Lost shooting star 〜Planet journey〜 作: ハバキリ
前話→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17730381
お待たせしました。やっと土台が完成しました。
これで本編に入れます。
今回、流星3のシナリオ3を意識しました。
ブラザーバンドシステムって凄いですね。
亡くなったらブラザーバンドが切れるってどういう仕組みなんでしょうかね。
メインはpixivで活動するので、こちらに投稿し忘れる可能性がございます。
pixivはこちら→https://www.pixiv.net/users/39335425
誤字・脱字があるかもしれませんがご了承ください
現在の時刻はAM02:00だ。
ヨイリーはまだ寝れないでいた。
「………」
分かっていたはずだ。誰よりもこんな経験をしてきた。
そしていつも後悔は失敗してからだ。
自分はもうこの界隈から降りるべきなのではないか。
そう考えていた。
何とかしなければと考えているが何も良い案が思い浮かばない。
「私は希望を持っちゃいけないのかしらね…」
シドウも時もそうだ。きっとシドウなら大丈夫と思っていた。
科学者にも関わらずいつも最後は理論ではなく希望に委ねる。
ヨイリーは科学者に向いていないのではと考えながら寝落ちした。
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星河家
同時刻、ヨイリー同様アカネは寝れないでいた。
理由はいないはずなのにも関わらず、スバルの姿を見たからだ。
幻影であってもなぜ自分だけ見えたのか気になって寝れなかった。
(ミソラには見えていたのかしら…いえ、今は寝なきゃね。これ以上ミソラに心配させちゃダメなんだから。)
一方、ミソラはスヤスヤと幸せそうに眠っている。
余程スバルのベッドは寝心地が良いのだろう。
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WAXA日本支部
現在の時刻はAM06:00。
1人の男が目を覚ました。
「…ハハ。まさか僕がこんなに寝るなんてな…」
天地だ。
「…さて、一刻も早くスバル君の救出する方法を探らないとな…」
仮眠室から出て誰もいない通路を歩く。
(意識データに体を引き寄せられたりしたら何とかなるかもしれないんだが…)
そう考えながら自販機で缶コーヒーを買い、飲みながら案を考える。
「はっ!そうだ!」
天地は何か思いついたのか、飲んでいた缶コーヒーをゴミ捨てに入れ、走り出した。
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「…宇田海!いるか!」
天地は勢いよく宇田海のいる仮眠室を開けた。
「…は…はいぃ?どうしましたか天地さん。」
彼の名は宇田海深祐。アマケンの職員だが、WAXAに技術提供している技術者だ。彼は過去に、上司に自分の発明を奪われてしまい、人と関わるのが億劫となっていた。しかし、天地はそんな彼をアマケンに就かせる。FM星人であるキグナスに『裏切りは世界の本質』と諭されるが、天地の『繋がりこそが世界の本質』と諭され改心する。現在はキグナスを再構築し、自身のウィザードにしている。この際、以前のような悪い感情は持たないようにしている。宇田海は発明には役に立つが、まだまだ会話等相手との関わりを苦手としているため、キグナスの話術を頼りにしている。電波変換をし、キグナス・ウィングになることができるが、対人戦においてはまだまだ未熟。
「君の力を借りたい。すぐに!」
「僕のですか?」
「あぁ!ある物を作ってほしいんだ!」
そう言い、天地は宇田海に自分の作ってほしい物を話した。
「なるほど…ただそこまで大掛かりな物を作るとなると相当な時間がかかっちゃいます。」
「この際、時間は妥協するしかないから大丈夫だ。」
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白金家
時刻はAM07:00。
ユリ子とナルオが起床し、洗顔を済ませ、リビングで朝食を取っていた。
「ルナはまだ起きないのか?」
「えぇ…学校をお休みさせてもらおうかしら?」
「そうだな、その方がいい。だが、私達も何かしてやらねばならんな…」
「そうね…」
あまり良い雰囲気ではない。愛しの娘が酷く落ち込んでいるのだから当然、親としては心配する。
一方、ルナは自分のハンターVGを眺めていた。
普段なら手に持ってロックマンが戦っている瞬間を撮った写真を見ているだろう。しかし、今は見れない。
いや、見たくないのだ。見てしまえば昨日のことを鮮明に思い出してしまう。それが嫌なのだ。
現実逃避をしたいのだろう。その場はそれで乗り越えれてもいつか現実を見なければならない時が来る。
そうなった時、白金ルナの人格は保てるのだろうか。
恐らく無理だろう。
つまり、白金ルナが現実逃避を辞めようとした時が、ミソラがスバルを取り戻すためのタイムリミットだ。
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牛島家
ゴン太の母親がゴン太の部屋にノックをし、ドアを開けて顔を見せた。
「ゴン太、起きとてるか?
