UC0050年代以降の地球連邦軍の艦隊整備とその運用について 〜マゼランマフィアと呼ばれた男〜 作:一番になれないおじさん
文字数的には短いので調子が良ければ連投できたりしますが、このペースで話を書いていくといつ終わるのかも分かりません。
気長にお付き合いしてもらえると嬉しいです。
地球出身者と宇宙出身者を隔てる壁、それは地球連邦という存在への帰属意識の差である。
地球出身者にとって自らの住む地域の政府=地球連邦の構成国家であり、その市民として税金を納めて社会生活を営む事に強い自尊心があった。
彼らの様な地球に住む市民の貢献によって、地球連邦という組織は支えられている。
その基盤があってこそ、宇宙移民という途方も無い計画が遂行されているのである。
宇宙出身者にとってコロニーとは自らの力で作り上げた新天地(フロンティア)であり、人類の未来と存続の最前線に居るのだという思いが強かった。
彼等の様な宇宙移民者が、望むにせよ望まないにせよ、宇宙という過酷な領域に挑戦して自らの大地であるコロニーを作り上げたのである。
しかし、そうした両者はしばしば対立構造を生み出してはいがみ合っていた。
地球出身者からすれば、コロニーは自分達の納めた税金によって建設されたのであって、あくまでも地球連邦のもの、ひいては自分達のものという考え方が根強かった。
特に強制的に移民対象となった人々の多くが貧困者や発展途上国の人々てあったことからも、よく言えばプライドが悪く言えば差別意識があったのである。
宇宙移民者からすれば、連邦政府による投資こそあったものの、コロニーの大半は自分達が自らの手で作り上げて発展させてきた新たなる大地であった。
その努力を無視して地球出身者がコロニー市民を見下す様な態度を取ることは、到底我慢できるものでは無かったのである。
確かにこの時代のコロニーはまだ移民の初期段階を超えたに過ぎず、本当の意味でコロニー国家となれるような産業・経済的な基盤はいまだ途上であった。
故にコロニーから地球に供給できるモノは少なく、地球に住む市民が宇宙移民の恩恵を感じられる機会が少なかった事がこの様な地球市民の態度を生み出す温床となっていたのである。
宇宙出身者の連邦宇宙軍への入隊許可とは、この状況を改善する一手として官民双方で期待されたものだった。
連邦軍という有力かつ貢献的な職場を提供すると同時に、コロニーにおける警備艇整備や小型艦建造という需要の供給によって産業を推進する。
また、連邦宇宙軍に属した宇宙出身者達が地球連邦という組織への帰属意識を他の宇宙出身者へと伝播することにも期待できたのである。
ともすれば、同じ地球から生まれたはずの人類同士が忌み争う(最も、そういった事象は歴史上珍しくはないのだが……)結果に繋がりかねない状況を改善することは何よりも重要であった。
後年の我々から考えれば、それでも一年戦争は発生したと捉えられる。
しかしながら、この様な努力があったからこそ一年戦争開戦当初においては、ジオンの宣戦布告に対してほぼ全てのコロニー自治政府が反対の立場を取り連邦側へと参戦した事実がある。
これらコロニー自治政府、並びに各サイドの市民達は個々人単位でみれば連邦政府に不満があったにせよ、自らも地球連邦市民であるというアイデンティティを持っていたのである。
そして、その庇護者としての地球連邦宇宙軍へと興味関心を抱いており、それが地球連邦宇宙軍という巨大な組織を支える原動力となっていたのである。
これは地球連邦の歴史的な大成功といっても良い。
歴史を振り返れば、植民事業、コロニーへの入植とは多くの場合支配力の低下、指導力の低下が招く独立運動へと終着することが大半であった。
ジオン公国誕生の流れについても大きくは上記の内容が元凶と言えるだろう。
月の裏側のサイド3は地球から遠すぎたことで、連邦の影響力がおよびきらない土地となってしまったのだ。
しかしその他のサイドを見てみれば、いずれも独立に関する機運こそあったものの、概ね連邦政府との関係は良好であったように思える。
その良好な関係が宇宙移民者の自治独立を訴えるジオン公国にしてみれば、自分達のアイデンティティを犯しかねない存在に見えたからこそ、住民虐殺という大罪に手を染めただと考えることが出来るのだ。
自らを開放者と名乗る軍隊が進駐してきた時、その地の住民の反応はよっぽどの政治状況や根回しが無ければ悪感情以外発生しない。
それでも歴史上の国々でそうした行為が成功したように見えるのは、国力の、自力の違いでその反応を抑えつけることに成功できたからに他ならない。
ジオンにはその国力は無い。
よってジオンには他のコロニーを自身の勢力圏に加えて統治する力など無かった。
そして、その地域の住民が連邦への帰属意識を持っている以上、その統治は多大なる労力を必要とする。
それを無視したい、見なかったことにしたいと思ったからこその悪名高き優生人種理論や新人類論をイデオロギーとしたのではないのだろうか?
自らの力に余る行為、全人類の統治が出来もしない事を誤魔化す方便として生み出された選民思想は、その後もジオンという旗印の元で長らく宇宙世紀の歴史に影を落とす事になる。
この話はまた後ほど解説したいと考えるが、一先ずは連邦宇宙軍を介した地球市民と宇宙市民を繋ぐ運動があったことは覚えておいてもらいたい。
とはいえ、UC0025から後の一年戦争に至るまで、この連邦宇宙軍を通した地球と宇宙を繋ぐ関係は着実に進んでいたことは確かだった。
その関係の元で巨大化していく連邦宇宙軍は、UC0050初頭、遂に空前絶後の艦隊編成案を作成するにいたった。
次回から多分マゼランとかサラミス出せると思います