現代技術者の無双伝説 ~技術系提督とその仲間の妖精達が鎮守府に着任しました。これより幌筵泊地は最大強化されます~   作:提督兼指揮官兼トレーナー

19 / 60
お気に入りが100件超えました!

皆さんのおかげです。ありがとうございます!

今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m




前回のあらすじ

横須賀鎮守府に呼び出された多元、そこで待っていたのは四大鎮守府の提督と歴史に名高い米内光政による査問会だった。浴びせられる質問に答える多元だったが、舞鶴鎮守府提督の鶴舞中将の激高により、査問会は一時騒然とする。米内により退出を命じられ、退出した鶴舞、果たして彼は何故多元に噛み付くのか、多元を連れ出した米内によってその真相が明かされる。






第17話若き中将の苦悩

米内に連れられ鎮守府を出た多元は、そのまま車に乗せられて東京へと向かっていた。

 

 

「なに、そんなにかたくなる必要は無いさ、ちょっとした付き合いだと思ってくれ。」

 

 

「芸者の所にでも行くんですか?」

 

 

1発で当てられた米内は驚きながらも笑い、

 

 

「私の女好きは異世界でも有名だったか」

 

 

「ついでに酒好きもですね」

 

 

「そうかそうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、話題は鶴舞提督へと移った。

 

 

「あの鶴舞提督はどうして私を目の敵の様にしているのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

一瞬の間があり……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは君に向けたものでは無い。彼自身の後悔と悲しみ、深海棲艦への憎しみだよ」

 

 

 

 

 

 

そう言いながら一言一言選ぶようにして語った。

 

 

 

 

 

 

 

「鶴舞中将は海軍兵学校の中でもかなり優秀な部類に入る成績で、人間関係もすこぶる良かった。同期の人間は皆彼のことを慕っていたし、彼もまた同期の人間のことを大切にしていたんだ。」

 

 

 

 

 

私も相当目をかけていたんだ、と米内は語る。

 

 

 

 

 

 

多元は鶴舞のことを資料を通じて知った。自分と同じ年齢でありながら、四大鎮守府の提督としての腕は申し分が無く、艦娘からの信頼も厚い。指揮官として、重要な戦いを勝ってきたやり手の軍人というのが多元の感想だった。

 

 

 

 

 

「そして、彼には大切な家族がいた。父と母、そして4つ離れた姉がいた。美人で性格も良くて、弟である鶴舞を可愛がっていたんだ。」

 

 

 

「だが、そんな彼に悲劇が降りかかる。」

 

 

不意に、米内の雰囲気が変わった。

 

 

「彼が横須賀にいた頃の時だ。奴らが横須賀を含めた沿岸地域一帯を襲った。」

 

 

 

 

多元も資料で確認したことがある。東京湾攻撃事件だ。世間に深海棲艦という存在を、恐怖を植え付けたとされる最初の事件だ。姫級を中核とした艦隊が突如として、東京湾に出現。横須賀鎮守府が対応したものの、通常兵器では太刀打ちできるはずもなく、艦隊は壊滅、勢いに乗った深海棲艦は湾に面した各主要都市と工業地帯を片っ端から爆撃や砲撃を行い、民間人に多数の死者を出した痛ましい事件だ。

 

 

 

 

「彼の家族はちょうどその日彼が呼んでいて、来ていたんだ、そして巻き込まれた。」

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか料亭に着いていた。

 

 

一旦話を切って、部屋に入る。

 

 

少ししたところで再び話し出す。

 

 

 

「あの時の様子は皆が覚えている。大きく取り乱して悲しみに明け暮れていた彼を誰も助けることは出来なかった。」

 

 

 

 

当然だ、自分が呼ばなければこんなことにはならなかったと彼が考えないわけが無い。

 

 

 

 

 

「更にだ、ちょうど少し後なんだよ、我々が艦娘と呼ばれる存在と接触し始めたのは」

 

 

 

