Lost shooting star 〜Planet journey〜   作: ハバキリ

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第4話です。
前話:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17580911

シリアス方面に寄りすぎてもあれなんでちょっとはね…
多分今後は無いと思います。
ゴン太のご両親に関しては設定がなかったと思うんで適当です。

恐らく次回、第0章が終わると思います。
第0章に関しては一切戦闘がないんですけど、第1章以降は戦闘することになるだろうし作るのが不安ですね。

メインはpixivで活動するので、こちらに投稿し忘れる可能性がございます。
pixivはこちら→https://www.pixiv.net/users/39335425

誤字・脱字があるかもしれませんがご了承ください


第0章4話 輝き出す光と染まりゆく闇

WAXA(ワクサ)日本支部

 

「ねぇロック君。」

「何だ?」

「私、スバル君のお母さんに会いたいんだけど良いかな?」

「さぁな。だがオフクロは今頃1人で泣いてるだろうぜ。」

「それなら行こう。せめて私とハープ、ロック君が無事だって報告をしないとね。」

「そうかい。」

そしてミソラは電波変換し、ウェーブロードに駆けて行った。

 

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星河家

 

アカネは帰宅していた。

「………スバル…」

家族との集合写真を見つめながら何度もそう呟いていた。

普段であればこの時間には学校も終わり、帰ってきていて一緒に夕飯を食べていた。

しかし今は違う。1人なのだ。

ブラザーができ、底抜けの明るさを持った自慢の息子がこの世から去ったことをアカネは理解したくなかった。

「…ダイゴさん…私はどうしたらいいの…」

ついに弱音を吐いてしまった。ダイゴがいなくなってからスバルに悲しんでほしくないため、自分は元気でいたが、そのスバルもいなくなったことで折れてしまった。

寝よう。今のアカネには食欲もお風呂に入る気力すら残されていなかった。

 

 

自室に行き、倒れるようにベッドに寝転んだ。

「…どうしてスバルが…」

巷で『正義のヒーロー』と称されていたロックマンの正体が自分の息子だと知り、頼られる人となっていて嬉しかったが今はどうだろうか。

戦場で死んだ。そんな昔の戦争のように子どもを戦場に駆り出したことで無くした命。

こんなことになるなら押さえ付けてでも行かせなければ良かったと後悔した。

気付いたら枕がビショビショに濡れていた。

 

 

「ピンポーン」

チャイムがなった。

「…誰かしら…」

来客の予定はない。ルナ達も各々の家に居る。

荷物か?いや今日は何も頼んでいない。

そう考えながら涙を拭き、リビングに向かった。

 

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白金家

 

ルナは帰宅後自室に直行し、ベッドに倒れ込んだ。

「ロックマン様…」

ルナは涙を流している。

助けられ、憧れ、惚れた相手が死んだ。そんな事実を受け入れたくなかった。

 

「ルナ?何かあったの?」

ユリ子が心配してルナの部屋前まで来て、声をかけた。

「…1人にさせて…」

「…わ…分かったわ…でもお風呂には入りなさいね…」

「………」

返事がなかった。

ユリ子はしばらくそっとしておくことにして、リビングへ戻った。

 

「ルナに何かあったのか?」

ナルオがユリ子に問いかけた。

「…えぇ…1人にさせてって酷く落ち込んでたから何かあったのかも…」

「むぅ…ルナが私達にただいまとも言わず自室に行くなんて余程のことがあったのか…?」

ユリ子とナルオは考え込んだ。

 

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牛島家

 

「…ただいま…」

何ぞ(なにか)あったのゴン太?」

ゴン太の母が心配した。

「…あぁ…まぁな…」

「牛丼を食べや。ヘコんどる(おちこんでいる)時ほど美味しい飯を食べるもんだ。」

「…ありがとよ…」

 

ゴン太はいつもような食慾はなく、2杯が限界だった。

「…ごちそうさま。」

「今日は風呂に入って寝ぇや。ほんで(それで)明日は学校を休んでしまいな。」

「…あぁ。」

そのままゴン太はお風呂に入り、寝ることにした。

 

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最小院家

 

