「僕が勝てば君は家族、君が勝てば何者でも傭兵として雇う……中々面白いでしょ?」
「……家族になる、とは?」
「簡単な事さ、僕に忠を尽くす。それだけだ」
それは困るな……地球に戻れなくなる
実力を証明する為の戦いなんだからわざわざそんな賭けをする必要はないだろう
「エリン様、何を仰るのですか!このような素性も知れない奴を忠士に加えると!?」
いいぞ、ヒュース言ってやれ!
「まぁまぁ、落ち着いて。僕は人を見る目に自信があってね、彼には今まで感じた事のない物を感じるんだ」
背筋がゾワリと震える。
直感だが、彼と親密になるのはまずい。
忠士なんて色んな意味で駄目だ。
「……左様、ですか」
折れるのが早いよヒュース君!!
断りたいなぁ……でも断ったら後がないし。
仕方ない……やるか
負けなければ問題ないよね!
「……私は構わない」
「交渉成立だね。もう準備できたみたいだし、場所を移そうか」
「分かった」
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当主に案内されたのは小規模な闘技場の様な場所だ。
自宅にこんな場所まであるのか……
「一通り武器は揃えた。その中から好きな物を使うといい」
僕は先に待っているよ、と言って当主はトリオン体に変わった。
「感謝する」
ショーケースの様な物に入れられている武器を見る。
剣や槍や斧など基本的な物しかないな……
でも、トリオン兵には効かないんだから通常武装を充実させても意味がないか。
さて……得意武器が無いんだけどどうしようか。
剣は両刃で結構大きいし、槍は数回しか触ってないし、斧は全く使った事がない。
「どうしたんだい?」
こちらを心配する、というよりは余裕綽々の様子の顔をしている。
あの表情……わざとだな。
多分俺がブレードを使うって聞いたから敢えてブレードとは異なる物を準備したか。
油断していた……
「……何でもない。これを使わせてもらう」
槍を手に取る。
普段は刀の形態のブレードを使っているせいか違和感しかない。
だけど、無い物ねだりしても始まらない。
槍を何度か払って感触を微調整する。
……何とかなると思う、きっと。
当主の前に立ち、換装を解く。
傷口が痛い……
「待たせたな」
「本当に怪我しているんだね。まぁ勝負である以上全力でやるけど恨まないでね」
「分かっている」
当主がトリオン体に換装する。
ヒュースとは違い白いコートと頭にミニサイズの王冠が乗っている。
「ハンデとして先手は譲ってあげるよ」
余裕の表れなのか知らないが先手を譲ってくれるそうだ。
それともカウンター主体のトリガーなのか……
考えていても埒が開かない。
初手で終わらせる。
「シィィィィィィィィ────」
「……なるほど」
足に意識を寄せて力を入れる。
トリオン体でも反応できない速度で叩き込むんだ。
槍で直線を最短最速で貫く……!!
「雷の呼吸、壱の型……霹靂一閃」
「!?」
猛スピードで当主に向かって突っ込む。
空気抵抗が少ないのか刀の時よりも数段早く感じる。
当主も驚いて何かを構えるが、もう遅い。
槍は当主を捉えて、霧散した。
「へぇ〜!!凄いスピードだね!」
気がつくと、当主は後ろに立っていた。
「……テレポートか?」
「当たらずとも遠からずって所だ」
テレポートの類を使う相手とは何度か戦ってきたが、アレは攻撃を認識して避けるという意識を持たないと使えない。
初見で霹靂一閃の速度を認識して即座にテレポートするのは不可能だと思う。
しかも、あの時確かに手応えがあった。
それなのに急に消えてなくなった。
恐らく……ブラックトリガーを使っている可能性がある。
生身の人間に対して難易度が高いんじゃないかね。
「来ないなら、こっちから行くよ」
当主が殴りかってくる。
武器無しで舐めプをしているのか、それとも何か別の理由があるのか。
取り敢えず槍で受け止めようとするが──嫌な予感がした。
「っ!」
咄嗟に横に大きく飛ぶ。
すると先程迫っていた当主の姿が消え、元居た場所の後ろ向きから当主が残念そうに姿を現した。
「あれ……?何で避けられたの?」
「教える義理はない」
「ははは、冷たいね。これならどうだい?」
今度はなんと、5人に増えた。
しかも全て動きが違う。
間違いない、これはブラックトリガーだ。
直前まで実体があり動きのパターンが違う分身、加えて自身は透明化できる……という所か?
なんともまぁ面倒な……
「……」
「驚いている所悪いけど、終わらせてもらうよ」
それぞれの分身が別角度から同タイミングで襲ってくる。
多分本体が何処かから姿を表して攻撃してくるだろう。
……止むを得ない、少し無理をするか。
地球に帰る為だ、多少の無理は仕方ない。
耐えてくれよ……俺の体。
「ハァァァァァァァァ」
槍を半分の長さで短く持つ。
そして、柄を折って刀と同じ長さに変える。
「日の呼吸、肆の型───灼骨炎陽」
体を捻って剣の届く範囲を伸ばす。
渦巻く炎の様に激しく円を描く槍は、前方全ての分身を消し飛ばした。
「残念!」
するとまた、後ろから当主が出てくる。
「読めているさ」
「日の呼吸、参の型──烈日紅鏡ッッッ!!」
本来順番が違う型を無理矢理繋いで、周囲を素早く斬り払う。
そして、当主は一撃をくらい……また消えた。
「同じ手を使うとでも?」
目と鼻の先の距離に、当主が現れる。
もう攻撃動作に入っている当主は余裕の笑みを浮かべた。
「僕の勝ちだ」
あと3秒もすれば彼の攻撃は俺に届く。
だが…………
「言っただろう……読めていると」
高く跳んで当主の拳をかわす。
そのまま空中で回転して勢いをつける。
そして、拳が空振りして前のめりになって無防備を晒している当主に──槍を振るった。
「日の呼吸、弐ノ型──碧羅の天」
輪を描く軌道の槍は、今度こそ当主に当たり彼を地面へと叩きつける。
「勝敗は決した。そちらの負けだ」
「…………まさか、負けるなんて思わなかったよ」
当主がむくりと起き上がる。
ダメージが無いのは分かっているけど、妙な骨折り損感がある。
「負けるのは都合が悪いからな……ゴプッ」
「……!?大丈夫かい!」
咽せる様に血を吐き出す。
ただでさえ負担の大きい日の呼吸を本来の順番を捻じ曲げて強引に繋いだツケが回ってきた。
「ぐっ……」
傷口は完全に開き、血が溢れ出る。
呼吸を使って血管を極力締めようとするが、血を吐いているせいか上手く呼吸ができない。
「すま、ない……治療、をた……む」
視界が霞んできた。
これは本格的にまずい……
トリオン体に換装したいけど痛みで体が動かない。
そして、何も聞こえなくなった。
エリン家当主さんについては結構独自解釈の基で作ってます。
原作の方と違った場合は、その時考えます。
トリガーについても次回で説明します。
アンケートを締め切らせてもらいます。
頑張って外伝書きますね。
あと、今更ですけど彼がタイトル回収をするのはもう少し先になります……楽しみにしていてください。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
感謝感激雨あられです
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