「ぜえ、ぜえ……こ、これで九十九人目…………」
僕は心配そうな顔をして転生した女の子に心をちょっと癒されながら最後の一人を転生させるために神の間に戻って……首を傾げることになった。
「おっかしいなあ……さっきで九十九人目だから誰もいないはずが無いんだけど……」
「あ、主…………」
「あれ?ガブリエル、最後の一人は?」
「…………主です。」
「ん?どうしたの?」
「だから……最後の一人は主なんです。」
…………………………は?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
僕の絶叫が神の間に響き渡る。
だって僕はあれだよ!?人間を転生させる転生神だよ!?それが何で転生者同士の戦いに行かなきゃいけないわけ!?
「どうにもランダムの部分が拡大解釈されていた様でして、神界でもパニックが起こったのですがあの道楽者……最高神が『面白いから良いや♪』って事で主の出場が決定してしまって……」
「ちくしょうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
僕は絶叫して両手両膝を地面に着く。最近統括神とかに同情の目で視られていたのはそういうことか!
「くそう……やるよ、やればいいんでしょう。やれば……ところで特典はどのくらい残ってるの?」
「何せ特典は最高神が選んだ六百の能力からサイコロ二個振らせてで出た目まで転生者が『自由に』選ぶ方法ですからね……え~~~~と…………『ギアスキャンセラー<強化版>』に『デバイスとしてブレイクブレイドのディルフィング』、『フェストゥムの読心能力』、それから……『他人と仲良くなる程度の能力』……?まあ、一部変なのがありますがこれだけですね。」
「うん、何でフェストゥムの凶悪な能力が採用されなかったかは置いといて……取り合えず決めよう。」
僕が諦めてサイコロを二つ振るとその合計は……!
「……見事に四だね。」
「……見事に四ですね。」
…………何でさ。
「はあ、しょうがない……この能力でさっさと転生してくるよ……」
「容姿はそのままで宜しいので?」
因みに僕の容姿は金髪碧眼の美男子(転生者談)だ。
「良いよ別に、どうせ容姿だってランダムで決まるんだろうしさ……」
「それはそうですが……」
ガブリエルが心配そうに僕を見つめてくる。
まあ、心配してくれるのはわかるけどさ……
「僕は父さんや爺ちゃんみたいな立派な転生神になるって決めたんだ。そう簡単に死ぬつもりは無いよ。」
まあ、転生者が強すぎたらダメかもしれないけど……こんなことを言ったら泣かれそうだから言わないけどね……
僕が苦笑いをしながら転生の準備をするとガブリエルは涙目になって僕に話しかけて来る。
「主……いえ、ルーラス……気をつけて……」
「解ってるよ。留守の間仕事の代行を頑張ってねガブリエル……」
「…………はい。」
…………やれやれ、補佐兼『恋人』に心配されるなんて本当に頼りないな僕は。
さて……行きますか。
「我はこれより転生するものルーラスにあまねく幸運があることを望む……!転生!」
僕の視界が光で埋め尽くされ…………そして僕の意識は途絶えた……
…………………………
ルーラスが消えた後ガブリエルはすぐに神の間に戻り膝を着いて両手を組み祈り始める。
「ああ、数多の転生神の前任者よ……我が主、ルーラスにご加護を…………!」
熱心にガブリエルが祈っていると彼女の背後にデスと彼の率いる黄泉送りのメンバー全員が集まり彼女と同じ口上の言葉を言う。
これはルーラスの部下が転生することになった人間の書類を持ってくるまで続くことになる……
…………………………
地球の日本某県『海鳴市』、異世界ミッドチルダ『クラナガン』……この二つの世界の二つの都市で日付や場所は違えど同じ年に百人の子供……転生者が産まれた。
そして同時に本来この場所で『産まれる筈の無い』少年少女達が産まれた。
彼等が何を思い、何を得て、何を失うのか……それは誰にもわからない。
そして海鳴市の病院……
「良かった……産まれて本当に良かった……」
「ええ……」
一人の女性と一人の涙を流す男性が一人の赤ん坊を抱き上げていた。
「あなた……それで名前は?」
「ああ、君と前から決めていた名前……男の子だからこの名前だ。」
「『理苑』……君は今日から『草薙理苑』だ。」
その赤ん坊……転生神ルーラス改め草薙理苑は何も知らずにすやすやと眠っていた……
如何でしたか?
次回もお楽しみに!