「…ただいま…あ、今日は2人ともお仕事でしたね…」

「…キザマロ、先にお風呂に入りましょう。その間に夕飯をお作りします。」

「…助かります…」

そしてキザマロはお風呂に入った。

 

キザマロは体を洗いながらずっと考えていた。

(本当にスバル君はいなくなってしまったのでしょうか)

 

一方、キザマロのウィザードであるペディアは軽い食事を作っていた。

野菜を多分に使ったスープと親子丼。

食欲がなくても食べやすいものだ。

 

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星河家

 

「…はい。」

と言いながら相手も確認せずに応答した。

「スバル君のお母さん、こんばんは。」

相手はスバルと1番関係が深かったミソラだった。

アカネはそのまま玄関の鍵を開け、ミソラを招き入れた。

 

 

ミソラはリビングに招かれ、ソファーに座った。

「遅い時間にごめんなさい…どうしても今日、スバル君のお母さんには会いたくて…」

「…良いの、わざわざありがとね。」

アカネは来客用のお茶を用意していた。

「それにしても、まさかスバルと一緒に戦ってた女の子がまさかミソラちゃんだったなんてね…」

「助けられてばかりですけどね…」

ミソラがハープ・ノートと知る人は限られていた。

知らなくて当然だが、アカネにとっては知っておきたかった情報だ。自分の息子と共に命懸けで世界を救うヒーローなのだから。

 

 

「ところでどうかしたの?」

とアカネは不思議そうに尋ねた。

「用…という程でもないんですけど、私とハープ、ロック君は無事ですという報告です。」

「ロック君も無事だったの?」

「はい。ほらロック君もおいで。」

とミソラが呼ぶと上からどこか他人行儀のウォーロックが現れた。

「…よ…ようオフクロ…」

「…ロック君…」

この時ミソラはウォーロックを連れてくることを辞めた方が良かったかもと思った。

「その…なんだ…スバルのこと…悪かった…俺のせいだ…」

ウォーロックは気まずいのか片言になってしまう。

「…でも、貴方達だけでも無事で良かったわ…」

場の空気が悪くなった。

ミソラは自分が弱いから守れなかった、ウォーロックは相棒なのにも関わらず自分だけ助かった、アカネは見送ることしかできなかった。それぞれが自身の責任だと考えている。

 

そんな空気を打ち壊したのはミソラの相棒であるウィザードのハープだった。

「ポロロン。スバル君はきっと誰のせいでもないと思ってます。ミソラは勇気、ウォーロックは力、お母様は居場所。それぞれ彼に与えたものです。きっと彼はありがとうと思っていると思います。だから自分の責任だなんて思わなくて大丈夫だと思いますよ。」

「…ハープ…」

「………」

「………」

シーンと静かになった。

どれくらい経っただろうか。全員が目を閉じ、黙っている。

 

 

そんな沈黙を破ったのがミソラだった。

「そだね。ありがとう、ハープ。スバル君ならきっとそう言うよね。なんか目を覚ましたよ。1人じゃ、解決できない問題も、誰かと繋がれば乗り越えられる…だからこそスバル君は前を向けていたんだもんね。」

「…え…」

アカネはミソラの右肩に手を置いているスバルの姿が見えた。

「…?どうしたんだオフクロ」

ウォーロックが反応した。

「…い…いえ…」

(幻よね?でも微笑んでいたわ…)

 

 

アカネがそう思っていると同時に、ミソラは右肩にスバルの温もりを感じていた。

(ありがとうスバル君…私頑張るよ。だから見ててね…)

そう心の中で思いながら、右肩に存在しないはずの手に添えるように左手を伸ばした。

一般人が見たら奇行だろう。なぜなら手の平1個分浮かしているのだから。

しかし、それを見ていたものは誰もそうとは思わなかった。

 

 