「…あぁ…」
ゴン太はベッドに寝転がりながらそう返答した。
「ブロロロ…ゴン太。」
「…なんだオックス。」
ゴン太の前に現れたのはゴン太のウィザード、オックス。元牡牛座のFM星人。心強いが気性が荒い。ゴン太と電波変換してオックス・ファイアになることができる。
「気持ちは分かる。だからこそお前が皆を守れる存在になる必要がある。」
「………」
「自分で言うのもなんだがよ、俺は頭が良くない。そんな俺でも今、お前がクヨクヨしていちゃダメだと分かるぜ…」
「………」
「お前はあのミソラのファンってやつなんだろ?今戦力となるのはミソラってやつくらいだ。女1人に世界守らせんのかよお前は。」
「…!それは…」
「暁がいなくなって、スバルもいなくなったんだ。ミソラってやつもいなくさせるのか?俺の見たところ、ハープ・ノートじゃあ世界も守るには荷が重すぎる。だからお前も戦士になるんだ。」
「………」
ゴン太は黙り込んだ。内心ではオックスの言い分は正しいと思っている。しかし、まだまだ実力不足。ウイルス程度なら問題ない。だが、対人戦となると話は別だ。人質を取られていたとはいえ、ファントム・ブラック相手に何もできなかった。それをゴン太はまだ引き摺っているのだ。
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最小院家
キザマロは徹夜であるものを調べていた。
それはバトルカードの使い方だ。
電波変換ができないならせめてバトルカードでウイルスに対抗できるようにするための勉強をしていた。
「…キザマロ、朝食を用意したよ。」
「ありがとうございます。」
「…学校に行く時間だけどどうする?」
「…流石に学校は行かなきゃ行けませんね…」
キザマロは学校に行く準備を始めた。
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星河家
アカネはミソラがいるスバルの部屋に向かっている。
ノックをし、呼びかける。
「ミソラ?起きてる?」
「………」
返事がない。ドアを開け、中を見てみる。
そこには、ミソラの可愛らしい寝息とウォーロックの
普段、ウォーロックはスバルのハンターVGの中で寝ているため、もう少し抑えられていた。そのため、アカネは少し驚いた。
アカネは階段を上り、ベッドの方を見た。
「…和むわね〜」
ミソラは幸せそうに枕を抱き締めて寝ていた。
「そういえばミソラって学校大丈夫なのかしら…?」
頬を手を当てながら疑問に思った。
「おはようございます、アカネさん。」
「あらハープちゃん。おはよう。」
どうやらハープは起きていたようだ。
「学校の方は私の方で欠席の連絡をしましたので安心してください。」
「そう、それなら良かった。」
本来であれば欠席はあまり良くない。しかし、事情が事情だ。
「ゆっくり休んでね、ミソラ。」
アカネはミソラの頬を撫でた。
「…ン…」
ミソラは撫でられたのが嬉しかったのか微笑んだ。
「フフ」
そのままアカネは部屋を出た。
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コダマ小学校
育田が自分が担任を務めるクラスの教室を開けた。
そこには普段にはないざわめきと暗さに満ち溢れていた。
出欠を取らなくても分かった。
生徒会長に就任した白金ルナとそれを付き添う牛島ゴン太、星河スバルがいないのだ。
「…最小院、あの3人はどうかしたのか?」
「…スバル君がこの世界からいなくなったショックだと思います…」
「…どういうことだ?」
育田はキザマロの発言をすぐに理解することができなかった。
同時にさっきまでのざわめきが増した。
するとパンと手を叩く音が鳴り響いた。
「みんな落ち着け。事情は後で御家族の方に聞く。みんなは授業に集中するんだ。」
育田の発言でざわめきは落ち着きはしたが、やはり納得していない生徒が多い。
(私も納得はできん…しかし、生徒を不安にさせる訳にはいかん…)
チャイムが鳴り、1時間目の授業が終わりを迎えた時、多くのクラスメイトがキザマロに詰め寄った。
何故いなくなったのかを聞く者ばかりだが、キザマロは答えなかった。
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星河家
時刻はAM9:30。
「…ん…」
ミソラが起きた。
目を擦りながら自分のハンターVGを手に取り時刻を確認する。
そして、時間を確認するや否や目を見開き驚愕した。
「…もうこんな時間!!?」
ミソラは普段AM05:00には起きている。
