英雄の魔法と最終の人類   作:koth3

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第八話

第八話 もう一人の少女との再会

 

麻帆良学園都市の女子中学校の校舎を前に二人の男が肩を並べていた。

一人はたばこを吸ったダンディな風貌の男。

その隣にいる男は、橙色の髪を日に輝かせ何かの資料を読んでるようだ。

 

「どうだい。もうクラスの子たちは覚えたかい?」

「ああ、確認は終わったさ。それにしても、木乃香がいるのか」

「?、木乃香君になにか問題があるのかい?」

「いや、問題はない。こちらの事情だ」

 

真心が守ろうとしている少女のうち一人は刹那だが、もう一人は今言った木乃香なのだ。

半年近くこの学園にいたが今の今まで忙しく木乃香に会えなかった。もし木乃香にこのことを知られたら何をされるかわからない。そう真心は思うがゆえに気が重くなるのだ。それに

 

「それに神楽坂明日菜か」

「明日菜君もかい」

「いや、少し知り合いになってな。まあ、いい子なのだろうが。再開したら騒ぎだしそうで怖くてな」

 

いや、騒ぎそうではなく間違いなく騒ぐと真心は考えながら

 

「だから安心しろタカミチ。別に問題があるわけじゃない。

お前さんが預かっている子は問題ないさ」

「さすがだね。こんな短時間でもうこの子たちのバックボーンを把握しているのかい」

 

そう二人は準備の確認をしながら学校の中に入っていく。

 

 

 

「みんなみんな、スクープだよ」

 

報道部に在籍している朝倉和美の声にみんな一斉に反応する。

 

「新しい先生がこのクラスに来るんだって」

 

この少女昨日決まったことをどうやって調べたのか謎である。

 

「えっ、ウソ。どんな人なの朝倉」

「強い人アルカ」

「強い御仁だと喜ばしいのでござるが」

 

クラスメイトの質問も最初を除きまともなことを言っていないが。

 

「うーん、それが詳しいことが分からなかったんだよね。

ただ、職員室のなかでは、ちょっとした騒ぎになっているみたいだよ」

 

どうやら、職員会議を盗み聞きしたようだ。

実際に職員室内でも突然だということもあるが、その新しく来る新任の教師が七愚人の一人ということに騒ぎ出しているのだ。

そんなことを知らずに真心とタカミチは職員室に入り、興奮した教師たちの手によってもみくちゃにされてしまったが。

 

朝倉たちが教師の話をしていると予鈴がなり始めた。

 

「そろそろ先生が来るかも」

 

誰かが言ったその声に反応し全員が着席し、新しい先生が来るのを待っている。

もしもう少し時間があったのなら鳴滝姉妹の手により、罠を作って待っていただろうが。

 

がらりと扉の開く音が聞こえ、担任であるタカミチがクラスに入る。

 

「おや、今日はみんな着席が早いね」

「先生ぇ~、新しい人が来るって本当ですか」

「あははは、情報が伝わるのが相変わらず早いな」

 

苦笑しながらタカミチは答える。

 

「うん。新任の先生が来てね。今から紹介するね。入ってください」

 

その声と同時に一人の男性がクラスに入る。

それと同時に幾人の生徒が反応する。

魔法に関連した生徒は彼のことを知っているからだ。

だが、とある少女は違う。

その男とは小さいころよく遊び、幼いながらも確かに彼のことが好きだったのだから。

 

教壇まで歩き、その男は口を開く。

 

「皆さん、おはようございます。

先ほどタカミチさんがおっしゃった新任の教師の想影真心です。

これから、皆さんの授業を受け持ちますがよろしくお願いします」

 

キャアアア!!!

黄色い声が響きクラス中に声が反響する。

一部の生徒は落ち着いて真心を観察しているが、ほとんどの生徒は真心に興味を示し、興奮してしまっている。それぞれが、質問しようとして声を発するので騒音となってしまっている。

そんな中

 

「マー君?」

 

一人の少女の声が彼女らの声を切り裂き彼の耳に届く。

 

「久しぶりだな。木乃香」

 

呆然とした木乃香の声に返す真心の親しみを込めた返答を見て、さらにクラスのボルテージは上がってくる。

 

知り合い!? 許嫁!? どんな関係!?

