現代技術者の無双伝説 ~技術系提督とその仲間の妖精達が鎮守府に着任しました。これより幌筵泊地は最大強化されます~ 作:提督兼指揮官兼トレーナー
単冠湾泊地
現在進行中の合同演習について報告を受け取った提督は大きなショックを受けていた。
「第1次攻撃隊が壊滅!?、一体敵は何を繰り出してきたんだ?」
「どうやらジェット機を繰り出してきたんだと思われます。」
「ジェットだけでそこまで被害が出るのか?」
「ジェット機がロケット弾、しかも信じられないことですが、誘導付きのものを使用し、射程外から一方的に叩いたと推測されます。」
「誘導付きのロケット弾だと……」
単冠湾泊地提督は言葉を失う。
「こいつは大変なことになりそうだ、蒼龍達はこの後どうすると言ってきている?」
「砲撃戦と航空戦を組み合わせた艦隊決戦を仕掛けるとしています。」
「それしかないか、しかし……」
提督は続く言葉を飲み込んだ。
<空対空用があるとすれば間違い無く対艦攻撃用もあるだろう。しかし、どうやってそれを防げばいいんだ?>
不安に駆られる提督であった。
一方幌筵泊地では……
「第1次攻撃隊を壊滅とは、さすがは鳳翔さんの航空隊だな、これで敵は航空戦力を大幅にダウンした。さて、今度は我々の番だ。」
多元がそう語る通り、鳳翔に着艦した航空隊は燃料補給と弾薬補給、一時的な休息を取った後、全機対艦兵装を積んで発艦する準備を整えた。
「皆さん、これから作戦を話します。」
鳳翔の発言に艦隊全員が注目を集める。
「敵の第1次攻撃隊は航空隊の皆さんの活躍で見事に撃破しました。これで、相手は攻撃隊を編成する力を大きく失いました。」
何人かが、歓声を上げる。
「しかし、ただやられただけで済むわけではありません。次は砲撃戦にもちこむはずです。相手の航空戦力は大幅に数を減らしましたが、それでも一定数は残っています。この航空隊と砲撃戦が同時に迫って来た場合、脅威になり得ます。」
その場にいた全員が頷く。そう、まだ戦いは終わっていないのだ。
「よって、先ずは敵の航空戦力を完全に奪い、水上戦力も可能な限り減らす必要があります。」
ここで一旦鳳翔は間を置く。
「雷光隊は全機対艦兵装、目標は空母、重巡、そして軽巡です。駆逐艦と戦艦は護衛艦の皆さんに託します。」
「了解!」
艦娘達が威勢よく返事している間、妖精達もまた気合いを入れていた。
「野郎ども!、単冠湾泊地の連中に93式の力を見せてやれ!、今回は1艦あたり8本の大盤振る舞いだ、きっちり命中させろよ!」
「了解イイイイイイイ!」
ここで言う93式とはもちろん酸素魚雷では無い。
93式空対艦誘導弾(ASM2)
日本で開発された国産空対艦ミサイル、その二代目となり現在も運用されている対艦ミサイルだ。
その威力は凄まじく、水上艦艇は当たり所によっては大破するレベルの威力を持つ。
しかも、この時代の艦艇は迎撃はおろか回避することすらままならない。
それを贅沢に1隻当たり8発、発艦準備中の空母なら、文字通り消し飛ぶだろう。
そして、上空で哨戒を続けているシーキングから敵艦隊を補足したとの報告があった。
「ジェットブラストディフレクター良し航空部隊、発艦!」
重い93式を抱えたF35Bが飛び立つ。
鳳翔航空隊「雷光隊」全8機はおよそ200km先の敵艦隊目指して飛行していった。
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<ミサイル発射地点は敵艦隊の80km手前、発射後は直ちに離脱か、未来の戦場ってのは随分と味気がないものだな。>
鳳翔航空隊、それも戦闘機部隊を長年率いて、今は「雷光隊」の隊長をしている妖精はふと、自分の乗っている機体と自らの過去を振り返りながらそう思った。
鳳翔は深海棲艦が跋扈し始めた頃には既に存在していた歴戦の空母だ、だから序盤のありとあらゆる作戦に参加していたものの、ここ最近の彼女の
扱いは、歴戦の空母への扱いとはほど遠かった。
理由は明白である。
<旧式だから>