ミソラは今日、やることが沢山あった。
そのため、早く起きる予定だったのにも関わらず、こんな遅い時間に起きてしまったことに焦りを感じた。
「おはよう、ミソラ。」
「もう!起こしてよ!」
「まぁまぁ、そう慌てなくても良いじゃない。」
「良くないよぉ…」
「とりあえず、アカネさんに挨拶でもして来なさいよ。」
「…うん。」
そういい、ミソラはスバルのベッドから出て、階段から降りた。
「…あ、いけない。WAXAにギター置きっぱなしだ。」
「…あらそういえば…いつの間に…」
「…メテオGに行く時だよ。まさか私がギターのこと忘れるなんてなぁ…」
ミソラのギターは亡き母からのとても大切なプレゼント。ずっと大切にしてきて、肌身離すことがなかった。
「…予定、増えちゃった…」
「うーん、それは流石に困るわね…」
ふとミソラは視線を下に向け、ウォーロックを見た。
「…ロック君なら持てるよね?」
「それだけはやめなさい。こんなガサツなやつに持たせたら壊しちゃうわよ。」
「ハープはロック君のことを下に見すぎだよ。」
と言いながらミソラはウォーロックの頭を優しく撫でた。
すると、
「…ん…」
ウォーロックが起きてしまった。
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「…気にするな。丁度起きるタイミングだったさ。」
「…そっか。それじゃあおはよう。」
「…ああ、おはようさん。」
ウォーロックは寝起きであることから少し威圧感がある。ただ、それでもしっかり受け答えはしてくれる。
「ごめんね?ちょっとお願い聞いてくれないかな?」
「…なんだ?」
「私の大切なギターをね?WAXAに忘れちゃったの。取りに行きたいんだけど、予定がキツキツに埋まってるんだ…」
「…で、俺が取りに行けばいいってか?」
「うん、お願いできるかな?」
「………」
ウォーロックは視線を逸らし、下を向いて少し考えるような素振りを見せた。
「…まぁ、大切なもんなら仕方ねぇか…」
そう呟いた。
「ありがとう、ごめんね?」
「………」
ハープは少し不安になっていた。
(スバル君がいなくなったことへの心の傷が深いわね…)
「よし、1階に行こっか。」
そう言い、ミソラが部屋のドアを開けて3人は1階に向かった。
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1階に降り、リビングに向かうとソファに座ってテレビを観ているアカネがいた。
「あらミソラ、おはよう。」
「うん、おはよう。」
「朝ご飯用意するわ。」
数分後、トーストと目玉焼き、コーヒーが用意された。
ミソラはそれを美味しそうに食べた。
「そういえばミソラ、今日の予定は?」
「事務所の方に行くのとルナちゃん達に顔を出そうかなって。」
「そう、気を付けてね。」
「うん。」
「あ、そうそう。服はもう乾いてるから着れるわよ。」
「ありがとう。それじゃあ、私が取り入れて来るね。」
「えぇ。」
そして、ミソラはベランダに向かった。
「オフクロ、オレは少し野暮用ができたから出てくるぜ。」
「あら、ロック君。大丈夫なの?」
「…あぁ。ウジウジしてもどうしようもねぇからな。」
「…あんまり無茶はしないでね?」
「りょーかい。」
そして、ウォーロックは外に出て行った。
どこか彼の背中には哀愁が漂っていた。
平然を装ってるだけだろう。アカネはそう思った。
「でもどうしたのかしら?」
「ミソラのギターをWAXAに置いて来たのを取りに行ってもらうんです。」
「あら、確かにそういえばミソラ、ギターを持ってなかったわね。」
そう言いながら、アカネは頬に手を当てながら昨日のことを想起した。
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「お、ちゃんと乾いてる。」
ミソラはベランダで自分が昨日着た服を取り込んでいる。
「そういえばこのパーカー、ママから貰った大切なプレゼントだったな〜」
『ミソラ、貴方にピッタリな服を見つけたわよ。』
『どーれ?』
『はい、これよ。』
そこにはピンク色がメインの七分丈のコブ付きパーカーだった。
左胸には二分音符が描かれており、腹元にはカンガルーの育児
『わぁ〜可愛い〜♪』
この時のミソラの瞳はどんな宝石よりもキラキラと輝いていた。
ミソラの母親は、ミソラのその表情を生き甲斐としている。
病室のベッドから動けないため、少しでも多く、愛らしい
『喜んでもらえて良かったわ。』
『大事にするね♪』
『えぇ。』
別に特別なものという訳ではない。どこにでもあるようなパーカー。けれど、大好きな母親からのプレゼントという唯一のものだ。
