【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード 作:れいが
「ほほぉー。これが
「先程見せた物を浮かばせる魔法もさる事ながら、珍しい物を持っているのですなぁ」
アルゴノゥトとフィーナも食事を終えて片付けている間、リュールゥがどうしても魔道具を
見てみたいと懇願してきたので、乗るのは遠慮してもらう事を条件に見せてあげていた。
リュールゥは
細部をかれこれ20分は見続けていた。
「これは
「いや、竜が与えてくれたんだ。指輪の魔法と一緒にな」
「竜がですか?」
「ああっ。以前に出会った
原理で動いているのかわからないと言っていたな」
「・・・なるほど。中々、手先の器用な竜がいたものですなぁ」
どこまで信じているのかわからないが、リュールゥは頷いていた。
フィーナも苦笑いを浮かべて、リュールゥが思っている事を何となく察している。
「というよりも、あのアンドロメダとお知り合いだったのですか」
「そうだ。素性を知っているなら、出会うのは必然だと思わないか?」
「確かに、それは言えていますね」
「色々な所を転々として役立つ魔道具を売っている世渡り上手な
耳に入れていますが、直接お会いした事はまだありません」
この時代において魔道具という存在は希少であり、誰もかれもが入手出来る事は
まず出来ない物である。
例え富に恵まれている王族であっても、手を出し難いとまで言われているのだ。
そんな時代に現れたのが、魔道具を創るのに特化した技能を持つアンドロメダという
人物だった。
リュールゥが話した通り、村や町など様々な所を巡って魔道具を売り歩いており、
希少であるというのにも関わらず格安で商売をしているという誰もが驚く噂が立っている。
「いつかお会いしてみたいものですよ」
「英雄とまではいかなくとも、偉人として語り継がれるべき職人なのですから」
「私もそう思っています。あっ、それに師匠の指輪を創った方でもあるんですよ」
「なんと!竜が与えた物とは別の指輪もあるのですか?」
フィーナの言葉にリュールゥは振り返って、アルゴノゥトに問いかける。
アルゴノゥトは少し間を空けて、何かを考えてから立ち上がってリュールゥと向き合った。
フィーナとリュールゥは何をするのだろうと見ていると、アルゴノゥトは両掌を重ねて
花が開くようにゆっくりと離す。
すると、両掌から眩い光が溢れ出して一点に収束される。
その光景にリュールゥは初めて綺麗な物を見た子供のように凝視して、フィーナは口元に
手を当て驚愕していた。
収束した光は小石大の大きさをした魔皇石となって片方の掌に転がる。
「ア、アル殿、それは一体・・・?」
「これは魔皇石という、指輪の魔法を引き出すための源だ」
「まだこの程度の大きさだが、これが大きくなれば新たな魔法の指輪を創り出せる」
「ど、どうやって大きくしているんですか?私も初めて見ましたけど・・・」
「それが、私もまだわからなくてな・・・だが、恐らくは竜が何かしら影響を与えていると
考えている」
アルゴノゥトがそれを握りしめて、もう一度手を開けてみると消えた。
荷物をまとめて、
「さて、そろそろ私達は行く事にするが・・・リュールゥ、付いてくるんだな?」
「もちろんですとも。寧ろ、置いていくと言われても、死ぬまで付き纏いますよ」
「そうだろうな。では・・・ふむ」
アルゴノゥトは徐に腰のホルダーからいくつもある魔法の指輪の内、一つを取り外して
右手の中指に嵌めこむ。
‹‹CONNECT››
‹‹PLEASE››
紅い魔法陣が展開され、アルゴノゥトはそれに手を入れると中から何かを引っ張り出す。
一見すれば、少し小さい荷車のような物が出てきた。
それを
始めた。
しばらくすると、ガチャンッという音を立たせてアルゴノゥトはそれを軽く叩いた。
「アンドロメダが思いつきで創ってくれたサイドカーという物なんだ。これで三人一緒に
移動が出来る」
「リュールゥはこれに乗ってもらえるか?後ろはフィーナの特等席なものでな」
「なるほど。それならば、仕方ありますまい」
そう答えながらリュールゥは意気揚々とサイドカーに乗り込む。
乗り心地は良いようでリラックスしていた。
「あ、あの、アル師匠?特等席なんて、いつ決まってたんですか?」
「君が弟子になってからだよ。不服かい?」
「め、滅相もありません!すごく嬉しくて光栄です!」
そう答えるフィーナに微笑んでアルゴノゥトは疾走の鉄馬に跨り、続いてフィーナも
その特等席に座った。
エンジンを吹かし、リュールゥに出発すると言って進み始める。
どこまでも広がっているような大草原に続く1本の道を駆け、風を切り裂いていく
その感覚にリュールゥは興奮した。
「はっはははははっ!これはすごい!英雄の象徴として相応しい物ですなぁ!」
「それは光栄だ!」
こうして、リュールゥが仲間に加わり、アルゴノゥトとフィーナの旅は新たな物語へと
進んでいくのであった。
「アル師匠、これからどこへ向かいますか?」
「そうだな。このまま北へ向かうとしよう」
「おぉ、北方の地へ向かうのですか」
「中々険しい道のりになると思われますが、この疾走の鉄馬であれば何のそのでしょうなぁ!」
「まぁ、進む事は出来るが腰を痛めないようにしなければな」