【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード 作:れいが
「・・・その、娘を献上してほしいと?」
「はい。その子を弟子として迎え入れ、一緒に旅をして回ろうと思った次第です」
「そ、そうか・・・いや、それは個人の事情であるのでは」
「構いません。彼女をここ
「そうすれば、混血に対する蔑視するこの時代を変える存在となりましょう」
王は最初こそ戸惑っていたが、アルゴノゥトの熱意に押されてフィーナを献上する事とした。
アルゴノゥトは深々と頭を下げてお礼を述べる。
アルゴノゥトが言っていた事は、本人自身も本当にそうなってほしいという願いが
込められていた。
だからこそ、王に対して伝えたかったのだ。
物ではなく人を差し上げるという前代未聞な事になったが、王は早急に契約書を用意して
アルゴノゥトはそれに名前を書いた。
そうして、アルゴノゥトは王に旅立つ事を伝えて、見送りはパレードなどをせず
ただ、普通に見送ってほしいと言って城を後にした。
天幕や荷物を片付けて、丘から一望出来る都の風景を眺めた。
そうしているとフィーナが駆け寄ってきた。少し膨らんだ背嚢を背負って、その
希望に満ち溢れた笑みを浮かべている。
「お待たせしました!両親と沢山お話して荷物もしっかりまとめてきました!」
「そうか。・・・では、まず最初の教えからだ」
「はい!何でしょうか、師匠!」
「・・・あぁ、そう呼ぶのか?以前の通り、アルゴノゥトでも」
「いえいえ!弟子となったのですから、師匠と呼びます!」
「・・・そうか。それなら、そうしてくれていい」
アルゴノゥトは微笑みながら、フィーナの後ろに立つ。
フィーナが振り向くと、アルゴノゥトはは真っすぐ前を見るように言った。
それに従って、フィーナは前を向く。
目の前に広がるのは故郷である町だった。魔物が襲ってきて、半壊していた家々は
すっかり元通りになっている。
「ここは君の故郷だ。家の中でずっと過ごしてきた君にとって、あまり思い出に残る
場所はないかもしれない」
「だが、君にとってかけがえのない故郷を旅立つ事になった」
「何年後にまた帰って来られるか、わからない。だから・・・最後に思いの丈叫ぶんだ」
「ありがとう、と。忘れないために・・・」
「両親にも聞こえるほど、大きな声で故郷に別れを告げなさい」
フィーナは様々な思いが込み上げてくるのを感じた。
家から出られず、肩身の狭い環境ではあったが、幸せな生活だった。
お母さんと一緒に料理を作ったり、絵本を読んでもらった。
お父さんと一緒に椅子を作ったり、勉学を教えてもらった。
万感の思いが胸いっぱいに広がり、翡翠色の瞳から涙が溢れ出してきてくる。
涙を拭い、大きく深呼吸をする。
「・・・すぅーっ・・・」
「ありがとう!!」
正午となり、都の出入り口となる巨大な門の周辺には人々が集っていた。
アルゴノゥトの弟子となったフィーナを見送るためだ。
要望通り、派手なパレードは行わず人々が道を開けて、アルゴノゥトとフィーナが
そこを通って行く。
人々は感謝の意を込めてお礼を述べ、再会する事を望む声も上げていた。
門を潜る手前でアルゴノゥトは指輪を中指に嵌め、バックルに手を重ねる。
‹‹CONNECT››
‹‹PLEASE››
紅い魔法陣に手を入れて、その中から
その魔法を目にした事のある者は驚かなかったが、見た事のない者が思わず後退りして
驚いていた。
アルゴノゥトは指輪を外しながら振り返って、こう言った。
「
また旅に出る」
「この子が誰からも認められ、誰からも語り継がれる英傑となると・・・」
「混血に対する蔑視が無くなる時代を、この子が導くと信じてほしい」
「必ずその時代が来ると!・・・さらば!」
アルゴノゥトは颯爽とに乗り、フィーナに手を差し出した。
その手を掴むとアルゴノゥトに引っ張られて、フィーナも乗り込む。
―ブロロロロォンッ!!
エンジンを吹かし、その場から目にも止まらぬ速さで発進する。
それは正しく、疾風のようだった。
人々は一層歓声を上げて、アルゴノゥトとフィーナを見送るのだった。
「!~~ぅすでぎす速!~~~ぉぉ匠師、し」
「!ぞいなゃじのもなんこ、だまだま!ッハッハッハッハ」
!ッーーーーーオオォオロロロロロロロロロブ
「!!~~~~ぁぁやい」