【十字架(クロス)】なんかも当然その対象。


 この小説の作中でイェーガーが【十字架(クロス)】を扱えるのもユリウスがドミトリー相手にクロスぶん投げたからですねー。




【イェーガーのサブウェポンと装備武器】

4話目からイェーガーが【十字架(クロス)】使ってますが上記の説明通りです。
あくまで"コピー魔法"使ってる感じで、サブウェポンとしては扱ってない。
 その証拠にイェーガーは他のサブウェポンを作中一切使ってないのですよ。

5話の【タロス】戦とかで斧や短剣を投擲してる描写がありますが
 これもある意味では叙述トリック、序盤は容姿から『アルカード』かと思わせて、あるいは名前が『J』を連想させてサブウェポンっぽいものを使って最後は鞭装備するからベルモンド系列かと勘違いすることでしょう…。


 でもコイツが使ってるのって"サブウェポン『っぽい』"ものなんスよ


つ【ソウル:アックスアーマー(蒼月仕様)】…スッ
つ【ソウル:エビルブッチャー(暁月仕様)】…スッ

 節子、それサブウェポンやない、それバレットソウルや!


補足:タロス戦で使ってたヘルファイアってなんだったん?

【ヘルファイア】使うし、銀糸のような髪で黒衣の服装でサブウェポンも使うから
コイツの正体は月下でもサブウェポン使ってた『アルカード』だな!!!

っと誤認させる狙いの1つ


割と知られてないけど実は蒼真くんって原作の悪魔城でも普通に【ヘルファイア】使える。暁月の円舞曲だと【ソウル:フレイムデーモン】がそれっぽい役割だけどそういうのじゃない本物を

 蒼月の十字架ですが、原作において2週目プレイからHARDモードが選択可能になる。

そしてHARDモードをクリアすると、しれっと何の説明も無く【ソウル:ヘルファイア】がバレットソウル装備欄に増えてるという…。


 それ抜きにしてもこの物語だとドミトリーによって魔王ソウマとしての一部分も抽入されて構築されてるので魔王としての【ヘルファイア】が技術的に使用可能な訳ですね。


あと、聖鞭【ネビュラ】ですがそもそもベルモンド系列は『ジョナサン』除いて他の方々は【ヴァンパイアキラー】で装備固定されてるから扱えないし、アルカードはネビュラ装備できねぇのですよ(悪魔城HD感)

イェーガーがあくまで蒼真ベースに造られた存在だから【ネビュラ】も装備できた。
鞭ってよりは蛇腹剣みたいな扱いだけど…。


今話のちょっとしたまとめ、人工生命体の成分表

 ①本来蒼真くんが使えない筈の【クロス】が使えるなどの技術面、そして人工生命として形作る為の部分がドミトリー成分

 ②身体能力や心臓など生物必要な循環器、肉体の媒介になり得て、支配の力を動かす為の成分が魔王成分

 ③人格面や思考回路、あとは2度に渡る悪魔城探索の知識と戦闘経験、支配の力を扱う為に重要なキーとして蒼真成分。
※調整バグのせいで蒼真成分が一番多くなりすぎた、ドミトリー的には暁月~蒼月に掛けた機転と柔軟性に富んだ城内探索能力と戦闘能力、支配の力を持った操り人形で良かった。それがあれば他の遺骸集めにも有利に働く筈だった。

 血眼になって遺骸を探してるダリオはおろかセリアですらまさか遺骸が擬人化して歩き回ってるとは夢にも思わない、ある意味で彼にしか分からない最高の隠し場所でもあった。
支配の力も魔王成分とドミトリー成分で補えば100%とまで行かなくても使える見積もり。



が、マッドサイエンティスト気質なドミトリーが100%の性能を引き出せない事を快く思わない事に加えて、自分を道連れに死んだ魔王も気に喰わなければ、自分を地に這いつくばらせた蒼真に何の仕返しもせず終わるのが気に喰わなかった故に、蒼真成分を入れて支配下に置こうとしたのが全ての失敗。

バグってコントロール不可になった挙句一個体としての自我が形成されてしまった。
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