戦局が変化するにつれ、鳳翔の実戦参加への機会は少なくなっていった。
搭乗員達は教官になることを勧められた。
彼もまた、パイロットとしての腕は十分にあり、どこかの教育部隊に配属されるという話もあった
(現に、同期にはそうやって教育隊に行ったやつがいたし、彼自身も魅力的だとは思った。)
だが、長い間世話になったお艦を離れ、後方でヒヨっ子達の面倒をみると思うと、自分が去った後も戦い続けるお艦への裏切りと感じ、踏みとどまった。
だが、彼自身を迎えたのは残酷な現実だった。
赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴を始めとした優秀で大型の空母が出てきてしまった以上、航空隊の練度こそ高いが、搭載機数も少なく、最新鋭の機体にも対応できない軽空母など、最早必要とされていなかったのだ。
一時期、鳳翔は後方で空母へ搭乗することになった妖精への訓練用空母になっていたこともある。
昔の航空隊の面々と集まった時、後輩の育成に勤しんでいる同期の充実してそうな顔を見て、何度も悔やむことがあった。
<俺はこのままでよかったのか?>
そう思い、時折行なう訓練でミスをお艦に指摘された時、素直に受け取らず、反発し、お艦を困らせることもあった。
そして、戦線の拡大によって艦娘が不足し、ようやく前線復帰かと思えば、比較的被害の少なかった北方戦線、それも最前線の単冠湾ではなく幌筵泊地、他の艦娘も旧式だった。
以前の提督がいた頃、何回か単冠湾泊地と演習をした。圧倒的な数の差と、機体性能で毎回彼のプライドはへし折られていた。
<もう自分は一生日陰者なのかな>
そう思いながら日々を過ごしていた時、あの提督とその妖精達がやってきた。
思えばかなり変な奴だった。
いきなり幌筵泊地全ての妖精と艦娘を集めたと思いきや、自分とこの妖精達は未来人で、別世界の住人だとか抜かして、こいつ頭おかしいんじゃないんかと、何度も疑った。
(実際、書類上はこの時代の人間扱いである。)
でも、彼らの持つ技術力は本物だった。
音速を超える機体、意志を持つロケット弾、遥か彼方まで見通せるレーダー。
間違い無く未来の技術だった。
これなら俺たちも戦える。
だが、彼らは航空機の技術者で、陸上のものならともかく、海軍系は無理だと言われた。
その時は本当に悔しくて、お艦の前で怒りをぶちまけた。
訓練に出る基地航空隊の面々を何度も羨んだ。
でも、そんな中また転生したとかいう未来人が来てくれた。
しかも船の専門家
そして、提督と彼らは力を合わせてお艦を含む全員を未来の装備をつけて仕上げてくれた。
訓練はキツかったけど、これで戦えるようになれると思えば苦でも無かった。
そして手に入れたこの機体。
一言で言えば最高だった。
音速の1.6倍もの速度で飛ぶことが出来、驚くほど遠くまで見通せるレーダーを持つ上、機体で見えない部分までヘルメットの中に映し出される映像で見ることが出来る。
まさに神の目だ。
お陰様で攻撃もやることになったが、提督曰く、1人のパイロット、1機で色々なことがこなせるのが未来の機体なんだと言う。
そして迎えた今日の演習、
直掩機としての役割を存分に果たして、8機以上もの機体を撃墜した。
あとは対艦攻撃だ、
俺の目標は空母蒼龍。
いつもあの航空隊の急降下爆撃隊にお艦をやられてきた。
今日、今までの鬱憤を晴らしてやる。
必ず成功させてお艦に勝利を渡してやる。
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一通り、物思いにふけっていた雷光隊隊長、
そんな時、敵艦隊との距離が100kmを切った。
「無線封鎖解除、93式空対艦誘導弾発射準備!」
隊長である妖精は無線を通じて全員に伝えた。
95、90、85、そして…………
<敵艦隊との距離、80km>
ついにその時が来た、
「全機……、発射!」
ウェポンペイが開き、中から93式が落下、続いて翼下ハードポイントからも93式が放たれる。
