また、新しい試みを始めました。
第十七話
第十七話 凶斗へ 京都へ
サブタイトル 秘儀 作者の権限キングクリムゾン 章変えリセットじゃないよ
「え、修学旅行の京都行きの中止!?」
学園長室にて近衛門はネギの希望を打ち砕くようなことを聞かしていた。
近衛門自体この問題にそろそろ決着をつけなければならず、ネギを利用し解決させ、ネギの地位を高めメガロの手を出しづらくするためにネギを特使としようとしている。
「うむ、先方が嫌がっての」
「 先方って、お役所がですか?」
ネギに現在の日本の裏事情、関東魔法教会と関西呪術協会についてを教え、親書を渡す。
「では、ネギ君頼んじゃぞ」
「はい!!」
元気に返事をし、少々浮かれながらネギは去ってゆく。
「次は真心殿か」
息を吐き、気持ちを切り替え真心と対峙する準備を始める
「きましたよ。学園長」
「うむ。よく来てくれたの」
「ええ、で要件とは?」
近衛門は真心によって過去に施された秘密をいま暴く。
「さびしいの、一度たまたま会ったときのようにぬらりひょんの怪異と呼ばれても良いのじゃがな」
その一言ともに
「ふん、まさか気づくとはな。俺様も少々驚きだよ」
「ほっほっほ、ほかの者は気づかんじゃろうがな。魔法や気に頼った今の時代の裏の人間たちにはの。
完璧。いや完全というべきじゃの。魔法による記憶改ざんではなく催眠術による記憶改ざん。純粋な精神学の分野に入るがゆえにわし以外誰も気づかんかった」
「いやいや、さすがというべきか。それともこのくらい簡単だったろうに。か?」
「はて、何のことやら」
「ER3システムの前身であるER2の設立者であるあなたにとって、きっかけさえあれば簡単に解けるような催眠だったか。亀の甲より年の功とはよく言ったものだ。七愚人に匹敵する知識を持っている貴方には解けなくはなかったか」
「いやいや、恐ろしい催眠じゃったよ。日常的に使う単語を聞けば聞くほど強固となる催眠、とくには苦労したものじゃ。まさか、始動キーを催眠のトリガーにするとはな。それに知識は単純にあの時代急速に科学が発展する世界に知らなければならなかった。ただそれだけじゃよ。」
真心がかつて一度近衛門が秘密裏に京へこなくてはならなかった時に会い、そのあと近衛門が帰るまでに催眠をかけたのだ。それにより忘れさせられた記憶を
「あの
「おっと、それはそこまでに。どこから情報が漏れるかわからないので」
その話は真心がここで終わらせる。始まらせない。始まりを封印したのだからこそパンドラの箱の鍵を開かせない。
「身内を守るおぬしがいるなら木乃香と刹那君はこれから先安泰じゃな」
「ふん。身内ぐらい守ってやるさ」
かつて人類最強はそれぐらいのハンデで世界は面白いといったが、彼にとって身内はハンデではない。
文字通り身の内側なのだ。
自身の体を守るのに理由はいらない。理由でもなく目的でもなく道理でもなく感情でもなく理性でもなく知性でもなく思考でもなく、ただただ本能が彼女たちを守るのだ。故に想影真心が存在する限り彼女たちは絶対に死なない。たとえ死にそうな目にあっても決して真心が死なせない。
「ではの、修学旅行の件頼んじゃぞ」
「そのことはすでに請け負っているさ」
そう言い残し、真心は去っていく。
「次はエヴァか」
近衛門はそう言い、彼女との約束を果たす。真心の魔法、技術を自身が持っている知識を総動員して判明したことを知らせるために。これからのことを考え、推測し、自身の愛するものを守るために。彼女と彼を利用していることを自覚しながら。
「お札さんお札さんウチを逃がしておくれやす」
そういい木乃香をさらった呪符使いは呪文を発動させる。
それと同時に走行中の電車の車内に水があふれる。
「斬空剣」
だが、刹那は札を放たれるや否やすぐさま技を放った。
それにより木乃香と呪符使いの女のいる車両にも水が流れ、一瞬姿が見えなくなった。
それでも札使いの女はあきらめず逃げ続ける。
切り札たる三枚目の札をネギの術によりふきとばされ危機に落ちいったが、神鳴流の剣士の手により危機を脱した札使いの女は余裕を取り戻していく。一方刹那は木乃香に気を取られ全力を出せず、神鳴流の二刀流の剣士により、助けに向かうことができずにいた。
このままでは木乃香の身に何が起きるかわからず、不安になり木乃香を刹那はわずかに見て、その色を見つけ安心した。
なぜならそこには、橙色の髪がちらりと見えていたのだから。
「音使い、想影真心が命じる。動くな」
木乃香の口から放たれた言葉は札使いと剣士を拘束する。
「な、なんや!?体が」
「う、動きまへん~」
二人が動けなくなると同時に木乃香が立ち上がり刹那たちを向く。
「もう安心してもいいぞ、刹那。木乃香はすでに旅館にいる」
木乃香の口から放たれるその言葉は口調以外木乃香そのものだ。
だから、ネギたちは混乱する。
「えっ、木乃香さん?」
「けど今、真心ってでもこの声は木乃香?」
混乱する二人を見て木乃香は髪を引っ張る。
すると、髪がずり落ち橙色の髪が広がる。
「変装術くらい探偵の必須技能だよ、ワトソン君改め、ネギ君」
まあ、俺様は探偵じゃなく請負人だがなといい、真心は顔に張り付けていた変装に使ったマスクをはがす。
「「え、ええええええ!?」」
「こ、声もそっくりだった」
「そこですか、アスナさん!?」
「声自体は声帯模写さ」
ネギとアスナはその顔を見て驚き、質問をする。それに答えた想影の内容も驚愕に値するが。声を真似するのではなく、声帯をまねた。その精度は機械すら判断できないほどだ。
刹那は先ほどちらりと黒い髪の間からのぞけた橙色の髪が見えた時点で今の木乃香が真心の変装による影武者と理解したのだ。
「おお、お前は何もんや!?」
「いつ、お嬢様と変わったんですか~」
二人の質問に真心は答える。
「俺様か?俺様は橙なる種、想影真心だ。
それにいつ変わったかなんて簡単にわかるだろう」
そういい、さらに話を進めていく。
「この状況で入れ替わりが成立するタイミングは二つ。
一つ目は最初から入れ替わっている場合。しかし、これは俺様が否定させてもらおう。野暮用で少し遅れていたのでな。
二つ目のタイミングは刹那の一撃でお前と木乃香が水に流されたときだ。全ての人間が認識できず、サルの式神が手を放していたのでな、そこで入れ替わりをしたわけだ。」
そう自身の下にいる呪符使いの女と剣士に言い、ワイヤーで拘束する。
そしてこの日の夜は終わりを告げた。
橙が加わることにより、全てが変質していくこの物語。
物語のはてはどこにたどり着くのだろうか
どうでしたか。ネギとエヴァの戦いを一切描写しなかった話は。
い、痛い! 石を投げないで。みなさん。
今回の題名
凶 禍々しい物が待ち受けている
斗 北斗七星から ホワタッ。アベシッの世界をイメージしました