生身の方が強いボーダー隊員   作:myo-n

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ほんとすみません。
何か微妙に手がつかなくて……
ゆっくり待っていてください……


第十話

 

「えぇ……はい。本人はそう言ってるみたいっすけど……」

 

黒コートの男が2人の後ろで通信している。

会話の内容から察するに、あまり良い反応ではないみたいだ。

 

「ねぇねぇ!どうやって自力で戻ってきたの!?」

 

飛び跳ねるバカがグイグイ寄ってくる。

こんなに幼い少年を戦わせるなんて、地球の兵士は人手不足なのだろうか……?

 

「話せば長い」

 

「じゃあある程度かいつまんでくれていいからさー!」

 

「……奴隷国家から抜け出し、傭兵として此度の遠征に参加した」

 

「奴隷って……嘘だろ!?そんな胸糞悪い事するのかネイバーは!」

 

「皆がそうではない」

 

良い奴もいれば極悪な奴もいる。

そこは地球となんら変わりはない。

ただ問題なのは資源の主な獲得方法が略奪になっているだけだ。

そのせいで争いが地球より頻繁に起こる。

 

「貴殿らの上官と話は出来るか?」

 

黒コートの男に近寄る。

こちらが武装していない為かあまり警戒していない模様で助かる。

 

「あぁ……ちょっと待ってな」

 

彼は一度トリガーを解除して、自分の携帯を操作し始める。

そしてこちらに渡してきた。

 

「失礼……貴殿が彼らの上官か?」

 

『……あぁ、そうだ』

 

声は低く、威厳に満ちている。

こちらの事をあまり信じてはなさそうだ。

 

「交渉事は苦手でな。今一度言う、私は地球出身だ。かの侵略による拉致から自力で帰還した」

 

『名前を聞かせてもらおうか』

 

「生憎だが覚えていなくてな。およそ5年前に拉致された事しか記憶がない」

 

転生者の副作用なのか何なのかそれとも人体実験による影響なのかは分からないが、俺は殆ど記憶がない。

辛うじて断片的な記憶はあるがバラバラ過ぎてそれも分からない。

 

あれ……?これ信じてもらえるか?

 

『なるほど……それでどうやって私が拉致被害者だと信じるとでも?それに君はこちらの隊員を撃破しているようだが』

 

「道中までは傭兵としての仕事を果たすつもりだった」

 

一つ目の任務である陽動と時間稼ぎは十分できただろう。

二つ目が大変なわけだけど……

 

『随分、仕事熱心なようだ。だがその場で君を捕虜として捉える事もできるんだがな』

 

「試してみるか?あまり勧めはしないが」

 

『生身の状態でトリオン体の隊員に勝てるとでも?』

 

「3人程度ならな」

 

殺気を出して居合の構えをとると3人が警戒して後ろに飛び下がる。

少し離れたが、この距離ならブレードを起動させて3人とも刈り取れる。

 

「城戸さん……多分マジっすよ」

 

「いずみん先輩に同じく〜」

 

「これ人が出せる殺気じゃないでしょ〜……」

 

「私の要求は2つ、ジンユウイチに会わせる事とこの国での亡命を受けてもらいたい事だ」

 

『………………分かった。ただしそれなりの条件を出させてもらう』

 

「可能ならば引き受けよう」

 

『…………アフトクラトルについての情報の提供と、現在本部に接近しているネイバーの処理を頼みたい』

 

どうやら本当に寝返るかどうか試しているみたいだな。

まぁ両方余裕だけど。

 

「承知した。ではジンユウイチの座標を送れ、道中にて説明しよう」

 

『駄目だ。先にネイバーの処理を優先させろ』

 

「心配するな、彼に一目見てもらえればそれでいい。貴殿らの判断材料としてな」

 

『……未来予知の事も知っているのか』

 

「あぁ……時間はない、早くしろ。私なら間に合う」

 

『……いいだろう。その自信が嘘ではない事を願おう』

 

皮肉をもらった後、連絡が切れる。

そして携帯にメールが届いて開くと現在地図に迅悠一と書かれた青マーカーが表示された地図が出てくる。

 

「童、この携帯暫く預かるぞ」

 

全集中……常中

 

「えっ、嫌なんだけ、ど────っっっ!?」

 

5割程肉体を強化したスピードでその場から跳びたつ。

素早く民家の屋根に飛び乗り合間合間を縫って高速移動していく。

 

「はぇ〜……何だあの化け物」

 

「生身……だよね?」

 

「俺の携帯…………」

 

---

 

「……やはり来るか」

 

明らかに追いかけてきているラービットが2体。

しかも2体ともエネドラタイプじゃねーか!

