ようこそ狂愛主義者のいる教室へ   作:トルコアイス弐号機

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1章 入学~中間テスト編
0話 黒華梨愛の独白


 今でもたまに夢に見る

 

 かつて、理想の中で生きていた私を

 

 小さい頃、私はみんなに愛されていた

 

 今思えば私は神童だったんだと思う

 

 誰よりも勉強ができた

 

 運動神経もそこいらの男子以上だった

 

 頭の回転も速かったし

 

 新しいことも一瞬で理解できた

 

 私はすべてにおいて他人に優れていた

 

 そんな人がいれば、普通は嫉妬される、怖がられる

 

 けど私はそんなことはなかった

 

 驕らず謙譲で、接する人みんなに慈悲深く、何事にも寛容で、努力を惜しまず勤勉で、困っている人がいれば救恤し、過ぎた欲望は節制し、なによりも純潔だった

 

 みんなに意地悪で、嫌われちゃう人とも仲良くできた

 

 誰とも仲良くしない一匹狼な人にも人気だった

 

 見目もよかった私は殊更モテた

 

 男子に告白された回数は冗談抜きに100回を超えていたと思う

 

 女子にも20人くらいから好きだと言われ焦った

 

 私はみんなに愛された

 

 私もみんなを愛していた

 

 そんな私も中学生になった

 

 中学生になってからも、私はみんなから愛される私でいようとて、ますます努力を重ねた

 

 その時の私の能力は中学生のレベルを、ううん、そこいらの高校生よりよっぽど上だったと思う。

 

 だけれどみんな、だんだん私に取り合ってくれなくなった

 

 誰も私と目を合わせてくれなくなった。笑ってくれなくなった。隣を歩いてくれなくなった。祝ってくれなくなった。遊んでくれなくなった。話してくれなくなった。

 

 どうして愛してくれないの? 

 

 もしかして傲慢だから辟易したの? 怒ってなんかないけどそう見えた? 嫉妬してしまうようなことをした? 怠惰だから呆れられた? 私の望みは強欲だった? たまにする暴食が目障りだった? 成長していく身体が扇情的だった? 

 

 私はみんなから愛されようとした

 

 でも、訳も分からないまま、私は愛されなくなっていった

 

 愛されなくなって2年が経って、私は中学3年生になった

 

 そんな私に1人の後輩ができた

 

 気さくでお茶目でちょっと抜けてる、でもどこか頼りがいのある男の子

 

 誰にも愛されない私に彼は優しくしてくれた

 

 顔を赤らめながらも私の目を見てくれた。照れるように笑ってくれた。恥ずかしがりながらも、帰るとき隣を歩いてくれた。いいことがあると祝ってくれた。誘えばいつでも喜んで遊んでくれた。しどろもどろになりながらも話してくれた。

 

 そんな彼に私は恋してしまった

 

 愛に飢えた私は彼から愛されたかった

 

 彼はみんなを愛していた

 

 彼は私も愛してくれた

 

 でも、かつてみんなに愛されていた私には、そんな分け与えられて小さくなった愛なんかじゃ足りなかった

 

 彼の全部が欲しくなった

 

 私だけを愛してほしくなった

 

 愛は私の生きる理由だったから

 

 だから

 

『愛してます』

 

 私の『全部』を捧げることで、彼から『全部』をもらおうとして──

 

 彼は、私の狂愛に耐えられず壊れてしまった

 

 そしてようやく気付いたんだ

 

 あまねく人を容易く魅了し狂わせる

 

 私の魔貌に、ようやく気がついた

 

よう実の詳細な時系列や特別試験のルール、設定などをまとめた資料を書くかどうか(詳細は1章幕間の後書き参照)

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