「ぐぅぅぅ…」

そんな場違いな音が鳴り響いた。

ウォーロックはつい笑ってしまい、ハープはウォーロックを叱り、アカネはクスリと笑った。

そしてミソラは顔を真っ赤にしてお腹に手を当てた。

「お腹が空いたのね。」

「はぅ…あの…その…」

「ちょっと遅いけどご飯にしましょうか。」

ミソラは何か言い返そうとするが、恥ずかしさのあまり言葉にできずにいたが、アカネの言葉に反応した。

「そんなとんでもない…」

ミソラは両手を振り否定した。

「いいのいいの。直ぐに用意できるし、せっかくなら美味しいものを食べないとね♪」

「あ…ありがとうございます…」

ミソラはさっきまで暗い表情だったアカネが、まるで何事もなかったかのようにニコニコしていることに少し引いた。

「今日は夜遅いし、可愛い女の子1人を街に出したくないし、泊まっていって。」

「でも私は何も持ってきてませんよ?」

「大丈夫よ♪そんな時のために、スバルが買い間違えたサイズの大きいジャージがあるから♪」

アカネはウキウキしている。着せたいのだろう。

しかしミソラは顔を真っ赤にして。

「いやいや、それなら電波変換して持ってきますよ!」

「でも、それだとウイルスと戦わないと行けなくなっちゃうわよ?ミソラちゃんも疲れてないわけじゃないからダメよ。」

「う…」

アカネにNGをくらった。せっかくの厚意だ。ミソラはそう思い、

「分かりました。」

と答えた。

アカネはガッツポーズをし、

「それじゃあご飯を作るから先にお風呂に入っちゃって。…ていっても沸かしてないからシャワーになっちゃうけど…」

「いえ、それで大丈夫ですよ。」

 

 

ミソラは風呂場に行き気付いた。

「…下着どうしよ…」

そう、下着だけはどうしようもなかった。

星河家は息子1人、あるとしても男の子用のみだろう。

ミソラは困った。

「…わがまま言えないし仕方ないっか。」

ミソラは下着を明日も使い回すことにした。

そしてミソラは裸になりお風呂に入った。

 

 

ミソラが髪を洗っていると風呂場から声が聞こえた。

「そういえばミソラちゃん、下着の方考えてなかったわね?このまま先にミソラちゃんの服1式洗って明日の朝には使えるようにするから寝る時だけスバル用に使う新品のパンツで代用してもいいかしら?」

アカネは流石に申し訳なさそうに言った。

「…ス…スバル君の…///」

汚れを知らない純真無垢なミソラにとってはあまりにも高すぎるハードルだ。

別の男の子のなら新品なら何も思わないだろう、しかし自分の大好きなスバルのものだ。

いくら新品でもいずれかはそれを履くことになるかも。

そう思い、ミソラは顔を真っ赤にして硬直していた。

「…流石にスバルには履かせないわよ?」

「…そ…それなら…」

「ごめんなさいね?あ、あと化粧水とかドライヤーは好きに使ってね?」

アカネは申し訳そうにそう言い、風呂場を出た。

 

 

(バカ〜///なんで?なんで?なんで受け入れちゃったの?恥ずかしい…恥ずかしいよ…こんな…こんなの…スバル君に言えないよ…)

ミソラは脳内でスバル用の未使用パンツを受け入れたことを恥ずかしがっていた。

 

(これからはミソラちゃんがいつ来ても良いように女の子用のものを常備しておかないといけないわね…)

アカネはそう心から思った。

 

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白金家

 

ルナは今、お風呂に入っている。

湯船にボーッと浸かっている。

何も考えたくないのだろう。

愛しのロックマンの消失が未だに受け入れられていない。

当たり前のことだ。

ロックマンの正体は友人のスバルでもある。

友人の死をそんな簡単に受け入れられる人なんてそう多くない。ルナもその1人だ。

 

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牛島家

 

ゴン太は(いびき)をかいて寝ていた。

その様子をゴン太の母は見ていた。

その時、玄関が開いた。

「ただいまさん。」

ゴン太の父が仕事から帰ってきた。

「いや〜悪ぃな遅くなって。仕事が増えてしもてん(しまったんだ)。」

「おかえりさん。飯と風呂、どっちでもええよ(いいよ)。」

「ん?ゴン太はどうした?」

ゴン太の父は普段、この時間はゴン太がゲームをしていて騒がしい。それなのに今日は静かなことに違和感を感じた。

「えらいつらいことがあったみたい。せやさかい(だから)明日は学校を休ませようと思う。」

「それがええ。それと疲れてるから先に風呂入る。」

 

