第十九話 外夢 ゲーム
「どうしよう、どうしよう」
ネギは旅館の廊下で転げ回り、よく見るとその顔は異常なほど赤くなっていた。
今日ネギは宮崎のどかに告白されたのだった。
「あれ、どうしたらいいかな。どう思う真心先生」
「げらげら、放っておけ。若者よ悩めってな」
そう言い放ち真心は去ってゆく。
「ああ、ちょっと」
「行っちゃいましたね」
残されたネギとアスナと刹那はこの後に騒動に巻き込まれ(一名は率先して)、大変な目に合うが。(アスナは巻き込まれなかったが)
まだそのことを知らないネギたち(主にネギ)はその騒動の主犯にロックオンされていることを知らずに。
「3-A くちびる争奪! ラブラブキッス大作戦」
朝倉主導のもとそのゲームは行われた。
「旅館内が騒がしいが、まあ、修学旅行だ。大目に見よう」
真心の耳には旅館内でのわずかな騒ぎ声すらも聞き取れるが、生徒の気持ちを考え、強制終了はさせないようにした。
その判断が後で面倒くさいことを起こすとは知らずに。
「まー君、止まってくれへん?」
しばらく旅館内をぐるぐるとまわり見張りをしていた真心の前に木乃香が現れた。
さすがに自身の前にまで来られたのなら大目に見るわけにもいかず、木乃香を捕まえようとした瞬間、今までいたところから一瞬で離脱した。
その瞬間上空から刹那が鞘付きとはいえ、夕凪を振り下ろしたのだ。
「いきなり何をするんだ刹那に木乃香」
悪びれた風もなく木乃香は言う。
「だってこうでもしないとまー君は逃げ出すもん」
「ええ、それにまー君ならこの程度問題ないでしょう?」
木乃香の回答に刹那は合わせるように返答する。
「いや、そんなことを聞きたいわけじゃないんだが。
何をたくらんでいるんだ? さすがにこれは危険なのでな」
「大丈夫や。この件が始まると同時に何でかクラスの皆はまー君の方から降りたんや。
だから全力でこっちは攻撃できるんやよ?」
正しく言うと木乃香と刹那の覇気で怯えて参加しなかったのだが。
「とういうわけや。覚悟してえな」
「何が覚悟しろだ!」
さすがに傷付けるわけにはいかないため、真心は逃走を選んだ。
「せっちゃん、ゴー」
「うん、このちゃん」
妙にあの二人は真心を追いかける際に息が合うがそれでも単純な地力の差で真心は彼女たちを切り離していく。
「あーん、逃げられてもうた」
「まだチャンスはあるで、このちゃん」
真心にとって恐ろしいことをつぶやきながら彼女たちは真心を探索している。
真心は木乃香と刹那から逃げるためにも先ほどの介入しないといった言葉を撤回し、ゲーム参加者を探し始める。
「どこだ! この件の主犯は」
いや、参加者ではなく主犯を探していたようだ。
さすがにここまで旅館内が騒がしいと真心の聴覚でもうまく聞き取れないようだ。
そのころネギたちはというと
「お友達から始めましょう」
青春をしていた。
「朝倉か、この件の主犯は!」
真心は生徒の騒いでいる声の中から主犯を特定し、探し始めた。
それを、テレビで見ている朝倉はほほをひくつかせている。
先ほど、楓、古ペアを一撃で気を失わせたところをみていたことと確実にこちらへ向けすさまじい速度で迫ったいるのだ。
「ヤバイぜ、姉さん。ずらかったほうがいいぜ!!」
「みたいだね、っていうか真心先生の身体能力どれだけすごいの!? 壁を走り始めているよ!?」
テレビ上で真心は異常な速度を使い、壁どころか天井を走っているのだ。
急いで逃げ出そうとドアを開けた瞬間、
「朝倉、なにか言い分はあるか? 聞いてやるぞ」
そこには鬼神がいた。
「え、えーと、その、お、おちゃめで~す?」
「そうか、そうかそうかそうか。お茶目か。お茶目をしたのなら叱らないとな」
禍々しい気配を出しながら近づく真心に恐怖を感じ何とかごまかそうとした朝倉だったが。
「さあ、朝まで特別な反省会だな」
「な、何をされるのでしょうか」
「う~ん? 簡単なことさ。新田先生と俺様での朝まで説教さ」
いやああああああああ
旅館内に朝倉の悲鳴が響く。
それを聞いた正座をしていた3-Aの生徒たちは怯え始める。
「な、何をされているアルカ」
「拷問でござろうか」
「い、いえさすがにそれはないでしょう」
まあさすがに朝倉は十二時には解放され返されたが、真心にとってこの件はまだ終わっていなかった。
ドアを開けた瞬間に木乃香と刹那により、ほほに同時にキスをされたのだ。
それに反応し仮契約はなされた。本来スカカードしか出ない方法だが、あまりにも高い真心の素質の高さから契約は成功し、正式な仮契約カードができてしまったのだ。
「なっ!?」
「やった、成功やせっちゃん」
「うん、このちゃん」
そうして二人は部屋へ戻っていく。
呆然とした真心を置き去りにして。
今回の題名
外 外道の外
夢 儚い夢
今回のことはカモに原因があると判断した真心はこの後、カモに大変なこと(拷問)をします。
世の中因果応報ということです