 

そんな声があちらこちらから響く中で

 

「ああっ!どこかで見た顔だと思ったら骨董アパートの人」

 

明日菜が声を発した。彼女は真心がこのクラスに入った時から見たことがあると思い、思い出そうとしていたのだ。

 

「えっ、アスナ知り合いなの?」

 

クラスの子の質問に彼女は答える。

 

「うん。半年前に骨董アパートまで案内してあげたんだ」

 

そのことを知った木乃香の瞳が細く引き締められていく。

 

「えっ、あのおんぼろアパートに?」

「うん。あそこに住んでるんだって」

 

「はいはい、皆一旦落ち着いて。

一時間目はHRだから、今日は真心先生への質問の時間にしてあげるから」

 

その一言にクラス中は静まり、ただし目はギラギラ光っていたが。ハーイと元気な声を響かせる。

 

 

そうしてひとまず授業は始まった。

 

「トップバッターは報道部の朝倉和美に任せなさい」

 

そう朝倉はいい、質問を開始する。

 

「先生と木乃香の関係は?」

「ただの幼馴染だ。昔京都に住んでいてよくいっしょに遊んだだけさ」

 

「じゃあ次は何でアスナのことを知っているの?」

「さっきアスナも言っていたが、案内をしてもらった程度だな」

 

「次は、ってそういえば何歳ですか?

「先日誕生日でな。十六だ」

 

「えっ、十六って教師になれるの?」

「いや、日本では無理だ。俺様はアメリカで免許を取ったからな」

 

「俺様って。まあいいや、どこに留学してたの?」

「ヒューストンにあるER3システム、大統合全一学研究所だな」

「うそっ!!学術の最果て!?」

「ほ、本当ですか!?」

 

眼鏡をかけた少女葉加瀬が朝倉のした質問の答えに身を乗り出し聞く。

彼女にとってER3は聖地に値するような場所なのだ。

だからこそここまで興奮する。

 

「ああ。そうだ」

「ちょ、葉加瀬。まだ私の質問の番」

 

葉加瀬の暴走を朝倉が止め、

 

「じゃあ最後にこのクラスで好みの女性は?」

 

それってセクハラではと思いながらも真心は答える。

 

「いや、とくにはいないな」

「え~、つまんない。そこは木乃香が俺の嫁だくらい言わないと」 

 

その回答に一応の満足をしたのか朝倉は質問を終え、メモしていく。

ただ、最後の回答をした瞬間から二名から殺意に匹敵するプレッシャーが真心に向け放たれ始めたが。

 

「はい、次わたし」

 

こうして一時間目は質問されっぱなしで真心とクラスとの顔合わせは終了した。

 

 

 

「どうだった?2-Aは?」

「すさまじいクラスだな」

 

授業が終わり、惜しまれながら(特に葉加瀬)も職員室に向かった彼ら二人は初めてクラスの子たちと会った感想を聞いて答えている。

 

「元気のあるクラスでいいじゃないか。これからは大変かもしれないが。そうだろう?タカミチ」

「大変で済めばいいんだけどね」

 

俺としてはこれからよりもこの後が心配なんだがなと心の中で真心はつぶやき、次に彼らと会う、今日は担当授業がないために 終礼と放課後の準備を進めていく。

 

 

 

 

「明日も元気に登校するように」

 

タカミチそう締めくくり、今日の授業はすべて終わり放課後になった。

真心も明日からの準備をするために職員室へ向かおうとしたがその足を止めるしかなかった。

 

「どこへ行くん?少し質問したいことがあるんやけど?なぁーマー君」

 

笑いながら、その瞳は笑っていないが、近衛木乃香が廊下に立ち、こちらを睨んでいたのだから。




次回は人類最終今世最大の危機。
女性は怖いです。by面影

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