虎杖×TS=オタクにやさしいギャル。これテストにでますよ   作:特急樹齢

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第二話

 恋愛脳、という言葉がある。ストゼロをストローで飲み、彼氏をピと呼び、それが居なければ精神の安定を欠く人たちを蔑んでいう事であるが、最近僕は自分がこれでは無いかと疑っている。

 彼女が、かのぴっぴが欲しいのである。かのぴっぴがおらずマジ病みMAX1000%、今日も呪霊をぶち殺す任務が辛すぎてぴえん超えてぱおんなのである。

 

「ふえ~~~ん、わたしも自分に尽くしてくれる理解のある彼くん(呪霊)が欲しいよ~~~~~! ……今の無し、ちょっとキモ過ぎるな」

 

 人間の負の感情には力が宿る。呪力と呼ばれるそれは、学校や病院など人が嫌う場所で集積し呪霊となる。年間1万人を超える日本の行方不明者・怪死者は、そのほとんどがその呪霊によるものである。

 まあ単純に言うと、僕たちは人間社会の免疫機能みたいなものだ。不定期に発生する呪霊というガン細胞を祓うのがお仕事。結構命がけの仕事なので、その分お給料も良好。

 僕は二級術師なので、入ってくるお金もまあまあ。伏黒ちゃんとかは家族に仕送りしてるみたいだけど、僕はそういうの無いのでそれを全部使えることになる。

 

「経済力さえあれば女の子が寄ってくるって聞いたんだけどね……成金アピールってどうすれば良いんだ? 全身ロレックスの腕時計で身を包むべきだろうか……」

 

 学生時代からの決まりでね。「金さえあればモテるってのが既にモテないやつの台詞だよね」と言ったやつは、例外なくブチ殺している(傷んだ赤色感)。残念ながら、人格に誇るべきものが無いので金でドーピングするしか無いのだ。

 まあ目下マジラブ1000%である虎杖ちゃんがそんな金で靡くような女かと言ったらNOなんだけどね……あの子の性格は光属性に寄りすぎている。

 

(いや待てよ、藤野廻。直接金をひけらかすのは三流。だが、プレゼントを用意する軍資金と考えたらどうだ……?) 

 

 実際問題、プレゼントを渡されて嫌いになるなんてことはそうそうない。人間は利害と損得で生きるので、得させてくれる相手の事は嫌いでいられないのだ。よっぽど嫌われているか、センスが無さすぎるかのどちらかでない限り、プレゼントは相手との距離を縮めるいい手段であると言えるだろう。

 

「でもなぁ、僕虎杖ちゃんの趣味とか詳しくないし……そもそも虎杖ちゃんも術師なんだから大抵のものは自分で買えるんだよな」

 

 プレゼントとか贈ったこと無いが、僕に出来ないことなんてない(ナルシスト感)のでちょっと考えれば大丈夫なはずだ。

 まず必要なのはプレゼントのレアリティだろう。そこらのスーパーで買える物を渡されてときめく女性がいるか? 限定のスイーツとか化粧品とか、レアなものを贈るのが喜ばれるはずだ。

 実用性も欠かせない。自分の服に合わないアクセサリーを贈られても嬉しくならないだろう。インターネットを参考にする限り、石鹸とか確実に消費できるものが喜ばれるらしい。

 さらに言えばオリジナリティがあると嬉しい。呪術師は基本的に高給取りだ。値段だけで釣ろうと思えば痛い目に合うだろう。僕にしか出来ない、僕にしか贈れない。そういう方向で攻めていきたい。

 

「ふむふむ、レアで、実用性があって、更にオリジナリティがあるもの……けっこう絞れてきたんじゃないか?」

 

 呪具とかかな? いや、この前五条先生が大振りのナイフをあげてたな。彼女は格闘メインだし、これ以上の得物は扱いきれないだろう。ひょっとして先生も虎杖ちゃんを狙っていたのか? この淫行教師がァ……!

 

 でも方向性は悪くない。呪術師ひよっこである彼女のサポートアイテム。これはかなり良いんじゃないか? 「彼女のペンダントが俺を守ってくれた…」みたいなやつが出来る。その時命を助けられた彼女が僕に胸キュンすることはもはや必然と言えるだろう。

 

 お、いいアイディアが浮かんだぞ。 呪霊とか最高じゃん! 僕以外では調達しにくいし、任務で役に立つ。肉盾として使えば命の危機を助けられるかもしれない。

 

「よしよし、そうと決まれば早速準備をして……」

 

 

 数時間後。

 

 

「いつも仲良くしてくれてありがとう、虎杖ちゃん! 性格破綻者しかいないこの呪術界で虎杖ちゃんはまさに僕にとっての光だ! これはほんのお礼の気持ちだけど、喜んでくれたら嬉しいな! 猿夢っていうネットロアを核に生まれた呪霊で、腐乱した猿の死体みたいだろ? まあちょっと見た目は気持ち悪いし、持ってる拷問器具から人の悲鳴が聞こえてくるんだけど、けっこう戦闘力は高いと思うから!! 君に一生分の借りがあるように調整したから、命令には絶対服従だよ! 僕的には身軽なこいつが攪乱して虎杖ちゃんが本命の火力をブチ込むって感じでシナジーもあると思うんだ! ああ、いざという時には身を挺して虎杖ちゃんを庇うように仕込んであるから! その時はまた代わりの呪霊をプレゼントさせてね!」

 

「ギ…グギャ…コロシテ…」

 

「……………………………ああ! ありがとうな、藤野! 」

 

「いやいや! このくらい何てことないって!」

 

 おいおい、女子に気軽にプレゼント送るとかモテ男じゃん。好感度……稼いじゃったかナ?

