英雄の魔法と最終の人類   作:koth3

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ちょっとグダグダしているかもしれません。後学園の先生が空気化しています。
以上のことに気を付けてご読みください。


第五話

第五話  関東魔法協会2

 

真心は思い返すことやめ、学園長との話に集中する。

 

「この広大な麻帆良学園を守護していたあなた方になぜ怒りを向けると。本来感謝するのは、この地に住む私たちなのに」

「そう言ってもらえるとこちらも助かるのう」

「ただ、それで刹那が負傷したという事実が消えるわけじゃありません」

 

そう、戦力不足だったのは事実だが、刹那が怪我を負ったということは変わらない。

 

「うむ。今度からの防衛戦においては、何らかの対抗策を行うつもりじゃ。もう二度度とこのようなことはおきんよ」

 

そう、翁が話す。これを持って、この話は打ち切らせるためと同時に周りへのアピールを。

これ以上この話を続ければ真心の学園に対する印象が悪くなってしまう。

真心の心情を予想し、翁は話を変える。

 

「ふむ。お礼は言ったが、名前も知らんとなるとなるとこちらからの誠意が見せられん。悪いが、名を教えてもらってもよいかの」

 

名前を聞くことにより関係を結ぼうとしているのだろう。

ならば、これほどの組織の力を使わない訳が無い。

 

「おお、人に名前を尋ねる際には、自身からじゃな。すまぬの、年を取ると少々物覚えが悪くなるのじゃ」

 

ぴちぴちのお前がうらやましいわいと言い続ける。

 

「関東魔法協会理事長近衛近衛門じゃ」

 

一種の脅しだ。これほどの強大な組織には刃向かえばどうなるか簡単にわかる。

だからこその一手。最初に切り札を打つことによりこちらを逃がさなくする一手。

だが、甘い。

 

「これはこれは。関東魔法協会理事長の近衛門さんでしたか。

自分は、大統合全一学研究所七愚人が一人、想影真心と申します」

 

学術の最果て!? 七愚人の一人だと!?

周りの人間が騒ぎ始める。

仕方がないことだ。関東魔法協会は麻帆良学園でもある。故に、ER3システムの研究結果を利用したものや教材、さらに留学制度などがある。また、協会じたいも彼らの技術を利用した兵装を使うことがある。

そんな組織の頂点の一人に喧嘩を売ることなど出来ない。そのため近衛門は話を変える。

 

「なんと!? 七愚人の一人でしたか。まさかこんなところで会うとは思いませんでした」

「なに、ほんの少し用ができただけですよ。用が片付けばすぐに帰ります」

 

話を変えると同時に目的を探る。これには、あの翁の経験と胆力が見える。

少し用心したほうがよいだろう。そう真心は気を引き締める。

 

「ああ、刹那のことですが」

「安心してくだされ。すでに学園の治癒術師の手により治療されておる。もうすぐ、全快とはいかずとも普段通りの行動ができるだろう」

 

この言葉から彼の思考が少し読めてきた。彼は切り札を与えることになったとしても刹那の状況を知りたかった。彼にとっての第一優先はそこなのだ。近衛門は今手に入れた情報を整理し心にとどめる。

 

「そうですか。では、関東魔法協会の皆様に感謝を」

「なに、これはわしらの罪滅ぼしじゃよ」

 

学園の弱点を限界まで攻め込もうとし、逆に真心の弱点は最小にしてしまう。その状態から脱却するために近衛門は本題へつなげる。

 

「真心殿。貴方のことは理解したがこちらにも聞く必要のあることがあるのじゃ、協力してくださらんか」

 

この出方により、学園のとる手段は決まる。協力すれば学園としては御の字。協力しなくともそのことから打開策を打つことができる。

 

「良いでしょう。あなた方が聞きたいことは、なぜ鬼を倒せたか。そのことについてですね?」

 

真心はそれを知りながら、自身にとって知られても問題ないため素直に話した。

 

「うむ。気や魔力を使うならまだしも、あなたは生身でそれを行った。こちらとしてもそのことについて無視できない内容なのじゃ」

「なに、簡単なことですよ。貴方たちは人間の限界を知らない。ただそれだけですよ」

 

近衛門にはその問いかけが理解できなかった。だからこそ真心に問いかける。

 

「限界とはなんですかな? 真心殿」

「言葉通りですよ。人間の限界。さて、それはどこまでなんでしょうかね。あなたはどう思います」

 

一種のなぞかけかと近衛門は思い、先を促す。

 

「わしは気や魔力を使わないならせいぜいオリンピックの選手たちが人間の限界じゃと思うのがの」

「確かに彼らは肉体的な面に関しては限界に近い。だが、鍵を外していない」

「鍵?」

「そう、精神的な面で行われるリミッター。彼らはそれのはずし方を知らない。外れた時に人間は真の意味で限界に近づくことができる」

 

それが本当だとしたら。そう考え近衛門は思考のなかで、重要なこととしていつでも引き出せるようにする。

 

「そうすると貴方は鍵を外したということですか」

「さあ、それはどうでしょう。これは俺様の持論を展開しただけです」

 

ここらが限度と判断し近衛門は

 

「すまぬの、感謝するこちらの事情につき合わせてしまい」

「気にしないでください。こちらもあなたたちと話し合いができる場ができて、光栄です」

 

その瞬間かすかな違和感が近衛門の身を奔る。危険が迫っている時の特有の感覚が。

近衛門の勘が警報を鳴らした途端に、真心は近衛門の目の前から吹き飛んだ(・・・・・・・・・・)

高畑・T・タカミチの代名詞である『居合拳』によって。

 

 




次回はタカミチがなぜこのようなことをしたかが分かります。

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