【完結】冒険譚「希望の指輪」 アルゴノゥト・ウィザード   作:れいが

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2節 旅路にてⅡ

 ―村を後にした私達は、峡谷が広がる平原で師匠の魔法について話していました。

 ―最初に驚いたのは、詠唱を自ら行わずにベルトがして、使えるという事でした。

 ―以前に話してもらった竜の力で様々な魔法が使えるそうです。 

 ―基本的な四つのに属する魔法から、別の四つの特殊な魔法、魔法陣を介して

  遠くの物を取ったり物を浮かばせるといった魔法などが使えると教えてもらいました。

 ―昨日披露した魔法は、特殊な魔法の内の一つでを操れる魔法だという事で、小さく指先から

  稲妻を放つのを見させてもらいました。

 ―翠色の稲妻はとても綺麗で、思わず見とれてしまいました。

 ―師匠が、ちょっとなら触っても大丈夫だよ、と言ったので私は指先でちょんっと

  触ってみると、痺れたりはしませんでしたが、髪の毛が逆立ちモジャモジャになって

  大変な事になりました。

 ―師匠は、わかっていたのか笑っていました。整えるの本当に大変だったんですからね!

 ―私はそれで少し拗ねてしまっていると、師匠が魔法を使いました。

 ―見ると、師匠の右掌の上に光が宿って一輪の小さなを創り出しました。

 ―花を創り出す魔法だと教えてもらいましたが、何のためなのか問いかけると、笑顔にして

  あげるための魔法だと、言ってそれを差し出してきました。

 ―私は大切に受け取って、少し花の香りを嗅いでみました。

 ―甘い蜂蜜の香りと森の中で香る木々の匂いが、その小さな花から香ってきました。

 ―ホッと息をついて、心が安らぐのを感じました。

 ―師匠曰く、この花を創り出す魔法の指輪は本来は存在しない物だったのだが、

  とある魔道具製作者と出会って、その人に魔皇石という不思議な石を提供して、

  元々存在しなかった魔法の指輪をいくつか創ってくださったそうです。

 ―英雄となるであろう師匠の指輪を創ったのですから、すごい偉業だと思いました。

 ―いつか会ってみたいですね。

 ―ふと4つのエレメントではどのような魔法を使えるのか見せてほしいと言いました。

 ―しかし、それは本気を出す時だけにしているんだ、と答えたので少し残念に思いましたが、

  師匠を困らせる訳にはいかないので諦めました。

 

 

 ―3日目。私は魔法を使えるようになりたいと思い、師匠に相談しました。

 ―師匠はそのためには、まず魔法の基礎を学ばなければならないな、と言ってある町へ

  連れてきてもらいました。

 ―少し寂れた感じではありますが、穏やかな雰囲気が漂っていて心を落ち着かせてもらえる

  町でした。

 ―町の一角にある、学舎に入ってみると、そこには少人数の生徒さんが居て、女性のエルフが

  先生をしていました。

 ―名前はチュール先生と言って、すごく綺麗で私と同じ色の目をしていたんです。

 ―チュール先生は混血の私に対して、全く偏見を持たず優しく接してくださりました。

 ―以前、怪我をしてしまった生徒さんに師匠が治療を施してあげた時、チュール先生と

  出会ったそうです。

 ―その際、師匠もまだ魔法を上手く使えなかったため教えてもらったそうなので、

  私もチュール先生に魔法を教えてもらう事となりました。

 ―私は大感激してチュール先生と師匠と一緒に魔法について学びました。

 ―チュール先生は教え方がとても丁寧でわかりやすく、私は自然と魔法の基礎が頭に

  入ってきていました。

 

 