 この話をしたら同級生二人は三角コーナーを見るような眼で僕から離れていったが、僕は間違っていないからな。 覚えておけよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然だが僕の術式には弱点がある。いや、本当は僕の術式は無敵だと勝ち誇りたい所なのだが、もう概要を聞いただけでわかるので隠しようもないのだ。

 実際、自分の術式が発現したとき僕も思ったもん。

 

「これ、相手に借りを作ったと思わせるのってどうしたらいいの?」って。

 

 僕の術式は、基本的に「相手に借りを返してもらう(強制的に)」というものだ。しかしあなたの日常生活を思い起こしてほしいのだが、普段生きてて「この人には借りがあるなあ」とか、「この人は命の恩人だ!」なんて思うことがあるだろうか?

 

 んな訳がないのだ。呪霊は思考ルーチンが単純で、なおかつ実際に殺しかけることも出来るので一生分の借りを作ることなんて簡単だが、呪詛師に対して僕の術式は扱いにくいのだ。

 

 だからこそ、基礎戦闘力を磨くことは僕にとって何よりも重要である。従えてる呪霊の能力をうまく引き出すこと、十分な格闘能力を身に着けることはこの業界で長く生きていきたいなら必須である。

 必須である。確かに必須であるのだが……。

 

「ほらほら、そんなんじゃ甘いよ藤野! 次はもうちょっと強めにいくからね~~~!」

 

「ゲッホ、ォエッ、殺す……!」

 

 この目隠しバカほんと死なねぇかな~~~~~~~~~!!!!! そんなにニコニコしながら生徒に暴力振るうやついねぇよバ~~~~~~~~カ! くたばれ!!!!!!

 

 こういう周囲の人間すべてを見下してるような性格ゴミゴミ人間に俺の術式は全く効かない。何をしても助けられたなんて思いやしねぇからだ。呪術界最強は、その性根の最悪さでも最強なのである。悲しいなぁ。

 

 ああああああああああああクソ目隠しにしごかれるの辛いよおおおおおおおおお!!!!

 こいつ相手に呪霊使ったらうっかり祓われるから全部自力でやらなきゃいけないし!

 俺から術式抜いたらただの一般呪術師なんだけど! 俺って裏から「フッ、俺の力が必要か?」ってクールにたたずむサポートキャラなのに、なんで前線で切った張ったしてんの?

 

 俺、全国に従えた呪霊を派遣してるからそいつらの稼ぎで左団扇なのに……。いつか必ず金の力で呪術高専を乗っ取ってやるからな。呪術高専はすみやかに株式化を推し進めろ。腐った親族経営に鉄槌を下せ。

 

「うーん、藤野は筋が悪いわけじゃないんだけど、ちょっと雑魚すぎるかな! 次までにもうちょっと成長してね!」

 

「死ねありがとうございました死ね」

 

 ぼろぼろになりながら訓練場を後にする。はーほんまカス、早く帰って虎杖ちゃんと至高のオタトークしなきゃ……。

 

「お疲れ、藤野! 五条せんせー、次お願いします!」

 

「――――いいい虎杖ちゃん!? いつからいたの!? ってか次って五条先生とまた組手するの!?」

 

「? おう。藤野がボコボコにされてるところも見てたぜ。ナイスガッツ!」

 

 さ、最悪だ……。情けない所を見られたというのもそうだが、五条と虎杖ちゃんが二人きりで訓練をするというのが最悪だ。

 気になるあのコと秘密の訓練! 真剣な顔に思わずドキッってか!?!?!? 死ね!!!!!! 未成年淫行に対し社会正義の鉄槌を!!!!!

 

「…………やる」

 

「ん? なんつった?」

 

「僕もまだまだ元気だから訓練続行しちゃおっかな~~~~~!!! わーい五条先生マジ最高の教師! 一緒に鍛えるのって楽しぃ~~~~!!!」

 

 ニヤニヤしてんじゃねーよハゲ! 手札解禁だ、僕が集めた呪霊、【嫌がらせ特化Ver】の力見せてやるからなマジで!

 

 

 

 

 数刻後、ぼろ雑巾のようになって訓練場に倒れこむ僕と虎杖ちゃんの姿があったのだった。

 まあ虎杖ちゃんとお揃いみたいでうれしいからヨシ!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

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