UC0050年代以降の地球連邦軍の艦隊整備とその運用について 〜マゼランマフィアと呼ばれた男〜 作:一番になれないおじさん
地球連邦宇宙軍がコロニー建設の為に発足されたということは理解してもらえたと思う。
それでは、一体いつ頃からコロニー建設事業者から本来の意味での軍隊へと変化していったのか?
その答えは、先程少し触れてしまったがコロニー公社へと建設事業がバトンタッチしたタイミングであり、具体的には宇宙世紀に入る直前だと思われる。
コロニー公社制度の確立によって地球連邦宇宙軍がコロニー建設事業から(基本的には)分離されたのがこの時期であるからだ。
コロニー公社は先程述べたようにUC0020頃まで地球連邦宇宙軍の管轄下にあったから、コロニー公社の設立=連邦宇宙軍のコロニー建設からの撤退とはならない。
しかし、実務的な建設事業の大半をコロニー公社に移管することによって地球連邦宇宙軍に余裕ができたこと。
そして、初期段階のコロニー、月、資源衛生、地球衛星軌道と管理するべき場所、つまり守るべき場所が生まれたことが地球連邦宇宙軍を本物の軍隊へと変えていったのである。
とはいえ、この時代の地球連邦宇宙軍にとっての敵は精々連邦からの分離独立を求める勢力やテロリストが構成する海賊が主であった。
そのため、現代のような艦隊は勿論なこと、UC0050以降に整備される大艦隊のような戦力はこの時代ではまだ不要であり、主要な装備品は警備艇やフリゲート艦の様な小型艦であった。
これら小型艦艇により地球−月間や地球−コロニー間の航路警備やデブリ排除、海賊の摘発等の任に当たっていたのである。
この様な小型艦中心の運用は旧世紀末から宇宙世紀初頭までのおよそ数十年に渡って続く事となる。
装備品の変遷や政治状況等で一概には語れないが、当時の連邦宇宙軍の任務は現在の自治政府軍が行う類の任務とよく似た仕事をしていたことが伺える。
ちなみに余談となるが、この時代の連邦宇宙軍の艦船について調べると、サラミス級警備艦なる艦船が存在する。
多くの者は無意識的に現用のサラミス改級巡洋艦、もしくはその前身たるサラミス級巡洋艦を思い浮かべるかも知れないが、これは全くの別物である。
ただし、このサラミス級警備艦は地球周回軌道やコロニー周辺の警備にあたっていたことから、当時の連邦宇宙軍の船として広く認知されていた。
そのことから、連邦宇宙軍といえばサラミス級というイメージがあった為に、我々のよく知るサラミス級が建造された際に今後の連邦宇宙軍の顔になって欲しいとの願いを込めてサラミス級と命名された経緯がある。
実際、サラミス級はその初代から現用に至るまで既に60年近く運用されており、今なお連邦宇宙軍の主力艦艇として位置づけられている。
そう思えばサラミスという名に込められた願いは果たされたと言っても良いだろう。
閑話休題。
宇宙世紀の始まり、それはつまり宇宙移民の本格化と生活領域の拡大表示を意味している。
これが指し示すことは、地球連邦宇宙軍の活動領域もまた拡大せねばならないという事である。
それを最も的確に表す事が出来る事例がサイド3、そう、後のジオンであることに私は歴史の何とも言えない虚しさを感じざるを得ない。
サイド3、ムンゾは中から最も遠いサイドであった。
月都市を経由する事で航路は確保することが出来ていたが、地球から直接向かうにはいささか距離が長かったのである。
更にはサイド4やサイド5への入植の本格化やサイド6のコロニー建設計画等も合わさった結果、その距離の長大化は留まるところを知らなかった。
よって、地球連邦宇宙軍においては人員の不足は勿論のこと、艦艇自体の航続距離や能力の不足が目立つ事となった。
古来より艦艇開発においてそのような問題を抱えた場合の解決策は艦艇の大型化しか無いものである。
旧来の小型警備艦から大型の巡洋艦(当時は戦艦とも呼んでいたが現用のカイラム級戦艦は勿論、マゼラン級戦艦と比較しても小さい事、その任務の性質が長距離巡察であったことから巡洋艦との表現が適切と判断した。)へと運用が切り替わり、連邦宇宙軍の規模そのものも拡大することなった。
そして、艦艇大型化に影響されて運用拠点についても変化していく事になる。
それまでの連邦宇宙軍は半ばコロニーや月都市に間借りする形で拠点を構えていたが、艦艇の大型化に伴って港湾を専有するのを避けるべく、またその軍事規模に合わせるべく専用の拠点を設ける必要性が生まれた。
その代表格がコロニー建設の為の資源衛星であった小惑星ルナツーの根拠地化である。
資源採取の完了した小惑星の軍事基地化という、後々の宇宙世紀の歴史の中で度々繰り返されてきた行為の始まりとも言えるだろう。
こうしたコロニー中心から地球圏全体への活動領域の変化はUC0020頃までにゆっくりとだが着実に進んでゆき、コロニー公社が連邦軍の管轄を離れると更に顕著となっていく事になる。
一章の③を投稿に当たり矛盾があったためラストあたりの文章を削除しました。