【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード 作:れいが
その昔、物語は森で始ったそうだ。
―ドゴォオオオオオオオオオオオンッ!!
その森に突如として竜が雷の如く落ちてきた。
木々を如くへし折り、竜が落ちた地面は巨大な穴ができた。
竜はその穴に横たえていた。
その竜は胴体が銀、耳や骨節が金、喉から腹にかけては黒石という躰をしていた。
そして躰のどこかには色鮮やかに煌めく魔皇石を埋め込んでいた。
額には炎の様な紅い魔皇石。
肢体には岩の様な雄黄色の魔皇石。
翼には風の様な翡翠の魔皇石。
尻尾には水の様な紺碧の魔皇石。
どの魔皇石も罅が入っており、叩けばあっけなく割れそうになっている。
―グオォォン・・・
竜は呻き声を上げ、苦しみながら己の死を悟り、天へ召される時を待つばかりとなった。
次の日となり、その次の日、また次の日と、竜はすぐに死んでもおかしくないほど弱っていた。
―ん・・・?
その日の明け方、斧を片手に籠を背負った青年が現れ竜を見つけた。
竜も青年がいる事に気づくと、その額と同じ紅い眼で睨むように見る。
睨まれている青年は最初こそ恐怖で微動だにせずにいたかと思っていたが、徐に竜へと近づいていった。
竜は近づく青年を睨むだけで、その強靭な腕を振るう事も、鋭い牙が揃った顎で噛みつこうとはしなかった。
青年が目の前で来ると斧と籠を置いて、竜の傷ついた躰を優しく撫ぜた。
不思議と竜は嫌悪感は感じず、ただ青年がしている事を見続けた。
そして、青年はこう言った。
―もう大丈夫だ。私が助けてやる
竜は何故助けるのか問うと、青年は。
―命が消えるのを見たくないからだ
と答えた。真っすぐと竜の眼を見据えて。
竜はその言葉に呆れでも、戸惑いでもなく・・・ただ喜びを感じた。
青年は来る日も竜を助けようと食べ物を与え、傷付いた身体を癒し続けた。
それまでに色々な事を竜は話した。
何故竜はこれ程までに傷ついているのか、どこから来たのか。
青年も自分の事を話した。
青年の名前、青年の生い立ち、青年の思い出、青年の望むもの。
竜にとっては助からない自らの命が朽ちるまでの退屈しのぎに過ぎなかった。
だが、青年は竜の躰を磨き、竜に食べさせてから自分も食べる。
そうした日々を続けていく内に、竜はいつしか青年に惹かれていた。
そして、満月が黒い影に隠された月夜の事。
黒い影の隙間から零れる月明かりが竜に埋め込まれた全ての魔皇石を照らした。
―キィィィインッ!
―バサァアッ!
すると失われていた竜の生気が忽ち蘇り、竜は飛翔した。
散りばめられた星が輝く夜空を悠々と飛ぶ竜。その姿を見て青年の顔は感動と共に喜びに満ちていた。
黒い影は既に消え、月光を照らす満月と竜が重なり、1周りしてから竜が降り立った。
助けてくれた青年に竜はこう言った。
―お前に力を与えよう。アルゴノゥトよ
―我が貴様と1つになり、希望となろう。
その言葉を青年――アルゴノゥトは受け入れ、竜と1つになった。
竜は埋め込まれていた魔皇石を、竜が持つ力を指輪にした。
翼の一部は魔道具へ。その名は
こうして青年は人々に希望を与えるために森から旅立ったのだ。
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語り:古代三代詩人 リュールゥ
声はかなり頑張って限界まで低くしてるつぐつぐな感じ。