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最小院家

 

キザマロはお風呂から出てきてリビングに向かった。

「夕飯はもうできてるよ。」

「ありがとう。」

そう言い椅子に座り用意された親子丼を口にした。

「うん、美味しい。」

「良かった。」

次にキザマロは野菜スープを口にした。

「うん、あっさりしててこっちも美味しい。」

 

食べ終わり、キザマロは片付けをしてくれているペディアにこう尋ねた。

「ペディアはスバル君のこと、どう思いますか?」

「………生存率は1%もないから以前の委員長のような期待はできないよ…」

ペディアはこの話題に触れるつもりはなかった。しかし、話題にした以上、きっちり話した方が良いと思い、そう告げた。

「………そうですか…」

キザマロは落ち込んだ。

「…僕は何となく生きているような気がするんです。ただの願望なのかもしれませんが、とてもスバル君がいなくなったとは思えないんです。」

「…絶望的とはいえ、その可能性は否定できないよ。でも、変に期待して落とされるくらいなら期待しない方が合理的だと思う。」

「…分かってます。」

 

 

2人の間に沈黙が生まれた。

しかしペディアが何かに気付いたのか声を出した。

「キザマロ…私は(まず)いことに気が付いたかもしれません…」

「どうしたんですか?」

「サテラポリス遊撃隊のことだよ。今、メンバーは誰がいると思う?」

 

サテラポリス遊撃隊。それは非公式の電波変換することができる対ディーラー迎撃部隊。スバル、ミソラ、シドウの3人で構成された少数精鋭。

 

 

「えっと………はっ!」

キザマロは気付いた。

「ミソラちゃんだけです…」

スバルは消息不明、シドウはジョーカーの自爆の威力を軽減するため命を落とした。

となると3人しかいなかった組織である以上、2人がいなくなれば1人しか残らない。当たり前のことだがその1人に負担が偏ることになる。

 

「しかし、もうディーラーはキングがいなくなったことで悪事は…」

「…あぁ、ディーラーはもう悪事を働かないだろう。しかし、この9ヶ月間で既に3回もの地球を支配しようとする組織が現れた。たしかにしばらくはサテラポリスの警戒心が強まって落ち着くだろうけど、僕の計算によれば地球を支配しようとする組織が現れる確率は90%を越えている。そして、当然その時も何かしら強力なものを使用してくることになるだろう。そうなれば対抗できる人は限られてくる…あとは分かるだろうキザマロ…」

「…ミソラちゃんが戦うことに…」

キザマロはミソラの大ファンだ。だからこそミソラには傷付いてほしくないと思っている。

しかし、電波変換できる人間が少ない以上、電波変換の力に頼らざるを得ない場合はミソラが戦場に立つことになるだろう。

 

「何も起きないことを願うしかありませんね…」

キザマロはそう祈るしかなかった。

2人はいつもそうだ。戦う力がなく、いつも安全圏で無事を祈るばかりだ。

 

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星河家

 

ガララとお風呂の戸が開いた。

「…ふぅ…気持ちよかった〜」

ミソラはシャワーを浴び終わり、出てきた。

「あ、アカネさん置いてくれたんだ。」

ミソラは体を拭き終わり、化粧水を塗り、用意された服を着始めようとした。

「スバル君の…///」

カァ〜とまた顔を真っ赤になった。

「…だ…大丈夫だよね…?」

ミソラはまだ裸だ。パンツを履かないとズボンは履けない。

ミソラは悩んだ。

いっそパンツを履かずに明日まで乗り切ろうかと考えた。

でもせっかく厚意で用意してもらえた。しかも受け入れた。

答えは決まった。

「…よし…」

 

 

ミソラは履くことにした。

履いて、急いでズボンも履いた。

「…///」

ミソラは顔が爆発してしまいそうなくらい真っ赤だ。

真っ赤ながらも服を来た。

サイズは1つ分大きくかなりブカブカだ。

しかもジャージで下着も着ていないからスースーする。

ズボンも紐がなければまともに履けなかっただろう。

髪をドライヤーで乾かして風呂場を出て、再びリビングに戻った。

 