 ―それから翌日の4日目になって、教えられた事を元に実践練習を行いました。

 ―練習は広場に立たせた案山子に向かって魔法を放つというものです。

 ―師匠もあの案山子で練習をしていたそうでした。

 ―私は意識を集中し、自身の身体に宿る魔力を高めていきました。

 ―そして、杖を翳し詠唱しました。ちなみに杖はチュール先生から貸していただいた物です。

 ―【契約に応えよ、森羅の風よ。我が命に従い敵対者を薙げ】

 ―杖の先で4つの翠色に輝く魔法陣が円を描きながら回転して、徐々に速くなりながら

  広がっていき、瞬時に重なり合って突風が吹き荒れました。

 ―案山子は空へと吹っ飛ばされ、地面に落下するとバラバラになってしまいました。

 ―ゲイル・ブラスト。私が思い浮かべた、一撃で敵を吹き飛ばす風の魔法です。

 ―チュール先生と師匠は拍手を送ってくださり、魔法を使えた事を褒めてもらいました。

 ―私も大喜びして、次の魔法も試そうと思いましたが、急に体の力が抜けてしまい目の前が

  真っ暗になりました。

 

 

 ―そして次に目が覚めたのは、翌日となる5日目のお昼頃でした。

 ―チュール先生と師匠は安堵して、何が起きたのか教えてくださりました。

 ―何でも精神力を全力で込めたゲイル・ブラストを放ったため、精神疲弊(マインド・ダウン)という

  気絶する状態になってしまったそうでした。

 ―今度から気を付けるようにと言われて、私は頷く他ありませんでした。

 ―ちなみに、ものすごくお腹が空いていたのかお昼ご飯は、普段は一つで満足するはずなのに

  パンを三つも食べてしまいました。

 ―体力が戻って、魔法の実戦練習を再開しました。

 ―昨日、バラバラに壊れてしまった案山子は師匠が直してくださったようで同じ位置に

  置かれていました。

 ―今度は師匠が精神力を込め過ぎないように指導してもらいながら、魔法を放ちました。

 ―【契約に応えよ、大地の焔よ。我が命に従い暴力を焼き払え】

 ―魔法陣の動きは同じなため省きますが、紅い炎が案山子目掛けて飛んでいき、ぶつかると

  同時に大爆発を起こしました。

 ―フレア・バーン。単純にすごい威力で敵を蹴散らす爆裂魔法です

 ―今回は師匠の支えもあって、精神疲弊(マインド・ダウン)はしませんでしたが、やはりまだまだ魔法を

  使うのには集中力が必要なためとても疲れました。

 ―休息をとって魔法に関する本を読んでいると、師匠が隣に座って話しかけてきました。

 ―初めて魔法を使ってみてどうだったか、と。私はもちろん嬉しかった事を話しました。

 ―それを聴いた師匠は、そうか、と微笑んでいましたが、真剣な表情になって言いました。

 ―その力は何のために使うか、誰のために使うのか、それをよく考えて詠唱しなさい、と。

 ―私はその言葉を最初は理解しようとしましたが、何のため誰のため、とは二つの意味が

  どう違うのかわかりませんでした。

 ―ですが、自分で答えを見つけるために、あえて師匠には聞きませんでした。

 ―夕方、お世話になったチュール先生が見送りにきてくださりました。

 ―その際、チュール先生はある物を差し出しました。

 ―それは翡翠色の魔石が両端に埋め込まれ、上部の先端は白い装飾に根元には紐飾りが

  結ばれている杖でした。

 ―チュール先生は、少し早く卒業する生徒に贈ります、と私に手渡そうとしてきました。

 ―私は受け取っていいのか迷って師匠を見ると、師匠は頷いて微笑んでいました。

 ―チュール先生からその杖を受け取り、生涯まで大切に使います!と私は深々と頭を下げて、

  そう告げました。

 ―そして、師匠と疾風の鉄馬(サイクロン)に跨ってチュール先生に見送られながら、町を後にしました。

 ―杖を撫で、これから手助けのために役立てようと思いました。

 ―その時、何のためという意味が少しだけ理解したような気がしましたが・・・

 ―それは、まだ先の事になります。




 「師匠も精神疲弊になった事はあるんですか?」

 「私の場合、魔法の類が少し違うようで精神疲弊にはならないんだ」

 「別の何かで魔法が使えるんだと思うな」

 「・・・それってズルくありません?」

 「ハッハッハッハッ。まぁ、フィーナも成長していけば、精神疲弊にならずに魔法を使えるようになるはずだ」

 「そうだといいんですが・・・」

 「自分を信じてみなさい。私よりも、自分が信じなければならないんだ」

 「・・・はいっ」
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