深海棲艦に唯一対抗出来るとされている艦娘、自分の大切な家族が失われた後になって出てきた存在に鶴舞は複雑な気持ちを抱えた。

 

 

 

 

「ちょうど今みたいな感じだったんだよ、検討会で彼が話していた状態は」

 

 

 

 

 

 

どうして今になって出てきたんだ!、お前達がもう少し早くいれば、俺の家族は……、姉さんは……

 

 

 

 

 

 

 

そんな負の感情が彼の中で渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 

 

彼にとって遅かった新たな存在、何故今、という問いは、彼の心を乱すのに十分過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

「実際、彼は海軍省内で数多く出されていた反対派の1人だった」

 

 

 

 

 

この手で必ず奴らに復讐を、 彼はそう心に誓っていた。

 

 

 

「だが、彼の復讐心と元来の秀才さは提督としての才能を輝かせることに繋がった。」

 

 

 

 

料理が運ばれてくる。酒を多元が注ぎ、乾杯をして飲みながら話は続く。

 

 

 

 

「結果として彼は最年少の提督となって舞鶴鎮守府へと着任することになった。だが、当初の艦娘への態度はおおよそ褒められたものでは無い。」

 

 

 

 

無機質で、表情を表に出さない。それは例え彼女たちが被弾し、大怪我を負ったとしても彼の冷血な表情に変化は無かった。

 

 

 

 

「しかし、鶴舞中将の艦娘からの評価は高かったはずですが……」

 

 

 

 

多元の疑問はもっともだった。そんなコンピューター人間みたいな人間が艦娘からの信頼の厚い存在になり得るだろうか?

 

 

 

 

 

「そう、そんな彼に変化が訪れる。」

 

 

 

 

 

きっかけはとある攻略作戦後、ある艦娘が鎮守府に着任したことだった。

 

 

 

「雲龍型航空母艦、天城。彼女は彼のお姉さんの生き写しだった。」

 

 

「彼女もまた、姉と同じように優しく、顔もよく似ていた。尤も、最初は彼女のことを避けていたようだね、自分のトラウマだったんだから。」

 

 

 

天城は鶴舞の奥底に眠る悲しみに寄り添い、彼の負った心の傷を癒すことができたそうだ。

 

 

 

 

多分、惚れていたんだろうな、と米内は語る

 

 

 

 

 

「そして、彼にも変化が訪れる。まるで彼女に影響されたかのように、今までの無機質な表情は鳴りを潜め、海軍兵学校時代の優しさが戻り、いつの間にか艦娘や他の提督とも姉がいた頃の様になっていった。その時から艦娘達の評判も以前とは比べ物にならないほど向上していた。」

 

 

 

 

 

 

気がつくと酒が無くなっていた。米内は追加を頼みつつ、話を続けた。芸者はまだ来ないようだ。

 

 

 

 

 

「残り数少ない同期も、私を含めた上官も皆彼の変化を喜んでいた。そんな時だ……」

 

 

 

 

 

一時明るくなった声が再び沈む

 

 

 

 

 

 

「以前、南方戦線への大規模出撃があったことは知っているな?」

 

 

「ええ、その影響で前回の金剛石島攻略は我が泊地単体で行うことになりましたし…」

 

 

「あの時、彼は発見した空母艦隊を叩こうとして攻撃隊を出したんだ。そこまでは良かった。」

 

 

 

米内が酒を呑む。多元も呑める方とはいえ、やはり米内のそれよりは少ない。

 

 

 

 

「ちょうど、攻撃に成功して帰投中だった部隊を迎えようとした時、別の空母艦隊の攻撃に襲われてしまった。」

 

 

 

 

 

僅かな直掩機と対空砲で必死に対処したものの、やってくる敵機の数は多く、攻撃を許してしまった舞鶴艦隊は、奇跡的に轟沈艦は出なかったが、天城が意識不明の重体、そのほかの艦娘も等しく大ダメージを負っていたという。

 

 

 

 

「その時の天城の様子を見て、鶴舞にあの頃のトラウマが蘇った。」

 

