じゅじゅあくたあじゅ   作:しゃんぷ〜

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「あなたが巌さん……」

 

「おう、文句でもあるか」

 

イタズラに嵌めてやったぞとでもいう顔を見て、むっとした。最初から言ってくれればいいのに。

 

「巌さん、それでどういうことなんだ。もしかして山野上さんって孫だったりする?」

 

揶揄うような口調だった。実際に揶揄ってるんでしょうね。与えられた燃料を素直に受け取って、私は火山みたいに噴火した。

 

「この会話聞いて私が孫だなんて思わないでしょ!」

 

「それもそうだな!」

 

青田さんは、なんというか、こう、お調子者って言葉が似合う人なのかもしれないわね。

そんなふうに考えてると、厳ついおじいさん、もとい巌さんが喋り出した。

 

「亀、夜凪はお前らのワークショップに来てたみたいだが、どうだった」

 

「あん?あー、実力的な話?そうだなあ。THE・初心者って感じ?」

 

「何やらせた?」

 

「何って、今回は確か……」

 

「いつもやってる練習?を、他の誰かになりきって参加するやつよ!」

 

「そうそう、それ。んで、七生にダメ出しされまくってたよ。保護者の山野上さんって人になりきったんだっけか、夜凪は」

 

「そうよ」

 

「なるほどな」

 

なんて話してると、段々とざわざわしてくる。他の劇団員の人も続々と集まってきていてその中には、メガネを掛けている女の人、この前の七生さんもいた。

 

「あ、この前の、えーっと名前なんて言ったっけ」

 

「夜凪景、です!」

 

「そうそう、で。どうしたの。もしかしてうちに入りたいの?私もね、学校の課外授業でさ、巌さんの舞台見てからこの人のところで舞台に出てみたいって思って。もしかしてそういう感じ?」

 

捲し立てるみたいな勢いで、圧倒されてしまう。びっくりするみたいに目を見開いてしまった。

 

「出たよ、七生のめんどくさい巌さん愛」

 

「何よ、亀!」

 

「間違ったことは言ってないだろ!」

 

キャットファイトを始めた二人を、他の劇団員の人たちは慣れたものでも見るみたいに苦笑いをしている。なんだか、楽しそうだなあと思った。あんなふうにぶつけ合えるのって、少しだけうらやましい。ぼんやりと私が、ほかの劇団員の人たちとおんなじように微笑ましく二人を眺めていると、

 

「ま、あの二人は置いておくことにしてだ。せっかく来たんだ、何かやってみろ。見てやる」

 

どっかりと、どっかから引っ張り出してきた椅子に座って首を少しだけ動かして私に促した。

 

「何かって、何をやればいいの」

 

「開かないドアを開けようと無駄に努力する傍迷惑な奴とかは、どうだ。小手調べといこうじゃないか」

 

「ふふ、いいわねそれ」

 

目を閉じる。始まりは電話を探すところだった。

 

あと数分で先生との約束の時間が過ぎてしまうんだったっけ。まずい。どうしよう。こうなったら、そうだ、目の前に大きな建物があるじゃないか。もともとここが目的地だったんだっけ。電話を貸してもらうくらいわけないでしょう。

人がいるという一縷の望みにかけてドアを引っ張ってみる。開かない。でも、もうどこかの公衆電話を探して、かつ10円玉を探すことも時間的に難しい、そもそも公衆電話じゃ先生を誤魔化せないかもしれない。どうすればいい?もう、このドアが何かのきっかけに開いてくれることを祈るしかないじゃない。そんなことを考えていた気がする。だから神さまが開けてくれるのを信じて、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。

時折通りかかる歩行者に目を走らせ携帯電話の気配を窺いながら、なおも扉を開けようとする。

 

どうしよう、全然ダメだわ。先生に怒られちゃう!!

 

焦りが極点にまで達して、正常な思考が崩れそうになったとき、パチンと柏手の乾いた音が一つ。ハッと周りを見回すと、ここは天球の入り口ではなくて、その内部、稽古場だった。

 

「あ、そうだった。もう、違うんだった」

 

巌さんに中に入れてもらってちゃんと電話をかけたから無問題!よかったわ!

