【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード   作:れいが

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4節 変身

 ズザザッと地面を抉るほどの勢いで着地したユーリは、左手の鉤爪をいつでも振るえる

 構えに入る。

 

 既に捕まっていた同胞は長い腕を斬り落としていった事で、残すは1人だけとなっていた。

 

 「ふむ・・・やはり素晴らしいな。是非とも貴様には我々の配下に付いてもらおう」

 「ほざくな、虫如きが。私は狼の部族を護るために戦うまでだ」

 「なるほど?・・・では、取引といこうか」 

 

 そう言うが早いか、捕まえていた狼人を手放して解放した。

 

 ユーリはその行動に対話でもするのかと思っていた。しかし、そうではなかった。

 

 蜘蛛のソレは腕を伸ばし、建物の影に隠れていた一人の少女を捕まえたのだ。

 

 その少女を見て、ユーリは眼を見開き驚愕する。何故なら、自分の妹だったからだ。

 

 「いやぁあああっ!」

 「止せっ!何のつもりだっ!?」

 「取引だ。このまま断れば、この小娘と使えない奴も殺す」

 「貴様と他の使える者を引き渡せばこの首から手を離そう」

 

 蜘蛛のソレが言ってきた提案に、どちらを選ぼうが使えない奴と罵られた同胞は皆殺しに

 されると脳裏に過ぎった。

 

 そこで少しでも時間を稼ごうと、対話に徹した。

 

 「目的を言え!どうするつもりなのかを!」 

 「言ったはずだ、我らの配下とする。この我と同じように、魔物を受け入れてな」

 「っ!?・・・狂っているな。自身を魔物に変えるなどと・・・!」

 「魔物は神が遣わせた生ける神器。崇拝するに値する」

 「故に我らは己が身体に魔物を受け入れ、神の眷族となった」

 

 少女を掴んだまま、全ての腕を掲げる。

 

 「世界を我が手中に収める事こそ誓願」

 「それこそが、我が偉大なる闇派閥の崇高な意思なのだ!」

 

 「あの子を頼む」

 

 背後から聞こえてきた声に反応し、ユーリは振り返る。

 

 その瞬間、何かが頭上を通過した。銀色の弾丸だ。

 

 弾丸は軌道を変えながら蜘蛛のソレの背後へ回り、視覚から少女を掴んでいる腕の手首を粉々に 

 砕いた。

 

 「何っ・・・!?」

 「キャアッ!?」

 

 落下していく妹を見て、ユーリはその言葉の意味を理解する前に駆ける。

 

 地を蹴りつけ飛び上がると妹を抱きかかえて蜘蛛のソレの後方へ着地した。

 

 「無事か?怪我はないか?」

 「は、はい。兄様・・・」

 

 蜘蛛のソレは砕かれ、失った手首の先を見て身体を怒りに震わせた。

 

 「誰だ!?我が首領から貰い受けたこの身体を穢した者は!どこに居る?」

 「ここだ」

 

 蜘蛛のソレは前方から歩み寄ってくる1人の男を視界に捉えた。

 

 手にしている武器は見た事はないがそれによって腕が砕かれたのだと判断する。

 

 男は蜘蛛のソレの前まで来ると、口を開く。

 

 「貴様のくだらん戯言など耳障りだ。消え失せろ」

 「ほざけ!我が闇派閥の崇高な石を侮辱するというのかぁ!」

 「侮辱などではない。否定だ。誰もそんなものを望んでなどいない!」

 

 蜘蛛のソレは失った腕を翳し、振り下ろす。

 

 男はその場から飛び上がると、後方へ下がる。

 

 左手の中指に指輪を嵌めこみ、ベルトのバックルに翳した。

 

 ‹‹DRIVER ON››

 ‹‹PLEASE››  

 

 バックルから盛り上がるように銀色の魔道具が出現し腰に巻かれる。

 

 左右の突起を上下逆にすると詠唱が始まった。

 

 ‹‹Shabadoobie Touch HENSHI~N›› 

 ‹‹Shabadoobie Touch HENSHI~N›› 

 

 「ライダー・・・!」

 

 右手に指輪を嵌め、右腕を頭上に掲げる。

 

 ゆっくりと反対側へ移動せると、左腕を突き上げながら魔道具に右手の指輪を翳す。

 

 「変身!」

 

 ‹‹HURRICANE››

 ‹‹PLEASE››

 

 ‹‹FU!FU!FU!FU!FU!FU!››

 

 逆三角形となっているエメラルドのような輝きを放つ翠色の魔皇石が埋め込まれた仮面。

 

 首には風に靡く、赤いスカーフ

 

 全身に纏う黒い魔法衣とローブ。

 

 胸部の左右に並ぶ翠色の魔皇石と、胴体中央部に定置された魔装具には風の力を宿す呪文が

 刻み込まれている。 

 

 今、北方の地に、使いが降り立ったのだ。

 

 「さぁ、ショータイムだ!」

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