もし安士が『本物』なら   作:県政

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プロローグ

俺【リアム・セラ・バンフィールド】は転生者だ。

 前世、俺は一般的に見れば善良で真面目な人間だった。

 

妻がいて娘がいる。平凡だが確かに幸福な家庭を築き上げていた。

 だが、俺の人生は狂った。

妻とは離婚し、身に覚えのない多額な借金を背負った。

 妻――あの糞女は浮気していた。

浮気相手の男と結託し俺を騙し、借金を背負わせたのだ。

離婚してからも養育費を払っていたが娘も俺の実子ではなかった。

 

職場では、上司に横領の罪も被せられて会社をクビになった。

ボロいアパートの一室で生活し、バイトでどうにか食いつないで、借金取りに脅える日々。

 

そんな生活で俺は体を壊し、誰にも看取られる事もなく死んだのだった。

 

だが、そんな俺にも救いの手があった。

 

案内人――黒いシルクハットに黒いスーツを着用した少し胡散臭い超常的存在だ。

俺を憐れみ、第二の人生を与えてくれた恩人である。

 

そして転生させてくれたのは、剣と魔法のファンタジー世界ではなく少し不思議な世界だ。

 

人々は宇宙へと進出し、宇宙戦艦や人型兵器が存在する世界だ。

 

その世界で俺は星間国家の一つ、アルグランド帝国という国家に所属し、惑星一つを領地に持つ伯爵家に生まれた――勝ち組だ。

 

そして俺自身はその惑星の支配者ーーバンフィールド伯爵だ。

 

俺の前世は搾取される側だった。

 死ぬ間際に俺は悟ったのだ。

 

 間違っていたのは世の中ではなく、自分自身だと。

 

 だから、第二の人生は自分のために――そして、どこまでも欲望を満たすために生きると決めた。

 

そう…俺は悪徳領主になる!!

 その第一歩として俺は力を求めた。

 

前世、俺は単純な暴力に怯えていた。

借金の取り立てに来る厳つい男たちが怖かった。

暴力など無意味と思っていたが、あのような状況になると力は必要だと思った。

 

 他者を踏みつけるために――俺は強さが欲しい。

 

 他者を恐れないだけの力が欲しい。

 暴力が欲しいのだ。

そのために強くなりたかった。

 

この星間国家では個人の力など意味がないと言われているが、それでもだ。

全ては奪われないために。

 

 全てを奪うために――力が欲しかった。

 

 

 

 黒い空間に案内人ーーリアムの恩人がいた。

 

 旅行鞄に腰掛け、映像を見ながらニヤニヤしていた。

 

転生した彼――リアムは七歳になっており、何やら人形ー天城と話をしていた。

 

 クツクツと案内人が笑っていた。

 

 映像の中、リアムは力が欲しいと言っていた。

 

 前世で暴力に怯えた人間が、来世で力を望む――案内人は嬉しくてたまらない。

 

「奪われないために力が欲しい、ですか。何とも凡人ですね。だが、それがいい!」

 

 

案内人は良い存在ではなかった。

 

 悪意の塊と言ってもいい。

 

そもそも、リアムが前世で不幸になったのはこの男のせいだった

 幸せそうな善良な人間が、どれだけ転ぶか見てみたかった――たったそれだけの理由で己の力を使い前世のリアムを不幸にした。

 

 そして今度は転生させてから、上げて落とすことで更なる絶望を与えようとしていた。

 

 

案内人が手を伸ばして映像に触れる。

体から黒い煙が発生し、映像に染み込んでいく。

 

「素晴らしい逸材を用意して差し上げますよ。アフターサービスの充実は私のモットーですからね!」

 

案内人はリアムの師となる男を探し、その者と無理矢理に縁を繋げる事ができる。

 

それこそ、詐欺師や香具師――指導を受けても強くなれない者に。

 

 こうすれば、後はどうやってもその男がリアムの武芸の師となる。

 

「さて、どんな男を師範に――おやぁ?」

 

案内人が見つけた男は、あばら屋のような家に住み惰眠を貪っている、着物を着た浪人風の男だ。

 

 周囲の評判は、だらしない、詐欺師、香具師など――。

 

「いいですねぇこの男、評判が最悪です。どうせ大道芸などで食い繋いでいるタイプでしょう。」

 

案内人はこの男に決めたようだ―― 詳しく調べもせずに。

 

「楽しんでくださいね、リアムさん。いずれ破滅するその時には、必ず迎えに行きますよ」

 

 口元しか見えない案内人は、三日月のような口でリアムを見ているのだった。

 

 

 

 

 

「んぁ?なんだぁ?今の」

 

あばら屋のような家で住む男―― 名を安士。

 安士は妙な気配を感じて眠りから覚めるのだった。




安士(原作の屑さちょっぴり少し銀さんテイスト)
に、できたらいいなぁ
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