英雄の魔法と最終の人類   作:koth3

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私昨日この小説以外にもう一つ作品を投稿してみました。
もしよろしければその作品も見てください。



第二章 初真理 始まり
第十三話


第十三話 衛勇の弧 英雄の子

 

スーツを着た赤い髪をした男が背中に大きなバッグを担ぎ、麻帆良の地へ降り立った。

この男の名前はネギ・スプリングフィールドといい、赤き翼のリーダー格の男ナギ・スプリングフィールドの直系の子供だ。

今回ネギがここ麻帆良へ来たのは修行のためだ。より強く、より優れた魔法使いとなるように。

そこまで聞けばさぞ立派な人間だと思うだろうが、一目見ればそうではないことがよくわかる。

スーツは明らかな特注品であり、その背中にしょっているバッグはそれほど大きくはないの巨大に見える。

またそのバッグに横向きに突き刺さっている杖は確かに長いが成人男性の身長ほどの長さはないのに目測で男の額くらいの長さはあるだろうか。

ようするに、明らかな子供がそこにいた。

修行と言っても魔法学校の卒業試験の一部であり、ネギがここへ来たのは日本で先生をやることと書かれた卒業試験を迎えるためだ。

 

それから数十分後

 

「なんですって、とりけしなさいよ。このガキ」

 

オッドアイの少女つまりはアスナにネギは頭をつかまれていた。

ネギ本人はあまりよくない相(失恋)が出ているから忠告しただけだが悲しいことにここは日本。

イギリスやアメリカなどのようにはっきりと忠告するのはあまりよろしくなかった。

 

「取り消しなさい!!」

「あう、あうう~~~」

 

頭を揺さぶられ思考力が低下する中、聞こえてきたのは天からの助けだった。

 

「すまんな、アスナ。その手を放してやってくれ」

「僕からもお願いできるかな?」

 

二人の男性の声につまりはタカミチと真心の声に反応しアスナの手の力が抜け、ネギは地面に立つことができた。

 

「いたたた」

 

頭をさすりながらネギは思う。

日本の女の人は親切で優しいで優しいって聞いたのに全然違うと。

 

「久しぶりだね。ネギ君」

「うん、久しぶり。タカミチ」

「し、知り合い!?」

 

アスナはこの無礼な(アスナ主観)子供が恋するタカミチの知り合いということに驚き、この次の言葉にさらなる驚愕の渦に巻き込まれることになる。

 

「さて、親交を温めるのもいいが、これから仕事があるのでな。用件を伝えさせてもらうぞ?」

「ああ、そうだったね。大丈夫、僕からいうよ」

「ようこそネギ先生。麻帆良学園は良いところでしょう?」

 

「えっ、せ、先生?」

「あっ、ハイ。この度英語の教師を務めるネギ・スプリングフィールドです」

 

「え、ええーーーーーっ」

 

それを聞きアスナはタカミチに問い詰めるがさらなる絶望を味わう。

 

「僕に代わって君たちA組の担任になってくれるそうだよ」

 

自身の好いているタカミチではなく、第一印象から最悪なこのガキが自身の担任に代わると聞き、タカミチに問い詰めそれが本当だと知り今度はネギに問い詰める。

 

「なあ、まー君。あの子がうちらの担任って本当なん?」

 

騒いでいるネギとアスカを尻目に木乃香は真心へ問いかける。

 

「ああ、そうだ。今日からお前たちの担任になる」

 

それを聞くと木乃香の瞳は一瞬細められまた元の形に戻る。

 

「ハクチンッ」

 

くしゃみの音に驚き木乃香が後ろを振り向くとそこには

 

「キャーッ、何よこれ!?」

 

なぜか下着姿になったアスナがいた。

それを見た瞬間木乃香は恐るべき速さで前へ振り返り真心の橙色の瞳をつぶそうとした。

 

「うお、いきなり何をする。お前はどこぞの学年主席か!?」

 

余裕はあったがいきなりそんなことをされた真心は驚きながら叫ぶ。

 

「おなごのはだかをみるんやないでおのこごは」

 

呪詛すら放ちそうな、いやもうすでに髪が重力に逆らいメドゥーサの様になってしまっているが。

気を一身にぶつけられる真心は

 

「ハイ、ワカリマシタ」

 

片言で返すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は飛び、放課後空き教室の一部を使い改修されたカウンセリング室で真心はある少女を待つ。

今までの経験から彼女がここへ来るということは確定しているようなものだ。

コンコン

ノックが響くがその音は普段彼女がする音より強い。

 

「入っていいぞ」

「失礼します」

 

入ってきたのはアスナと似た少女である。

しかし、彼女は長谷川千雨と言い、この麻帆良に張られている認識阻害結界の影響を受けない少女なのだ。

たとえ、魔法先生や魔法生徒ですら影響を受けてしまうこの結界の影響を受けない存在。

まるで誤植のように彼女はこの空間に存在し続ける。まるで何もかもに影響されない存在のように。

 

「まあ、座れ」

 

真心は長谷川に促し、彼女もそれに従う。

 

「今日はどうしたんだ」

「聞いてくれよ先生。こんな時期に突然担任が代わったんだぜ。しかも十歳だぞ、十歳。

有り得ねーつうの。元々高畑先生も出張が多すぎたけど今回はそれを超えるくらいの異常だぞ。

なんなんだよこの学校は。世界樹なんてバカでっけー木はあるし、クラスはロボだし。他にも・・・・・・」

 

まるで嵐のように繰り広げられる少女の言葉を真心は黙って聞き続ける。

 

「はぁはぁ、あっ、もうこんなに時間が立っているのか」

 

長谷川が話し始めてから三十分はゆうに経過している。

 

「ああ、ありがとう先生。愚痴を話したら少しはすっきりしたよ」

「そうか、まあそのためにも俺様はいるんだがな」

「あと、悪いんだけど少し勉強教えてもらえないか?分からないところが授業にでて」

 

相談と同時にちゃっかりと宿題を教えてもらい、ほかのクラスメイトより短時間で終わらせるあたりこの少女も強かなようだ。

 

 

 

 

 

 

さらに時間は飛ぶ。

夜の警護で今回真心は刹那と真名とのコンビだ。

 

「ところでネギの調子はどうだ」

 

真心は出現した魔物を全て倒し彼女たちに質問する。

 

「そうですね。頼りないという感じですがまだ初日です。これからいくらでも成長するでしょう」

「確かにね。少々魔法秘匿の意識は低いが卒業したばかりの頃だから仕方がないね」

 

刹那と真名もネギの評価はこれからの行動で見極め、判断するようだ。

 

「そうか、ふん、ネギの縁を見たらあいつなら『縁があってうらやましい』とでもいうのかね?」

 

そうつぶやき、真心たちは撤収する。

麻帆良にいないはずの幻の狐の足音を聞きながら。




今回の題名の由来です。
衛勇→勇者(英雄)となるように守られた存在。
弧→誰も彼単体を見ていないがゆえに孤独な存在。

ネギま!第一話です。
ネギの行動書くより周りを書いたほうが楽な気がします。

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