【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード 作:れいが
1節 都での出会い
「うわぁぁあああああっ!」
「助けてくれぇえっ!」
響き渡る悲鳴。私はその光景に恐怖した。
崩れゆく建物、燃え上がる木々、理不尽なまでに非力な人々を襲う魔物。
両親が外出して、1人で留守番をしている私は突然襲来してきた絶望に怯えていた。
このままだと、この家も襲われて壊されてしまうと思い、私は思わず
ドアを開けて外へ出た。
両親には絶対に外へは出てはいけない、と注意されていたけれど、
この時はとても怖くて逃げ出したかったから、その事はもう頭に
なかった。
―グルルルルッ!
「あっ・・・」
家を出てすぐ目の前に、真っ赤な毛に覆われた獣のような魔物が
ノッソリと姿を現した。
力が抜けてしまい、私はその場で座り込んでしまった。
魔物はゆっくりと4本の足で近付いてくる。紫色の舌で口の周りを
舐め、舌舐めずりをしていた。
私はどうする事も出来なくて、泣く事しかなかった。
魔物が口を大きく開け、私を食べようとしてきた。
―ブロロロロロロォォオーーッ!!
―ドガァッ!
「え・・・?」
すごい音が聞こえたと思えば魔物が吹っ飛ばされて、建物の壁に
衝突して地面に倒れる。
目の前には銀色の魔道具に跨っている、白い髪の男性がいた。
白い髪の男性はその魔道具から降りると私の方を振り向いて、
こう言った。
「大丈夫かい?立てるかな?」
優しく笑みを浮かべながら手を差し伸べて、私を心配してくれていた。
私は頷いて、その手を握り締めフラフラしながら立ち上がった。
その手は・・・とても温かった。
そう思っている最中、男性が突然振り返った。
見るとさっきの魔物が起き上がって、怒り狂うように吼え始めた。
―ガァァアアアッ!!
「トォッ!」
男性は掛け声を上げながら高く高く跳び上がって、魔物の頭上を
通り過ぎると
着地してすぐ、目にも止まらぬ速さで近付いていった。
魔物が攻撃をしようとしていたが、それよりも先に男性が攻撃を
しかけて
一瞬にして魔物を倒してしまった。
私はそんな信じられない光景を目の当たりにして、呆然と立ち尽くした。
「危ないから、自分の家に避難していなさい」
そう男性に言われて、私は大人しく従った。
しばらく時間が経って、鳴り響いていた鐘の音や悲鳴が聞こえなく
なったのに気付いた頃
窓の外を見ると、夕暮れになっていた。
そしてドアを誰かが開けようとしてきて、私は思わず叫んだ。
「だ、誰!」
ドアの向こうから、聞こえてきた声は知っている声だった。
「フィーナ!よかった、無事だったか・・・!」
「鍵を開けて?もう大丈夫、魔物は全部退治されたから」
「・・・お母さん、お父さん・・・!」
私は鍵を開けて、ドアを開く。そこに立っていたのは紛れもなく
私の両親だった。
私は思わず涙を流して、抱きついた。無事だったんだ。
それだけを思って・・・
フィーナから見た一部始終。
魔物が攻撃をしようとしていたが、アルゴノゥトはその振り上げていた
手足を掴み、腹部、胸部に強烈な正拳突きを叩き込む。
急所を突かれた魔物が苦しげに唸り声を上げ、動きが止まる。
その隙を突いてアルゴノゥトは掴んでいる手足を両手で掴み直すと
背負い投げで地面に魔物を叩き付けた。
地面にめり込む程の一撃で背骨と首の骨は断裂し、魔物は息絶えた。