 

「予想を上回ったな……。面倒な癖がついちまってるみたいだが」

 

「えっ?どういう……?」

 

「おい、亀、七生。今の見てどう思った」

 

さっきまでキャットファイトを繰り広げていた二人、どころか劇団員の人の殆どがこちらを見て固まっていた。

 

「扉が見えたような気がする。いや、見えてないんだけど。シチュエーションの詳細はわからないけど、その扉を開けないと目的が果たせない焦燥感?みたいなのを感じた」

 

「この前のはなんだったんだってくらい、すごかった」

 

「えっと、ありがとう……。亀さん、七生さん」

 

いつの間にかかいていた汗を、制服では拭いたくないので、ハンカチで拭った。

 

「よしじゃあ、次いくぞ」

 

「次?!」

 

「そうだ。今度はそうだな、基本だが、喜怒哀楽でも表現してみるか?」

 

「それはいいとして、さっきの巌さんはどう思ったの?!」

 

「うちに阿良也ってのがいる。今日はいないがな。そいつに似た系統の演技だな」

 

「つまりどういうことなの?」

 

「阿良也はうちのエースっていうのかな。そんな感じのやつ。ま、褒めてるんだと思うよ」

 

「臭いっていう意味だ」

 

「えっ、いま私って臭い?!」

 

肩を持ち上げて顔を近づけてスンスン鼻を動かす。ダメだわ、自分の匂い嗅いでも全然わからない!

 

「そういう意味じゃないから!巌さんが時折使う独自の言語だと思ってればいいから!巌さん、それセクハラだからね!亀と同じレベルのやつよ」

 

「おい、七生!」

 

「事実でしょうが!」

 

この二人、また始めちゃったわ。言い争う姿を見ながらいつもこんな感じなんだろうなあとしみじみ思う。

 

「まぁあいつらはどうでもいい。やってみろ」

 

「はい!」

 

喜怒哀楽。その感情に入り込む、という意味ではなんの問題もないわね。よし!

 

 

 

喜 パァア

 

怒 ムッ

 

哀 しゅん

 

楽 ピスピス

 

 

 

「ふふ、どうかしら!」

 

「巌さん、こいつ舐めてますよ!」

 

「なに、この落差。風邪ひいちゃうそう」

 

「まぁ、こんなところだと思ったよ。ワークショップの話を聞く限り、何かしらの弱点はあるんだろうってところは読めてた。あとは何が弱いのか炙り出す作業だ。最初で役への没入は桁違いだってわかった。次は表現。それがこの通りってわけだな」

 

「えっ、どういうことなの?!」

 

「講評は後だ。最後に、自動車で急カーブを曲がってみろ。椅子はこれを使えばいい」

 

巌さんが座ってた椅子を明け渡してくれた。それに座ってハンドルを握る構えになってみる。でも考えてみると、後部座席には乗ったことはあるけど、運転席には乗ったことがないのよね。もっとちっちゃい頃におふざけでハンドルを握ったことはあったけれど、もしアクセルで進んだときにどんな感触がしてどんな振動が伝わってくるのか、私は何も知らなかった。

 

「私、車に乗ったことないんだけど」

 

「想像でやってみろ。できないなら頭を使って」

 

「ええ、っと」

 

こ、こうかしら?できあがったのは、右手と左手を交互にちょこちょこと上下する機械運動だった。ぜんぜんできない。泣いちゃいそうだ。

 

「よし、七生!免許持ってるか?」

 

「最近車校行こうかなって思い始めたところ」

 

「運転経験はないな?」

 

「うん」

 

「夜凪と代わってやってみろ」

 

そう言って席を譲ったところ、七生さんは私と同じで未経験のはずなのにゆったり滑らかぬハンドルをさばいていた。最後にハンドルを大きく回しながらブレーキをかけた、ように見えた。たしかドリフトっていうんだったかしら。

 

「正直題材選ぶのを失敗したかと思ったが、そうでもなかったな。ちゃんと夜凪ができないでいてくれた」

 

「な、なにそれ!」

 

「まぁいい、講評だ。想像力と表現力がないわけだな。スキルツリーがあまりにも歪すぎる。自分の理解の及ばないものに対してはとことん弱いし、リアルすぎるが故に人に伝わらない」

 

「保護者の山野上さんになろうとしても夜凪は山野上さんじゃなかった。だから終始不安定なままこの前のワークショップは終わってしまった、ってことか。なるほどな」

 

「あー。私があんなやり方選ばなければよかったのかなぁ」

 

「ま、それはさておきだ。お前ら、もう稽古してこい。夜凪ももう帰す」

 

「うす」

 

「はーい、それじゃあね」

 

「ありがとうございました!」

 

「で、夜凪。最初の不審者の演技だが、大方はあのときの自分自身に完全になりきるってところだろう?実際のところ、すごいと思ったよ、予想以上だった。しかし、だ。なりきる努力をしていただろう?」

