英雄の魔法と最終の人類   作:koth3

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皆様が楽しく読めるように頑張ります。
また、皆様からの意見を参考に作品を書き上げていきますので、いろいろな意見をください。
その意見を参考に作品をよりよくしていこうと思います。


第十話

第十話 英雄と最終の対面

 

木乃香に貢いでいた真心は先に広場へ向かった刹那に次いで広場に到着した。

広場にいる多くの魔法教師や魔法生徒がこちらを向いている。

 

「こんばんは。学園長遅れましたか?」

「大丈夫じゃの。制限時間より十分は早い」

 

近衛門と契約した傭兵的な位置にある真心。

七愚人の一人という身分や、最初に彼らと会った際の印象により付き合いづらい面がある。

だから真心はあまり、麻帆良の戦力の中に味方がいない。

味方は刹那、近衛門。そして彼女程度だ。

親しい中であるタカミチとて真心をいまだに警戒している。

 

「学園長」

 

近衛門と真心との会話に割り込みタカミチが報告する。

 

「申し訳ありません。目的の人物が少々遅れるようで」

 

タカミチが報告した目的の人物とは神先・R・暁のことだ。

神先は気づいていないが今も神先の周りは監視されている。

真心も監視されているがこちらは必要なときには監視の目を外せる。

 

「仕方がないのう。皆の者よ、しばし待ってくれ」

 

近衛門の命にその場にいたほとんどの人間が従う。

真心と彼女を除き。

幼い姿だがこの場にいるすべての人間を超える、圧倒的な経験持つ魔の存在。

かつてナギ・スプリングフィールドによって、封印された真祖の吸血鬼。

エヴァンジュリン・A・K・マグダエル

それが彼女の名前だ。

 

「おい、ジジイ。いったいこの私を呼んでなんのようだと思ったら待てだと。バカにしているのか?」

「ふぉふぉ、そんなつもりは毛頭ないぞエヴァよ」

「貴様の毛が存在しないことぐらい見ればわかるわ」

「いえ、マスター。わずかに頭頂部のみですが毛は残っております」

 

それに従者である絡繰茶々丸が主に答える。

 

「おぬしら酷すぎるとは思わんのか!?こんなジジイをいじめて。

ジジイ虐待反対じゃ」

 

まあ、今は学園長で遊んでいるようだが。

しばらく学園長で遊び、

 

 

「ここらでやめておくが、本当に何の用で私たちを呼んだ。ジジイ」

「いつまでもやめて欲しいのじゃが。コホン、うむ。少し紹介したい人物がおってな。

それでおぬしをはじめ皆に来てもらったのじゃ」

 

広場にいた大勢の魔法使いたちが騒ぎ出す。

あの噂は本当だったのか。 英雄が来るのか。

ざわめきが広がったその時に

 

「来てやったぞ。近衛門」

 

堂々とした歩みで英雄は来る。

 

「あの人が」

「確かにすごい魔力だ」

「それだけじゃない気の総量もすごい」

 

それぞれが騒ぎ、隣の人間に話しかけていく。

 

「有象無象が。まあよい。関東魔法協会の戦力として元老院から呼ばれてきてやったんだ。

期待しておけ、雑種ども」

 

あまりの内容だがその身に漂う一種のオーラ、いや王気とでも呼ぶのか。その力にさらされた魔法使いたちはただただ威圧され飲まれていった。

 

カリスマA+ もはや呪いに匹敵するほどの人をひきつける力。それが神先の能力の一つ。

 

魔法使いたちの中でも高位の存在(学園長、エヴァなど)や、その重圧に対抗できる人間(タカミチ、刹那など)のみカリスマの影響下に置かれない。

もちろん真心は前者と後者であるため、効き目はない。

 

「よく来てくださった。お手数ですがわしらの後学のためにもその力を見せていただいてもよろしいか?」

「王の力を見せることも時には必要か。よいだろう。

ただし、最低でもタカミチ程度は用意しろ」

 

そこにあるのは絶対的な自信。タカミチの攻撃などものともしないというように。

そしてそれが事実なだけに余計たちが悪い。

 

「では、タカミチ君。たのむぞい」

「ええ、学園長」

 

二人の実力者が広場の中央に相対する。

 

「かかってこい。弱者に胸を貸すのも強者の役目」

「では、いきます」

 

いきなりの居合拳

それも頭を狙わずに当たりやすい胴体に。

初撃を与えることにより流れをタカミチはつかもうとした。

 

「この程度か」

 

神先にとってこの程度はダメージにすらならない。ランスロットの耐久はA。

英霊にとってこの程度はバランスを崩すことすらない。さらにトップクラスの耐久により、居合拳は効かない。最低でも豪殺居合拳程度には必要だ。

 