「最初はちょっとサイズが大きくてブカブカなんだっけな〜」
そう、サイズが1つ分大きかったのだ。
けれど、身体が成長したことで今はサイズの心配はいらない。
「…いつかは着れなくなっちゃうんだよね?」
これから身体がもっと成長すればサイズが合わなくなり、着れなくなる。
仕方がないとはいえ、感慨深いものだ。
「…あ、いけない。今日はあんまり時間がないんだった。」
ミソラは少し急ぎみに服1式を取り込んだ。
スバルの部屋に入り、着替えた。
(ありがとうスバル君。助かったよ。)
ミソラはスバルの衣類1式に感謝した。
再びミソラは1階に戻った。
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「お母さん、スバル君の服とかは洗濯機に入れていい?」
「あら、着替えも済ませたのね。良いわよ。一緒に洗濯するから。」
「分かった。」
そう言いながらミソラは洗濯機のある洗面所に向い、スバルの衣類1式を洗濯機に入れ、リビングに戻った。
「あ、そうそう。お母さん。」
「どうしたの?」
「今日はお昼ご飯は大丈夫。夕方くらいには帰って来れると思う。」
「そう、気を付けてね?」
そして、ミソラは再びスバルの部屋に向かい、自分のハンターVGを持った。
「そういえば、トランサーもスターキャリアーも電波変換するための機械は必要無かったけどハンターにはいるんだよね。」
そう言いながら、ミソラはウィザードアダプターも持った。
「こればっかりはサテラポリス公認の証みたいなもんだし仕方無いわね。」
そう、電波変換するためにはハンターVGに自分のウィザードに対応したウィザードアダプターを装備するという動作が増えた。
「もう少しコンパクトにならないかな〜。ハンターだってスターキャリアーみたいにコンパクトだったら持ち歩きやすいのにな〜。」
「進化が必ず便利になるとは限らないってことね。ほら、時間は限られてるのよ。」
「あ、そうだったね。」
ミソラは再び1階に戻り、今度はそのまま洗面所に向かった。
歯を磨き、髪を梳といた。
顔も洗い、いつも通りの顔になった。
「…よし!」
玄関に向かい、靴を履いた。
「お母さん、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
「うん。」
そう返事をし、ミソラは玄関の扉を開けた。
「えーと、今の時間はっと…10時45分…大丈夫か。」
そう言い、ミソラはウェーブライナーに停留所に向かった。
道中、ルナ達に後で会いたいと連絡を入れておいた。
ウェーブライナーに乗り、自分が所属する事務所に向かっていた。マネージャーに会うためだ。
色々話すことがあり、時間を取ってもらった。
「………」
「どうしたのミソラ?」
「…うん、やっぱり休むなんて話をしたら人が変わらないかなって…」
「その時のことはまだ考えないでおきましょ。」
「…うん。」
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事務所
ミソラはマネージャーがいる部屋に着き、ノックをした。
「どうぞ。」
マネージャーの声が聞こえた。ちゃんと待ってくれてみたいだ。
「ごめんなさい、態々わざわざ時間を取らせてしまって…」
「全然構わないけど、体調は大丈夫なの?大切な人がいなくなっちゃったのよね?」
マネージャーにもスバルのことを話していたため、スバルとの関係には理解がある。故の心配だ。
「…まだ、完全には立ち直れてはないけど、ちょっとは落ち着けました。」
「…そっか…それは良かった…のかな?とりあえず座って。お茶も用意したからゆっくり話そう。」
「ありがとう。」
「何となく話の内容は分かるんだけど、ちゃんと話してくれるんだよね?」
「うん。私、スバル君が戻ってくるまでお仕事を休みたいんです。今の私が私として頑張れるのはスバル君がいてくれたから、お母さんの時みたいにまた私が見失っちゃうかもって…」
「………」
ミソラが言葉に詰まっても、マネージャーは聞きに徹してくれている。
ミソラは愛してくれている人に依存する傾向があることから、今のミソラの心境が分かるのだろう。
「だから私、1度立ち止まりたいんです!」
「…そっか、でも戻ってこなかったらどうする?」
「…その時は私、引退します…」
ミソラは弱々しく答えた。それもそうだ。仕事なのだから自分の我儘で辞めるなんて本来は許されない。
「それじゃあダメ。」
「…そうですよね…流石に我儘が…」
「違うよ、そうじゃない。」
「…え?」
