鋼殻のレギオス~ご都合主義   作:ペコ

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第一話

それは一人の男から始まった。

 

ガハルド・バーレーン グレンダンにて隆盛を誇る武門ルッケンスの師範代にして次期天剣候補と謳われる男の一言だ。

 

天剣授受者レイフォン・ヴォルフシュテイン・アルセイフの闇試合への出場。

 

彼はそのことを脅迫の材料としてレイフォンを脅し、天剣を得ようとしたのだ。

 

しかし王宮はそんなことは百も承知。 天剣が誇る稀代の念威操者デルボネ・キュアンティス・ミュラーがこのグレンダンで起きることを知らぬはずがないのだ。

 

そしてそれはガハルドの企みさえもが王宮に、女王に知られているということだ。

 

しかし、それを知ってなおグレンダン女王アルシェイラ・アルモニウスは放置した。

 

それによりガハルドの企みが成功するかと思われた……が!

 

それは起きた。

 

天剣授受者決定戦前日の汚染獣襲来。

 

それにより出撃した武芸者168名

 

そして死者は……18名

 

襲来した汚染獣のなかに特異型の老成体が混ざっていた故の悲劇だった。 すぐに天剣授受者が出撃してこれを撃破したが通常の汚染獣戦ではあり得ない死者を生み出した。

 

そして死亡した18名のなかにはガハルド・バーレーンの名があった。

 

そして翌日行われる筈だった決定戦は中止。レイフォンは告発されることはなかった。

 

しかし、いずれまた第二、第三のガハルドが現れかねない。

 

そこでようやく腰を上げた女王により対応がなされた。

 

まず都市民(一般人)には事実を伏せて武芸者にのみレイフォンが闇試合に出場していた事実を告げる。

 

そしてその処罰として期間限定の都市外追放処分とする。

 

この事実を伏せておくならば他の闇試合出場者、またはその存在を知りながら黙っていたもの達の罪は問わない。と

 

そして表向きの理由として一般人にはあまりに幼くして天剣授受者となったレイフォンには一般常識が不足している為に学園都市に留学させるという発表がなされた。 それにあわせレイフォンが十分に勉学に励めなかった要因、孤児達の現状についても触れ、その改善策もあわせて発表となった。

 

ちなみにそれでもなお一般人に事実を広めようとした某王家のお坊ちゃんがいたが、女王直々のO・HA・NA・SHI(これ以上面倒を増やすな)により沈静化した。

 

そして、それに伴う副次効果として最年少天剣授受者にして自分達の目標であるレイフォンが学園都市に留学することを聞いた同年代の武芸者はレイフォンに教えを乞おうと大挙して留学を決めた。

 

有名な武門の長子などはそれを止められたが、それでもなお30名近い武芸者がレイフォンの留学する学園都市ツェルニへ留学することとなった。

 

 

 

そして出発前日

 

レイフォンは王宮に呼び出されていた。

 

 

「で? 結局どこに行くんだっけ?」

 

「あ、はい。 ツェルニです」

 

「ふーん、意外と遠いわね」

 

「はあ、何せここ以外は落ちてしまうか奨学金のランクが低くて」

 

「へえそう、ならこれを持っていくように」

 

そういってアルシェイラが投げて寄越したのは白金に輝く錬金鋼(ダイト)天剣だった。

 

「…………いいんですか?」

 

今更この女王のやることには驚かないが、さすがに今回のこれはどうかそう思い発した言葉だったが……。

 

「だってぇ〜、私のお気に入りのリーリンがいくのよ?移動中も含めて何があるか分からないじゃない、 それになんかカナリスがグレンダンの人間が大量に動くのだから何らかの対策は必要だっていうから〜。あ、だから都市外装備も持っていくのよ」

 

「はぁ……」

 

そういえば暇潰しに院を訪れたアルシェイラは何故か幼馴染みであるリーリンが気に入ったらしくシノーラという偽名を使って何度も遊びに来ていた。

 

しかしそれを考えても……

 

「いーから、とにかくそれを持っていくこと。大丈夫必要な時には帰ってくるし。 ……だからリーリンに傷ひとつ着けてたら許さないわよ」

 

「わ、わかりました。失礼します」

 

 

こうしてレイフォンは天剣と共に学園都市ツェルニに行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

side〜アルシェイラ

 

 

「はあ〜、行っちゃったわね……」

 

そう言ってアルシェイラはグレンダン女王は恐るべき内力系活剄で強化した眼で先程出発した放浪バスの姿を追っていた。

 

その中には自分の剣一振り(レイフォン)と同年代の武芸者達、三王家の血を受け継ぐ自分の従姉妹(リーリン)が乗っている。

 

「……本来なら私の産んだ子がなるはずだったんだけどね……」

 

しかしそれはもう愚痴でしかない、もう手遅れなのだ。 あの子の中にはすでに力が眠っている。 そしてすぐ側には自分の剣がいる。

 

もしやそれは運命と呼ばれるものだったのだろうか?

 

そう思ったところで元凶たる存在が頭をよぎった。

 

ヘルダー・ユノートル、自らと結ばれる筈だった癖に他の女と駆け落ちした呪わしき愚か者。

 

「何で……グレンダンに残したのよ……」

 

再び愚痴が溢れる。

 

出来れば争いは次の代に回してやりたかった。自分の代で終わらせようとは思っているがなにもそれがリーリンでなくともよい、リーリンがレイフォンとでも結婚して幸せになってもらい、二人の間に生まれた子供にでもその役目を負わさせたい。

 

なにせリーリンは何の力も持たない一般人だ。 武芸者ではない、なのになぜそんな過酷な運命を背負わせるのか?

 

しかし歯車はすでに回りだした。 ならば自分は剣をそして自身の力を用いて彼女を守ろうと誓った。

 

実のところレイフォンを助けたのも彼女の為だ。 なぜこんなにも彼女のことをリーリンのことを気にしているのかはわからないが、せめて全てが終わったあと彼女が幸せであるように動くだけだ。

 

そんな決意を胸にアルシェイラは遥か遠くを行くの放浪バスを見つめ続けた

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