 

「?」

 

「自分で自分の才能絞め殺してるんじゃあ仕様がねえな」

 

「え?」

 

「まだ没入できただろう。セーブしてるんだ、そのせいでお粗末になってる。例えば、何と言ったもんかな、そうだな。現状維持に努めても始まるものも始まらない。そうだろう?手前の形は一つだけか?そうじゃない。なのに蓋をしている。お前にはもっとできるはずだ」

 

「え?何を言ってるの」

 

「夜凪、お前は役者に向いてるよ。飛びっきりの才能だろう。ひょっとすると……。しかし手前自身がおそれてるんじゃ幸いにはほど遠い。俺が克服させられることはできるだろうが、強いられて得た力は災いを裡にもたらしかねない。無論、それでも人生を賭けられるほど入れ込むことはできようが、それこそギャンブルだ」

 

「巌さん、小難しい話はやめてくれないかしら。もっと簡潔に話して!」

 

「夜凪、ここが分岐路だ。お前にとっての幸いをどちら側に舵切るか、どうしたいのか。じっくり考えて、それから来い。いや、もう来なくてもいい。来たいと思えるようになったら、ここに来い。この道の立ち方ってもんを教えてやる」

 

「え、どういうこと?」

 

「俳優ってもんは、得てして度し難い。少なくとももう少し俳優っていう在り方に前向きになってから来いってことだ。よし、もう帰れ」

 

「……結局、入りたいって言ったら歓迎してくれるの、してくれないの?」

 

「察しの悪い奴だな。ここは演劇でもやってないとやってられねえ奴らの掃きだめだ。相応しくなってからこい。これでわからないなら国語を学べ」

 

だんだん怒りそうな気配を滲ませ始めたので、もう聞かないことにする。巌さんの言ってることが理解できないわけではなかった、本当は。色のいい返事、自分にとって都合のいい言葉の断片を得たかっただけ。

 

道を選ぶというのは、選ばなかった道を後悔することだと思った。というより、巌さんはきっとそういうことを言いたいんだと思う。でも、切り捨てた道の先に今とても大切だと思える人が立っているのだとしたら。そんなものわかりっこない。依然として光明に包まれて先の分からぬ未来を見通し動ききるなんて、私なんかにはできっこない。

私は夜凪景で、レイとルイの姉で、花子さんにお世話になっていて。

自分にとっての幸せの範囲っていうのは、自己定義として今、挙げた3人と幸せになっている姿。つまり現在を切り取ったものを長く大切にしていくこと。

 

追い出されるように外に出ると、亀さんが追いかけてきた。

 

「稽古はいいの?」

 

「最低でも聞かないと岩尾さんにドヤされちまう。夜凪、家は遠いか?送ってくか?」

 

「なに?送り狼ってやつかしら。いやよ」

 

「中学生のくせになにをいってるんだ。俺はもっと胸の大きなお姉さんじゃないとだなあ!」

 

「わわっ!やっぱり家には連れて帰れないわね!」

 

「なんでだよ!!……こほん。それでだいじょうぶか?」

 

「これくらいお散歩圏内よ。それに巌さんに言われたこともうちょっと考えたいし一人で帰るわ」

 

「そっか。明るい道で帰れよ」

 

 

 

街灯で夜道の先が見える。あんまり暗くって、ちっちゃい頃だったらお母さんから叱られてただろうなって、思わず苦笑してしまう。馬橋公園の前を通ると、虫のささやき声がカラカラと清涼感を与えてくれた。夜風が涼しくて気持ちいい。ふと、今って何時だっけと思って公園の時計を見てみると、すでに7時を回っていることに気づいた。そうだ、こんな時間に外に出ると、お母さんに怒られるんだった!

 

「あわわわわっ!ル、ルイとレイは、花子さんが迎えに行ってくれる日だからだいじょうぶ。……だいじょうぶ、よね?まずいわ、早く帰らないと」

 

走り出そうとすると、都合良く今日ぶつけた足のところがじんじん熱くなってきて動かしにくくなった。さっきまで平気だったじゃない?!引きずるくらい痛いわけじゃないけれど、このまま走ると多分明日明後日に響いちゃう。たいへんだわ。

 

そうして、少しずつ時間が過ぎていく中で牛のようにのっそりと歩んでみても、焦る心の内、感じる時間は無限大で、冷や汗を誘発した。涼しくて気持ちいいや、なんてどころじゃない。ルイとレイのところに早く帰らなくっちゃ。ちゃんとこの目で見ないと。どうしてこんな迂闊なの、私ったら。