 

ハイレインの野郎、明らかに殺しに来てる。

こいつは液体化するから正面からはやりにくい……なっ!

 

「日の呼吸、肆の型───碧羅の天」

 

着地点を屋根の軒先にして前への勢いを蹴り上げるようにして上に向ける。

そのまま追いかけてきているラービットの真上まで落ちて輪切りにする。

 

いくらエネドラタイプとはいえ所詮は劣化コピー、全身を液状化して攻撃をかわすなんて事は出来ない。

ここまで切断したら流石に行動不能になるだろう。

 

着地した瞬間を狙ってラービットが飛びかかってくる。

だが俺の方が早い。

 

着地時の勢いに合わせて深く踏み込む。

刀を中段に構えて切先を斜め上に上げる。

 

「風の呼吸、肆の型────昇上砂塵嵐」

 

吹き上げる竜巻に巻き込まれたかの様にラービットが大きく刻まれながら吹っ飛んでいく。

 

ついでに飛ばされたゲートトリオン兵にフッと笑う顔を向ける。

 

「いささか…時間を取られたぞ。ハイレイン?」

 

何体送っても時間の無駄だからやめてほしい。

マジで。

 

再び民家の屋根に飛び乗って目的地へと向かう。

方向的に死ぬ程相手したくないのがいるからそいつと出くわさないように祈らねば……

 

---

 

「で、屋根伝いに走ってここまで来たと」

 

「そうなる」

 

殆どのトリオン兵はスルーしてきたので5分くらいでジンユウイチらしき青年と会えた。

場所は地下道、でかい穴が開いていたからすぐにわかった。

 

「俄には信じがたいけど、嘘じゃなさそうだな」

 

この男には未来予知というサイドエフェクトがあるらしい。

なので俺の行動がある程度分かっていたのだろう。

それでも信じられないという顔でこちらに寄ってくる。

そして頬をびよーんと引っ張ってきた。

痛くはないが鬱陶しい。

 

「うーん……確かに生身だ!」

 

「……ふぁなせ」

 

彼の手を掴んで頬から引き離す。

こんな事をされる為に来たわけじゃない。

 

「それで、私の事はどう視える(••・)?」

 

「……頼もしい味方だよ。今の所はね」

 

「そうか」

 

何か含みがある言い方だが……まぁ良しとしよう。

スレニキ達のアドバイスだとこれで上層部に敵じゃないと信じてもらえるはず。

さっさと戻って奴を始末せねば……

 

「何故貴様がここにいるッッ!!任務はどうした!」

 

あ、やばい面倒なのがいた。

いるのは分かってたけど、ガチガチに拘束されてるし触れないで置こうかなと思ってたのに難儀な奴め。

 

「表向き任されている分の任務は達成している。あとは奴だけだ」

 

「貴様内通者だったのか!」

 

「違うな、私はただ仕事をこなしているだけだ。その後はどうしようと問題なかろう?」

 

「あのお方の温情を踏みにじるつもりか!」

 

駄目だ話が通じない。

私はただの傭兵、仕事はこなす、オーケー?

 

でもまぁ味方だと思ってた奴が急に敵と仲良くしてたらそうなっても仕方がないか……無視無視

 

「いささか時を無駄にした。ジンユウイチ、一つ尋ねたい」

 

「何だい?揚げせん食いたいの?」

 

「それは後で頂こう。私は今からエネドラを始末しに行く、だから協力を頼みたい」

 

一瞬、何言ってんだ?みたいな顔をしたが、すぐに言葉を返してくる。

詳しい説明がいらないのは本当に助かる。

 

「あー、はいはいそう言うことね。じゃあ一旦上に行こうか」

 

地上に上がり、場所を指定して深くしゃがみ足に力を溜める。

 

出来るだけ早くエネドラの場所まで行きたいが正攻法で行くと多分間に合わない。

だから最短の距離を最速で……跳ぶッ!

 

「エスクード」

 

地面からヒュースを挟んでいた防壁が斜めに飛び出してくる。

その勢いと溜めていた力を利用する。

 

「雷の呼吸、壱の型────霹靂一閃……神速ッッ」

 

一筋の雷の様に、空高く跳び上がった俺はエネドラが侵攻している場所……ボーダー本部へと向かった。

 

「(口笛)♪人外染みてるなぁ!さ、こっちも……話し合いしようか」

 

 




見てくださってありがとうございます……
最近夏油ロスが凄くて……ついつい二次創作見るんですよね
また次回も見ていただけるとありがたいです。

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