「なぁ涼、一つ聞いていいか?」
「ん?どったの姉さん」
「なんで私がランニングをしているんだ?」
現在、俺と姉さんは海鳴臨海公園を走っている、なんでそんなことをするかというと、俺の日課だからである。
ここ最近は忙しく、ランニングどころではなかったが落ち着いてきたので再開した。
じゃあなんで姉さんも走っているかというと……
「そりゃもちろん、姉さんの生活習慣を改善するため」
というわけである。昨日の姉さんのグーパンでこれ以上(主に俺の)被害を出さないための措置で、姉さんを早く寝かせるにはどうすればいいか考えた結果だ。
「あ、あれは本当にすまないと思うが許してくれたじゃないか」
「それとこれとは関係ありません」
「はぁ」
「まぁ、昨日の罰だと思って諦めな」
それから公園を5周し、ストレッチをして帰った。
因みに、ランニングのおかげで姉さんの徹夜時の就寝時間が5時から3時に変わった。
「仕事がしんどいんだが、変わってくれ」
「無理、こっちも勉強で忙しいの」
ランニングを終えて帰宅した俺達は朝飯を食べて今は各自リビングで仕事やら勉強をしている。
「というか、涼が中学の勉強をする必要がないだろ、どうせ私の仕事を手伝いたくないから口実にやってるだけなんじゃないか?」
「違うわ!一々学校で板書するのがめんどくさいからノートを自分なりに教科書をまとめてるだけだ。ついでにワークも」
「それってさ学校行く意味なくないか?」
「俺の目的は勉強じゃなくて交友関係の拡大だから意味は有る。それより姉さんは手を動かせ」
「はいよ」
こうしてまた互いの用事に集中する。
因みに俺は副教科はワークもノートも全部終わらせてある。姉さんは仕事にあまり集中できてないらしく、ネトゲーをやりながらだ。
『攻めるなら会計』なんてキャッチフレーズがあるこのご時世にうちの会計さんの態度はどうかと思う。
まぁ、こんなんでも仕事は確かだけどね。
リビングで仕事と勉強をし続けて5時間が経ち、今は13時だ。昼飯は軽く食べてある。
俺はあの後国語と社会を終わらして途中から駄々を捏ねた姉さんの仕事の手伝いをした。
それでやっと姉さんの仕事は一段落し今は休憩中だ。
「やっと休憩だよ、姉さんがもっと真面目にやっていれば5時間もかからなかったのに」
「今日は仕事をする気分じゃなかったの。別に急ぐ訳じゃなし、いざとなれば徹夜を……」
「反省の色が見られないな。よし、なら明日のランニングは朝の5時からだな」
「すいませんすいません。真面目に仕事するんで本当にそれだけは勘弁してくれ」
「なら今日中には終わらしときなよ。その代わり明日は昼まで寝ていいから」
いつもなら俺が姉さんに弄られる側だが今日は逆だ。
姉さんは弄られる側に周るとリアクションが一々面白いんだよな、なんだか姉さんと出会った当初を思い出させるような感じだ。
うん、弄った後のコーヒーが美味い。
そんな感じで日頃の仕返しとばかりに姉さんを弄っていると、『ピーンポーン♪』とインターホンが鳴った音がした。
「ん?誰だろうか、宅配便か?」
「俺が出るわ」
うちのインターホンは来客の顔が見えるようになっているから、もし新聞の勧誘とかだったら断ろう。
そう思いながら誰かを確認する。すると……
「すいません、こちらが白川さんのご自宅だと伺って来た高町というものなんですが」
なんとコーヒーが美味しい喫茶店の店員だった。
まさか来客が来るとは思っておらず、一瞬パニックになりかけたが直ぐに平静を取り戻して、後ろで固まっている姉さんにアイコンタクト(念話)をおくる。
『姉さん‼︎固まってないでとりあえず、散らかっているものを全部和室の押入れに突っ込んで‼︎』
『あ、あぁわかった‼︎」
まさか来客が来るとは思っておらず、部屋は散らかっていたので姉さんに誤魔化してもらう。
姉さんは無駄のない動きで散らかっているものを全部和室に持って行った。
俺はそれを確認してから来客の対応をとる。ここまでの時間はものの30秒ほどだ。
「はい、ここは白川ですがどうされましたか?」
「前回のお礼をと思いまして、シュークリームを持って来たんですが……」
「わかりました。中にお入り下さい」
この家の鍵は全部スマホから操作できるのでスマホで鍵を開けて、テーブルを拭いている姉さんを呼んで玄関へ向かった。
「いや〜、いきなり訪ねてしまって申し訳ない。妻がどうしてもちゃんとお礼がしたいというもので、調べて来てしまいました」