 

 

1度ならず2度にも渡って自分の行動故に起こしてしまった悲劇。そして、更に……。

 

 

 

「君の部隊の話はちょうどその頃に中央の話題にのぼり始めたんだ。当然彼もまた君たちについて調べた。主に戦闘機についてね」

 

 

 

そこまで言われて多元も察した。

 

 

 

 

 

要するに、また同じことが起こったのだ。

 

 

 

大切な人が1度ならず2度も奪われそうになった、そしてその後、また対抗策が生み出される。

 

 

 

 

何故今回も俺の大切な人が奪われそうになる前に来ない!

 

 

 

 

全くのお門違いではあるものの、2度もそのようなことが起これば、彼が多元へと負の感情を抱いたのは当然といえば当然の成り行きだった。

 

 

 

 

 

 

「あの時、君たちの戦闘機が上空援護にまわっていればと彼は思ったんだろうね。」

 

 

 

 

それで……、と多元は呟いた。

 

 

 

 

「それで彼の出した例は全て戦闘機だったということですか……」

 

 

 

 

イーグル、ライトニング、どちらも戦闘機の名前である。その名前が真っ先に出たということは、余程彼にとって我々の存在が大きかったのだろう

 

 

 

 

 

「だが、如何なる理由であれ、一応は仲間である君を工作員呼ばわりするのは問題だ、彼にはきっちりと処罰を……って大丈夫か?」

 

 

 

 

さすがに米内光政の呑むペースには合わせられず酔いつぶれそうになる多元。しかし、どうにか意識を持たせつつ、多元は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

「米内閣下、処罰についてなんですが、ひとつお願いがあります。」

 

 

 

「ほう、聞かせてもらおうか」

 

 

 

 

 

多元は自らの構想を語った。

 

 

 

 

 

「なるほど、貴官がそれで良いのならそうしようとは思うが……、おい、大丈夫かね?」

 

 

 

全て言い終えた後多元は完全に酔いつぶれてしまったため、米内は部下に命じて横須賀へと帰らせるようにした。

 

 

 

 

 

 

 

一方、横須賀鎮守府執務室

 

 

 

 

 

 

「鶴舞中将、今回の件、弁明を聞かせてもらう」

 

 

 

「申し訳ありませんでした」

 

 

 

「謝れという訳では無い。貴様が疑念を感じるのは尤もだが、今回の査問会での態度はまるで八つ当たりに等しい。何故そうなったのか、理由を聞かせて欲しい。」

 

 

 

「思い出してしまったのです。」

 

 

 

何をだ、とは聞かなかった。四大鎮守府提督の中で鶴舞の過去について知らないものは居ない。

 

 

 

「大切な人を失ってからやってくる新たな力、何故と思う気持ちは分かる。」

 

 

 

だがな、と続ける

 

 

 

 

「だが、何の明確な証拠もなく人を工作員呼ばわりするのは以ての外だ。それに貴官もわかっているんだろう、

 

 

      ・・・

あの男たちが本当に転生者だということに」

 

 

 

鶴舞は静かに頷く。

 

 

 

そう、彼も完全には信じていなかったが、転生者と判断していたのだ。

 

 

 

「今、米内閣下が多元少将と会っている。明日以降の査問会がどうなるかは不明だが、貴官の処分については追って連絡する。以上だ。」

 

 

 

敬礼して戻る鶴舞、退出した彼を見ながら須賀は1人呟いた。

 

 

「指揮官としては申し分無いんだが、まだまだ若さ故の未熟さがあるな、天城には悪いが、しっかり彼を支えて欲しいもんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日は査問会は開かれず、多元は鳳翔の看病の元で丸1日二日酔いを治していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、これより、査問会を開始する。だが、その前に………、鶴舞中将の処分を発表する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、一体鶴舞中将にはどんな処罰が下るのやら……


次回もお楽しみに!



間違い、指摘はコメント欄にお願い致します
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。