「その発言をする以上、後悔してはいけない。だから、相応の覚悟を持たなきゃいけないんだ。」
「………」
ミソラは唖然としていた。
てっきり拒否されると思っていたからだ。
むしろ肯定してきた。
ミソラは1度深呼吸をし、宣言した。
「その時は私!引退します!」
「…それがミソラの答えで良いんだね。」
「はい!」
ミソラの顔は清々しかった。
何かに囚われている訳じゃなく、自分の意志をしっかり持てているからだろう。
「分かった。上にはこちらで報告しておくよ。ファンならきっと分かってくれると思うから心配いらないと思うよ。まぁ、表明文くらいは自分で出した方が良いかもね。」
「分かりました。」
普通なら競争率の高いアイドル業である以上、完全に干されるだろう。
しかし、ミソラの場合は違う。
単純に可愛いからや、好きだからでは完結していない。
純粋に『みんなを笑顔にしたい』という想いと、そのための努力を人一倍した。
それが評価されて国民的アイドルにまで登りつめたのだ。
決して軽くない肩書き。スバルやルナ達といった大切な
「それともう1つ。」
「うん?」
「実は養子として向かい入れてくれる人を見つけたの。」
「おぉ!良かったじゃないか!」
マネージャーは素直に喜んでくれた。
それもそうだ。僅か10歳で親のいない生活をしなければいけなくなったのだから。
子は親に甘えて育つ。これから思春期だって第二反抗期だってある。まだまだ親がいる年齢。
マネージャーも苦悩していた。自分には子どもがいないため、ミソラのことをどう扱えば良いのか分からなかった。故にビジネスパートナー止まりになってしまっていたのだ。どうにかならないか検討はしていたがあまり良い答えを見つけられなかった。
「それでどういった方に招かれたの?」
「スバル君のお母さんです。」
「良かった。なら大丈夫そうだね。となれば親権を渡す手続きをしなければいけないね。」
「…手続き…大変ですか…?」
ミソラは親権者変更調停のことを知らないため、少し不安が込み上げてきた。
親権者変更調停は、双方の親が親権者変更を合意していても、必ず家庭裁判所に調停の申し立てをする必要がある。
「大丈夫だよ。」
マネージャーは今まで親権を持ちながら親らしいことをできていなかったのだから安いもんだと思った。
「それにしてもミソラの人生って災難ばかりだね…」
「でもその分、幸せだよ。」
「そっかぁ、それなら良いんだけどちょっと心配だなぁ。」
ミソラのような人生を辿る人はそうそういない。
故にどういった時にどういう対応してあげるのがマストなのか分かる人が殆どいないため、どうしてあげれば良いのか悩む。
「さて、他には何か話しておきたいことある?」
「うーん…今のところはこの2つかな。」
「そう、それならまた話したいことができたなら連絡してね。」
「うん、分かった。」
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「失礼しました。」
そう言い、ミソラは退室した。
「…フゥ、良かった。」
「あの人もなんだかんだで気にかけてたようね。」
「そうなの?」
「お子さんがいないからどうすればいいか分からなかったってところでしょうね。」
「アハハ…なんだ、そうだったんだ…」
ミソラは胸を撫で下ろした。
「えっと、今は何時だろ。」
そう言いながらミソラは自分のハンターを立ち上げ、時間を確認した。
時刻はPM13:50。
「お昼食べよかな。」
「えぇーと、今だとここの喫茶店空いてるわよ。」
「ならそこに行こか。」
国民的アイドル故にあまり人集りができるところは避けなければ大変なことになる。
ミソラは抜けているところがあるため、あまり考えていない。
そのため、ハープが誘導する必要がある。
ミソラは軽く食事をした後、ルナ達に一報入れておいた。
「そういえばロック君はもう帰ってきてるかな?」
「案外道草食ってそうだけどね。」
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WAXA日本支部
「つい昨日の出来事なのに懐かしい感じがするな。」
ウォーロックはWAXA日本支部の入口に着いた。
「………て、どうすりゃ入れるんだここ?」
スバルやミソラは指紋認証で通過できるが、ウィザードであるウォーロックは指紋なんてない。
「そういや電波体なんだから壁をすり抜けれるじゃねぇか。」
ウォーロックが入口をすり抜けようとしたところ、防犯ブザーが鳴り響いた。
「ゲッ!マジかよ!」
「動くな侵入者!」
ぞろぞろと警備ウィザードが群がってきた。
「…チィ…やるしかねぇのかよ。」
