【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード   作:れいが

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2節 剣銃

 鋭い刃が煌めき、その度に幾本もの直立していた長めの丸太が真っ二つになる。

 

 アルゴノゥトは八の字を描くように剣銃を振るい、ある時は縦に丸太を斬り裂いた。

 

 その剣術にクロッゾは黙ったまま見続け、アルゴノゥトが最後の一本を縦横に振るい

 四等分にし終えてから近寄った。

 

 「ふぃ・・・」

 「見事なもんだな。目を付けただけはあったか」

 「お眼鏡にかなったなら、安心した」

 

 剣銃の刃に付着した木っ端をアルゴノゥトは振り払いながら綺麗にする。

 

 そして、クロッゾに教わった通り剣銃を変形させて銃の形状にした。

 

 事前に用意していた、丸太の上の大きめな石に狙いを定めた。

  

 クロッゾが背後で構え方を指導しながら、アルゴノゥトに伝える。

 

 「コツは呼吸をして、息を吐き終わった瞬間に引き金を引く事だ」

 「息を吐き終わった瞬間・・・よし」

 

 構え方を正してもらい、アルゴノゥトは銃口が真っ直ぐ石の中心に向く様に意識を集中させる。

 

 そして呼吸を数回して息を吐き終えたと同時に引き金を引く。

 

 弾丸は凄まじい炸裂音と共に銃口から放たれる。

 

 直線上に弾丸は軌道に乗って進んでいき、石の中央に命中して粉々に砕いた。

 

 「・・・威力もさることながら、音もすごいな」

 「そればっかりはどうにもならなくてな、隠れて使うのには向いてないんだ」

 「そうか。だが、遠距離での攻撃には持って来いの武器だ」

 

 アルゴノゥトは剣銃を眺めて答える。

 

 「クロッゾ。お前の評価はどうだ?認めてくれるか?」

 「ああっ、申し分なしってとこだ。俺としてはタダでくれてやっていい」

 「いや、そうはいかないさ。キチンと払わさせてくれ」

 「ハハハッ、そういうと思ったよ。じゃあ、戻って支払いを」

 

 その時、アルゴノゥトの胸の奥でドクンと激しく大きな鼓動が鳴り響く。

 

 目を見開き、俯くアルゴノゥトにクロッゾは首を傾げて声を掛けるが返事が無い。

 

 

 アルゴノゥトの精神は心の奥底に沈み、真っ暗な空間に居るような感覚に陥っていた。

 

 しかし、暗いはずなのに何故か上から光が照らしているように思える。

 

 そこへ、あの竜が翼を羽ばたかせながら舞い降りてくる。

 

 ―実に良い刃だな

 ―お前も気に入ったのか

 ―ああ。・・・どうだ?魔法を使えるよう、少し細工を施してみるか?

 ―魔法を?どのようにしてだ?

 ―見ていろ

 

 

 竜が咆哮を上げると同時に、アルゴノゥトの精神も正常に戻った。

 

 クロッゾが肩に手を掛けているのに気付き、視線をクロッゾへ向けた。

 

 「大丈夫か?何があったんだ?」

 

 それに答える前に、アルゴノゥトが握っている剣銃が眩く光り始めた。

 

 アルゴノゥトとクロッゾはそれを見て驚愕する。

 

 光るのが収まっていき、剣銃は先程までの形状と異なっていた。

 

 刀身に半透明のクリスタルが埋め込まれ、鍔部分には拳を握っているような手の形状をした

 装飾が備わっていた。

 

 どこかで見た事のある手の装飾に、はたとアルゴノゥトは気付いた。

 

 「お、お前っ、何やったんだ?この手形は一体・・・」

 「・・・驚くのはまだ早いぞ」

 

 そう言いながら、アルゴノゥトはクロッゾに少し離れるよう伝える。

 

 クロッゾは戸惑いつつも言われた通り離れる。そして、アルゴノゥトは右手に指輪を嵌めた。

 

 剣銃を剣の形状にして、装飾の親指を引っ張ると装飾が掌を見せるように開いた。

 

 やはりベルトのバックルと似ていると思っていたアルゴノゥトは、それを確信すると

 右手を翳す。

 

 すると、ベルトのバックルと同じように詠唱が始る。

 

 ‹‹CAMONA SLASH SHAKE HANDS››

 ‹‹CAMONA SLASH SHAKE HANDS››

 ‹‹FLAME››

 ‹‹SLASH STRIKE››

 ‹‹HI・HI・HI!HI・HI・HI!››

 

 アルゴノゥトは剣銃を構え、石を置いていた丸太を見据える。

 

 剣銃には真っ赤な炎が刀身となるように纏い、火の粉を散らしながらメラメラと燃える。

 

 足腰に力を入れ、全身を捻らせるように炎の大剣となった剣銃を振るう。

 

 直撃した丸太は燃えるどころかそのまま木炭となり、最後は消し炭となって消滅した。

 

 剣銃を振るった跡が残るように一直線に地面が焦げ、煙が立ち上っていた。

 

 息をつきながらアルゴノゥトは残心を取り構えを解く。

 

 その後ろで見ていたクロッゾは可笑しそうに笑い声を上げた。

 

 「・・・っ、ハハハハッ!参ったな、とんでもない奴と出会っちまったみたいだ」

 

 

 クロッゾに剣銃の代金を支払い終え、アルゴノゥトはフィーナ達と合流する事にした。

 

 既に夕暮れとなっており、恐らく二人は待ちぼうけを食らっているかもしれないと

 思ったからだ。

 

 クロッゾはそろそろ次の村へ行く事にしていたため、先に村から出る事になった。

 

 「じゃあ、またな。どこかで会ったら、旅の話でも聞かせてくれ」

 「ああっ。この剣銃・・・ふむ、ウィザーソードガンと名付けていいか?」

 「ウィザーソードガン・・・いいんじゃないか?俺は撃斬丸(うちきりまる)がいいと思ったんだが」

 「・・・か、考えておく。次の村で、商売が上手くいくといいな」

 「ああっ。何とかやってみるさ」

 

 そう言ってクロッゾは手を振りながら、アルゴノゥトに見送られ村を後にする。 

 

 その後、アルゴノゥトが駐馬場に着くとやはり先に二人が待っていたが、どうやら少しだけしか

 待っていなかったようで文句は言われなかった。

 

 剣銃元いウィザーソードガンを持っている事にリュールゥが気付き、フィーナも興味津々に

 問いかけてきたので、一休みを延ばして宿に泊まる事にしたのだった。




 「ウィザーソードガンでいいです」
 
 「撃斬丸は・・・少々、縁起が悪い気がしますので私も同意します」

 「そうか。わかった、それを聴いて少しホッとした」

 「その鍛冶師が全く売れない理由が・・・何となく察せましたね」

 「腕は確かなんだが、恐らくそうなんだろうな・・・」

 「勿体ないですな~。これほど良い武器を創れるというのに」
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