【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード 作:れいが
蜘蛛のソレを倒し、アルゴノゥトは『狼』の部族の族長である
ロウガに感謝の意を伝えられた。
何か捧げたいと言われたアルゴノゥトだが、やはり気持ちだけで
構わないと丁重に受け取らない事としたようだ。
ロウガもアルゴノゥトの意思を尊重し、感謝の意を伝えるだけに
留めた。
破壊された部族が住まう天幕の修理を手伝う事にして、アルゴノゥトは
骨組みとなる木を集めていた。
「すまない。少しいいか?」
すると、背後から声を掛けられてアルゴノゥトは木を置き振り返る。
そこに居たのは、ユーリとその妹の少女だった。
「この度は私の妹や部族の皆を助けてくれた事、心から感謝する。
本当に助かった」
「あ、ありがとうございます!旅のお方様...」
「ああっ、君が無事で本当によかった。
ユーリ、だったか?君も最後まで戦い続けた勇姿は忘れる事はない」
ユーリはまさか褒められるとは思っていなかったのか、目を丸く
していたが、照れくさそうに口元を綻ばせていた。
「そちらの勇姿も忘れはしない。
...あの姿になっただけ、とは思えない技だった。
努力の賜物と評しても過言ではないな」
「それは光栄だ。
...しかし、あの蜘蛛の怪物は一体何だったんだ...?」
「私が聞いた所...自らの体に怪物を宿した事であの様な穢れた姿になったと思われるな。
そして、奴隷として我が部族の皆を狙ったんだろう...」
そう答えるユーリは拳を握り、怒りを堪えている様だった。
それに気付いたアルゴノゥトは少なからず共感したので、一歩ユーリに
歩み寄った。
「他の所でも同じ被害に遭っている人々が居るという事か...
それなら...私は行かなければならない。
旅を続ける限り、人々を助けるために」
「そうか...私は族長の息子として跡を継がなければならない身だ。
一緒に向えない事に歯痒さを覚える...」
ユーリは目を伏せて申し訳なさそうにするが、アルゴノゥトは
肩に手を乗せて励ました。
天幕の修復も終わり、アルゴノゥトはすぐに旅立つと族長に
伝えた。
そして、『狼』の部族が総出となって見送る事になった。
「クラネル。短い間だったが、この恩は忘れはしないぞ」
「ああっ。では、さらばだ」
「失礼します」
「部族の皆さん。どうかお元気で~」
爆音を上げ、北方の地を後にするアルゴノゥト一行を『狼』の部族は
静かに見送った。
木枯らし吹き荒れる木々の道を進んでいき、やがて平原に出た。
「師匠、これからどこへ向かいますか?」
「あの蜘蛛の怪物を影で操る組織が現われる所なら、どこへでもだ。
私達の向かうべき旅は、これからそうなる事にした」
「おぉ!それはそれは、英雄譚として相応しい展開ですなぁ!」
「ハッハッハッ...2人も。それでも付いて来てくれるか?」
「もちろんです!師匠の行く所なら、どこへでも!どこまでも!」
「私も同じく、ですよ。アル殿」
「...ありがとう。...よし、それじゃあ行くぞ!」
夕陽に向かって走る影は小さくなり、やがて地平線の彼方へと
見えなくなるのだった。
非常に悔しい思いではありますが、これにて打ち切り終幕とさせていただきます。
投げっぱなしはダメだと思い、とりあえず最後まで書き切りました。