ウォーロックは自慢の爪を見せびらかすように構えた。
「ウォーロック!ウォーロックじゃないか!」
「天地か!コイツらどうにかしてくれ!」
ウォーロックはそう叫ぶと、天地は自分のハンターVGを操作し、防犯ブザーを止めた。同時に、警備ウィザードを鎮めて持ち場に戻らせた。
「特に進展とかはないんだけどどうかしたのか?」
「ん?あぁ、ミソラがギターを忘れたみたいでな。アイツもアイツで忙しそうだから任された。」
「そうだったのか。それなら一緒に探そう。場所は分かるか?」
「………アイツら…」
ウォーロックはWAXA内のどこに置いてきたか説明されていなかったことに気付いた。
「…はは、それじゃあ一緒に探そう。」
「おめぇの都合は大丈夫なのか?」
「そうだな、後で会議があるんだが、まだ時間はあるから大丈夫だ。」
「そうかい。」
こうして2人は昨日、ミソラが宇宙に行く前に最後にいた場所である司令室に向かった。
司令室の隅には確かにミソラのギターがあった。
「案外隅っこは気付きにくいもんだな。」
「そうだね…まぁ、状況も状況だったし仕方がないといえば仕方がないけど、
ウォーロックはよいしょとミソラのギターを担いだ。
「つーわけでオレは帰るぜ。」
「もう帰るのかい?」
「あぁ、朝寝てる時にミソラに起こされちまったからな。眠てぇんだ。」
「そうか。休息は大切だからな。しっかり休むんだぞ。」
「あぁ。」
そういい、ウォーロックはそのままコダマタウンの方へ飛んでいった。
「ウォーロックは強いな。もう立ち直り始めている。」
天地はもう少し凹んでいて、暫く顔を見れないと思っていたため、感心していた。
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コダマタウン
PM15:30。BIGWAVE前の公園にてミソラとルナ達が合流した。
「心配かけてごめんね?みんなは大丈夫?」
「「「………」」」
ミソラが声をかけたが3人からの返事はなかった。
「大丈夫な訳ないよね…」
「…なぁミソラちゃん。」
「どうしたのゴン太君?」
「これからも戦うのか…?」
「うーん…今のところは何とも言えないなぁ…」
「サテラポリスがいるから大丈夫ですよね?」
今度はキザマロが質問してきた。
「ディーラーとの戦いで多くのウィザードさん達が犠牲になっちゃったから暫くはウイルス狩りを任せられるかも。」
「…ウイルス程度なら大丈夫ですよね?」
「ウイルスでも舐めちゃいけないよ?一体なら問題なくても複数なら大変なウイルスもいるから油断できないし。」
「………」
戦闘経験のないキザマロは安心できると思っていた。
しかし、戦闘経験のあるミソラが否定した。
それもそうだ、バトルカードがあるからといって、上手く活用できなければ、むしろ餌食にされる。
そんな危険が実はウイルスにあった。
「…ねぇミソラちゃん。」
ルナが声をかけた。
「どうしたの?」
「…貴方はロックマン様…いえ、スバル君がいなくなったことを何とも思ってないの?」
「………」
ルナからは予想だにしない質問が飛んできた。
「…そんなことはないよ。ホントは私だって辛い。でもね?まだ完全にいなくなったか決まっていない現状、少しでも何かできないか考えているの。」
ミソラはそう言うと、突然ルナがミソラの胸ぐらを掴み、血相を変え責めた。
「嘘言わないでよ!貴方はスバル君がいなくても沢山のファンがいるから早々と諦めただけでしょ!」
「「「!?」」」
その場にいるルナ以外の者は絶句するしかなかった。
「…貴方が…貴方がもっと強かったらスバル君は救えたかもしれないのに…責任感じないの?!」
「………」
ハープに諭され、深く責任を持たなくても良いと思ったことを改めてルナに責められた。
「…んな?!貴方、ミソラのせいにしようってわけ?!そんなこと私が許さないわよ!」
すかさずハープがルナに怒号を浴びせた。
「そうですよルナちゃん!今のはおかしいですよ!」
ルナのウィザードであるモードがルナを諭した。
モードは普段、ルナの味方だが、今回ばかりは味方をできなかった。
「…ッ!」
「…良いんだよ2人とも…」
一瞬静まり返った空間に、1つの声が聞こえた。
「良いんだ…私が何もできなかったことはホント…でも、だからこそ…私は絶対に諦めちゃダメなんだ。」
ルナは黙り込むことしかできなかったが、ゴン太、キザマロはしっかり覚えている。
シーサーアイランドでルナがジョーカーの手によって消された後、スバルが言ったものだ。
ミソラも心から残っていた。だからこそ、似た状況である今、出てきたのだろう。
ルナはミソラから手を離した。