「いえいえ、私達も暇を持て余していたので全然構いませんよ、此方こそ、あまりちゃんとおもてなし出来なくて申し訳ないです。それにしてもよくここだとわかりましたね」
「見かけない顔だったからね、最近新しく引っ越してきた人を周りから聞いたらここに行き着いたんだ」
「なるほど」
確かにここは他よりも2周り程大きいもんな、そりゃ見つけやすいだろうな。などと茶菓子の用意をしながら考える。
先ほど玄関で自己紹介を終えて今はリビングで談笑中である。名前は男性の方が高町士郎さんで女性の方が高町桃子さんだ。
喫茶店は夫婦と手伝いに子供3人とバイトでやっているらしく、個人経営で名前は『翠屋』と言い、オーナーが士郎さんでパティシエが桃子さんらしい。
因みに、長男は社会人、長女も大学生で次女は中学生らしく姉さんが言ってた美魔女はあながら間違いじゃないようだ。
「家にろくなものがないですが、召し上がってください」
「いえいえ、お構いなく」
「ありがとうございます」
テーブルの中央に先ほど貰ったシュークリームと家にあったクッキーを置き、姉さんと桃子さんには家にあった一番いい茶葉の紅茶を、俺と士郎さんにはエメラルドマウンテンのコーヒーを出す。
「「いただきます」」
「はいどうぞ」
そして俺もコーヒーを啜る。俺はこの薄味が好きだが紅茶はともかくコーヒーは好みが分かれるので少し心配だ。
「あら、この紅茶美味しいわね。茶葉もいいようだけど入れ方もいいようね」
「そう言っていただけると私も嬉しいです」
何故か俺が答えるところで姉さんが答えやがった。少しイラっとしたのでおもいっきり太ももをつねっておく、案の定姉さんは涙目だ。
「……」
「あの、コーヒーが口に合いませんでしたか?」
「……いや違うよ。何の種類のコーヒーか考えていただけだよ」
「じゃあどの豆を使っているかわかったんですか?」
「エメラルドマウンテンだね、この酸味より苦味が強くて全体的に味が薄味なのは」
「すごいですね!コーヒーソムリエの資格とか持ってるんですか?」
「喫茶店を始める時に取ったよ。それにしてもこの豆は良質だね、とても美味しいよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「はい二人とも、コーヒー談議は後にしてください」
そう言いながら姉さんは俺の太ももをつねってきた。
絶対にさっきの仕返しですね、わかります。しかも地味に痛い。
「確か今日は前回のお礼で来て下さったみたいですが別に構いませんよ。シュークリームも貰いましたし、私も店内で暴れたようなものですから」
どうやら今日の本題に入るようだ、士郎さんとしばらくコーヒー談議していたかったが我慢しておくとしよう
「前も言ったけどあの銀髪、『神城雅之』って言うんだげどね、あの子にはだいぶ迷惑していたからこちらとしては本当に助かったのよ。だから改めてお礼をしようと思ったの」
「まぁ、そう言うことでしたらその感謝の気持ちは受け取っておきます。ところでその神城君というのは聖祥に通っていたりしますか?」
「そうだけどどうしたんだい?まさか、君も聖祥に通っているのかい?」
「そのまさかなんです。今年から通うんですけどね、はぁ、先が思いやられる」
「あはは、まぁ頑張れ。そうだ、うちの次女のなのはも聖祥だから会ったら声をかけてやってくれるかい?」
「はいわかりました」
それから4人で世間話をして時間が過ぎていった。気が着くともう5時半だった。
「あら、もうこんな時間、そろそろ帰らなくちゃ」
「そうだね、今日は休業日だけど桃子さんは晩御飯の支度があるしね」
「でしたらお見送りします」
そう言って4人でコップやらを片付けて玄関に向かった。
「今日はいきなり来てゴメンんね」
「いえいえ、今日は楽しかったですよケータイのアドレスも交換したことですし、また遊びにいらして下さいね」
「こっちも店に来てくれたらサービスするよ、じゃあさようなら」
「「さようなら」」
こうして、いきなりの来客は帰っていった。
「じゃあ戻るか」
「そうだね、良い休憩にもなったしねさっさと勉強を終わらせよう」
因みにこの後、姉さんが仕事をするべくパソコンを開くと、雑に扱ったせいか開きっぱなしだった5時間がんばった分のファイルが消えていて、勉強どころではなかった。
はい、今回でやっとアニメのキャラと接触出来た気がする。次回は学校での話になると思うんでよろしくお願いします。