ここから家までこんなゆっくりじゃ10分はかかる。今日天球でお世話になってほんのり得られた足がかりのようなものがボロボロと崩れ始めているような気がした。落ちた先は奈落だ。下から突き上げるような風は、いまや何某かからの誘いを予感させた。

 

不安に包まれつつ公園を抜けて、少し明かりの多い通りに出ると、目の前から見覚えのある顔が、息を荒げながら現れた。

 

「花子さん……!」

 

「景さん!」

 

どん詰まりかと思いきや、光が差した。不安はただの錯覚、思い違いだった。

けれど肩を小刻みに揺らして息する花子さんが、目を今まで見たことないくらいキッと鋭くさせて、大きな歩幅で足音高く近づいてくる。この先に起こることをなんとなく予期して、目を、雑巾を絞るくらいにぎゅっと瞑る。

でも目の前に既にあるだろう気配は何をするでもなく、ただ逡巡するように立ち尽くしていた。私は怖くて目を開けられないままだったけれど、ふわりと花子さんの香りが漂った。荒い呼吸がわずか数センチくらいの近さに感じられた。抱っこされるくらいの近さに花子さんの熱気を、他ならぬ肌で感じていた。

 

それからしばらくして目を開けると、花子さんは腕の長さ分だけ離れたところに立っていた。

 

「いつも帰る時間に、全然帰ってこない、です、し。ルイさんとレイ、さんも不安で泣きそうに、なってて。それで、今も家で、もっと不安になって待ってて、くれてるんです。ほんとうに、ほんとうに……」

 

口調こそ落ち着いているものの、少しだけいつもの花子さんと雰囲気が違った。どう違うのかを私には説明できないけれど、切羽詰まってるような、そんな印象だった。呼吸混じりに話すからとか、それは別にして必死なものを感じた。

 

「花子さんは?」

 

「?」

 

「花子さんは、心配してくれた?」

 

迷惑をかけておいて何を聞いているんだって、私でも思う。ただ、それを聞いておかないと、進まないような気がした。どこに続く道なのかはわからないけど。

 

「そんなの、決まってるじゃないですか……」

 

「ねぇ、心配してくれたの?」

 

「ええっと……」

 

「そうなのよね?!」

 

「し、心配したに、決まってるじゃないですか……!ほ、ほら、帰りますよ」

 

とてもうれしくって、心が跳ね上がる。それで歩き出そうとすると、忘れるなと言わんばかりに痛みを足に覚えた。

 

「痛っ!」

 

「?どうしました」

 

「今日、足を怪我しちゃって」

 

「……。おんぶ、しましょうか」

 

「でも荷物もあるし」

 

「これでも、大人なのでだいじょうぶですよ。景さん背負って、荷物も持つくらいなんてことないです」

 

私の前でしゃがんだ花子さん。いや、そんなことしてもらわなくてもいいの、なんて言えない雰囲気で、どうすればいいのかわからなくて戸惑ってしまう。

 

おそるおそる花子さんの背中に、体を預けると特に危なげなくしゃがんだ体勢から起き上がって、ひとまず地面に置いたスクールバッグも手でひょいっと持ってしまった。ふらつきもなく、確かな足取りで前に進んでいく様は、これまでの花子さん像を大きく塗り替えるほどの大発見だった。

 

「す、すごい!」

 

「仕事柄、重いものを運ぶこともあるので、足腰は鍛えてあるんです。というか、勝手に鍛わったといいますか」

 

「……」

 

花子さんの、仕事。

 

花子さんのことをもっと知りたい。

 

そう言って、昨日は拒絶されたんだった。

 

暗い夜道をに湧き上がった街灯で照らされた光の泉の中に、二人分の影が泳ぐように過ぎ去った。何度もそれを繰り返して、時折どこかの家の玄関に付いている赤外線センサーライトに照らされたりもしつつ、目の前に家が見える。窓からは光が漏れていて、ルイとレイが待っていてくれてることがわかって心底ほっとした。

 

「花子さん、ここまででいいわ」

 

「そう、ですか?」

 

「ありがとう」

 

背中から下りると、お腹あたりに感じた温かさから解放された。

 

「じゃあ、レイさんもルイさんも待ってます。早く入っちゃいましょうか」

 

「あのね、花子さん。一言だけでいいの。言いたいことがあって、ね?いいかしら」

 

「……。ええ」

 