 

「お風呂ありがとうございます。」

「まぁ、本当に丁寧な対応ね…」

アカネはミソラの子どもとは思えない対応に呆気をとられた。

「あ、ご飯できたわよ。お口に合うか分からないけど召し上がって。」

「わぁ…ありがとうございます!」

ミソラは感激した。

まるでレストランで出されるような見た目のナポリタンにコンソメスープ。

どちらもだいたい20分くらいあれば作れるものだ。

「いただきます。」

ミソラは椅子に座り、両手を合わせてそう言った。

 

 

ミソラはフォークをスパゲティの山の下に斜め上から入れ、一口サイズのなるように時計回りに巻き取り、それを口に入れた。

「お…美味しい…」

「お口に合って良かったわ〜」

アカネは喜んだ。

「それにしても食べるのも丁寧ね〜」

「えへへ…目上の方とお食事に行く機会があるんで…」

ミソラは照れながら説明した。

「へぇ…ミソラちゃんも大変なのね〜」

アカネは自分の分を食べながら改めてミソラの凄さを理解した。

 

ミソラは続けてスプーンを持った。

手前から奥に向かって運び、静かにスープを口に入れた。

「あ、このスープ、あっさりしてて飲みやすいですね。」

「えぇ、ナポリタンをちょっと濃いめに味付けをしたからバランスをとったの。」

「おお〜」

ミソラは感心した。

普段は自分で料理を作るのだが、いつも見た目は良くても味が微妙なことが多かった。

しかし、アカネの料理は味も美味しかった。

将来、スバルの嫁になることを夢見ているミソラは何としてでも美味しい料理を作れるようになりたいと思っていた。

 

「スバル君のお母さん!」

「は…はいぃ?」

アカネはミソラに力強く呼ばれたことで変な声を出してしまった。

「私に料理を教えてください!」

「良いわよ。でも今日はご飯を食べて寝ましょ?」

「はい!」

 

 

こうして2人は夕飯を食べていた。

その光景をずっと見ていたウォーロックとハープはこっそりスバルの部屋に移動した。

 

「良かったわ…2人とも相当心が傷付いちゃったから立ち直れなかったかもしれないし。」

「…そうだな…」

ハープは安堵するがウォーロックは流石にまだ完全に立ち直れそうにないようだ。

「…ウォーロック、無理に受け入れようとしなくて良いわよ。」

「………」

ハープのその一言を聞いたウォーロックは視線を逸らした。

「…悪ぃがオレは寝る。」

「…えぇ、おやすみなさい。」

 

「…無理もないわよね…最後までスバル君の傍にいたもの…むしろ簡単に受け入れられる方がおかしいもの…」

ハープはそう呟いた。

 

 

ウォーロックとハープの会話と同時刻、リビングにて。

 

「そういえば、ミソラちゃん。」

「はい?」

「ミソラちゃんのお父さんはどうしているの?」

「………分かりません。生きているのか亡くなっちゃったのか…」

「…聞いちゃまずかったわね…」

「いえいえ大丈夫ですよ。」

「でも、調べようとしたことはあるの?」

「実はないんですよね…物心を持つ頃には既にいなかったので…」

「…ということは物心を持ってからはずっとお母さん1人で育ててくれたの?」

「そうですね。一人っ子ですし。」

「…ミソラちゃんのお母さんってずっと病院生活だったのよね?」

「はい、身体が弱かったみたいで…」

「じゃあお父さんは身体が弱い奥さんと幼いミソラちゃんも見捨てたの…」

「うーん、どうなんでしょうかね。何か訳があったかもしれませんし…」

 

 

「…ねぇミソラちゃんは今後お父さんについて調べようと思ってる?」

「…いえ、今のところは…」

「…ねぇ、ミソラちゃんが良ければなんだけど、この家に来ない?」

「…え?」

ミソラは急展開に驚いた。

「…ミソラちゃんが辛い人生を過ごしているのがちょっと可哀想って思っちゃったの。だって、子どもは親に守られて育つのにミソラちゃんはご両親がいなくてハープちゃんと過ごしているのでしょう?」