「はああ」

 

それでもタカミチは踏み出した足などを攻撃することによって態勢を崩すことを狙う。

 

「ええい、うっとうしい」

 

神先は先ほどから意味のないことを繰り返すタカミチに苛立ちを覚え、

 

「この程度なら貴様を指名せんでもよかったか」

 

投影開始

この言葉に何の意味があるかは分からないがいつもこの人はこの言葉を詠唱していたとタカミチはふと思い出す。

 

男の手に光の輪郭がこぼれ、形を作り出す。

それは奇跡の塊。

人々の願いによって存在する英雄たちが使った武具。もしくは、神々が使った武具。

 

大神宣言(グングニル)

 

それが神先の用意した槍の名前

蒼い氷のような美しさすら併せ持つ槍。

一度放てば、決して敵を逃さない必中の槍

だからこそタカミチはそれを撃たせない。目的を達するために。

 

「右手に魔力、左手に気。合成感卦法」

 

そして放たれるは先ほどよりもはるかに威力の高い居合の拳。

それは神先の体制を崩すのに十分な威力を発揮した。

 

「やればできるではないか」

 

いまだに神先は異常に気づかない。タカミチが先ほどから神先の手札をさらすように動いていることに。気づけないように誘導している人間、真心がいるために。

音を使っているわけではない。戦っている最中の音で音が消されるし周りから目立つために今回は使っていない。

真心はこの戦いが始まる前にそっと左腕を傷つけ少量の血を流しながら

 

属性(パターン)は光、種類(カテゴリ)は召喚」

 

魔法を使った。

魔法により発生した光、それもほとんど見えるか見えないかの強さの光を使った一種の催眠が神先の思考を衰えさせていく。

そして今もなお、タカミチが居合拳しか使わないのに対し神先は多くの手札を見せる。

握った物が武器とかす力。相手を拘束しようとする鎖。黒い西洋甲冑などを見せていく。

それが、学園長と真心の策と知らずに

 

「負けることすらも一つの策」

 

そう言い放ち真心は学園長にタカミチを使い相手の手札をさらせるように要求した。

 

そして、その期待に応え、多くの手札を見せるためにタカミチは粘りに粘った。

居合拳で時には足元を。瞬動を使い、多角的な攻撃など。豪殺居合拳を後方に放ち瞬動することにより、加速力と最高速度を上げたりするなどの方法で粘り続けた。

しかし、それも限界。英雄にあこがれた男は英雄には届かない。

 

「そこまで」

 

近衛門はこれだけ情報があれば十分と判断し、終了の合図を出す。

これが表の関東魔法協会と英雄との会談だ。

 

 

 

 

 

学園長室にて三人の人影が躍る。

 

「でっ、あんな茶番を見せたのは何のためにだ近衛門?」

 

少々の怒りを込め、エヴァは言う。

 

「何、あの時言った通りじゃよ」

「そのために私に猿芝居を突き合わせてか」

「そうじゃ。大体の実力は把握できたし、癖も見抜けた。

特異な能力じゃが対抗策はいくらでもとれるじゃろう」

 

まあいいとエヴァは口にし、

 

「それよりなんだあいつは。魔力の制御がほとんどできてないじゃないか。

魔力のほとんどが外へ漏れ出していたし、術の発動の際、余剰魔力が体からあふれていたぞ」

 

最初に魔法使いたちが驚いた魔力量の多さとは単純に制御しきれない分が表に出ていたのにほかならない。

 

「ナギの馬鹿はそこらはきちんとしていたぞ。詠唱はカンニングしていたが」

 

もう一人の英雄ナギ・スプリングフィールドは魔力の制御自体は天性の勘により、完璧だった。

 

「そこにいるやつとは真逆だな。あいつは」

「げらげらげら。あの程度と一緒にしないでほしいね。俺様としては」

 

想影真心。血液が流れることにより詠唱を破棄し、魔法を行使できる。

そして人類の最終に至った彼の魔力量が少ないはずがない。しかし、彼には魔力がほとんどないと周りから思われている。

簡単だ。彼の魔力は血液に凝縮されている。そのため、魔力が外に漏れださない。

 

「まあだいたい実力のほどは把握できたじゃろう。では、想影殿頼みますぞ」

「くっくっく。正義の魔法使いの長がそんな計画を立てているとはな。

悪である私すら外道だと思うがな?」

「俺様は請負人さ。金との折り目が付くなら何でもするさ。

たとえ、汚れ仕事でも」




明日から学校のため、投稿が不定期かつ少なくなりますがご了承ください。

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