「………」
ルナはミソラを睨んでいる。
ミソラはそれを受け入れ、話を続けた。
「みんな、ハンターを見てみて。スバル君のデータが完全に消えてないんだよ。ブラザーバンドの切れる条件はどちらかが切るか、亡くなるか…きっとスバル君なら切らない。これって、スバル君が消えていない何よりの証拠じゃないかな?」
「「「………」」」
ルナはミソラがスバルを庇い、オリヒメ側についた時のスバルのことを思い出し、ゴン太とキザマロはルナが消された時のことを鮮明に思い出した。
「それに、私はずっとスバル君に助けられて来たからね。今度は私が助けたいんだ。だから、だから最後まで諦めない。」
ミソラの言葉はとても重たいものだった。
物理的に重たいわけじゃない。だが、その場にいる者達は上から重圧を感じるように思ったことを話すことができなかった。
ミソラとルナ達の間にあるスバルへ向けた想いの差だ。
今の3人にはそれがなかった。
いつも1番肝心なところは任せっきりなのに、非力故、奥手になってしまう。
しかし、ミソラはそれを乗り切り、前に進むことを決意した。
「私は頑張る。だけどみんなは無理だけはしないでほしいの…あの時の私のように辛い思いしか残らない結果は想像以上に心にくるの…きっと、今のみんなじゃ耐え切れないから…」
ミソラは顔を俯け、そう言った。
「オレも頑張る…」
静まった空間に1つ、ゴン太の声が聞こえた。
「オレもミソラちゃんと同じだ!ディーラーってやつとの戦いで何にもできなかった!悔しかった!だから今度はオレの手でオレ達の絆を守りたいんだ!」
「そうですよ!僕は電波変換できませんが戦う手段はそれだけじゃありません!こんな僕でも役に立てるんだってところを見せますよ!」
「…2人とも…」
「………」
ルナは振り返り、無言で自宅に戻った。
まだ時間がかかりそうだ。
「2人とも、ちゃんとルナちゃんを見てあげてね?」
「おお!」
「はい!」
「…それと私ね?養子って形でスバル君の家にお世話になることになったんだ。」
「………」
ミソラは少し照れて、頬を掻いている。
その間、2人は目を丸くし、互いに見つめ合っていた。
そして、
「「えぇ〜〜〜!?」」
綺麗に被った。
「本当なのかミソラちゃん!?」
「…う…うん…」
流石のミソラもそこまで詰められるとは思っていなかったため、反射的に半歩下がって驚いた。
「でも、こっちに来たら活動しづらいんじゃないんですか?」
「あ…あぁ、それについてはスバル君を取り戻すまではお休みすることにしたの。」
「見つからなかった時は…?」
「その時は引退だね。」
「辞めちゃうのか…」
ゴン太がしょんぼりした。
「コラコラ、そうならないために頑張ることを決めたんだよ。」
「…そっか。ところでミソラちゃん?」
「ん?」
「スバルん家の紙になるってどういうことだ?」
「………」
ゴン太の一言で空間が静まり返った。
いや、そうはならないでしょという典型的な例だ。
「…プッ…」
ミソラがつい笑ってしまった。
ゴン太の頭の上には『?』が5つくらい浮かんでいる。
「ゴメン…悪気は…」
笑いを堪えきれていない。
それに釣られたのかキザマロも笑い出した。
「アハハ、ゴン太君は相変わらずですね。」
「オレ、何か変なこと言ったか???」
「紙の”用紙”じゃなくて、実の親じゃなくて、別の方に育ててもらう”養子”のことだよ。」
「…な…なんだそっちか…(どういうことだ?)」
ミソラはゴン太が理解していないことを察知した。
「分かりやすく言うと、私の苗字は”響”だよね?でもスバル君の苗字は”星河”で、別の家族同士。だけど、私がスバル君の家でホントの家族のように育ててもらうことを養子って言うんだ。」
「え?!ていうことはミソラちゃんはスバルと兄妹になるってことか?!」
「…アハハ、そうだね。(兄妹かぁ…)」
ミソラは一人っ子なため、兄妹、姉弟関係に疎い。
恋人、更にはお嫁になりたいと考えていたため、そこまで考えていなかった。
「ということはミソラちゃんとは以前より会いやすくなるんですね。」
「そだね、私の家ってちょっと遠いからあまり会えなかったもんね〜」
「あ、でも学校はどうするんですか?遠いなら大変じゃ…」
「「………あ…」」
ミソラとハープは忘れていた。この日は休みを取ったが、これからどうするのか考えていなかった。
「決まってないならよ、こっちに来ねぇか、ミソラちゃん?」
「え?」
「その…なんだ…いや、やっぱ迷惑だよな…何でもない…」
ゴン太はミソラが唖然としていたため、余計なお世話だと思い、撤回した。
「ううん。アリガト。嬉しかったよ。」
「ほ…ホントか?」
