【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード   作:れいが

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3節 蛟竜、雲雨を得

 「うん。美味い」

 「よかったぁ・・・初めて作ったから、少し不安だったんです」

 

 少女はアルゴノゥトの隣に座りながら、そう言った。

 

 確かに少しだけ断面が歪に見えるが、味はとても良かった。

 

 アルゴノゥトは自身で創った革の水筒の水を飲み、一息ついて少女に問いかける。

 

 「君の名前は、何と言うのかな?私はアルゴノゥト=クラネルだ」

 「あっ、私はフィーナと言います」

 「フィーナ、か。エルフ・・・でいいのかい?」

 「・・・一応は、そうなるんですけど・・・」

 

 少し濁した答えにアルゴノゥトは首を傾げた。

 

 彼女曰わく、自分は半端者なんだと。

 

 人間とエルフの間に生まれたため、昨日までずっと家から出ないように両親に言われ

 隠れて暮らしていたそうだ。

 

 善王が統治していた多種族同士が住む都と言えど差別の憂慮は捨てきれないという現実が故の

 事なのだろうとアルゴノゥトは思った。

 

 「・・・とても君を愛しているご両親なんだね」

 「でも、家にずっと居るのは少し・・・つまらないですよ」

 「その気持ちはわかるよ。しかし、それは君を思っての事だとわかってほしいな」

 「・・・はい」

 

 アルゴノゥトは頷くフィーナに微笑み、サンドイッチを食べる。

 

 穏やかな昼下がり、2日前に起きた魔物の襲撃が嘘のように思えるほど平穏だ。

 

 「あの、クラネルさんはどこから来たんですか?」

 「私はここよりずっと北の方向にある森に住んでいて、そこから来たんだ」

 「その森で魔物を倒す修行をしていたんですか・・・?」

 「いいや、それは・・・つい最近になって始めた事なんだよ」

 「さ、最近って、そんな・・・信じられないんですけど・・・」

 

 フィーナの反応は当然の事だった。

 

 付け焼き刃であれば、あんな簡単に魔物を倒せるはずがない。

 

 それこそ戦争を生き抜いてきた百戦錬磨の騎士であっても不可能と言えるからだ。

 

 フィーナはアルゴノゥトに問いかける。

 

 「あんなに強いのはどうしてなんですか?」

 「・・・私はある日、傷付いた竜を助けた事があるんだ」

 「竜を・・・?」

 「そうだ。その竜が傷が癒えて、私に力を与えてくれると言った」

 「私はそれを受け入れ・・・人々の自由と平和を守るために戦える事が

 出来るようになったんだ」

 「だから・・・私自身が強い、という訳ではないんだよ」

 「だが、竜から与えられた力で人々を助けられるなら・・・私は惜しみなく使う」

 「人々の希望を無くしてはならないのだから」

 

 最後の一口となったサンドイッチを食べて、水筒の水を飲んだアルゴノゥトは立ち上がる。

 

 「ごちそうさま。とても美味しかったよ、ありがとう」

 「い、いえ。・・・これから、またどこかの手伝いに行くんですか?」

 「もう壊されたところは町の人達で直せると思いますけど・・・」

 「いや、最後まで手伝わせてもらうよ。人助けというのは、そういうものなんだ」

 「・・・そうですか」

 

 フィーナも立ち上がり、バスケットを手に持つとアルゴノゥトと向き合った。

 

 少し身長差があるため若干フィーナが顔を上げるようになる。

 

 「あの、余計なお節介になるかもしれませんけど・・・」

 「町が直るまでここにいるなら、こうして食事を持って来てあげましょうか?」

 「いいのかい?食料が不足しているのであれば、丁重に遠慮を」 

 「だ、大丈夫です!そこまで困窮していませんから・・・」

 「・・・それなら、是非お願いするよ。フィーナ」

 「!。は、はい!お任せください!」

 

 フィーナは満面の笑みで答え、頷く。

 そうしてアルゴノゥトは復旧作業の手伝いへ向かい、フィーナはそれを見送ってから家へと

 戻っていった。




 「お母さん!喜んでもらえたよ!」
 
 「そう。一生懸命作った甲斐があったわね」

 「うん!・・・あのね、町が直るまでここに居る間、ご飯を作ってあげる約束をしたんだけど・・・」

 「か、勝手に決めて、ごめんなさい・・・」

 「いいのよ、食べ物には困っていないんだから。それに・・・」

 「貴女の命の恩人なら、いくらでも作ってあげないとね」

 「!。うんっ!」
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