総勢32発にもなる対艦ミサイルが単冠湾泊地艦隊めがけて飛翔していった。
「全機離脱、本機と2番機のみ戦果確認のためこのまま敵艦隊へ突入する。」
隊長の指示に従い速やかに離脱、隊長と2番機は戦果確認のため、高度を下げ、そのまま敵艦隊へと向かって行った。
その頃、単冠湾泊地艦隊
「飛龍、攻撃隊の発艦準備は済んだ?」
「もちろん、決戦の時は直掩機も含めて今ある全力で敵艦隊を叩くんだから。」
2人はそう言ってはいるが、現在の2人はとてつもなく危険な状況になっている。
厳重に管理された弾薬庫から魚雷や爆弾が運び出され、甲板上などで艦載機へと取り付け作業を行っているのだ。
こんな状況下で攻撃を受けたらひとたまりもない
故に、護衛艦を務める他の4隻はレーダーや見張り妖精を増やし、敵からの攻撃に備えていた。
だが、そういった努力は無惨にも無駄となる。
発見したのは艦隊後方にいた島風の妖精だった。
「「「「超低空に敵機イイイイイイイ!!」」」」
その声に全員が反応しようとした次の瞬間。
ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーン
模擬弾ではあるものの、ペイントを飛び散らすための爆薬が作動し、大量のペイントが飛び散る。
1発、また1発と吸い込まれるようにして命中、あっという間蒼龍、飛龍、古鷹、五十鈴に青い旗が掲げられた。
轟沈である
「ウソでしょ、こんなことって……」
蒼龍がそう言うのも無理は無い。
五十鈴、古鷹の2人は8発のうちの何発かが機関室を直撃、それ以外も弾薬庫に突入して誘爆するなど、どう見ても狙って撃ち込んだようにしか思えないレベルだった。
爆弾を誰も見えないところから弱点を明確に狙って撃ち込む。
いくら腕利きの砲術妖精でも出来ないことを平然とやってのけてしまう、幌筵泊地艦隊に全員が恐怖を覚えた。
そして、最も悲惨だったのは蒼龍と飛龍だ。
2人とも、発艦のために用意していた燃料と弾薬に引火したことで爆沈扱いとされた上、生存者0との判定を受けた。
この一撃で、単冠湾泊地艦隊は制空権を失ってしまったのだ。たかが祥鳳型軽空母1隻分すらない航空戦力によって。
報告を聞いた単冠湾泊地提督は泡をふいて倒れる始末。
旗艦を引き継いだ霧島は迷った。
このまま撤退し、戦闘を終えるか、
それともこのまま突入するか、
結果的に彼女は突入することに決めた。
提督は気絶したみたいだが、今回の任務は
<相手の戦力を探ること>
であり、そうならば戦艦である自分が戦うことで相手の水上戦闘能力が測れる。
負けはする、だが、目的だけは果たす。
その覚悟を持ちながら敵艦隊に向け全速で向かうのであった。
「映像送信完了、さっさとズラるぞ。」
2番機にそう伝えた雷光隊隊長妖精はそのまま機体を反転させ、鳳翔へと戻っていた。
敵空母2隻を含む4隻を撃沈。
今までの幌筵泊地では考えられないほどの大戦果だった。
これで彼ら航空隊の役目は終わった。
<後は頼んだぜ、駆逐艦達…>
撤退しながらそう心の中で願った隊長であった。
「作戦目標を全て撃沈なるも、依然駆逐艦と戦艦は接近中!」
通信妖精からの連絡に鳳翔は素早く対応する。
「対水上戦闘用意!、弥生を除き、護衛艦の皆さんは敵艦隊を相手してください。弥生さんは私の護衛任務をお願いします。」
「深雪了解!、うっしゃー!、行くぜ行くぜ!」
「初雪了解、頑張ります。」
「睦月了解です!、いざ参ります!」
「弥生了解」
敵艦隊接近の一報を受けた幌筵泊地艦隊もまた、来る敵艦隊との水上戦に備え空母を後方に下げながら、駆逐艦を前面に出す。
単冠湾泊地艦隊2隻
幌筵泊地艦隊3隻
計5隻が北方の海上で激突した。
最初に先手を取ったのは幌筵泊地艦隊だった。
「目標敵駆逐艦、戦艦、SSM-2発射!」
3隻の艦娘から一斉に対艦ミサイルが放たれる。
敵艦隊付近まで超低空で飛翔したのち、ポップアップして島風に突っ込む。
島風に積まれた特徴的な5連装酸素魚雷付近に大量のペイントが飛び散る。
これが何を意味するのか?
