第三十七話 諸日 初日
麻帆良学園が迫る中、真心とネギは3-Aを監督して、期間内ギリギリという事もなく、学園祭の準備を終わらせた。ネギ一人でも、落ち着いて対処できただろうが、それでも一度暴走したら、なかなか止まらないのが3-Aだ。その為に、見張りの一人として、真心も駆り出されていた。一応、教師としているのだから特に問題はなく、都合も良かったのでその話に乗ったのだ。
そして今、後悔している。
「まー君。さて明日は何処に行くん?」
「何処に行くべきかな? まー君は何か決めてるん?」
何故なら、ある二人の生徒に挟まれて、連行されていたからだ。その様は見ていた人間曰く、食虫植物に絡め取られた虫みたい。
「もう、俺様はあきらめた」
そう言った真心の姿は余りにも、小さかった。
学園祭の開催日、真心は二人に引きずられて、いろいろなところを巡っている。最初は占い研究会に。まあ、真心はむしろ完璧な未来予知ができるのだが。お互いの手相を占ったり、占った結果、刹那の余りの運の悪さに皆でドン引きしたり、しかしそれでも楽しんでいた。
午前中を、占い熱に侵された木乃香の開運方法というものに、時間を取られながらも、三人は混雑する前に昼を取ることに成功した。
「あれ、ネギ先生?」
「あ、真心先生に、木乃香さん。それに刹那さんも」
たまたま座った席のそばで、ネギは昼食をとっている。如何やら、手軽に食べられる軽食のようで、そろそろネギの食事は終わりそうだ。
「あん? お前、時間を遡ったか?」
「え?」
「い、いやいや! そんな訳ないじゃないですか」
慌てるネギを尻目に、真心はじっとネギを、正しくはネギの周りの空気に漂っていいる時間の歪みを見ているのだ。
「お前、俺様の魔法を覚えていないのか?」
「うっ!」
「やっぱり未来から転移したか。それにしても、俺様の魔法以外にそんな事が出来るとはな」
うんうんうなずきながら真心は、更に観察を続けていたのだが、これが気に入らない人間が二人。女性を侍らかしておいて、男を視るとは許すまじ。そう言わんばかりに、木乃香と刹那はその顔を見れるネギを引かせるほどの気を放ち、真心の肩に手を置く。
「なあ、せっちゃん。女の子を待たせるような甲斐性無しは如何するべきやと思う?」
「そうやね。やっぱり、調きょ……教育やね」
「あの、そのそれは」
「「なんや、ネギ君?(先生)」
びくりと肩を震わしたネギは、恐ろしいものを見たという顔を変えずに、涙目で真心を見上げる事しかできない。一方、ネギに見られている真心はというと、既に顔は笑みすら浮かべ、ネギへ向けて親指を上げながら、囁いた。
「女にだけは気をつけろ。英雄が死ぬのは、大概痴情のもつれだ」
「は、はい」
否定できない自分が何となく嫌になったネギだった。
麻帆良学園の一室に、とある
「ふん。さっさと腹を決める事だな。その程度の覚悟で世界を壊したところで、バックノズルで元の木阿弥になっちまう。やるなら、それこそ本当の意味で世界を壊すつもりでやる事だな」
「世界を壊すつもりは私にはないヨ。貴方のようにはネ」
「ふん。そんなのはどちらも同じだ。お前は今の世界を壊そうとしているのに違いない」
「だとしてもヨ」
くっくっくと低い笑い声が部屋を満たす。愉快そうなその声は、そのまま話を続ける。
「なら、彼奴を如何にかする方法を探す事だな。このままだとお前たちは
「孫?」
「『孫?』、か。ふん。そうだ。お前たちの戦力では、紛い物であっても
男の話していることが自分のするべき事と全く違うはずなのに、それでもまるで魅了の魔法を受けてしまったかのように超は引き寄せられるのを自覚していた。自覚していたのに、それを拒否することもできない。訳の分からない心理状態に陥っていった。
「貴方はここでなにをする心算ネ?」
「決まっている。世界を終わらせる」
出すつもりはなかったんですけど、なぜかこうなったorz。
狐さんがいたほうがやはり良いですかね?