「ホントだよ。だって私、今通ってる学校には友達がいないんだ。みーんなアイドルとしてしか見てくれないからね。むしろ通うだけで学校に迷惑がかかっちゃうし、いるだけで迷惑かかっちゃうから登校時間をズラして別教室なんだ。」
「「………」」
ミソラの発言にゴン太とキザマロは黙ることしかできなかった。
《辛すぎる》
そんな思いは自分達には耐え切れないと思った。
「でも、3人がいるから大丈夫かも。」
「「…え?」」
「正直スバル君がいないのは辛いけど、みんなと一緒なら頑張れる気がするの。だから考えてみる。」
ミソラのこの発言にゴン太は安堵した。
ふとゴン太とキザマロはミソラの右肩に手のような何かが乗っているのを見た。
「さて、とりあえず今日は解散にしようか。何か伝えたいこととかあるかな?」
「オレはないぜ。」
「僕もです。」
「そっか、2人には暫くルナちゃんのことを気にかけておいてほしいな。ホントは私も気にかけたいんだけど、今の私の存在はルナちゃんにとって毒みたいだからね。」
「「………」」
ゴン太とキザマロは申し訳なさそうに視線をズラして黙った。
「コラコラそこの2人、落ち込まない。」
ミソラは2人の頬を優しく触り、自分の方に顔を向けた。
「これを頼めるのは関係の深い2人しかいないんだ。だからお願い。」
「「………」」
ゴン太とキザマロは無言で頷いた。
「…よし。それじゃあ気を付けて帰ってね?」
「おぉ。」
「はい。」
これで3人も解散した。
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星河家
「ただいま〜」
「おかえりなさい。プリン買ってきたから一緒に食べましょ。」
「プリン!?やった〜♪」
ミソラは目をキラキラさせ喜んだ。
そして、ドタドタと洗面所に駆けていき、手洗いうがいをした。
「そうだ、ロック君は帰ってる?」
「えぇ。2階でお昼寝してるわ。」
「そっか、それじゃあ起こしちゃダメだから後でお礼を言わないとね。」
食卓を囲み、2人はプリンを食べることにした。
「ねぇねぇお母さん、今日はいろんなことがあったんだ。」
「あらあら、それは聞きたいわね〜♪」
ミソラはプリンを片手に今日の出来事をアカネに話した。
問題無く休止もできそうで、親権も移せそうということを話し、ルナはまだだが、ゴン太とキザマロは少し立ち直っていることも話した。
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こうして、散った
諦めるという選択肢がない響ミソラの物語が始まる。
いかがでしたか?
ほぼ一ヶ月ぶりですね…
申し訳ございません。諸事情で創作する時間が限られていました…
冷静に考えて時間が5話で一日しか進んでないの濃すぎますね。
ミソラちゃんの後任のマネージャーについてはどっちの性別でも良いようにしました。(なってるか分かりませんが…)
ミソラちゃんは後任のマネージャーとある程度親密な関係を築けていますが、しっかりするところはしっかりしてると思うんで、中は少し砕けた口調にして、はじめと最後は敬語に戻しています。
委員長の扱い、非常に困ってます。
なので、基本出さないって選択肢も視野に入れてます。
無理なんですよね、委員長の性格的に立ち直らせるの。
次話以降は字数減らして投稿ペースを早められるようにしようと考えています。
pixivの方では告知していませんが、次に投稿するのはスバミソ短編の方にしようかなと考えています。(ネタはまだ考えていませんが…)
因みに、殆どの人は関係無いと思いますが、親権者変更調停は必ず通るとは限りません。
裁判所に「変更の必要は無い」と判断される場合もあります。この制約が無いと親権者をコロコロ変えることが可能で、子どもが「今は誰が自分の親権者なの?」って困りますからね。
貴方は響ミソラ派?白金ルナ派?
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響ミソラ派
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だちらかというと響ミソラ派
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どちらともいえない
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どちらかというと白金ルナ派
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白金ルナ派