非日常というものは突然前触れもなく訪れる。
10年前に母が災害に巻き込まれ亡くなったように。
半年前のテレビでも取り上げられるような大きな事故の死者に出張中の父がいたように。
この降水確率0%を裏切った空模様だってちょっとした非日常だ。そう思っていたのに、どうやらそれはかなりの思い違いだったらしい。
何故かって?それを遥かに凌ぐ特大の非日常が目の前に現れればそりゃ今日の天気も霞むだろうよ。
「人、だな」
「人だね。しかも美人さん」
俺たちの住む安アパートは少し入り組んだ所にあって人通りも少ない。そんな通り道で倒れているローブ姿の女性なんて間違いなくとびっきりの非日常だろう。
純の言う通りローブの下から僅かに見える顔は確かにかなりの美人だが問題はそこじゃない。何故だか俺には、否。俺達はその顔に強烈な既視感を覚えた。こんな珍しい髪色、例え服装が違ったとしても忘れるとは思えないのに。
常識的に考えて幾ら女性とはいえこんな場所で、明らかに怪しい格好で倒れている人間と関わるべきではない。双子とはいえ俺は兄で、最優先は純とこの生活を守ることだと常に最適解を選び続けてきたつもりだ。
今すぐにでも救急車と警察を呼んで後は任せるべきだと頭では分かっているのに、気が付けば傘を純に押し付け濡れるのも構わずその人を抱きかかえていた。
「純、先に帰ってタオルありったけと救急箱の準備頼む」
「分かった!あとお風呂もね!」
風のように駆け抜けていく背中を追って歩を進める。俺自身非力で成人女性+全身を覆う雨水を吸った衣服は本来到底持ち上げることすら敵わないはずなのに、何故か軽々運べたことをこの時は気にも留めていなかった。
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簡単な人物紹介
天川誠
穂群原学園2年C組所属で衛宮士郎とクラスメイト。
基本的に口数が少ない一匹狼気質で座右の銘に「備えあれば憂いなし」を掲げる程度には慎重な性格かつ一部を除き打算で人付き合いする程度には厭世家。ただ過去の出来事から衛宮士郎には恩を感じており無条件で手を貸す程度には気にかけている。
幼い頃に母を亡くし父親も半年前に他界したので現在は双子の妹の純と学校近くの安アパートで暮らしながら家事全般を請け負う主夫。
日本人離れした青みのある髪と端正な顔立ち+高身長で色んな人に絡まれることが多く割と辟易しているが髪色自体は気に入っており染めるのは絶対嫌ということで私服は基本ユ〇クロのフード付きパーカー。色違いを着回しするくらいには服装に頓着しないが母親の形見と思われる青い石のブレスレットだけは肌身離さず付けている。
天川純
穂群原学園2年A組所属で遠坂凜のクラスメイト。
双子の兄とは違い誰とでもすぐに仲良くなれるコミュ力MAX人間で座右の銘に「元気溌剌」を掲げる程度には体力お化けの陽キャ。身長は平均程度だが双子の兄を遥かに凌ぐ身体スペックの持ち主で所属している空手部で遺憾なく発揮している穂群原学園期待の星。
根っからのお人好しで地毛の金髪がちょっとコンプレックスなところも凸凹双子と呼ばれる所以。