「…え、えぇ…まぁ…ご心配ありがとうございます…」

「保護者はどなたがなってくれているの?」

「…マネージャーです…」

「その方とはどれくらい深い関係?」

「か…形だけですが…」

それを聞いたアカネがミソラの手を握ってこういった。

 

 

「ミソラちゃんの保護者を私に任せてくれない?」

「えぇ!?」

あまりにも急展開だ。

友人の親にいきなり保護者を任せてくれなんて言われることなんてこの世の中ほとんどない。ましては1人で大人の世界で頑張ってきたミソラは『本物の響ミソラ』を知ってる友人なんて同期のスズカくらいのためそんなことを言われたことがなかった。

むしろスズカは家庭についての話題をミソラのことを配慮してか触れようとしなかった。

今のアカネの真剣な眼差しには嘘偽りないだろう。

 

ミソラは前のマネージャーである金田より今のマネージャーの方が良いとは思ってる。無理な要求はしないし、ある程度願望を受け入れてくれる。

しかし、保護者として特に何かされたことはない。

あくまでビジネスパートナーだ。

であれば、母親としてスバルを育てた経験を持つアカネに保護者になってもらった方が良いのではとミソラは考えた。

しかしマネージャーがそれを受け入れてくれるか分からない。

金田は金しか興味がなかったが、今のマネージャーはただのビジネスパートナー。

これを機に急変する可能性もある。

(………あれ?私ってまさか人間不信になってる?)

ミソラはそう思った。

 

しかしどちらかというと金田の件でマネージャーに少し抵抗感があるだけだろう。

「…ミソラちゃん?」

ずっと俯いたまま時が止まったかのように動かなかったミソラにアカネは心配になった。

「…あ、ごめんなさい。ちょっと考え込んじゃって…」

「無理もないもの。今すぐじゃなくても良いからね?」

 

ここでミソラは思った。

(今の私はスバル君がいたからこそなのにスバル君がいなきゃ意味ないじゃん…)

 

ギュッ!とミソラは手に力を入れた。

 

 

「…ミソラちゃん?」

「…私、スバル君が戻ってくるまで活動を休止しようと思います。」

「…え…」

アカネは今の流れでなぜそんな考えに至ったのか気になった。

「覚えてますか?半年前、私がコダマタウンでライブを行うことになったのを1度逃げた時のこと。」

「…え…えぇ」

「その前日に展望台で初めてスバル君と出会ったんです。私が作曲している時にスバル君がたまたま聴いていて…」

あの時のことを思い出しつつミソラは語る。

「ライブ当日に嫌気をさして泊まっていたホテルから抜け出して展望台に向かったんです。ヘルプシグナルの機能使ったらスバル君が来てくれて知り合いの天地さんならってアマケンに連れて行ってくれて…」

気弱そうな感じだったなと想起しながら続ける。

「スバル君なら助けてくれるかもって思っちゃってお母さんのこと、お父さんのこと、私がなんでアイドルを続けていたのかを語ったんです。前のマネージャーが目撃した人の話を元にアマケンに押しかけてきて、天地さんが助けてくれようとしてくれたんですけど、ライブが中止になったことの損害を代わりに払ってくれるのかって脅したんだけど、それでもスバル君が守ろうとしたんです。でも前のマネージャーに頬っぺたを殴られちゃって…」

あの時の出来事は忘れた日なんてなかった。

「あの勇気こそがスバル君の本質なんだなと思いました。でも、あれ以上スバル君に手を出してほしくなかったんで私が歌うことを受け入れてそのまま別れちゃいました。」

「…あの時、スバルの頬っぺたが少し腫れていたのはそれが原因だったのね…」

アカネは知らないが本来はもっと酷かった。アマケンの医療班によって治療を受け、時間が経っていたからマシになっただけだった。

「…ごめんなさい…」

「良いのよ、それにしてもその時のスバルも勇敢だったのね〜」

アカネは顔を上に上げながらそう言った。

 