「私ね、花子さんのこともっと知りたいの」

 

「景さん、それは」

 

「それって、いけないことなのかしら。花子さんには、知られたら何か都合の悪いことがあるのかもしれない。でも、私は花子さんのことを、大切に思ってて。それがどうして知りたいってことにつながるのか、自分でもわかってないけど、それでもね、知りたいの!」

 

「……」

 

「私は花子さんのこと大好き。ルイもレイもそうだと思うわ。みんな花子さんが来れない日なんかは、今日は来れないから仕方ないよね、なんて残念そうに言っててね」

 

「私は……。違うんです、そんなんじゃないんです。そんな、たいそうな動機なんて一つだって持ってないんです。言えない、言えないですよ。余るくらいきれいなもの向けられても、全部を台無しにしちゃうものしか抱えていないのに」

 

花子さんの整った顔立ちが、くしゃくしゃになっていた。どうしようもないくらいに子どもみたいな顔で、涙を流しているとかそういうわけじゃないのに、ルイとレイが泣いてしまったときのような、放ってはおけないと思わせる引力があった。

私からはもう花子さんのことについては絶対に聞かないようにしようと思った。その代わり、いつか花子さんが私たちに言いたいって思ってもらえるくらい信頼してもらうんだって思った。

 

スクールバッグをつかんでいない、空いている右手で花子さんの左手をぎゅっとつかんだ。

 

「帰りましょう、花子さん。うちに、一緒に帰りましょう」

 

腕を引きながら、家の扉を開けるとルイとレイが私たちを迎えてくれた。泣いていて、随分と心配かけちゃったわと申し訳なく思う。二人ともをぎゅっと腕で抱き締める。

ふと、後ろにいる花子さんが気になって、二人を抱きしめながら、

 

「花子さん、こっちまで来て?」

 

と言って誘い出し、ルイとレイ、加えて花子さんをぎゅっと抱きしめた。さすがにこんな人数になると私では抱えきれずに少しはみ出してしまう人もいる。

だから大きくなりたいと思った。花子さんもぎゅっと包み込んでしまえるくらい、大きくなりたいと思った。




キリのいいところまで書けました!1章完です。ここまで読んでくれた方がいるなら、なんともありがたい話です。小説書くことがこんなに難しいとは思いませんでした。いや、書いたことがないわけではないのですが、ちゃんと書いたのは初めてだったので……。

以下、どうでもいい雑文なので見なくていいです。作者の備忘録兼です。

2章は天球編です!
でも劇団に所属してたわけでもなければ演劇部に入っていた過去があるわけでもないので、舞台練習ってなにすればいいのか全然わかりません!どうしましょうか!

最後にかけても展開を急いだような気がしてて反省点ですが、何はともあれ、今までで一番投げ出そうとせずに書けたな思いました。
それと、ルイとレイの公式の描写が少ないなりに、今ある描写からキャラ解釈を深めてもうちょっと双子にも焦点を当てたいです。
夜凪さんの周りの環境として、「家」「学校」「天球」と3つになりました。
阿良也は本作だとまだ18歳くらいでしょうか。巌さんもまだ杖を使っていない設定なので、使うのは木刀の設定。年長二人組はちょうど成人くらい。

今後の展望です。
天球に所属するするということは舞台をやるということで、その舞台脚本を大まかにでも考えないといけません。基本的に夜凪さんが舞台で得た考え方を現実世界に適応しつつ成長する構成にしたいです。アクタージュの本編と似たような構成です。つまり彼女の生活や人生をある程度風刺している作品を選ぶか、作者自身がつくらないといけないわけですね。む、むり……。
話は飛びますが、1巻冒頭の夜凪さんも時代劇のエキストラ経験をしてから他人を意識し始めて、だいぶ人間的になったなと思いました。本作では、お母さんが亡くなってしばらくして花子さんが来た設定のため現状すでに他人への意識は強まっており、その辺りの成長譚はカットです。また、花子さんのことを大切に思い始めたくせに、いまだに花子さんの像を捉えられていないことと、親に捨てられた過去があるのが混ざり合って、花子さんに嫌われたくないと思い、現状維持を心に課してしまっている設定です。なので本編よりも今のところメソッド演技の没入度が低くなっています。他の誰かになりきってしまうことで嫌われるのが怖いという考え方ですね。今回巌さんに指摘されたのはそれです。その辺りは花子さんとの関係性をどうかしないと進まない部分です。

というわけで、1章終わりでした。ありがとうございました〜
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