UC0050年代以降の地球連邦軍の艦隊整備とその運用について 〜マゼランマフィアと呼ばれた男〜   作:一番になれないおじさん

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②の末文を一部削除しました。
添削したつもりでしたが今話からの流れに矛盾を生じる可能性がありましたので。


第一章 地球連邦宇宙軍の成り立ち 旧世紀末からUC0050まで③

UC0025、艦艇の大型化、艦隊戦力の拡充、根拠地整備を経て地球連邦宇宙軍はその規模を格段に大きくした。

しかし、同時に兵員不足という問題にも直面していたのである。

如何に巨大な軍隊とはいえ、それを構成するのはよく訓練された一人一人の軍人であり人が居なければ成り立たないからだ。

 

将兵を確保するべく元々のルートである地球出身者の採用を増やすのは勿論であったが、それは陸軍や空軍等とも競合する話であり宇宙軍のみが優先できる問題ではなかったのである。

とはいえ人材は必要である宇宙軍が目を付けたのがコロニー出身者であったのだが、それは簡単な道ではなかった。

 

当時の地球連邦宇宙軍は宇宙出身者、つまりコロニー市民や月市民の将兵は居らず、地球出身者でのみ構成されていた。

これには連邦軍としてコロニー反乱へのセーフティとしてという側面と構成国軍部のポスト確保という面があった。

その上でそれまでのコロニー側でも軍事へと人材を輩出する余裕が無かったという事情も存在した。

 

だがそんなある時、各サイドと地球連邦宇宙軍の連名で連邦政府へと宇宙出身者の連邦宇宙軍への編入を求める嘆願書が提出されたのである。

 

「自分達の故郷を自分達の手で守ろう!」

ごく単純かつ、強烈なメッセージを合言葉にコロニー市民達が一丸となったこの動きに地球連邦宇宙軍が乗った形であった。

地球連邦宇宙軍へと入隊し自らの故郷と母なる地球を守る新たなる宇宙の戦士なるべし、と言ってのけたのである。

この言葉は宇宙世紀開始から四半世紀、旧世紀末から数えればおよそ50年近くの時を経て育ちつつあった、コロニー市民の自助自立の精神に働きかけ、このキャンペーンは連邦宇宙軍の予想すら超えての一大ムーブメントへと発展した。

特に最初期から開発され、比較的余裕のあったサイド1(リーア)やサイド2(ハッテ)市民からの反応が大きかったのである。

 

これらサイドの市民の反応は自分達も地球連邦市民なのだという自負が大きく影響していた。

宇宙移民が後年でも知られているように棄民政策と捉えられるような側面を持っていたことは事実であったが、特に最初期のサイドであるリーアやハッテでは自らの意思で新たなるフロンティアを開拓したという思いが強かった。

にも関わらず、連邦政府からはあくまでも植民地として扱われ、連邦議会での議席はおろか自治政府の首班さえお伺いを立てなければならなかった。

 

彼らコロニー市民がそうした不満への異議申し立てを行えば、決まって連邦政府は連邦への貢献が不十分としてその訴えを却下してきた。

つまり連邦宇宙軍で軍役をこなすことが連邦への貢献、即ちコロニー市民の権利拡大と構成国への格上げになるのではないかという考えがあったのである。

 

このムーブメントに驚いたのは連邦政府であった。

ジワジワと高まる自主独立の運動であれば押さえつけることが出来ても、連邦宇宙軍で勤務させて連邦政府に貢献させろ等と言われれば断るのが難しかったのである。

とはいえ、これまで地球出身者でのみ構成してきた連邦宇宙軍がコロニー出身者の軍隊となり、反乱を抑止出来ないのではないかとの恐怖心は拭いきれなかった。

 

 

しかし、宇宙出身者という大きな供給源を何としても確保したかった連邦宇宙軍は過去類を見ないほどに積極的な働きかけと政治的妥協を行った。

地球連邦軍への入隊を希望する宇宙出身者にあっては、当面の間地球連邦宇宙軍の下士官としてのみの入隊を認める。

要するに連邦宇宙軍の中核をなす士官としては認めないとしたのである。

しかしこれには抜け穴があり、下士官として入隊した人物がその任を果たす実力があると認めれば准士官から士官へと任命される事については規制していなかったのである。

 

宇宙出身者による連邦宇宙軍の専有を抑制しつつ、才能さえ認められれば宇宙出身者であっても出世が可能である玉虫色なシステムであった。

しかし、この条項を元に連邦政府の面子を立てつつも宇宙出身者に対しては門戸を開くという二面性を達成したのである。

 

連邦宇宙軍からすれば拡大する任務に対応できる人材が確保できるなら、その者が地球出身であろうと宇宙出身てあろうと関係なかったのである。

それどころか、宇宙出身者の軍編入を歓迎さえしていた。

実際、地球出身者で1から訓練を課す必要のある者より、コロニー出身者で宇宙空間での活動に慣れた人材は軍事教練さえ施せば即戦力とも成りうる人材であったからだ。

 

連邦宇宙軍の事情、宇宙移民者へのガス抜き、そうしたメリットを換算してこの提言は連邦政府に受け入れられた。

こうして宇宙移民者にも門戸が開かれた地球連邦宇宙軍はさらなる人材を確保することに成功し、後に空前絶後の大艦隊を編成するに足る基盤を築くこととなる。

 

この制度を利用して地球連邦宇宙軍に入隊した宇宙出身者達が、ムンゾ自治政府軍からジオン共和国軍、そしてジオン公国軍へと続く系譜の始まりでもあった。

後の宇宙世紀を揺るがす一年戦争、それを支えるジオン公国軍人達のルーツもまた、地球連邦宇宙軍であった事は記憶に留めて置く必要があるだろう。

 

しかし一方でその他コロニー自治政府軍等で連邦宇宙軍との協力関係の中で穏やかな自助自立の精神を養った人々もまた存在することは歴史の中で風化させてはいけない。

何故ならば、その様な人々こそが連邦宇宙軍の望んだ宇宙移民者と地球連邦の関係であったからだ。




どんな軍隊でも人員確保は悩みどころだと思います。
連邦宇宙軍の場合、地球出身者でのみというのは無理があるはずです。
なので実際にはそれなりの数の将兵にスペースノイドが含まれているのだろうなと。
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