 

「それで、その後前のマネージャーに『お前の歌は道具なんだ』って言われちゃって耐えきれなくなっちゃったんです…それでまた逃げちゃって…逃げた先が行き止まりだったんですけど地球人を抹殺する目的で地球に来ていたハープと出会ったんです。」

「…まぁ!ハープちゃんて元々そんな悪い子だったの?!」

「…まぁスバル君のお父さんが開発したブラザーバンドシステムを敵対行為だと向こうの王様が判断しちゃったからなんで悪い子ではないと思ってます。ただの事故です。」

「…ダイゴさんの…」

夫の開発したものがきっかけで地球人が抹殺されそうになっていたことを知り、アカネは驚いた。

「でもスバル君が説得して和解したんです。友達にもなったんで心配はいりませんよ。」

「…そ、そうなの…」

別の星の王と友人になるという異常な出来事にアカネは簡単に信じることができなかった。

 

 

「…あ、話を戻しますね。それでハープに『貴方と貴方のお母さんの歌は自分で守りなさい』って言われました。『私が力をあげるから』って。」

あの時、弱りきった自分にとって天使の囁きのようだったとミソラは想起した。

「…ただ、結果として街の人達に攻撃しちゃったんですけど…それでスバル君が来て、必死に説得してくれたんです。何度も『君の気持ち分かるから』って。最初は信じられませんでした。誰も私の気持ちを考えてくれる人がいなくて…でもその時に『僕にもお父さんがいないんだ。だから大切な人がいなくなる気持ちが分かるんだ。』って言ったんです。」

何度も自分の攻撃を受け、傷付きながらも説得を続けてくれたスバルのことを想起した。

「…それで初めて私のことを考えてくれる人に出会えて嬉しかったです。そしてその件で、1度活動を辞めてやりたいことを考えたんです。

全部スバル君がいてくれたから…きっとあの時、スバル君と出会わなかったら今の私はいませんでした。

だから、スバル君がいないのに活動を続けても、きっと私は以前のようなお母さんを失って苦しんでいた私に逆戻りしちゃうと思うんです。

だからせめてスバル君が戻ってくるまでは活動を辞めようかなって。」

 

 

「…凄いわねミソラちゃんって…」

「…そうですか?」

「えぇ、たしかに今のミソラちゃんはスバルがいたからだと思うけど、本当はミソラちゃん自身が強いのよ。心の底に埋もれていた本当の自分を探す道を作ったのはスバルでも、その道を進んだのはミソラちゃん。それはね、誰にでもできるものでもないの。だって、私なんて今でもダイゴさんが帰ってこなかった時と変わってないんだもの。無理に元気を演じてるだけで本当は辛いの。スバルが元気になって、1人で抱え込まなくなくなっても怖くて…今回もそう。ミソラちゃんが今日来てくれなかったら今頃私は生きる自信がなくなってしまっていたかもしれないわ。ありがとう、ミソラちゃん。」

アカネはミソラに感謝した。

「…私じゃないですよ。」

「…え?」

「…スバル君です。今の私を支えてくれているのはスバル君なんです。だからその感謝、スバル君にしてあげてください。」

「…そう…そうよね…」

 

 

「…あ、これが最後ね。」

アカネが最後の洗い物をした。

「…あ、そうだ。スバル君のお母さん。」

「どうしたの?」

「さっきのここに来ないかって話なんですけど、私が休止している間、こっちに来ていいですか?」

「えぇ、もちろん良いわよ。でも休止なんてそんな簡単にさせてもらえるの?」

「スタジオとかでスバル君の話題を出してるんで、行方不明になって精神的に参ってるって報告すれば大丈夫だと思います。」

「そう…なら心配はいらないわね。」

 

 