島風には大量の魚雷が搭載されている。
特徴的な5連装酸素魚雷もそのひとつだ。
そう、実戦なら島風は大量の酸素魚雷に誘爆して他の艦艇同様、爆沈したのだ。
残るは霧島1隻。
しかし、彼女もまた、対艦ミサイルの攻撃によって測距儀やレーダー、対空砲が破壊されている。
被害判定は中破を示していた。
しかし、遂に敵艦隊を捉える。
相手は速度を何故か20ノットまで落としていた。
理由は分からないが、
遂に砲撃戦の射程に入ったのだ。
霧島の主砲に砲弾が運び込まれる。
目標、先頭の敵駆逐艦
「主砲、撃てぇ!」
ドゴォーーーーーーーーーーーーーーーン
霧島の持つ41cm連装砲×4基が火を噴く。
打ち上げられた砲弾は放物線を描くようにして敵艦隊へと向かっていた。
「敵艦発砲!」
「着弾予想位置は?」
「外れます、問題ありません。」
その言葉に全員が安堵する。如何に最新のレーダー等で着弾予想位置が把握出来てもやはり戦艦から砲撃を受けるのは怖いものがある。
「このまま敵戦艦の音紋採取を急いで、音紋が採取出来た所で47式を発射、急いで離脱する!」
深雪の指示に全員が納得し、聴音機妖精はソナーから敵戦艦の音紋を採取する。
「音紋取れました!」
深雪はすぐに指示を出す。
「全艦魚雷発射!」
深雪の指示を受けて全艦から47式が放たれる。
完全な無航跡魚雷、しかもスクリュー音を探知する誘導魚雷計12発が霧島に襲いかかる。
「全艦取り舵いっぱい、速やかに敵主砲射程外へと離脱する!」
深雪の合図とともに全艦が回頭し、離脱する。
その姿は霧島艦橋からも見えていた。
「敵艦隊急速離脱!」
霧島はすぐにそれが何を意味するかわかった。
「見張りの数を増やして!、魚雷に警戒!」
霧島はあの動きから敵艦隊が魚雷を撃ったと瞬時に判断した。見張り妖精の数を増やして魚雷を探すが、その姿はどこにも見えない。
「まさか酸素魚雷?」
惜しい、確かに酸素魚雷も航跡は見えないが、撃ち込まれたのは12式魚雷改である。
魚雷を探しながら霧島はふと考えた。
<どうしてあんな距離から撃ち込んだの?>
第二次世界大戦までの魚雷というのは直進しかしないため、しょっちゅう外れる。
だから、敵に肉薄して撃ち込むのが命中率を上げるセオリーなのだ。
(無論例外はあるが)
相手の行動に違和感を感じていた霧島、
その時、後方にいた見張り妖精が何かを発見した
「左舷雷跡イイイイイイイ!」
霧島は直ちに思考を停止して回避に専念する。
「取り舵いっぱい!」
急いで舵を切る霧島、しかし、この後、衝撃的な光景が目に入る。
「魚雷、向きを変えこちらに来ます!」
信じられない報告を受けながらも霧島は最善を尽くそうとした。
「総員直撃に備えて!」
・・
全部で12本の魚雷が艦尾に集中して命中する。
ズガーーーーーーーーーーーーーーーーーン
演習なので被害はないが、判定は轟沈。
単冠湾泊地艦隊全滅。
これにより、今回の演習の勝者は幌筵泊地艦隊となった。
尚、幌筵泊地には被弾すらなく、単冠湾泊地提督はその日、部屋に閉じこもってしまったという。
次回は魔改造回になると思います。
間違い、指摘はコメント欄にお願いします