少し時間を経過し、ミソラとアカネは歯を磨いていた。

それも終わり、あとは寝るだけだ。

「そういえばミソラちゃんはどこで寝る?」

「う〜ん…」

ミソラは考えた。アカネと寝るのか、別に用意してもらうのか。

「…スバル君の部屋を使わせてくれませんか?」

「…スバルの?良いけど…男の子の部屋よ?」

アカネは念入りに確認した。

「はい、あそこに居たいんです。」

「…そう。分かったわ。」

「ありがとうございます。」

「あ、そうそう。私のことは『お母さん』だけで良いわよ。それに敬語もいらないわ。もう家族なんだもの。」

「…お母さん…うん!」

「ふふふ…」

ここに新たな家族が誕生した。

 

「おやすみなさい、ミソラ。」

「…ミ…ミソラ…」

「あら?ちゃん付けのままの方が良かった?」

「ううん、なんか天国にいるお母さんを思い出して。」

「…そう。いつでも甘えて良いからね?」

「うん、ありがとう。おやすみ、お母さん。」

2人はそれぞれ部屋に入った。

 

 

「うわぁ!」

ミソラはスバルの部屋に入るや否や、ぐおーぐおーというウォーロックが放つ大きな鼾にびっくりして耳を塞いだ。

ポンとハープがミソラの方に置いた。

「これからは大変だね、ハープ。」

「えぇ…(ウォーロックをどうやって黙らそうかしら…)」

ハープはこれを毎日続くならミソラの睡眠に影響が出ることを恐れ対策を練ることにした。

ミソラは部屋の中にある階段を上り、スバルが普段使っているベッドを見つめた。

「…これがスバル君の…」

近づいて布団を持った。

そしてスンスンと匂いを嗅ぐ。

「スバル君の匂いだ…えへへ…」

「ミソラ???」

ハープは慌ててミソラのもとへ駆け寄った。

純新無垢な少女、響ミソラは何かに目覚めそうになっていた。

エンプティーが『穢れを知らない真っ白な心は、逆に我らの色に染めやすかった』と言ったのも納得できる。

「と…とりあえず寝なさい!」

ハープは予想だにしないミソラの行動にどうすれば良いか分からずとりあえず寝かせようとした。

「は〜い♪」

ミソラはスバルのベッドに寝転がり、布団をかけた。

「おやすみ、ハープ♪」

「…えぇ…(ミソラの将来が心配だわ…)」

 

 

気付けばミソラはもう寝ていた。

ウォーロックとは裏腹にスースーと可愛らしく寝ていた。

 

(全くしょうがないやつね…)

と思いながらハープはミソラのハンターVGを使い、リアルウェーブの布団を用意し、それをウォーロックにかけた。

そしてハープはミソラのハンターVGに入り、寝ることにした。

 

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WAXA日本支部

 

現在の時刻はAM02:00だ。

ヨイリーはまだ寝れないでいた。

「………」

分かっていたはずだ。誰よりもこんな経験をしてきた。

そしていつも後悔は失敗してからだ。

自分はもうこの界隈から降りるべきなのではないか。

そう考えていた。

何とかしなければと考えているが何も良い案が思い浮かばない。

「私は希望を持っちゃいけないのかしらね…」

シドウも時もそうだ。きっとシドウなら大丈夫と思っていた。

科学者にも関わらずいつも最後は理論ではなく希望に委ねる。

ヨイリーは科学者に向いていないのではと考えながら寝落ちした。




いかがでしたか?
予定って上手くいかないものですね。今話はミソラちゃん以外を中心にするつもりでしたが、ミソラちゃん寄りになってしまいましたね。
あとアカネさんも本当は次話で元気を取り戻させるつもりでした。

ゴン太の両親は分からなかったんで、勝手に大阪弁使わせました。正直私でもあそこまでコテコテな大阪弁は使いませんw
両親を用意されなかったキザマロ、すまんが思いつかなかった。

そうそう、皆さん。作中出てきたミソラちゃんがスパゲティを食べる時に時計回りに巻き付ける描写があるんですけど、あれはマナーらしいです。半時計回りにしてしまうと巻き付ける時、相手にソースが飛んじゃうかもしれないから、ソースを飛ばさないようにするためみたいです。
ただし、スープの掬い方は『なんか上品そうだから』でそれっぽく書きました。

ミソラちゃんは健全な子です。(というかそうであってほしいです)

話は分かりやすかったですか?

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